プロゲーマーやってたら妹がアイドルになっていた件について。   作:河竹

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大会直後の様子。


閑話

居残りレッスンの合間、まさかのプロゲーマーになっていたお兄ちゃんが出場するらしい大会の中継を休憩がてらスマホで見ていた。

 

普段あんまりゲームとかやらないし、全然知識とかはないんだけど、やっぱり身内がこうしてプロとしてやっているとなると、例えそれが身近なものでなくとも応援したいという気持ちになる。

 

先程から数試合見ているので大体のルールとかは分かってきたけど、やっぱり技術とかそういった面は全くわからない。

 

どうしてそこに敵がいるのがわかるんだろう。

 

まあ、それはそうとして、どうやらお兄ちゃんは全体のランキングで2位になっているようだ。

 

「ふーん、なかなかやるじゃん」

 

なんてちょっと上から言ってみる。

ちなみに私は今同じユニットのメンバーの奈緒や加蓮に見つからないように部屋の隅に座って見ている。

二人もどうやらレッスンに夢中のようでこちらに気付いていない。

 

練習する二人を眺めていると、どうやら戦況は随分と変わっていったらしい。とうとうお兄ちゃんと、総合のランキングで一位の外国の選手が残ったみたいだった。

 

「おし、あと一人じゃん。いっちゃえ」

 

すると、あからさまにお兄ちゃんのプレーが変わった。素人の私から見てもそれは明らかな油断だとわかる。

 

結果お兄ちゃんはその一瞬の油断を捉えられ、敢え無く敗北してしまった。

 

まあ、お兄ちゃんにしては頑張ったじゃん。

 

とりあえず夜に電話でもしてあげよっかな、なんて考えていた時。

 

不意に画面に違和感を覚えた。

 

「あれ?なんでこんなに人がいっぱい集まって......」

 

画面の向こう側では、お兄ちゃんが居たはずであろう場所に、多くの人だかりができていた。そして、その人混みから、ある一人の男の人が運び出されていた。

 

お兄ちゃんだ。

 

「え、え?......なんで?」

 

頭が真っ白になる。

それと同時に自分の顔から血の気が引いていくのがわかる。

 

なんで?どうして?だってさっきまで元気そうだったじゃん。

 

私はとりあえずスマホでお兄ちゃんに連絡する。が、やはりいくらコールしても全くでない。

ここで私はこれは現実なんだと受け入れた。

 

「どうしよう、と、とりあえずお母さんに」

 

私は混乱した頭の中、お母さんに電話することにした。

 

プルルルルルルップルルルルルルッ

 

混乱した私には、このコールが恐ろしく長いものに感じた。

 

その後、数回の呼び出しコールの後、お母さんが出た。

 

「お、お母さん!!見た!?」

 

「り、凛?どうしたの?」

 

「お兄ちゃんが!!お兄ちゃんが倒れたの!!」

 

「え?秋人がどうしたって?」

 

「だから、お兄ちゃんが倒れたの!今から送るURLで動画見て!」

 

「え、ええ」

 

お母さんとの通話を一度きり、連絡アプリで動画をお母さんに送る。数秒後、再びお母さんから電話がきた。

 

「凛、落ち着いて。いまレッスン場よね?」

 

「う、うん」

 

「なら、今からもう家に帰りなさい。大丈夫、秋人も心配いらないから」

 

「で、でも倒れてたじゃん」

 

「うーん、多分極度の緊張に疲れただけだと思うわよ。それに今の凛の方がよっぽど危ないわよ。今からお母さんが迎えにいくからね」

 

「う、うん。わかった」

 

そう言うと、スマホをカバンにしまい、帰り支度をする。

その後、加蓮と奈緒に先に帰る旨を伝えてレッスン場を後にした。

帰り際、加蓮にものすごく怪しまれたが、丁度帰ってきた奈緒が救ってくれた。今度何かお菓子でも買ってってあげよう。もちろん加蓮のは無しだけど。

 

帰りの車の中から見た東京の街は、どこか無機質な冷たさを持っているように感じた。

 

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