サイヤ人のエリート兵士   作:うさぎのにくきゅう

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あぁ。僕は失敗してしまったのかもしれない。

確かにあの時、フリーザ様からお褒めの言葉を頂き、高揚して高まったテンションでベジータ君を虐め抜く算段を立て、どうにもあまり正常な思考ができていなかった。

 

……あそこでザーボンさんに訓練相手の選別を完全に委託してしまった事がいけなかったのだろうか。

だが、仕方無いじゃないか。まさかザーボンさんがこんな相手を用意してくるとは思わないじゃあないか。

 

あの時、ザーボンさんは僕の相談に快く乗ってくれたのだ。

僕としては長らく任務から離れていた事だし、まだ任務から離れているつもりなのかと苦言を呈されても仕方が無いくらいだろうとすら思っていたのだが、心優しいザーボンさんは僕に適切な訓練相手を見繕ってくれる事を約束してくれた。

 

寧ろ始めはまた昔のようにザーボンさん自ら訓練をとのも言われたが、ザーボンさんとの訓練は若干トラウマなので様々なタイプの相手との戦闘訓練を行いたいと言って誤魔化したのだが……

 

 

「ほらほらどうしたぁ?こっちはまだ全然本気を出してないぞー?」

 

 

……だからと言って一体何故、僕は自分の二倍以上の戦闘力を誇る精鋭部隊ギニュー特戦隊のメンバーの一人……ジースさんと訓練を行っているのだろうか。

キュイとの訓練も始めは辛い物があったが、それでも戦いにならないと言う程では無かった。

だが、今回はその時の比では無い。これでは本当にただの一方的な暴力でしかない。

うう。痛い。

絶対こんなの訓練になってないよ……

 

 

……くそっ!こんな訓練やっていられるか!!

僕は現実逃避させて貰う!!

 

いや、うん。しかし、もう一度言うが、戦闘力二倍以上だぞ?

戦闘力二倍という事は、大体キュイとの訓練を行う前の僕がザーボンさんと共に訓練を行うような物だ。

 

いや、そういえば幼い時はずっとザーボンさんと訓練を行っていた気が……いや、まぁあれはなんと言うか……うん。あれは酷かった。もうザーボンさんとは訓練したく無くなる程のトラウマとなってしまっていたからな。

だが今思えばギニュー特戦隊よりはザーボンさんの方が余程マシであった。

 

 

あぁ、ザーボンさんに新しい訓練相手について相談した時の事が遥か昔の事のように思える。

 

いや確かに、色々なタイプとは言ったけども。まさかわざわざギュー特戦隊がやってくるとは思わなかった。戦闘力もまだまだ離れていたし。

 

しかも、特戦隊メンバー全員と一定期間毎に入れ替わりで訓練を行うと言うのだ。

 

いや、正気かザーボンさん。希望通りではあるけれど、僕死ぬよ?死んじゃうよ?というか一人目一日目数時間目の今でさえ相当辛いんだけど。

 

 

「おいおい根性ねぇーなぁ。まだまだこっからだろが。まだこっちの攻撃も一撃だってクリーンヒットしちゃいねぇじゃねぇか」

「……だってこの戦闘力差ですよ。マトモに戦う事すら厳しいですって」

「そりゃそうだがなぁ。お前ホントにサイヤ人か?サイヤ人ならもっと食らいついてやろうって気はねぇのか?」

「食らいつくって、そんな簡単に戦闘力の差を埋められたら苦労しませんよ」

 

 

一体サイヤ人を何だと思っているのだろうか。そりゃ、戦闘力の成長力は尋常では無いし、生まれつき戦うセンスだってある。

しかし、だからと言って倍以上の戦闘力の差を覆せる訳が無い。

 

 

「あーあー。折角ザーボンの奴がお前を鍛えてやってくれってわざわざ俺達に頼み込んできたってのによー。あーあー。一体どんな強い奴が現れたのかと思ってたのによー」

「……ザーボンさんが?」

 

 

そんな話は初耳だ。確かにザーボンさんは普段から僕に良くしてくれていたし、今回の件でも快く受けてくれたし。

 

しかし、それにしてもザーボンさんが……

 

 

「元々、そんなに良くもなかったザーボンの奴がわざわざ頼んできたから仕方無く頼まれてやろうと思って来てみれば、そこに居たのはお前みたいな腑抜けだぜ?あーあー」

 

 

むむむ。言いたい事は色々あるが、この戦闘力の差では何も言い返す事ができない。大体、散々言ってもこの戦闘力の差では戦いにならない事は火を見るよりも明らかじゃないか。

 

 

「あーあーこりゃあもう、フリーザ様に報告するしかないかー?」

「えっ?」

 

 

フリーザ様に……報告?

 

 

「そうだな、例えば、貴方様の期待していたサイヤ人はどうやら実戦ではまるで役に立たない腰抜け野郎でした。とかな」

「……それは、ダメだ」

 

 

ダメだ。ダメだ。ダメだダメだダメだ。折角信頼され始めた所なんだ。

漸く、フリーザ様が僕に目を向けてくれたんだ。

 

……ここで、落胆させる訳にはいかない。

 

 

「ダメ、ねぇ。それじゃあ、どうするんだ?」

「ジースさん。貴方を倒します」

「へっ。そうこなくっちゃな」

 

 

とは言った物の、一体どうしたものか。戦闘力二倍の相手に勝つ策略等、当然僕には無い。

もしもそんなものがあったのだとしたら、勿体ぶらずに既に使って、こんな状況になる前にジースさんを圧倒している事だろう。

 

 

久しぶりに本気モード。周囲バリアー展開。さぁ、何時でも───っと、居ない⁉

 

 

「がっはぁぁ‼」

 

 

お、重っっ‼バリアーはしっかりと張っていたのに、にも関わらずそのバリアーを容易く破り、それでもなお僕に十分なダメージを与えられるだけの凄まじい蹴り。そう、ただの何でもない蹴りだ。当然、戦闘力を一転に集中させるような溜めの大きい攻撃でも無く、本当にただ何気なく放った蹴り。

それなのに、僕のバリアーを破り余りあるだけの威力がある。

 

わかってはいたことだが、こんな戦闘力を持つ相手をどうやって倒せばいいといいのだ。

だが、勝ちの目は何処かに有るはずだ。可能性を捨ててはいけない。

 

僕は戦闘民族サイヤ人だ。……例え、内心で僕が実際にどう思っていたとしても、勝ちの目はあると思い続けなければならない。

 

少なくとも、ベジータ君ならば絶対に諦めない。だから僕も……諦めてはいけない。

およそ僕らしく無い事を考え、それだけで頭を塗り潰し、無理矢理に気力を保ってジースさんを睨みつける。

 

 

「さっきも思ったが、良く耐えるな。……戦闘力の割に、防御力は随分高いじゃないか」

「唯一、僕の自慢できる事と言ったらそれくらいなので」

 

 

いや本当に。バリアーならば一人で閉鎖的な環境でも練習できるので、ポッドの中で訓練する時は大抵はこれだった。退屈しのぎにもなるし。

あと単純に痛いのは嫌いなのでほかの訓練よりもこれだけはよっぽど真剣に取り組むことができた。そもそも、幼い時のザーボンさんとの訓練ではバリアーができないと本当に生きていられるかすら怪しかった。

 

だが、そんな僕の自慢のバリアーもいとも容易く、あまりにも呆気なく破られてしまった。

 

 

「よし、そんじゃ、次本気でバリアーを張ってみろ。お前の本気のバリアーを見せてみろ」

「えっ」

 

 

あ、あれ?本気の戦いでは無かったのか。いや、まぁそりゃこちらにとってもその方が都合は良いのだが。

 

 

「おいおい。忘れてないか?これは訓練なんだぜ?こんだけ戦闘力差があったらお前の実力もわかんないだろ?じゃあ先ずはお前の得意分野を知ろうって訳だ」

 

 

……。なんだろう。そりゃ道理ではあるんだが、いや、本当にそれ自体には何も不満は無いんだが。

それじゃあさっきまでのは一体何だったと言うのだ。

 

 

「じゃあバリアー張りますけど」

 

 

今の僕が張れる全力全開のバリアー。更に、普段は身体の表面に覆うようにしているバリアーを前面の一方向だけに集中させる。

 

 

「はい。では……どうぞ」

「おーし。じゃあ───おらよおぉお‼」

 

 

 

 

はぁ。いやしかし、本当に散々な目にあった。

諸々終わってから言われてしまった事だが、なんか散々ジースさんが煽り口調だったのは、まぁ薄々気が付いてはいたが、やはり僕の態度が良くなかったようだ。

そもそも当然の如く僕がジースさんに勝てないことはわかりきってはいるし、諦めてしまう気持ちもわかるがそれでも強敵に挑む心が大切らしい。いや熱血か。

 

それで僕のバリアーについてだが───これはまぁ、あれだ。黙秘権を行使する。

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