プロゲーマーやってたら妹がアイドルになっていた件について。   作:河竹

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口調が変だよ!って所があったら教えてください!


妹がデレた気がした件についた。

日本に帰国後、俺はスポンサーへの挨拶回りやチームへの報告、後は何件かの取材に1週間ほどを費やし、妹との食事の日まであと1日というところでようやく全ての予定を消化することに成功した。

 

「はぁ、まじでしんどいんだが」

 

特にスポンサーへの挨拶回り。そんなに敬語に慣れていない俺にとってはかなり苦痛な時間を過ごす羽目になった。

まあ、これも仕事の一環なので仕方ないことではあるが。

 

が、それも今日で全て終了したのである。ようやく一息つける時間ができた。

 

俺は呟きアプリを起動する。

 

「『今日は気ままに配信やります』っと。よし、配信前になんか食っとくか。」

 

朝ごはんから何も食べていなかったことに気づいた俺はとりあえず配信前に腹に何か入れとこうと、冷蔵庫の中を漁る。

 

「......まぁ、なんもねーよな」

 

よく考えればここ数日間家を留守にしていたんだ、賞味期限も切れてるわな。

仕方ない、今日はカロリーメイトでつなぐか。

俺は忙しい時用にストックしてあるカロリーメイトで腹の空腹を満たすことにした。

 

ものの数秒で夕食を済ませ、幾分か早いが配信を開始することにする。

 

「あー、どうも、大会で倒れた『アキト』です。どうもよろしく」

 

大会で倒れたことを思い出し、出だしからテンションがだだ下がりである。が、その一方でコメント欄では大草原が広がっている。

 

「まじであれは黒歴史。まさか二十代にもなってあんな黒歴史を作り出すとか......はぁ」

 

ため息が溢れる。

 

「まあ、もう終わったことだしどうでもいいか。んじゃ、今日もいつものやつ、やってこうと思います」

 

黒歴史を忘れるため、黒歴史の元凶となったゲームを開始する。本末転倒である。

黒歴史を思い出さないようにプレイすること数時間後、ふとそういえば明日の食べにいくところを決めていなかったことに気がつく。

 

「一個質問があるんだか。実は妹と今度飯に行くんだが、どんなところがいい思いよ」

 

『妹?』『あぁ、アイドルの?』

 

「そそ、一応女子だしラーメン屋とかはねーよな」

 

『それはない』『どうせ嘘だぞ』『意識失ってボケたか』

 

ひどい扱いである。まあ、でも確かにいきなり妹がアイドルだなんてカミングアウトしだしたら俺でも正気を疑うな。

 

「わり、お前らに聞いたのが間違いだった」

 

とりあえず無かったことにしてゲームを再開する。

うん、まあ、明日直接聞いて決めればいいか。そうしよう。

その後、さらに一時間ほど配信を続けて終了した。

 

配信後、ベッドに潜り込み、明日の予定を確認する。

 

「お、明日二人とも来れるようになったんだな」

 

よくあのツンデレの凛が二人を誘えたものだ。おそらく二人とも驚愕してたんじゃないか?凛がデレた!みたいな。

 

「えっと、変更なしの明日の夕方6時に実家の前か。実家まで30分だから5時過ぎくらいには出るか」

 

一応車持ちで、実家までそこまで距離があるわけではないけど、東京の街は混むからなぁ。

 

俺は準備時間やその他諸々を加味した結果、アラームを午後3時にセットし、電気を落とした。

 

時刻はすでに午前6時を示しており、真っ暗だった外は少し白みだし、カーテンからはかすかに光が差し込み始めていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

部屋の電気を消し、ベッドに潜り込んだ。

明日はお兄ちゃんとご飯を食べに行く日。

なんだかんだまで二人でお出かけするなんて数年ぶりのことだ。

 

「明日、何着てこうかな」

 

まるでデートを前日に控えた彼女みたいなことを考えているけど、やっぱり一応女子だし。身内といってもそれなりに身嗜みには気をつける。

 

「あ、そういえば加蓮と奈緒に何にも言ってなかった」

 

あの兄が倒れた日から数日間、プロデューサーと話して無理をしない方針になった。何でも不安定な精神状態で練習をしても良い事はないってことらしい。この間電話をして以来、そんなに心の不安は残っていないんだけどね。

 

まあ、そういうわけで私は奈緒と加蓮に何も伝えられていないわけで。

 

とりあえずトークアプリを開き、三人のグループで事の顛末を報告することにした。

 

すると、数秒で返信が返ってきた。

 

「よかった〜!なんかすごい具合悪そうだったから心配したよ〜!」

 

「凛はすぐに隠すからな!」

 

「別に、そういうのじゃないけど」

 

「まあ、それはそうと、兄貴が無事でよかったな!」

 

「うん、なんか緊張が解けて気を失ってたみたい」

 

「あ〜、でも分かる気がする!私もライブの後とか結構クラクラする時あるもん」

 

「確かに、それに10億もかかってる試合なんだろ?すごい緊張だろうな」

 

「10億も貰えるの!?お兄さんすご!」

 

「まあ、結局二位だったんだけどね」

 

「それでも二億越えだろ!すげーな」

 

お兄ちゃんのことをよく言われるのって案外嬉しい。

これまでお兄ちゃんってそんなに目立とうとしてこなかった人だから特にそう思うのかも。

 

「明日ご飯に連れてって貰うんだ」

 

「そうなんだ!いいなー!」

 

「二人で行くのか?」

 

「うん、それで二人に一個お願いがあるんだけど」

 

「ん?なんだ?」

 

「もしよかったらだけど、明日、お兄ちゃんと一緒にご飯に行かない?」

 

暫くの間、グループに無言が流れる。

 

「え、いいのか?」

 

「いいの?」

 

「うん、その、ほら、いつもお世話になってるっていうか」

 

「まあ、感謝の印って感じ」

 

またグループ内に静寂が訪れる。

 

「凛がデレた!」

 

「凛がデレた!」

 

「二人してハイジみたいなこと言わないでよ」

 

全く人をなんだと思っているんだ。たまには感謝くらいするよ。

 

「えー、でもなんか二人を邪魔しちゃうみたいにならない?」

 

「ならないよ、お兄ちゃんも二人にお礼したいって言ってたし」

 

「あー、そうなんだ。ならそうするか」

 

「そうだね!あんまり遠慮するのもあれだし」

 

「うん、そうしてくれると助かる。明日の夕方6時に私の家に集合ってことになってるから」

 

「おっけー!」

 

「わかった」

 

「なら、その時間に集合ね。それじゃ、おやすみ」

 

「おやすみー!」

 

「おう、おやすみ」

 

私はお兄ちゃんに二人が来る事を伝えてスマホの電源を切った。

 

微睡みの中、窓の外から少し街明かりが見える。いつもと同じであるその明かりは、今日はなんだか少し眩しいように見えた。




次回は来週になるかもしれません!!
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