陽気な声とともに現れたのはフラワ・・・もといシエルである。
「お前・・・ホントにシエルなのか?」
「そーだよ!」
シエルは手をパンっとたたく。
その瞬間。シエルが真っ黒な靄に包まれた。
そして靄の中から
黒い
獣が
顔を出した。
(あれってたしか・・・)
その獣はシエルが持っていたあの三つの頭の兎である。
兎は荒々しい咆哮を発し、こちらへ向かってきた。
「早い・・・! とりあえず避けるぞ!」
アシュラの号令で俺たちは右にあった扉の向こうへと逃げることにした。
「とりあえず扉を閉めてと・・・」
ドンッ!
俺たちが扉を閉めた直後、扉になにかたたきつけられる音がした。
「とりあえず先に進もう。今さっきの奴がいつ扉を破ってくるかわからないからな」
「私も同意。光もいいよね?」
まだ扉の向こうから鈍い音が聞こえてくる。思考をめぐらせなくても獣が扉に突進している状況が目に浮かぶ。
見ると二人はもう奥に行ってしまっている。
「光。早くこいよ」
「わかったからちょっとは待ってくれよ・・・」
おそらく廊下だろう。
光源は壁に備え付けられた洋風なランプだけ。
とても暗い。
「ほんっと悪趣味・・・」
「・・・」
「気味悪いな・・・」
二人が震えているので手をパァンと叩いてみた
「「ひぎぁ!」」
「頼りないなぁ(爆笑)」
「うっせぇ!」
「今ので寿命半年ぐらい縮んだわ!」
全然縮んでないじゃん。
廊下の端っこにあった大きな扉を開く。
真ん中で回るのはおもちゃのメリーゴーランド。
音楽が聞こえるからおそらくオルゴールかなんかだろう。
「なんというか・・・まがまがしいな」
「同意」
「同意」
見た感じ子供部屋・・・ぽいが壁には斧や剣が飾られており、そこらかしこに首が取れた人形やボタンの目が取れたぬいぐるみなどが転がっている。
隅っこにはギロチンがあった。
「・・・このオルゴールの音はずれてない?」
「そうなのか?」
「わかるのか?」
「うん・・・これってメリーさんの羊でしょ? 私はピアノを習ってて絶対音感の特訓もしてたんだけど、なんか音がおかしいの」
「不気味だな」
「でもここからどうやって先に進むんだよ? 扉とか見当たらないけど」
「扉ってあれ?」
部屋の奥のほうに鎮座しているとても大きなフランス人形。その後ろに扉のようなものが見える・
「あの人形どうする?」
「アシュラ、燃やしたりとか出来ない?」
「出来ないわけではないが・・・危険だと思うぞ。周りの人形にも火が燃え移る可能性がある」
「じゃあ周りの人形に水をぶっかけるとか」
「そもそも火を出したり水を放ったりというのは結構疲れるものなんだ。俺だけじゃなくフラワもいればいいんだが・・・」
「「・・・」」
俺たちがそんな会話をしているとフランス人形がどんどん上へあがって行っている。
「・・・? まあいい。あれで行けるぞ!」
「じゃあ行こっか」
フランス人形が天井に引き上げられて扉を開けれるようになっている。
俺たちは走って扉の向こうに行った。
扉を閉めた途端後ろでドスンと音がした。
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