サイヤ人のエリート兵士 作:うさぎのにくきゅう
長かった訓練も漸く終わりを告げた。
ギニュー特戦隊の方々との訓練は本当に過酷を極めた。
再三言うが、僕達サイヤ人は戦闘民族だ。……戦闘民族故、回復力も他の種族を大きく上回るのだ。
キュイとの訓練で後半僕の実力がキュイを上回り、キュイが瀕死の重体にたった時、僕との訓練は当然ながら一時中断となってしまっていたのだ。本来、メディカルマシーンを使ったところで直ぐに戦えるレベルまで回復すると言う訳では無いのだから仕方が無い。
だが、回復力に優れた僕達サイヤ人はディカルマシーンを使えばその日には直ぐに動けるようになる。
なので、例え骨が折れようとも、死にかけようとも、それを理由に訓練を休むなんて事は叶わないのだ。
おのれ。自分がサイヤ人である事をこれ程憎んだことはない。確かにサイヤ人の戦闘力で無ければ今この場にこうして居るだけの戦闘力を僕は持っていなかったのかもしれないけど……けど、けどサイヤ人以外にも戦闘力の高い種族は居る。あぁ、でも大猿化とかの切り札があるのはやはりサイヤ人の特権だし、これまでサイヤ人だからこそ助かってきた点も確かにあるんだよなぁ。
地味に尻尾とかも便利だし。
うん。まぁ、そんな事を嘆いていても仕方がないか。ポジティブに生きなければ。
ま、まぁ若干脱線したが今は訓練に話をしよう。
毎日毎日嫌になる程のダメージを負いつつ訓練していた為、今回は流石に戦闘力の伸びが良い。というかこれで戦闘力が伸びが良くないのなら、それはそれでこの訓練を辞める口実になったかもしれないのだが。
……しかし、その上がった筈の戦闘力でも未だにギニュー特戦隊の方々の動きは殆ど見えない。
なのでキュイの時との訓練と内容は大して変わらないはずなのに今僕がやっている事と言えば相手が攻撃してくる場所を勘で当てて勘で振り攻撃を当てるか、またも相手が攻撃してくるタイミングを勘で当ててバリアーを張る。およそそれくらいだ。
彼ら少しくらい手加減できないのだろうか。
訓練相手が別のギニュー特戦隊の人間に変わり、例の緑色の気色悪い奴……その時聞いたが、グルドと言ったか。奴との訓練となった時は、今度はむしろそのグルドの奴の戦闘力が低すぎてマトモに相手にならなかった。
……正確には測ってはいないが、あいつの戦闘力ならキュイと訓練する以前での僕でも勝てたのではなかろうか。落差が激しい。
しかも、そのグルドという奴、超能力は生まれつき持っていた物なので教える事はできないだとか言ってくるし。あのグルドとかいう奴は一体何をしに来たと言うんだ。
しかも息臭いし。その癖隙あらばこんなに強い敵を倒しただの、惑星を数時間で侵略しただの、ギニュー特戦隊での活動の自慢話ばかりしてくるのだから、鬱陶しい事この上無い。
まぁ、グルドとの訓練時間は休憩時間と考えれば丁度良かったので別に構わないが。
間に挟んだグルドはとんだ拍子抜けであったが、他のギニュー特戦隊のメンバーはやはり相当に高い戦闘力を持つ方々ばかりだった。特にバータさんと言う人は噂には聞いていたが、訓練で戦闘力が相当に高まり、少しは特戦隊のメンバーとも戦えるようになっていたと言うのに、それでも殆ど見えないスピードを誇っていた。
くそう。結局最後までまるで勝てなかった。うん。とても残念だ。あーあ。悔しいなぁ。もっと訓練したかったなー。でもまぁ、ギニュー特戦隊の方々だって忙しいのだし仕方ないね‼
「ん?おいおい何言ってんだ?メンバー一周したんだから明日からはまたジースの番だぜ?」
……えっ
「あの。もしかしてギニュー特戦隊ってあんまり忙しくないんですか?」
「馬鹿言えっ!!忙しいに決まってるだろ!忙しいところ、わざわざお前の為に付き合ってやってんだよ!!」
うぐ。そう言われると困ってしまうが、もうそろそろ帰って頂いても構わないのだが。
はっきり言って僕はもう疲れた。
さっきは嘘を吐きました。ごめんなさい。本当はもう訓練したくないのです。
キュイとの訓練でさえ自分では相当に頑張ったつもりなのに、今回はキュイの訓練よりももっと辛い。
───と、そんな風に漏らしてしまいたかった。が、彼らギニュー特戦隊はめちゃくちゃ熱血集団なのでそんな弱音を吐いた日にはまた初日のジースさんの時のように散々に言われてしまう。
「え、ええと、ホントにまだ予定は大丈夫なんですか?お忙しいならそろそろ悪いというか……」
「ま、その辺は心配すんな。訓練期間中も訓練を担当してる奴以外は通常任務中だ。ファイティングポーズに支障が出るのは痛いが、この時の為にギニュー隊長が四人でできるファイティングポーズを考案してくれたからな」
なん…だと…なんて用意の良い。くそう。諦める他無いというのか。
もう痛いのは嫌だなぁ…
だが、そんな僕のそんな心配は憂鬱に終わった。
キュイとの訓練で、僕の成長速度は十分に理解したつもりになっていたが、どうやらサイヤ人の秘めたる力は僕の想像以上だったようだ。
戦えている。数カ月前、まるで手も足も出なかったジースさんと、僕はちゃんと戦えている。凄い。僕はこんなにも成長していたのか。
……だが、戦闘力だけならまだジースさんよりもそこそこは下だ。
この戦闘力でここまでの戦いができるようになったのは、単純に戦闘の勘というものを得たからなのだろう。
わかりやすく言えば、戦闘に慣れたのだ。
思えば僕は戦闘民族サイヤ人の癖してぎりぎりの戦いという物を殆どしない。
それは単純に僕の趣味嗜好が原因だろう。僕が好きなのは弱い者虐めだ。ベジータ君ら他のサイヤ人達のようにぎりぎりの戦闘を楽しみたいだとか、そんな考えを抱くようなマゾヒズムでは無い。もしも近しい戦闘力を持つ相手と戦う時は気が付かれない程度にバリアーを駆使して極力ダメージが無いような戦い方をする。
それ故に、今までいまいち戦闘の勘という物が身についてなかったのだろう。
だが、今の僕にはそれがある!今の僕ならばジースさんにも勝てるかもしれない!!
ホントに、今度こそはホントに訓練が終了した。というか、正確にはベジータ君が地球に辿り着いた為、訓練が中断となった。
それも、ベジータ君のスカウターの通信機能による情報によると、にわかには信じがたい話だが、地球にあるというどんな願いでも叶うという願い玉……ドラゴンボールは本物であるようなのだ。
どうやら、その地球にある願い玉を作ったのは、地球に住むナメック星人のようなのだ。
確かにナメック星人は不思議な力を持っていると聞いたことはあるが、まさかどんな願いでも叶う願い玉なんて物まで作ることができるとは。
どうも例のラディッツを道ずれにする形で死んだラディッツの弟のサイヤ人、カカロットが生きていたらしいので、ドラゴンボールとやらが本物である事は事実であるとわかったわけだ。実際にカカロットの戦闘力もスカウターが察知している。
……そのカカロットの戦闘力を察知したところで短気なベジータ君はスカウターを破壊してしまったらしく、そのせいで通信手段を失い、今現在どういった状況にあるのかは全く不明だが、最後に確認されたカカロットの戦闘力は8000を少し上回る程度だった。つまりベジータ君との戦闘力差は倍以上ある。まさかラディッツのように敗北することは無いだろう。
倍の戦闘力相手ではどうやっても勝てない。ギニュー特戦隊との訓練でよーく分かった事だ。
今頃はカカロットを始末してそのドラゴンボールとやらを探しているのか、もしくは、先にこちらに帰還しようとしているのか。
……いや、そのドラゴンボールとやらを作ったナメック星人をうっかり殺してしまったせいで、地球のドラゴンボールは機能していないのだったか。
まぁ、関係あるまい。どうせ僕らは地球には行かず、ナメック星人達の惑星ナメック星に行くのだから。
この情報を持ち帰り、フリーザ様にご報告した所、フリーザ様自らナメック星に向かい、ドラゴンボールとやらの捜索を始めるとの事だ。
探索範囲は丸々星一つ。なので、相当な量の兵士を引き連れていくようだ。
フリーザ様のお役に立つチャンスだ。これは僕も行かない訳にはいかないだろう。
と言う訳で、さようなら。地獄のような訓練の日々。
こんにちは。輝かしい僕の未来。
もう二度とこんなに辛い訓練はしません。