自由な整合騎士   作:粗茶Returnees

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 とりあえず導入部分だけです。更新ペースは超絶遅いです!年末辺りからペースは上げれる予定です。(他作品の進行具合による)

※原作を読まれてない方は、アニメがそれなりに進むまで読まないことをオススメします。ネタバレになるので!!


序章:限られた時間
0話


 最高司祭によって生まれる一騎当千の整合騎士。

 

 人界の人々を守るためにこの世に降臨した守護者。

 

 暗黒界から侵略して来るものを討ち、時には暗黒界に踏み込んで討伐する者。

 

 

「なんてことになってんだよなぁ〜」

(事実もあるが、嘘もある。為政者がよくやる手段だな)

 

「あん?なんの話だ」

 

「いや、こっちの話。それよりベルクーリ、暇だ。ヤろうぜ」

 

「ヤなこった。お前さん、本気で俺の首獲りに来やがるからなー」

 

「最強を討つってのは、燃えるだろ?男としてわかるだろ?」

 

「さぁな。なんせ最初から最強なことでな」

 

「じゃあやっぱヤりあおうぜ?最強の座から引きずりおろしてやるから」

 

「そん時にゃあ俺の首が胴と離れてそうだな」

 

 

 人界初の整合騎士にして団長でもあるベルクーリ・シンセシス・ワンは、最古参というだけでなく、実力もトップだ。団長である理由も最古参ということと、整合騎士最強の座についてあるからと言える。

 そんな男と暇だからという理由で闘おうとするのは、レオンハルト・シンセシス・スリー。ベルクーリと並び称される実力者であるが、気まぐれに行動するために公理教会の悩みの種となっている。気まぐれではあるが、与えられた仕事を放棄することもなく、最大限の成果を出すために黙認されるようになったのだ。

 

 この二人がいるのは、公理教会があるセントラルカセドラルの32階にあるレオンハルトの部屋である。部屋の中で寛ぎながら決闘を始めようとする異常さにベルクーリは呆れることもなく、いつものことだと流していた。レオンハルトがこの場でそういった発言をするとどうなるのか、そこまでの展開がいつも(・・・)のことなのだ。

 

 

「すぐそうやって決闘しようとすんのやめなさいよ。しかも、部屋の中で」

 

「フィア、暇なんだよ」

 

「はぁー。また街に出かけたらいいんじゃないかしら」

 

「フィア嬢、そうやってこいつを街中に出すのやめてくれねぇかなー。俺達はそういうの禁じられてんだからよぉ」

 

「あら、街中で何かをしでかすわけじゃないんだから、そんな決め事無くしちゃったらいいのよ。ベルクーリは団長なんだから、可能でしょ?」

 

「元老院が煩いからなぁ」

 

「あー、あの馬鹿な」

 

 

 レオンハルトが言っているのは、明らかにとある人物のことなのだが、馬鹿というわけではない。ただレオンハルトが嫌っているだけだ。そんなレオンハルトを宥めながら、フィアは新しい紅茶をカップに注ぎ二人に渡す。その際に焼きたてのクッキーも渡すのも忘れない。

 レオンハルトの部屋は一人で生活するような空間にはなっていなかった。元々は寝床だけがあるような殺風景な部屋だったのだが、フィアの手によって家具が増え、こうして客人を招けるようになったのだ。

 

 

「…あら?」

 

「どうした?」

 

「どうやら禁忌目録を破った子が現れたみたいよ。場所からして…デュソルバートが捕まえてきそうね」

 

「デュソルバートが?……北か、フィア」

 

「はいはい、仕方ないわね」

 

「かぁー、まぁた勝手なことしようとしてんなー。しかも俺の目の前で」

 

「決闘と見逃すのどっちがいい?」

 

「止めるって選択肢がそのまま決闘に繋がるからな。しゃーねぇ、行ってこい」

 

「くくっ、団長の承認もーらいっと」

 

 

 紅茶を飲みきったベルクーリは、ソファに身を投げて何も見てないと言わんばかりに昼寝を始めた。それに苦笑したフィアは毛布をベルクーリにかけてから、部屋の窓から飛び出したレオンハルトを追いかけるのだった。

 

 

☆☆☆

 

 

 整合騎士にはそれぞれパートナーである飛竜がいる。その発着場が30階にあり、レオンハルトの部屋の窓から飛び降りるとちょうどそこに辿り着けるのだ。無論レオンハルトはそれを狙って部屋の場所を決めている。

 

 

「それじゃあ天翔(てんか)今回もよろしく」

 

 

 自分の飛竜の背中に飛び乗り、発着場へと誘導する。レオンハルトと同じで気まぐれな飛竜である天翔だが、主人がイキイキしているのを見てやる気十分といったように高らかに吠えた。

 

 

「ふふっ、その子が吼えるのを久しぶりに聞いた気がするわ」

 

「最近は退屈してたからな」

 

「それじゃあしっかり飛んできなさい。今すぐにトばすわね?」

 

「頼む」

 

「わかったわ。"ユビテル"」

 

 

 フィアは神聖術のエキスパートであるとともに、異常者でもある。フィア以外、たとえ最高司祭であっても使えないような特別な神聖術を行使するのだ。そんなフィアが今使ったのは、一言でいえば転移術。範囲を決め、その範囲内にあるものをすべて瞬間移動させるのだ。ゴール地点を把握していなければ事故では済まないことになるが、今回は飛竜もいる。空に適当に放り出してもいいのだ。だからフィアも今回は適当にトバした。

 

 

「待つ側の気持ちを考えてほしいものね。…あなたがいないと退屈なのよ

 

 

☆☆☆

 

 

「トバし方に悪意を感じるな…」

 

「グルル」

 

「あー、怒ってやるな。フィアを置き去りにすることが多いから、それでフィアが怒ってんだろ。ほら、あいつ外出れねぇから」

 

「……」

 

「連れ出してやりたいんだがな。連れ出したとしても街中は行けないからさ」

 

「グウー」

 

 

 天翔は、人語を理解できるわけではない。ただし、レオンハルトとフィアが話してることのニュアンスならなんとなく把握できるのだ。だから、フィアの発言の裏に隠れてた気持ちをやっと察した天翔は、戻ったら背中に乗せようと決意するのだった。

 それを察したレオンハルトもフィアをまた連れ出すのを決意し、手綱を握り直した。天翔は飛竜の中で最速の飛竜だ。だから先に犯罪者を捕らえに向かってるデュソルバートに追いつくことができた。

 

 

「よ!デュソルバート!お、その子が罪人か?」

 

「…レオンハルト…、何故ここにいる」

 

「禁忌目録を破ったのがどんなのか気になってな。…まぁ、まさかこんな小さい子だとは思わなかったが…、ほんとか?」

 

「本当です。指先が暗黒界に入ってしまいました」

 

「やけに素直だな」

 

「おとなしく捕まります。だから、ユージオとキリトのことを許してください」

 

「んん?デュソルバート、話が見えんぞ」

 

 

 金髪の少女が目を向けた先にいる少年が二人。その子たちがユージオとキリトなのだろうと判断したレオンハルトだが、なぜその子たちも罪人となりかけているのかが分からないでいた。だからその二人に歩み寄りつつ、デュソルバートに質問を投げかけたのだ。

 

 

「抵抗をみせた」

 

「あーね。…非力な二人で整合騎士相手に、か」

 

「アンタも整合騎士なのか」

 

「ちょっ、キリト!」

 

「俺たちも連れて行け!村の掟を破った!俺たちも罪人だ!」

 

「ぷっ、ははははは!面白いな黒いの!」

 

「黒いの、じゃない!キリトだ!」

 

「キリト、ね。じゃあそっちがユージオか」

 

「は、はい」

 

「…覚えておけ、非力な奴らじゃ守りたいもんも守れねぇってことを。悔しかったら力をつけろ。無理な話だが、お前たちがこっち(・・・)に来るの楽しみしてるぞ」

 

「何を!がっ…!」

 

「キリト!」

 

「…レオンハルト」

 

 

 レオンハルトは、食い下がるキリトを軽く殴ることで黙らせた。軽くといってもレオンハルトは整合騎士で、キリトは少年だ。キリトにとっては重たい一撃で、その場に蹲ってしまう。それを咎めるデュソルバートだが、名前を呼ぶだけだ。それは、レオンハルトが言うことを聞かないと分かりきっているからだ。

 レオンハルトは、蹲るキリトの耳元に顔を近づけ、キリトにだけ聞こえるように囁いた。

 

 

()から来たんなら、またすぐにチャンスが来るさ。せいぜい忘れないようにすることだな」

(ま、記憶は消されるだろうが、何かしらは少し残るだろうしな)

 

「…お前は…いったい」

 

「レオンハルト・シンセシス・スリー。お前たちから大切なものを奪う者の名だ。じゃあな」

 

 

 罪人の少女を飛竜の脚に鎖で括り付けたデュソルバートは、自身の飛竜に飛び乗り、律儀にもレオンハルトを待っていた。レオンハルトも自分の飛竜に飛び乗り、空へと飛び立たせる。

 禁忌目録を破った少女に外からの来訪者であるキリト。面白い出会いがあったと、レオンハルトは大満足するのだった。

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