金田一少年とテレパシー少女   作:詩夜さん

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幼馴染達の修学旅行

「蘭?」

「え?なんかあたし、変?」

留衣は蘭の頬に手を伸ばして、そっと彼女の頬に触れてから額に触れて、軽く首を傾げる。

「具合悪くなったら、すぐ言って」

「全然平気だよ?寧ろ漲ってる感じがする」

「そう?……パワースポットだからかな。なんかあったら、すぐ言って」

 

うん、と蘭は留衣に頷いてみせた。

不意に大きな人影が見えた。思わず見上げると茶髪の美男子。副担任の豊原雄也先生だった。

彼は自分たちと同じ三年前に蔦野第三中学に大原桃子が去ったあの事件の後に代わりにやってきた。

優しくてかっこいい、京都弁が魅力的、と女子生徒の中でも赴任当時から人気が高い上に、元野球部のために野球部の副顧問で男子とも仲が良く、男女ともに好かれている先生だ。

もともと小学校の先生志望だった名残なのか、子供っぽい生徒には少し目をかけてしまうらしくその対象に蘭は入っていた。そのためなのか児童誘拐などのニュースがあった時に警戒して帰るように、と留衣の美術部が帰った後に蘭と同じ陸上部の男子生徒たちと蘭を帰らせたことがある。

 

 

 

生徒の男女交際も認めているし、女子生徒の噂話に巻き込まれているらしいが、何故か幼馴染の恋愛の話になると嫌悪感を示すのだ。蘭と留衣の二人もその例に漏れず目をかけているというか目を光らせているように思えた。

 

「はーいそこの仲良しさん。心配なのは分かるけど神社でいちゃついとったらあかんよ。お参りしたら次に行くで。体調悪なったら幼馴染くんだけやのうて先生にも相談してな?」

「はーい、大丈夫です!ちょっとテンション上がって疲れちゃったちみたいで」

「ほんならいいんよ、でも無理なら言うてな!」

 

 

ぽん、と頭を軽く撫でてから担任の雄也は手帳にいそざき体調不安?とメモを取る。三年目とはいえ新任の先生故に色々と慌てているらしい。

 

雄也がその場を離れてから外面を投げ捨てたように翠がニコニコした表情から普段の表情になる。

美人がにこにこしているのは綺麗だが、蘭は普通の表情の翠の方が何倍も好ましい。

グタッと表情が崩れる。

 

「何先生が生徒の頭撫でてん。関西系の方言もうちとかぶっとるちゅうに」

「まあまあ、心配してくれてるんだからいいじゃん。翠は豊原先生に対抗心でもあるわけ?」

「そりゃそうに決まっとるやん。方言キャラはうち一人で十分。それにイケメンやなかったら頭ぽんなんて許されへんで!」

「はいはい、でもさ先生っていうよりもお兄さんって感じだよね。若いから子供の気持ちもわかってくれそうじゃん」

 

「あの……二人とも…」

「彼女に気安く触れるセンセなんてあんたも嫌やろ、留衣くん」

「それは……そうだけど……あの…」

「ホラァ!留衣くん年々蘭に対して思い強なってるんやからな。なあ!」

「うん…あの……それで蘭も名波さんも」

「何や、留衣くん。言いたいことでもあるんか」

「僕たち、置いていかれてるんだけど……」

 

アッ、と気づけばクラスメイト達はかなり先を歩いている。純平が少し立ち止まって待っているが、他のクラスメイトは遠くに見えた。

 

 

 

その時、蘭のスマホがカバンから落ちた。三人は慌ててバスの方へ向かってしまった。ただカバーがしてあるため割れる事は無い。

蔦野第三中学は修学旅行先が関西という見知らぬ土地というのもあり、地図機能などのためにもスマホの所持を許可していた。

 

 

 

三人がその場から遠ざかっていくのと同時に、別の制服の子供達がその場にやってくる。先ほどのとまた別の白いセーラーとYシャツの子達だ。

 

 

「美雪、スマホの落し物あったんだけどさあどうしたらいいと思う?」

「踏まれちゃうから拾った方がいいんじゃない?」

肩程度に伸びた黒髪の少女に言われ、髪を後ろに一つ結んだ少年がそのスマホを拾った。

「はじめちゃん、バス遅れないでよ?」

「わーってるって!」

その二人もその先のバスの駐車場に駆けて言った。

 

 

 

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