サイヤ人のエリート兵士 作:うさぎのにくきゅう
「しかし、この短期間で本当に見違える程戦闘力を上げましたねぇ。ロトリーさん」
「そ、そうですか?えへへ」
ふ。ふふふ。ヤバい。フリーザ様に褒められている。
あぁ、幸せとはこの事だ。僕はこの時の為にわざわざ苦手で面倒で大変な方法を取ってまでキュイ等というモブ顔と訓練を行ったのだから。
一応命の危険は限りなく低かったとは言え、本当は僕は自分から攻撃するのは好きでも相手から攻撃されるのはすこぶる嫌いなのだ。勿論戦闘自体が嫌いと言う訳ではないけれど、一方的な虐殺が大好きなのだ。
だからこそ常日頃からバリアーだけは良く鍛えているのだが、今回の訓練においてはそのバリアーを殆ど使えなかった事もあって大変だった。
もっと本気でバリアーを使っていればもう少し楽に戦えたのかもしれないが、それではまるで訓練にならなかったという事情があり、張ったバリアーは精々薄ーく伸ばして張る程度だったので、キュイの攻撃は凄い痛かったし、内心少し嫌になっていた時もあったが、徐々に増す戦闘力とフリーザ様に褒められたいという心が僕を支えてくれたのだ。
……思い出したら腹が立ってきたな。キュイの奴め。
次会った時は泣いて謝るまでぼこぼこにしてやる。キュイが泣くまで殴るのをやめない。
しかし、先程からずっとフリーザ様は何やら僕の背中の辺りをじっと見つめて一体どうしたのだろうか……ハッ!気付かぬ内に尻尾が勝手にぴょこぴょこ動いてしまっている!
恥ずかしい。しっかりと腰にしゅるしゅると巻いておく。
「まさか本当に、それもこんなにも早くベジータさんの戦闘力を超えるてみせるとは思ってもいませんでしたよ。どうです今度、貴方の得たその力でベジータさんとの新しい上下関係を作ってみては如何でしょう?」
「あ……それが、丁度ご報告しようと思っていた事があるのですが」
「ふむ?一体なんでしょう」
「先ずラディッツが死にました。以前ご報告した通りラディッツの弟、カカロットを迎えに地球へと向かって、いたらしいのですが、抵抗に合い同士討ちとなったようです」
「ほう。ラディッツが。ですが、あの程度の戦士ならいくらでも代用は利きますし、まぁ問題無いでしょう」
実際、ラディッツの戦闘力1500……だったっけ?弱虫ラディッツの事なんてあまりハッキリとは覚えていないが、まぁその程度の1000前後の戦闘力ならばフリーザ軍の平均的な戦闘力よりは高いのだろうが、サイヤ人としては所詮下級戦士だ。大した価値も無い。
一応ラディッツの件は生き残ったたった4人のサイヤ人……いや、カカロットを含めれば5人だったか。
そのたった5人の生き残りの内二人が死んだと言う事で報告だけはしておいたが。
まぁ当然だが、弱虫ラディッツの件は所詮ついでに過ぎない。所謂前座と言う奴だ。メインの報告では決してない。
──僕程にもなると、そんな唯の報告はしないのだ。
僕ならばしっかりと僕自身の株も上がるような。そのような報告をする。
「それともう一つ。こちらが本題なのですが、そのラディッツの向かった地球と言う惑星ですが、何でもどんな願いでも叶う願い玉があるらしいのです」
「願い玉?それは何とも……胡散臭い話ですねぇ」
「しかし、その胡散臭い話をベジータ王子はどうやら間に受けてしまったようで、その地球とやらに向かってしまったようで……恐らくベジータ王子の事ですし、不老不死にでもなるつもりなのでしょう」
直接聞いてはいないが、願い玉でベジータ君が叶える願いなんてたかが知れている。不老不死か、美味しいご飯を無限に生成する超能力。およそそんな所だろう。
もし不老不死になればこれから先もずっと戦闘を楽しむ事ができるし、そうならば何時かはフリーザ様の戦闘力を超える事ができるかもしれない。
野心の強いベジータの考えそうな事だ。
個人的には後者の美味しいご飯を生成する能力もかなり選ぶ可能性は高いと思う。ベジータ君、あまりそんな素振りを見せないけれど、実は美食家のような側面があるし、それでいて大食いなのだ。
……流石に前者の不老不死を選ぶとは思うのだが……ベジータ君プライド高いから。フリーザ様に何時までも従う事を良しとはしないだろうし。
でも後者を選ぶ可能性も十分にあると思う。
……3割くらい?
「それはまた……生意気な考えですね。この私に楯突くつもりなのでしょうか。まぁ元よりベジータさんは反抗的でしたし。願い玉など無くとも時間の問題ではありそうですがね」
「ですがご安心を。その願い玉の詳細が知れればこの僕に連絡をするようにと言いつけてありますので。もしも本物のようならば僕が言いくるめて、こちらに持ち帰らせましょう。ただの出鱈目ならば……フリーザ様の言う通り、帰還したベジータ王子には教育を施してやりますよ」
「ホッホッホ。それは良い。頼りにしていますよぉ?ロトリーさん」
た、頼りにしていますよ! !だなんて!!あぁ、フリーザ様。このサイヤ人の僕にそこまで信を置いてくださるだなんて。
「ハッ!!。お任せ下さい!!全力で虐めて、虐めて、虐め尽くして、もう二度とフリーザ様に楯突こうとは等とは思えなくしてやりますとも!!」
「……精々程々に、お願いしますね」
「了解致しました!!」
あぁ、そうだ。弱虫ラディッツの拷問に使用する予定だった新技はベジータ君に使うとしよう。
弱虫ラディッツと違ってベジータ君はプライドが高いからな……良い声で鳴いてくれるだろうか。
ふふふふふ。あぁ。今からまた楽しみだ。
最高の気分フリーザ様への報告を終え、食堂にてストロベリーパフェを食べながらキュイとの訓練での戦闘力の上昇率に味を占めた僕は次の訓練の計画について考えていた。
どうせベジータ君が帰還する時間を含めるとまだまだ時間は十分にあるのだ。それまでは訓練によって久しく行っていなかった任務を行いつつ、ベジータ君との戦闘力差を更に広げていくとしよう。
……なんと言うか、アレだな。訓練をするにしても大きく上昇した戦闘力をいきなり見せてしまうのは詰まらないな。なんというか、面白味に欠ける。
個人的には戦闘力が拮抗、若しくは以前と変わらないままの戦闘力をばっちりとスカウターで計測させ、ふふふなんだでかい口叩いておいてこの程度かと侮らせておいて、満を持して一気に爆発的に戦闘力を解放。
知らぬ間に明らかに格下だと思っていた相手との戦闘力に大きく差を付けられていた事を知り、驚きを隠せずに震えおののくベジータ君。
ぷぷぷ。想像しただけで実に笑えてくる。サイコーだ。
別にベジータ君にそこまで恨みは無いし、嫌っている訳でも無いけれど、あの産まれた時から根強く残っているサイヤ人最強という自負とプライドをへし折ってやったら本当にたまらなく面白そうだ。
サイヤ人最強の称号を失ったベジータ君はもうダメだ…おしまいだぁ……とか言いながら泣きながら許しを乞い始めたりするのだろうか。
これまで散々フリーザ様に対して反抗的な態度を取っていた罰だ!涙を流すベジータ君をぼっこぼこ。
ふふふ。ふふふふふ。
……少し心の声と高鳴りが漏れていたのかもしれない。
ザーボンさんから品が悪いと注意を受けてしまった。
いけない。常に心には余裕と気品を保つ。幼い頃よりずっと意識してきた事だが、フリーザ様に褒められた事による気持ちの高鳴りがあのベジータ君を虐めるというスパイスによって最高潮まで達してしまっていたらしい。
反省、反省せねば。
……あ、所でザーボンさん。今の僕の戦闘力より高い戦闘力を持つ訓練相手、誰か居ませんか?