無免ヒーローの日常   作:新梁

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やあ (´・ω・`)
ようこそ、番外編へ。
この吸魂水はサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。

うん、「やっぱり」なんだ。済まない。
ソウルイーター二次創作だしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

でも、前話の発目ヒロイン回宣言を見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい
そう思って、この回を作ったんだ。

じゃあ、注文を聞こうか。

今回のあらすじ

アニメ版聖剣回は神がかってるって思ってるマジで。

あ、今日中に投票閉めます。

追記

思うところあって、エクスカリバーの歌のフォントを変えました。なんの意味がって?わかんないです。


第十二話。番外編。?月、私の伝説は。

 私の伝説は。十二世紀から始まった。

 

 

 

「やあ久しぶりだね。私だ。エクスカリバーだ。君は私の伝説をどれだけ知っているかね? まあ君が私の伝説を知っていようが知っていまいが事実は変わらないのだ。私の伝説は十二世紀の八月、いや七月だったか、そうあの日、やけに肌寒い四月の暖かな春の陽気の下、そこで私の伝説は始まったのだ。その時私は高校生だった。いやまだ中学生だったかもしれない。その時私は入学式に向かっていた。私は昔からどうにも集団行動というやつが苦手でね。いや、私はまるで集団行動が苦にならない性格なのだが、どうにもこの私の心根が発する輝きが周囲には眩しすぎるようでね。私は集団行動があまり好きではなかった。いや、集団行動が私を好きではなかったのかもしれない。私は昔から独特の空気感を纏った男と呼ばれていたよ。周囲にはそう『風』、『風』と私は周囲に呼ばれていた。私は『風』を決して名乗らなかった。むしろ嫌ってすらいた。しかし私の周囲は私に『風』という名を押し付けた。誰がという話ではない。私はその名が好きではなかった。いや多少悪くないとは思っていたが歓迎するには私の精神は幼かった。私は生まれた瞬間から他者とは隔絶した高度な精神を持っていたが、私は前に進む男だった。幼かったあの頃でも私の精神は完璧だったが今よりは、そう今よりは幼かった。幼かったがその精神が発する幼いからこその無邪気な輝きが周囲には眩しすぎた。私は今でも老人のような円熟した思想と少年のような澄んだ無邪気さを持ち合わせる奇跡のような精神をしていると方々から言われるが、あの頃は無邪気さが勝っていた。決して思慮が浅い事は無かった。無かったが、あの頃はそれを越えるほどに無邪気だった。よく言われたよ。どう生きてきたらそれほどまでに無垢な思想を保てるんだい? とね。今も言われている。今も言われているが昔はもっと言われていた。それは私の中の少年のごとき心が減った訳では無い。むしろその心はあの頃よりも輝きを増している。そう、周りの人間がその輝きを眩しがるほどに。昔も眩しがられていた。だが今はもっと眩しがられている。だから私は集団行動が好きではないんだ。しかし私の側にはいつも集団があった。集団行動は苦手だが私が歩けば集団ができた。私はそれを嫌った。私は周囲に『孤狼』と呼ばれていてね。ひたすらに独りを愛したものだ。私は孤独を愛した。しかし周囲は私に孤独を許さなかった。何かあれば、皆私のそばに集まってきてね。気付けば集団の中心に存在しているのが私だった。蛾のようだと思うだろう? わたしもそう思う。私に群がる連中に言ってやったことだってあった。君達はまるで誘蛾灯に群れる羽虫のようだ、とね。しかし彼らは私から離れはしなかった。離れたかったのかもしれない。例えそれが誰であろうともこの私に嫌われることは避けたかっただろうからね。しかし離れられなかった。私の放つ光に魅了されていたのさ、皆ね」

「…………なるほど。じゃあ聞いて良いかな? 君は何故ここに居る?」

「ヴァカメ! 私にアポを取ったのは他でもない貴様だろうに。このヴァカメ! ヴァ、ヴァ、ヴァヴァカメヴァヴァヴァカメ! 貴様の頭は鳥以下ヴァカメ!」

 

 目の前にいる開幕『12』00文字ピッタリの何一つ確かな情報が得られない、全くの無駄でしかない文章をノーブレスで捲し立てた奇妙な生物を見下ろしながらオール・フォー・ワンは彼らしくない疲れたため息と共に言葉を発する。

 

「……僕が君にアポを取ったのは十二年前だよ。君に連絡を入れてから今までいったい何をしていたんだい」

「そう! 私の伝説は十二世紀から始まった! あの頃は私も尖っていたよ。社名は明かせないがとある大企業に勤めていてね。いや勤めていなかった。私は社長だった。社員は皆私を好いていたよ。会社の廊下を通ると誰もが私に頭を下げた。私の役職にではなく、この私自身にね。私は皆に愛される社長だった。皆私の下で働きたいがためにその会社へと入ってきていた。皆有能でね。私ほどではないが。私と比べれば足元にも及びはしないが皆有能だった。私ほどではないが。そして皆私を愛していた。私は皆を先導し大きな一つの夢へと進んでいた。あの頃は充実していたよ。今もしているがね。今の方が充実している。だがあの頃は自分になら何だってできると思っていた。事実何だってできるのだがね」

「……つまりは別の用事があったと」

「ふん、馬鹿いやヴァカなりに相変わらず頭は賢しく回るようだな。私に比べればヴァカいやヴゥァアッッックアァだが」

 

 革張りの椅子に座ったAFOの右脛を持ったステッキでガスガス殴りながらそんな事をほざく「ほざくとは何事だ。私の発言は全てにおいて天上からの至言と捉えるのがマトモな感性だぞ。君のために言うが今のうちにそのチンケな感性を正しておきたまえよ。君のために言うがね」……仰るエクスカリバー(様を付けたまえよ様を)……様。それを非常に鬱陶しげな雰囲気で放っているAFOであるが、気を取り直したようにエクスカリバー様へと声をかけた。

 

「エクスカリバー」

エクス[規約により削除]~♪ エクス[規約により削除]バ~♪ フロムユナ[規約により削除]グ♪ アイムル[規約により削除]ム♪ アイム[規約により削除]フォルニァァ~♪ エク[規約により削除]ァ~♪ 

 

 エクスカリバーはその場でくるくると躍りながら無駄に良い声でハーメルンの規約上歌詞掲載規制される歌を歌いまくっていた。気になる人は『エクスカリバーの歌』で調べてみようね。けど頭から離れなくなっても知らんぞ。そしてそれをぶった切るようにAFOは言い放つ。

 

「フランケン・シュタインに『死神体術(異能殺し)』を教授したのは君だね?」

 

 ピタリ。

 

 エクスカリバーはその時ここに来て初めて体の動きを止めた。

 

「……そうだが?」

「困るんだよ。あの技術一つを潰すために僕がどれ程の苦労をしたか、実際に見ていた君なら分かるだろうに」

「知らん。興味も無い」

「君のその気まぐれのせいで僕の計画は大幅な回り道をしたよ。全く、なぜ他の誰でもなくあの『鬼人』を選ぶのか。お陰で彼は不完全で実用性が無く何より『無個性にしか扱えない』死神(ししん)体術を訓練さえすれば『誰にでも扱える』魂威戦闘術へ昇華させてしまった。分かるだろう? 『強力な個性にはより強力な個性しか対応できない』。この常識が消える。個性の持つ戦力的価値が薄れてしまうんだ。そして今彼の下にはよりにもよって──」

「今私は」

 

 エクスカリバーがガツ、と床に杖を突いて、ぐい、と帽子を目深に引き下ろす。

 

「興味もない、と言った」

 

 その動作だけでAFOはつらつらと並べていた文句の全てを飲み込んだ。飲み込まざるを得なかった。それほどまでに『かつて裏社会を支配した巨悪(オール・フォー・ワン)』と『遥か十二世紀より生きる伝説(エクスカリバー)』の間には圧倒的すぎる力の差があった。

 

「……悪かったよ。熱くなりすぎた」

「……私の伝説は十二世紀から始まった」

 

 だが、とエクスカリバーは帽子で目を隠したまま続ける。

 

「私と同時期に伝説を作った者も数多く居た。私は彼らと切磋琢磨し……勿論私は圧倒的差を付け続けたが……互いを磨いていた……私は当時から磨くまでもなく光り輝いていたがね。しかし蓋を開ければ今現在まで人々の記憶に残っているのは私含め幾人かだけ」

 

 そこでエクスカリバーはクソ長いシルクハットを頭から下ろし、縁をトントンと杖で叩く。すると中から鳩が出てきた。一羽、二羽、三羽。

 

 鳩がバサバサと飛んで微動だにしないAFOの頭と両肩に着地した。

 

「……私の素晴らしい手品を見たのだ。拍手をしたまえ。礼儀のなっていない小僧め」

「要件は以上だ。帰ってくれないかな」

 

 エクスカリバーの言うとおりにパチパチと手を叩きながらAFOはそう言う。その眼前にシルクハットが突き出される。

 

「……何かな?」

「出張代金、あと手品の観覧代金もだ」

 

 ……AFOは黙って傍らのキャビネットから万札を一枚取り出してその中に入れた。

 

「フン、今の素晴らしいショーを見て尚この値段しか出せんとは、貴様の底が知れるな……VKM(ヴァカメ)!」

「帰れ」

 

 言われずとも、と鳩を回収せずにその部屋を出るエクスカリバー。廊下に出て、扉を閉める前に彼は一度この部屋の主のいる方を向き、一言言った。

 

「最後に、私の善意から二つ良い事を教えてやろう。私の善意からな。分かるか? 私の善意だ」

「……それはどうもありがとう。何だい?」

 

 その部屋の出入り口のドアノブをカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ回しながらエクスカリバーはAFOの顔に杖を向ける。

 

「一つ。貴様は『そう』だから未だ只人でしかないのだ。貴様が今の自分を変えぬ限り『伝説』には及ばん。一生な」

「……もう一つは?」

 

 エクスカリバーはドアノブを回した状態から手を離して元に戻すアレでガッチャンガッチャンガッチャンガッチャンガッチャンガッチャンガッチャンガッチャンガッチャンガッチャンガッチャンガッチャンガッチャンガッチャンガッチャンガッチャンガッチャンガッチャンガッチャンガッチャン言わせながら、

 

「二つ。貴様のオールフォーワンという名前、頭文字を取るとアホ(AFO)だぞ。正確に言えばアフォ(AFO)だが。君のセンスが私より下なのは知っていたが、これほど酷いとは思っていなかった。改名した方が良い。私が考えてやろうか?」

「帰れ」

 

 一応言うならばアフ……オール・フォー・ワンは元々個性の名前でありなおかつそういう有名な言い回しでもあり、そもそも勝手に略して勝手にダサいだのと評価するエクスカリバーがどう考えても横暴なのだが……おかしいのがどちらであろうとも腹が立つことには変わり無い。エクスカリバーが高らかにエクスカリバーの歌を歌いながら出ていった(半開きの)扉を見つめ、深く、深く深く。それはもう深ぁーく溜め息を吐いた。

 

「……帰ったよ、ドクター」

「……やれやれ、とんでもない奴だった……なァ、一体奴はどういう……」

「ボンソワ!」

 

 再びドアからやって来たエクスカリバー。ドクターと呼ばれた老人はドヒャア、と椅子に付けられたブースターを使ってまで風を巻き起こしながら凄まじい勢いで暗闇に消えていった。

 

「いやいや全く、私の伝説は十二世紀から始まった! アレはそう肌も凍るような冬のある日だった。冬にしてはその日はやけに暖かくてね。ニュースでは異常気象だなんだと騒がれていた。私は天気予報を見ないタチでね。その後の星座占いコーナーを楽しみにしていたんだ。私は十月生まれの牡羊座でね。勿論その日は一位だった。十二位じゃないのかって? VKM(ヴァカメ)! 一位ではない順位に意味など無いのだよ! これだから凡人は! これだから凡人は!! これだから凡人は!!! これだから! 凡! 人! は!!! ヴァッカメ! 私の話を遮るな! 私の言葉一つには金塊以上の価値があるのだ! やれやれ……さてどこまで話したか。そうだ。趣味の話だ。私には趣味が多かった。毎日の星座占いは楽しみにしていたが趣味ではなかった。趣味ではない日常を趣味のごとく楽しめるのもまた私の素晴らしいところではあるが、星座占いは趣味ではなかった。いや趣味だったかもしれない。私が趣味だと思っていないだけで実際には趣味なのかもしれない。現に今朝も私の星座である乙女座が一位だったし昨日だって私の星座である天秤座が一位だった。うむ趣味だな。星座占いも含め私には趣味が多かった。人生を楽しむには趣味が必要だよ。分かるかいアフォ。まあ私に比べれば君の持つ趣味などたかが知れているに決まっているが、それでも趣味は大切なのだよ。私はこの間趣味の散歩をしていてね。ああ私は散歩が趣味でね。普段から様々な場所を歩くのだよ。そうすると普段できない発見をすることも多イッキシッ! エクシッ! ニックシ! ブェクシ! イキシッ! ンイッキシッ! ただのくしゃみだ。気にすッキシ! イーッキシ! ックシ! ブェクシ! その時にッキシ! ただのくしゃみだ。気にすッキシ!」

「帰れ。帰って暖かくして寝るんだ」

 

 エクスカリバーはくしゃみを連発しながら帰っていった。

 

「……帰ったよ、ドクター」

「……やれやれ、とんでもない奴だった……なァ、一体奴は」

「グッドイブニング!」

 

 再再度扉を蹴り開けてやって来たエクスカリバー。ドクターと呼ばれた老人は再び椅子から炎を吹き上げ二段QBで暗がりへブッ飛んでいった。

 

「いや何ックシ! 私は期待に応えるッキシ! 男だ。だからッキシ! 君のックシ! 期待に応ックシ! え今より私エクッキシ! スカリバーッキシ! による五ックシ! 時間の朗ブェクシ! 読ヘクシッ! 会をックシ! 始めヘクシッ! ようブェクシ! と思ってッキシ! ね。あックシ! あお代は結ックシ! 構だヘクシッ! よ。無明ッキシ! なックシ! るッキシ! 下々ブェクシ! に叡知ックシ! を授ブェクシ! けックシ! るのもッキシ! また私ヘクシッ! の役ッキシ! 目さッキシ!」

「圧倒的な煩さだ。驚嘆に値する」

 

 その後も何だかんだと帰ったりまたやって来たりして丸々五時間をエクスカリバーに費やしたAFOであった。悪の魔王はどうにもエクスカリバーに付き合える程度には気が長いらしい。

 

 

 

 次の場面切り替えは普通だと思ったか。今回は全て私エクスカリバーだ、ありがたく思え。

 

 

 

「やあ。皆の人気者エクスカリバーだ」

 

 ごめん、もう一回1200文字は勘弁してください。なのでエクスカリバーが話している間この空間についての描写をしますね。

 

 そこはまさに独房であった。

 

 防音防刃、衝撃吸収に特化したクッションの張られた壁、床、天上は白のLEDが全面に張られているが今は『夜』の時間であるためその明かりは付いていない。

 

 何よりその場所を独房足らしめているのは中心にある『物』である。

 

 そこには重厚な金属作りの椅子があり、そこには一人の体格からして男であろう人間が黒い布で縛り付けられている。その全身至るところにはミシン針のようなものが突き立っており、その足元は水槽に並々注がれた水に浸かっていた。勿論その足にも針が痛々しく突き刺さっている。

 

「──という訳だ。久しぶりだなジャスティン・ロウ。私の教授した技を随分と役立てているようだ」

「……エ……クス……カリ、バー」

「私の名はしっかり発音しろ」

 

 エクスカリバーは持っていた杖で拘束された男の頭部を殴った。

 

「何故……ここにいるんです。私は今睡眠中だったのですが」

「起きろ。お前の睡眠など私の用事に比べればどうという事も無い取るに足らん事だ。そして私の名をしっかり発音しろ。様を付けてな」

「……エクスカリバー…………様」

 

 エクスカリバーはもう一度男を殴った。

 

「様を付けるのが遅い。もう一度だ」

 

 杖の先端で拘束された男の顔をコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ叩きながらエクスカリバーは再び自分の名を呼ばせる。

 

「エクスカふぁふぁーふぁわ」

「おっと失礼口に当たった。ほらもう一度」

「……エクスカリバー様」

「よろしい」

 

 やっと満足したらしいエクスカリバーはその杖で男の肩をガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツ殴りながらその身なりを観察する。

 

「……やれやれ、とんでもない拘束だな。手枷足枷、鉄布の上から宝田財閥の『個性ジャミング弾』、足元には『吸魂水』、よくもまあお前一人のためにここまでするものだ……にしても、処刑人を名乗ったお前が今や首をハねられる側とはな。同情するよ……プッ」

「一体貴方(伝説)がこんな所に何をしに来たんです?」

 

 男……ジャスティンがそう訪ねると、エクスカリバーは「別に」と答える。そして杖の上に乗りウザいほど激しく動いてバランスを取りながら、「ただの世間話だよ」と言った。

 

「世間話。生憎私はこの狭い独房以外に世間を知らない身ですよ。貴方との会話に足るだけの話題は無い」

「それは私が決める事だ。それに、寛大なる私は君の知りたい情報まで持ってきてやったぞ。泣いて喜ぶんだな」

 

 エクスカリバーにしては、前置きも引き延ばしも無く発されたその言葉。それを聞いたジャスティンは黒い布の下で柔らかく笑った。

 

「『君の後継』は凡人なりに上手くやっている。凡人なりに、だがね」

「!! ……フフ……そうですか。『彼女』は上手くやっていますか」

 

 身動きの取れないジャスティンがそれでも笑う。その笑いでフルフルと椅子が揺れた。エクスカリバーはその椅子の上に登ってやたらウザイポーズをキメながら眼下のジャスティンに「しかし意外ではあったな……私の想像の内ではあるが」と言った。

 

「意外ですか? 私がここで大人しくしている事が? それとも『発狂』を他者に教えた事が?」

「お前が後継者に自分の思想を刷り込まなかった事がだVKM(ヴァカメ)。どういう心境だVKM(ヴァカメ)

 

 異能を使い悪事を為す悪逆の徒に鉄槌を下す……今は無き死神(ししん)教の実働部隊(EAT)であったお前が。

 

 エクスカリバーにそう言われたジャスティンは黙って首を振った。

 

「……別に深い意味はありませんよ。というよりも、彼女には私が死神教の教団員であるということについては情報として教えてあります」

「まあお前が何を考えようと私にとってはどうでも良いがな」

「なんで聞いた」

「お前に教えると思うか」

「私は教えたじゃないですか」

「フン、お前と私が対等の立場にあると思うのか。おめでたい奴いやおめでたいヴァカだなそんな訳が無かろうがヴァカメ!」

 

 そう言ってジャスティンの頭部から降りたエクスカリバーはどこからともなく椅子と机とティーセットを取り出し高級スコーンを傍らに一人きりの茶会を始めた。椅子に縛られたジャスティンを置いて。一人で。

 

「……寂しいやつ」

「17まで友達一人居なかった人間に言われたくはない。あのテスカ・トリポカが骨を折らなければ今頃お前はヴィランになっていただろうな。私には分かる」

「……くっ」

 

 苦し紛れの悪口が数倍に、しかも忘れたい過去のジャスティンを思い出させる発言で帰ってくる。何せ相手は十二世紀より生きる伝説。そして幼少のジャスティンに戦い方を教えた人間? だ。勝てるわけがなかった。人は誰しも自分の過去に勝てない。

 

「言いたい事はそれだけかね? なら私も言わせてもらうが。貴様は毎日まともに運動しているか? 運動不足は健康の敵だぞ。ちなみに私は毎日のラジオ体操と四十分のウォーキングを日課としている。日々の移り変わりを肌で感じられるからな。トレーニングジムに行くのも悪くないぞ。アレはアレで良いものだ。それに食事はキチンと取っているか? 三食しっかりバランス良く食べるのだ。だが時には食べたいものを食べる事も重要だぞ。食は楽しみなのだからな。ちなみに私は毎食生まれの地であるイギリスの土地で育てられた野菜と同じ土地で育てられたパンを食べるようにしている。やはり水が合っているのだろう。英国以外の物はあまり口に合わなくてね。そして服装もだ。貴様ちゃんと着替えているか? さっき貴様に登ったときに思ったが、臭うぞ。ちなみに私の衣装は少なくとも一日二回、多い日には五回交換する。ちなみにこれは英国の有名ブランド特注品だ。グランクチュリエールも私が指定していてね。だが最近のおすすめは日本のREVOCS(リボックス)社製品だ。あそこのグランクチュリエールは性格こそ狂っているが腕は確かなのでな」

「今言った全部まともにこなせないの分かって言ってるでしょう貴方……!」

 

 エクスカリバーは(なんとも珍しい事に)えらくまともに説教をかましているように見えるが、実際には囚われの身であるジャスティンにはやろうと思っても出来ないことをさも親切げな顔であげつらっているだけである。目の前で大量のスコーンを紅茶で胃に流し込みながら。処刑人もキレるまさに悪魔の所業と言えるだろう。

 

「まあ、貴様としては本望であろう? 国家犯罪の汚名を着せられ、こうして人間以下の扱いをされていようともそれによって死神の息子(デス・ザ・キッド)を護りきり、さらには弟子はスケバンとしてシャバで活躍しているのだからな」

「ええ、まあ……うん? スケバン?」

 

 エクスカリバーはジャスティンの頬にスコーンをグリグリ押し付けながら(勿論食べさせはしない)なんだ知らなかったのか情弱ヴァカメ! と言う。牢獄の中に居るので知らないのが当然なのだが。

 

「……一体何があったんです?」

「知らん。知ろうと思えば知れるがそんな気も起きん。ただあの女がそうなるのは頷ける……何せ、一般学生よりも不良学生の方が多いと言われるあの石矢魔市に住んでいるのだからな」

 

 

 

 不良……か。あの頃の私は尖っていたよ。カミソリのような男と言われていた。あの頃私はワルかった。ワルかったがそこらの凡人のするようなワルさではなかった。私は日本刀のようだと言われたよ。私の周りにはいつも涼しい風が吹いているようだと言われていた。薄く鋭く、しかしその存在感は他の追随を許さず、そして妖しい魅力もある、そんな男だとね。

 

 

 

 街の隅にひっそりとある廃ビル、そこには数人のいかにも不良といった姿をした私服の男子高校生が6人と、身を寄せ合って小さく震えるこれまた数人の女子中学生が居た。

 

 隅に寄ってカタカタ震える、ウサギを連想させる少女達を少々困惑したように見ているのは石矢魔で近づく者は居ないとされる凶悪五人組、M(マジで)(空気読めない)(五人組)のリーダー、何となくダサいピアスの碇である。

 

「……ショージキな? こういう手は好きじゃねえんだよ。な? 分かるだろキモ川」

「まあ、同感♪ けどこれしかないでしょ。それと下川! グッドナイト下川! グッナイ!」

 

 そしてその声に答えるのはストライプのシャツを若干ダサく着こなす男、石矢魔で近づく者は居ないとされる凶悪五人組、M(マジで)(空気読めない)(五人組)のメンバーではないが仲の良い下川、通称『グッドナイト下川』である。

 

「そうだぞリーダー、アイツはこうでもしなきゃ勝てないぞ?」

「いやこれ勝ったって言えるか?」

 

 碇を嗜めるのは石矢魔で近づく者は居ないとされる凶悪五人組、M(マジで)(空気読めない)(五人組)の絶妙にダサいハートマークのペイントが特徴、嶋村。それに反論したのは石矢魔で近づく者は居ないとされる凶悪五人組、M(マジで)(空気読めない)(五人組)のもさもさ長髪にダッサいサングラス、武宇。

 

「確かに中学生の女の子相手に中学生の女の子人質に取ってってのはなー」

 

 石矢魔で近づく者は居ないとされる凶悪五人組、M(マジで)(空気読めない)(五人組)のベレー帽が最高にダサい中田にも反論に合い、下川が焦り気味に多数決を取る。

 

「え、うそ……じゃ、じゃー今回の作戦これ駄目だろ? って人は? この下川に清きグッナイを!」

 

「はい」

「はい」

「はい」

「はい」

「はい」

 

 下川のその問いに碇、武宇、中田、意見を発していなかった茶藤、そして塩崎が手を挙げた。それを見て下川が演技臭さを消し普通に『……マジ?』と言う。

 

「マジマジ」

「高校三年生が中学一年生相手に人質とかなー」

「つーか俺ら二浪してるから五歳差だぜ?」

「全くです。余りお天道様に恥を晒すのはお止めなさい」

「うーん、そっかあ……やっぱり茨ちゃんの言うとおり止めといた方が良かったのかなあ……うん? 茨ちゃん?」

 

 下川はもう一度反対派の面子を眺める。

 

 碇、武宇、中田、茶藤、塩崎……塩崎茨。

 

「……うん?」

 

 下川はもう一度反対派の面子を眺める。

 

 碇、武宇、中田、茶藤、塩崎。

 

 碇、武宇、中田、茶藤、塩崎。

 

 碇、武宇、中田、茶藤、塩崎。

 

「えっちょっとやっぱ見間違いかも」

「何度やるのですかッ!!」

「グッナイッッ!!!!」

「キモ川アアアアアッッ!!!!」

 

 手に太い鎖を巻いた塩崎に顔面おもくそぶん殴られたキモ川が宙を舞い廃ビルの窓をぶち破り外に落ちる。ちなみに四階である。

 

 そこまでして始めて石矢魔で近づく者は居ないとされる凶悪五人組、M(マジで)(空気読めない)(五人組)はその場に女子中学生が一人増えている事に気がついた。

 

「お、お前は! 

 

 一年前に聖石矢魔学園付属中学校に入学したその日に学内で燻っていた老若男女玉石混淆の不良を一掃し校内での女番長(スケバン)としての地位に悠々と座り続け一度も地位を脅かされること無く一年! 

 

 その間校内校外に関わらず喧嘩を売った不良はもれなく再起不能にさせられるという『不良潰し』の伝説を持つセーラー服の鎖使い! 

 

 一般生徒にとってはその柔らかな物腰も相まって年上年下に関わらず絶大な人気を誇りファンクラブにはなんと中学在校生の三倍近い人間が加入しているという史上最強の女子中学生! そして今回俺達MK5feat.下川が人質という卑怯な手を使ってまで潰そうとしたまさにその人! 

 

『銀鎖の塩崎』じゃねえかッ!!!」

「解説どうもありがとうございますッ!」

「グワアアアアアッ!!!!」

「リーダーァァァァ!!!!」

 

 解説役をしっかり果たしてから雑に殴り飛ばされた碇。キモ川の隣の窓ガラスをぶち破って放り出された彼の安否を確認しようとした他の四人にジャラリと鎖が巻き付き、身動きが取れなくなる。

 

 そしてその四人の前に立った塩崎はその目の前で胸に十字を切り、鎖を巻いた手を組んで祈り始める。なお四人は縛られたままである。

 

「神よ、我が信ずる法と規律の神よ、世の法から外れしこの者共を赦したまえ」

「あ、あの茨ちゃん?」

「世の道から外れしこの四人の哀れなる迷い子達に救いの手を伸ばしたまえ」

「あのー、茨ちゃん? その祈り何? 怖いんだけど」

「私は平和の使い、正義の柱、法の剣」

「……ヤバイヤバイヤバイ! 抜け出せ抜け出せ! 鎖外れねぇ!?」

「法と規律、生と死の御名によって」

 

 ズン、とビル全体が揺れ、残っていた四人がビルの床に上半身をめり込ませ犬神家状態で脱力した。

 

「……さあ、帰りましょう」

 

 そしてそれを確認した塩崎が鎖を武器にしている関係上常日頃から携帯している特大サイズのチェーンニッパー(近接戦闘もこれ一本で可能な便利アイテム。こんな女子中学生嫌だ)を足で踏み抜いて人質のチェーンを切る。それを人質は呆気に取られてボケッと見ていた。

 

「……凄い、あのMK5が瞬殺なんて……」

「三分かかって無いわよ……」

「これが……これが塩崎茨……!」

 

 ジャスティンは彼女に思想を刷り込む事はしなかった。そういう思想もあると教えるに留めていた。

 

「……あぁ、神よ……」

 

 しかし塩崎は自分で数少ない資料を漁り、その教義に触れ、自分で信仰を深めていた。

 

「……神の身許に旅立った六人の魂に祝福を……」

 

 ちなみにこんな事ほざいているが誰一人殺していない。四階から落としてたろって? 不良は頑丈だから問題ない。祈りを終えた塩崎は救助対象も居なくなりがらんとした廃墟の窓から沈み行く夕日を一瞬眺め、その後その光景を振り払うように長いセーラー服のスカートを翻し階段へ向かった。ポケットから中心に髑髏をあしらわれた十字を取り出し、力強く握る。

 

「……我が師よ、私を導いて下さい」

 

 ジャスティンは死神教については塩崎に何も託していないし教えていない。だが死神教について彼女は勝手に調べ教義を読み解き挙げ句死神教タイプの十字架をシルバーで自作している。

 

 ここまで読んでいただいた賢明な読者の方にはもうお分かりであろう。

 

 塩崎茨、十三歳。

 

 ……彼女は、中学二年生で罹るあの病をバッチリ患っていた!




全国一千万の塩崎ファンの皆様につきましてはマジごめん。

あと発目ヒロイン回を期待した皆様につきましてはまあうん……ね。

違うんです。本当はね?最初はね?後半のジャスティンパートを発目パートにしようと思ってたのよ!それで何となく『最初ビックリさせたけどヒロインパート勿論やるよ!』って流れにしよっかなって思ったのよ!そりゃ最初の最初はエクスカリバーに一万二千文字喋らせようと思ったけど。そんなん無理だったし。三千文字で力尽きたし。

ただね?発目パート書いてて思ったのよ。『これで良いのか』って。『エクスカリバー出しといて、ソウルイーター二次創作でこんな半端やって良いのか』って。良いわけねえだろッッ!て思うよね。

まああれだよ。

ごめん。
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