サイヤ人のエリート兵士 作:うさぎのにくきゅう
同じサイヤ人である事を恥と感じるレベルのクソ雑魚弱虫ラディッツが逃亡してから早数ヶ月。
と言っても惑星間のポッドでの移動にかなりの時間を取られてしまうので、数ヶ月が経過したと言ってもそれまでにした事はたった一つ難易度の低い惑星を侵略した程度で何があったという程の事も無いのだが。
まぁ、時間だけは本当に退屈な程あったので新しい技の開発や訓練だとかは良く進んだのだけれど、しかしその間はフリーザ様のお顔も拝見できないし、やはり充実していたとはとても言えない数ヶ月だった。
ベジータ君やナッパはポッドでの移動時はコールドスリープで過ごしているのでただ眠っているだけで退屈だとは感じないのだろうが、僕は普段コールドスリープが苦手で使用していないのでどうにも退屈で仕方が無い。
折角なのでイメージトレーニングなんかもしてみたが、成果は微々たる物で、実際にベジータ君と組み手でもした方が何倍もマシだっただろう。
殴るのは好きだけど殴られる事は嫌いなのでバリアーの訓練はひらすらしていたが、まぁ当然戦闘力に大した変化が出る筈も無し。
やはりサイヤ人はサイヤ人らしく実戦第一だと言う事だ。
でもなぁ。ザーボンさんにはベジータ君を超える事を期待されてるようだけれど、こんなにちまちまと戦闘力を上げていても全く追いつける気がしない。
それにベジータ君もあれで戦う事に関してはとびきりのセンスを持っているし、例え僕と戦闘力で並んでいたとしても簡単に敗北しそうだ。
ただ殺し合えば良いだけならばベジータ君は普段から油断が過ぎるし、不意を突いて尻尾切断からの大猿化でもすれば先ず殺せるのだろうけれど。
まぁ前提条件としてベジータ君に油断が無ければどうしようも無いので、さてでは殺し合いましょうと言って戦い始めるのならばこれもまた何の面白みも無く簡単に敗北するだろう。
というか、まぁザーボンさんが求めているのはそういう事では無く単純に純粋な戦闘力の話だろうしなぁ。
例外はギニュー特戦隊の緑色の気色悪い奴くらいだろう。(名は忘れた)
確かその緑色はザーボンさんやドドリアを超える程の相当な戦闘力を誇る精鋭揃いのあのギニュー特戦隊に僕にも劣る程度しか無い戦闘力で入隊したらしい。
どうも聞いた話によると高い戦闘力を持たない代わりに超能力を扱う事ができるとの噂だ。
当然僕にはそんな超能力なんて扱えない。
そして戦闘力の操作なら多少は得意な方だし、バリアーの精度は自信を持てるのだが、それだけでベジータ君を超える程かと言われると全くそんな事は無い。あくまでギニュー特戦隊の緑色は例外中の例外と考えた方が良いだろう。
……あー。結局実戦で戦闘力を高める以外選択肢無いなぁ。
でもそれだと一緒に戦って同じように経験値を得ているベジータ君を追い抜く事はできないよなぁ。
「という訳だからキュイ。旅行行くよ」
「あぁん?旅行?突然一体何言ってやがるんだてめぇはよ」
何を言っているんだ。こいつ。そんな顔をしているキュイの腕をがっしりと掴んでずんずんと歩き出す。
キュイはまだ何やらごちゃごちゃと口にしているが、無視だ無視無視。こーいうのは勢いが大切なのだ。
「ほら早く行くよ。詳しい話はポッドに乗ってから話すからさ」
「おい!話を聞きやがれ!俺はこれから任務があるんだよ!!旅行なんて行ってられるか!!」
「任務?あぁ。大丈夫。それ終わらせておいたから」
正確には先程、偶の休みを謳歌していたナッパに代わりに任務を終わらせておくよう命じておいたと言うだけでまだ終わらせてはいないけれど。まぁ誤差の範疇だよね。
混乱しているキュイを無理やりポッドに押し込む。
ぽちぽちっと。発射おーらーい。
「ま、待て。まさか本当に」
「あはは。僕が冗談言っているように見えたの?そりゃ面白い。じゃ、お先どうぞ」
ぷしゅー。閉まる扉にご注意ください。あっ手とか伸ばしてると危ないよ。
……よし、成功だ。
「さぁ着いたぞぉ!早速訓練開始と行こうか!何処からでもかかってくるといいよ!」
「……何から何まで唐突だな。お前は。だが……ククク。ベジータの野郎をぶっ潰す為の訓練か。何だかんだ言いつつ、やっぱてめぇも内心ベジータの野郎は気に入って無かったって訳か」
「当たり前だろう!?ちょっと血筋が良くて戦闘力が高いからってあの態度、許せる訳無いじゃないか!この前はごめんね。普段はベジータの不興を買わないようにしないといけないからさ」
「あぁ。こっちこそ悪かったな。お前もベジータの下で働くのは大変だなぁ」
いや、まぁ別に僕はベジータ君に対してそんなに心象悪くはないけど。元王族なのだし、多少態度が大きくても仕方が無いと言う物である。
それを言うならばキュイだって人の事は言えないと思うのだけれど……まぁ、黙っておこう。
今回わざわざキュイに来て貰ったのは、まぁ見たままだが僕の訓練相手を務めて貰う為だ。
サイヤ人は死の淵から蘇るとパワーを増す。
けれど、当然だが力を増すにつれて対等に戦う事のできる相手が次第に居なくなってくる。
本来任務でそれ程の相手を見繕う事ができれば良いのだけれど、それも偶にならば可能かもしれないが、少なくも僕らは最近マトモに戦う事のできる相手が見つからずに苦労していた所だ。
では相手は誰が居るのかと考えると、目的としてベジータ君に勝ちたいのにベジータ君にベジータ君を倒す為の訓練相手を頼んでいては本末転倒も良い所だし、ザーボンさんやドドリアにはそんな事とても頼めない。
ギニュー特戦隊のメンバーは面倒見も良いし、有りかもしれないとは思ったが、彼らは多忙な身だし、メンバーの中から一人抜けるとファイティングポーズにも支障が出るのであまり良い顔はしないだろう。
つまり、ベジータ君と同程度の戦闘力を持ち、別に敬う必要も無くさほど忙しくも無い君が最適だったと言う訳だよキュイ君!
ちなみにキュイは最近ベジータウザくね?ここだけの話、最近あいつの戦闘力お前を超えてんだよね。ちょっとここらでシメてやる為に訓練しよーぜ?と、そんな感じな事を言えば直ぐに機嫌を良くして協力してくれる旨を口にしてくれた。
「しかしここは重力が高いな。これも訓練の為か?」
「そうだね。この高い重力のせいで惑星としての利用価値が低いからあんまり使われてないみたい。まぁそれでも惑星フリーザの一つなだけあって設備もある程度充実してるよ」
さて、御託はもう良いだろう。さっきから久しぶりの本気の戦闘に身体が疼いているんだ。
始めようか。サイヤ人ナンバーツーの僕の実力を見せてあげよう。
「ば、ばたんきゅ〜」
うん。流石に戦闘力の差はそう簡単には埋められないようだ。
痛い。くそう。ヤダなぁ。殴られるのは嫌いだから一応攻撃を受ける寸前に身体に薄くバリアーを張ってはいるけれど、何故だろう。おかしいな。倒れるまでにかかる時間が増えるばかりで余計辛くなっているだけのような気がする。
だが、それでもやはり戦闘力のある程度近い相手との戦闘は良い。ちまちまとイメージトレーニングをしたり雑魚と戯れるよりもよっぽど良い訓練になる。
今回はキュイの方が戦闘力が高いせいでやられっぱなしになるから余り好きな部類では無いけれど、そんな相手とろくに戦う事のできない今までの状況よりは余程マシだ。
「ふう。やっと倒れやがったか。戦闘力14000の割にしぶとい奴だぜ」
「……メディカルマシーン入ってくる。言っておくけど、勝手に帰ったら殺すから」
「たった今オレにボコボコにされた奴が何言ってんだ。なに。ベジータの野郎をぶっ潰すまで俺達は同志よ。心配しなくても帰ったりしねぇよ。俺もベジータの野郎に負けてられないからな。こうなったらトコトン付き合ってやる。一緒にベジータの野郎の鼻を明かしてやろうぜ」
「………おー」
……嬉しそうな顔しやがって。
こっちは僕の野望の為、ザーボンさん、ひいてはフリーザ様に気に入られる為に嘘を突いてまで無理矢理利用しているだけだって言うのに。
全く。フリーザ軍の人間は素直で大変よろしい。