そんな事、あるよね!
そんなあなたにおすすめなのはこの商品、『ワケアリ無免ヒーロー』!
これは無免ヒーローの日常を作る際に出てしまう、話に入りきらなかったはしっこの部分を詰め合わせた商品なんだ!形や大きさは不揃いだけど味には問題ないハズさ!
ごめんね!次の話は半分くらい出来てるからしばらくこれ食べて待ってて!
★マークは純粋に展開が上手くいかなかったりめんどくさくなったりして話に入れなかった分、☆マークはもう一つの展開とどっちにしようか迷った際に切り捨てた分です!
四月分~八月分。
★小悪魔発目
「出久さん出久さん! 今日はエイプリルフールなんですって!」
「そーだよ? 明ちゃん良く覚えてたねえ」
日曜早朝、修行の合間に普段面倒を見てくれる母にゆっくりテレビを見させて朝食を作っていた緑谷。
そんな彼の発目をよく知るが故の失礼発言を完璧に無視して発目は「なので!」と叫んだ。
「出久さん! 大好きです!」
「グボハァッ!?」
緑谷は死んだ。しかし膝から崩れ落ちてもフライパンは手放さなかった。
「フフフフフ、今日は嘘をつく日なんですって!」
「……明ちゃん、僕何かした……っ?」
台所に崩れ落ちたままそう質問した緑谷の顔を覗き込んで、発目はにっこり笑って一言。
「でも嘘をつかなくてもいい日なんですよ?」
「どこで覚えてきたのそんなやり方ァァァァァ!!!!! 僕も大好きです!!!!!!!」
一部始終を見ていた引子は発目のあまりのあざとさに「うっわあ」というコメントを残している。
★下級生から見たピンク。
入学初日。
「……え、ちょ待って。めっちゃ可愛い女の子居る!」
「え、あ、マジだ! リボン的に二年か!」
「やべえ、テンション上がってきた!」
五月、ないし六月。
「……発目先輩、マジヤバい……危険……」
「いやでもあの可愛さだぜ? ちょっと危険でもさ、遠くから見る分には……」
「……だな。俺達は遠くから眺めて癒されよう」
夏休み直前。
「発目だああああ!!!!」
「逃げろおおおおお!!!! 死ぬぞおおおおおおお!!!!」
「こっち見たああああァァァァァ!!!!! 嫌あああああ!!!!! 死にたくないいいいいいい!!!!!」
★下級生から見たグリーン。
入学初日。
「……で、あの女の子の近くに居る地味なの誰」
「知らね。取り巻きじゃん?」
「召し使い的な奴!? ウケる!」
五月、ないし六月。
「っしゃぁ! 見ろこれ! 誰の携帯番号だと思う!?」
「は? ……みどりや……!? マジ!? 緑谷先輩の直通!? ちょぉ、寄越せ!」
「お前は下らねー用事で緑谷先輩呼ぶからアウト。あの人は発目先輩押さえるのに忙しいんだよ。いやー、これで発目先輩被害の保険ができたぜ!」
「待てって! ズリーって!」
夏休み直前。
「発目だああああ!!!!」
「緑谷先輩呼べえええええ!!! 誰でもいいからあああああ!!!!! 皆ケー番知ってるだろうがああああ!!!!!」
「助けてえええええ!!! 緑谷センパ──イ!!!!」
★下級生から見たレッド。
入学から夏休み直前まで
『二年にヤバい人居るんだけど』
★世界が変わったくらいじゃ変わらないものもある
心操は緑谷の部屋をノックする。「開いてるよ!」と緑谷から返事があったのでドアを開けると、床一面にカラフルなポスターやら何やらが置かれていた。
普段私物らしい私物を目に見える場所に置いていない緑谷の部屋にあるまじきカラフルさに心操が目を見張る。
「出久、ちょっとこれ見て……うわ、何これ……ヒーローグッズ?」
「あ、人使君。ちょっと待ってて! そっち行くから!」
緑谷は部屋中に置かれたグッズを掻き分けるようにして心操の元に辿り付き心操の持ったノートを受け取った。そこには心操が独自に考案したトレーニングメニューが書いてある。
「……うん、うん、うん、良いんじゃない? ただこの場所……人使君どうかした?」
「ん? ああ、いや……出久ってこんなにヒーローグッズ持ってたんだなって。何で普段飾ってないんだ?」
「そりゃ……普段から飾ってたら明ちゃんの実験に巻き込まれて消し飛ぶし……」
「あー……」
★廃スペックの暴力
爆豪は玄関で恐ろしい顔になっていた。
「かーつきさん」
「帰れ」
「あーそびーましょ」
「死ね」
えー、と珍しく一人で珍しく爆豪の家に来て珍しく遊ぼうなどとほざいた発目は「出久さん遊んでくれないですもん」と拗ねたように呟いた。
「そりゃテスト期間だからな。帰れ」
「ええ? 出久さんもそんな事言ってましたけどテストなんて一回教科書読めば一年安泰でしょう? もしかして勝己さんは教科書読めないんですか? どの字が分からないんです?」
爆豪は黙ってドアを閉めた。鍵をかける音が辺りに響く。
発目は閉まりきったドアを見て少し首をかしげてから、「……やっぱり出久さんの背中に引っ付いてるのが一番楽しいですかね」と呟いて緑谷の家に戻った。
★激甘クソッタレバカップル
「いーずくさん」
「……んー?」
「んーん」
「呼んだだけ?」
「んー……」
勉強机に向かっていた緑谷を掴んで椅子から引きずり下ろし、強制的に座卓に座る位置を変えさせた発目はその背中にしがみつきへその辺りに手を回し、ゴシゴシとその固い背中に自分の匂いを擦り付ける作業に没頭していた。
「んー、んふふフフフ」
「……っふふ、どうしたの? 明ちゃん。今日は随分甘えたさんだね?」
「甘えたさんじゃないですよォ…………はあ、いずくさんのにおいします……」
「僕の身体だからね……て、そこ、はくすぐったいからッ!」
「んっフフフフフ、出久さん昔からココはダメですねえ」
「わ、ちょぉ!? あははははは!!! 止めて! やめてって! あははははは!!!」
その後背中からでは無限にちょっかいをかけられると悟った緑谷は発目を腕の中に招き入れ、その身体を抱えた状態でのテスト勉強を敢行した。発目はその内に緑谷の肩に顎を乗せてくぅくぅと可愛らしい寝息をたて始めた。緑谷はその発目の背中を片手間にポン、ポン、と叩きながらテスト勉強を進める。
「……出久さん」
「ん、何?」
唐突に意識を覚醒させたもののほぼ半分眠りかけの発目は普段とは違う緩慢な動きで顔を起こし、緑谷の頬に唇を触れさせた。
「………………っっっっ」
「……ンフフ」
「……っ明ちゃん…………ちょっと寝てて……」
「はぁい……出久さん、いーずくさん。いーずーくーさん。くふ、フフフフフ……」
「っあぁ、参ったな……」
★見てました。
緑谷達より一足早くテスト期間を終わらせた心操と、遠方のヒーローの事務所まで出向いてサポートアイテムの調整をした帰りに義娘の面倒を見てもらっていた緑谷宅に寄ったシュタインは土産の饅頭を食べながらその光景を何とも言えない表情で見ていた。そこに引子がマグを二つ置く。
「………………」
「………………」
「はい人使君、シュタイン先生。コーヒーで良いわよね?」
「……あ、ども……」
「ありがとうございます……しっかしまあ、吐き気がするほど甘ったるい光景ですね」
「先生もですか」
座卓はリビングにしか無かった。
★依存度
ある日、泊まりでの訓練をする時、人が住むことを考えられていない研究所の『スペースが余ったので作っときました!』とでも言わんばかりの恐ろしく狭い風呂から上がった心操は爆豪と緑谷に風呂が空いたことを伝えた。
「勝己、出久、風呂」
「かっちゃん先どーぞ。僕長くなるし」
「ん」
爆豪は着替えを取りに食堂から自分の部屋に戻る。心操はそれを見送って、何となく気になった事を緑谷に聞いた。
「なあ出久、出久って長風呂なのか?」
「ん? ああ、僕は普通だよ。けどほら、明ちゃんの髪を洗ってあげなきゃだからさ」
「ああ、なるほどね」
納得した心操は鼻唄を歌いながら新たなレシピを考案している緑谷の後ろを通って奥にある食堂の冷蔵庫を開け、冷やしてある緑茶を取
「出久今なんて言った!?」
★流石にさぁ
「違うんだ、人使君。聞いて欲しい。
まず前提として明ちゃんが目を閉じている所を見たことがある? 無いよね?
人は皆まばたきをする。まばたきしない人ってのはあまり居ない。眼球には常に水分を保持させてないといけないからね。
けど明ちゃんの個性は『ズーム』。これは物凄く目が良い個性。けどそれだけじゃ無いんだ。明ちゃんの個性は名前こそ最初に付けられた『ズーム』のままなんだけど、その実態は超遠距離の物も超近距離の物も過不足無く見ることができ、更には動体視力はトンボの羽の動きを観察できるほど。多少の暗闇なんて物ともしない夜目を持ち、色彩感覚も抜群なんだ。そしてずっと近距離ばかりを見たり液晶に触れているにも関わらず視力が落ちない。そして今回の本題なんだけど、明ちゃんはまばたきを必要としないんだよ。どういう原理かは分からないけどさ、そうなってるんだよね。
だから明ちゃんにはまばたきという習慣が存在していない。明ちゃんは意識的に目を閉じるってことをこれまでほとんどしてこなかった。慣れてないんだよ。
だから明ちゃんは上手く髪が洗えない。目を閉じることに集中しちゃって髪を洗う方にまで意識を割けないんだ。人より優れた視覚を持っているからこそそれを閉ざすことに本能的な恐怖があるんだと思う」
「言いたいことは分かった。慣れさせた方が良い。髪が一人で洗えないのはダメだろ流石に」
「ですよねー」
★てな訳で。
「嫌です!」
「そこを何とか! これから先明ちゃんが一人で髪洗う機会が無いとも限らないし、一人でやれた方が良いんだ! だから、お願い! 練習しよう!」
(さっきの理屈は合ってるにしてもよく考えれば高スペックが服着て歩いてるような女が高々ちょっとした習慣程度で動けなくなる訳無いな。つまりただ出久に甘えてるだけか。なんか一気にどうでもよくなった)「出久、俺先に寝るわ」
「おやすみなさーい」
「あ、お休み! ね、明ちゃん! 今からさ!」
「やです!」
結局緑谷が折れたと心操は次の日に聞く。
☆あの時あの場所に居たのが心操だったら
「出久ー、おばさんが呼んでるぞー。つーかあっちから何回も呼んでるんだから返事くらい……」
心操がドアを開けると、ベッドの上で下着以外全てを脱ぎ去った発目と、その発目に跨がられたこちらはシャツのはだけた緑谷が居た。緑谷は手を縛られておりまな板の鯉といった様相である。
「わああああああ!!!!!? ちょ、明ちゃ、待って! ちょっと待って人使君! 明ちゃん手止めてっ!?」
「人使さん、何か用ですか? 見ての通り取り込み中ですんで、用があるならお早めに!」
それを見た心操は、
「……いらく事返らかだんるでん呼も回何らかちっあかーつ。ーぞるでん呼がんさばお、ー久出」
全てを巻き戻し扉を閉めて緑谷の叫びを聞かないフリして居間に戻った。
「人使君、出久何してた?」
「明に襲われてました。夏祭りの事は俺から話しときますよ」
「あらそう? じゃあお願いねー」
遠くから出久の断末魔が聞こえ、心操は心の中で合掌した。
「安らかに眠れ、出久」
☆エクスカリバーバージョンⅡ
「私は本当はあの有名な『エクスカリバーの歌』を歌いたいのだが、色々と規約がどうとかで難しいようだ」
「……そうかい。ではそろそろ私の」
「そこで! とても気の効く私は急遽別の曲を用意してきたよ。感謝したまえ」
「気持ちは受け取ろう。だが私の話」
「では一曲。『フィガロの結婚:序章(エクスカリバー鼻唄version)! 』」
「……流石はエクスカリバー。絶望的に鬱陶しい選曲だ」
「フーンフフ、フーンフフ、フ──ーンフーフフフフフフフフフフン! フン! フン! フン! フンッ!!! 」
「用事はもう良いから帰ってくれ」
★あ……あのMK5が描写すらされないうちに瞬殺だと!?
夏祭り会場に人影が五つ。
「いやー、今年も祭りだな!」
「射的!」
「金魚すくい!」
「型抜き!」
「ヨーヨー釣り!」
いつもとまるで変わらない不良丸出しの格好で歩くMK5リーダー碇の頭が張り飛ばされた。
「げっふううううう!?」
「「「「リーダー!!!」」」」
そこに居たのは折寺のヒーローデステゴロ。彼は呆れた表情で首をパキパキと鳴らして言った。
「お前らさぁ……懲りねえよなあホントに」
「なっ、何だよ! 俺達まだ今日は何もしてねえだろ!」
茶藤のその言葉にデステゴロは呆れた表情のままMK5の腰を指差す。正確に言えば腰に付けた様々な凶器を。
「改造エアガン、ナイフ、鎖、メリケンサック、スタンガン」
「あっ」
「……言い訳は?」
MK5はその場で観衆の目も構わず全力で土下座した。
「今ココで武装解除するから! 祭り楽しませてくれ! 頼むよデステゴロ!」
「……はぁ……とっとと外せ」
慈悲深きデステゴロがそう言った瞬間、跳ね起きた碇が改造エアガンを腰から抜き放つ。
「なぁんてなあああ!!! 不良信じる馬鹿が! 死に腐れえええああああぎゃあああああああ!!!!!!!」
銃を撃つより早くデステゴロに殴り飛ばされた碇。そして碇に呼応して武器を振りかぶっていた残りの四人にデステゴロが目を向ける。
「……っはぁ、信じてねえよ馬鹿共」
「……へ、へっ、デステゴロぉ……一人不意打ちで潰そうとまだ四対一だぜ。お前に勝てるかな?」
「いや不意撃ちしてきたのお前らだろ」
MK5は二分で伸された。
★疑問に思った人居ると思う。
祭りからの帰り道、手を繋いだ緑谷と発目は他愛もない話をしていた。そこで緑谷がふと気になった事を発目に尋ねる。
「明ちゃん」
「何です?」
「自分の居る世界を僕に知って欲しかったのは分かるけどさ、他の三人は何で巻き込んだの?」
「何となくです」
「……来年は三人もあの場所に連れてってあげようね……」
力の抜けた緑谷の言葉に、発目は分かっていないながらも「分かりました!」と元気よく返事をした。
か、勘違いしないでよね!別にこのままじゃまた投稿ペースが一月ごとになっちゃうよって思って大慌てで没ネタかき集めた訳じゃないんだからね!
別名怠慢と妥協の残りカス。一章の分は五千文字しかありませんでした。
二章は秋冬編!前半は食欲の秋、スポーツの秋を全面に押し出していきます。無免達には旨いもの食いまくってもらいついでに吐くほど運動してもらいます。冬には年越しもやります。学年末テストでヒイヒイ言ってるところも書きます。それが終わった次の春編はついに原作突入だ!(予定を言って自分を追い詰めるスタイル)