涼風紅葉 作:唯我独尊
「ん? 誰だこれ?」
とあるオフィスの一角で金髪の女性がそう声を漏らす。
女性は新人社員のデスクに置かれた携帯の待ち受け画面に映っている人物を見て疑問に思った。待ち受け画面に映っているのは二人。一人はこの携帯の持ち主である新人社員、そしてもう一人が赤髪の青年。仲良さげに体を密着させてのツーショットである。
この写真を観た金髪の女性はとある可能性にたどり着いた。
「まさか――青葉の彼氏?」
いや、でも、歓迎会の時いないって言ってたよなー、などと呟きながら待ち受けを見ていたら隣で仕事をしている女性から声をかけられた。
「なにさっきからブツブツ言うてはるんですか? それと、勝手に人の携帯みるんはどないかと思いますよ八神さん」
「ちょっとユンこれ見てよ! どう思う?」
「いや、だから勝手に人の携帯見るんは……」
と言いつつも、さっきから八神がなぜ新人社員の携帯を直視していたのか気にもなっていたので、駄目よ駄目よと言いつつ携帯をみるユン。
そして待ち受けを見た瞬間に驚愕の目で八神の方を視てしまっていた。
「――八神さん。これって……」
「だよな! やっぱり青葉の彼――」
「――二人ともさっきから何見てるんですか?」
突然背後からヒョコっと顔を出して声をかけらたことにビクッと驚く二人だったが、その人物を見るや否やホッと一安心する。
「なんだ。はじめか」
「びっくりしたー。ほんと驚かさんといて」
「? ところで一体何を見ているんですか?」
「実は――」
と続けながらはじめと呼ばれた少女に待ち受けを見せながら、青葉に彼氏がいるかもしれない、と八神は説明する。
。
「――青葉ちゃんに彼氏!?」
「ちょ、はじめ声がでかい! 今青葉ちゃんが戻ってきたらどうするん!」
「ごめんごめん。……でも八神さん、それって本当に青葉ちゃんの彼氏なんですか?」
「う~ん。そうなんだよな。歓迎会の時は彼氏いないって言ってたし、そこが今一引っかかるんだよなー」
「そんなのあの後彼氏が出来たに決まってはりますよ! だ、だって、こない密着してツーショットですよ!」
二人の意見に少々頬を赤らめながら反論するユン。
そんなユンの反論に賛否両論の反応を二人は見せる。
「ひふみ先輩はどない思います!?」
三人で騒いでいるにもかかわらず、その話に加わることなく淡々と仕事をこなしていた女性ーー滝本ひふみ。
「えっ……? ……えっと……なにが?」
「これです! これってやっぱり青葉ちゃんの彼氏だと思いません!?」
ユンから待ち受け画面を見せられたひふみは青葉と一緒に写っている赤髪の青年を見て眼を見開く。
そして口をパクパクさせながら"彼氏"と小さく呟いた。
「ですよね。やっぱりひふみ先輩もそう思いはりますよね!」
「でもさ~。これって結局青葉に聞かなきゃ本当のところ分かんないよね」
「じゃあ、八神さんが青葉ちゃんに聞いてくださいよ。上司なんだし」
「わ、私!? い、いや、これ上司とか関係ないし。ユンが聞いてよ。隣の席なんだし」
「私ですか!? それだったらはじめの方がそれとなく聞けるんとちゃう?」
「――皆さんこんなところで何やってらっしゃるんですか?」
トイレから自分のブースに戻って来た青葉が声をかけると、三者一同一斉にビクッと肩を震わせた。
(ほら八神さん! 聞くチャンスですよ!)
(えぇ~! 結局私が聞くの!?)
(頑張って下さい八神さん!)
なんで私が……、と思いながらも部下の押しに根負けして、八神は聞くことにした。
「ねえ青葉……」
「なんですか?」
青葉は不思議そうな顔でコテンっと首をかしげる。
「――こ、ここのキャラなんだけどさ、こんな風にやった方が良いよ」
「おおー! なるほど、勉強になります」
青葉はそう言い真剣にメモを取り始める。
(ちょっ! 八神さん!)
(やっぱ無理! あ、明日! 明日それとなく聞くからもういいだろ!)
―――
私の名前は涼風青葉。
今年からイーグルジャンプで働くことになった新社会人です。
そんな私には今日会社でとても気になった事がありました。それはお手洗いから戻った後のことです。キャラ班の皆さんが私の机の前で何か話し合ってたので何をしているのか聞いたところ、何故か三人でこそこそと話し合っていたのです。
一体何だったのでしょうか?
そんなことを考えていたら家の前に着いていました。
「ただいまー!」
私は玄関の扉を開きそう言うとリビングへと足を運んだ。
リビングではお母さんがキッチンで夕食の準備をしており、お兄ちゃんがソファーでぐったりと寝そべっている。
「青葉じゃん。お帰りー、今日は帰ってくるの早かったな」
「うん。今日は定時までに仕事終わらせたから残業無かったんだー」
「ふーん、良かったじゃん。まあ漸く、お前も仕事に慣れてきたっつーことなんじゃねえの」
「ふふーん、まあね~。このまま一気にキャラデザ任されちゃったりして……!」
「キャラデザに任命された涼風青葉! 八神コウは既に射程圏内、てか?」
それはまだ無理かな~、と言い私はお兄ちゃんのお腹の上にまたがる。
「それよりお兄ちゃん。仕事から帰って来た妹にソファーを明け渡すのだー! さもないと~」
「――こうだ!」
手をわきわきさせお兄ちゃんの脇をくすぐり出す。
最初は我慢していたお兄ちゃんもすぐに耐えきれなくなり降伏宣言をする。
「ちょっ、お前、やめろって。そ、それは、ズルい、ズルいぞ! わかった、わかったから! ソファーの半分をお前にやろう。これでどうだ?」
「よろしい」
私は笑顔でそう答えた。
そしてお兄ちゃんを起き上がらせるため、一旦お腹の上からどき、カーペットに立ち上がる。
お兄ちゃんは起き上がりソファーに座ると"そうだ!"と言い私に話し掛けてきた。
「妹よ。お前仕事で疲れてるだろ。お兄ちゃんがマッサージしてやるから、そこに寝転がってうつ伏せになれ」
「本当! 流石お兄ちゃん! 妹思いな兄を持てて私は嬉しいよ」
私はお兄ちゃんに言われた通りソファーに寝転がると、速くして欲しい余りかついつい急かしてしまう。
お兄ちゃんは急かす私をなだめつつ、ゆっくりと腰の辺りにまたがってくる。
「なあ青葉、知ってるか……?」
「? なにが?」
腰を揉みながらそう聞いてくるお兄ちゃんだか、何のことかさっぱりである
「俺さ、やられたら倍がえしでやり返したくなっちゃうんだ」
その一言で気持ちよくマッサージされていた体は硬直し、筋肉が堅くなっていくような感覚を覚える。
「ま、まさか、無抵抗な妹にやり返したりなんてしないよね……?」
私がそう聞くとお兄ちゃんは満面の笑みで、勢いよく私の腋をくすぐって来た。
「そのまさかだ! 今後兄にあんな事が出来ないように、兄妹のヒエラルキーをその体に刻み込んでやる」
「ご、ごめんなさい! だ、だから、やめ、やめて! こ、このままだと、私笑い死んじゃうよ。ウヒャ、アハハハ!」
「まだだな。お前はこれぐらいの事じゃ懲りずに、すぐ報復行為をしてくるからな」
「し、しないから。や、やり返さないから。きょ、きょうは、これでーー」
――プルルルル
"降参"と言おうとしたらその前にテーブルの上に置いてある携帯が鳴り出した。
お兄ちゃんの携帯である。
お兄ちゃんは私の腰に乗ったまま携帯を取り、そのまま電話に出た。
「もしも。どったの? え? 別にいいけど……。なんかあった? うん、わかった。じゃあ今からそっち行くね。オッケー。んじゃ、また」
プープープ。
電話が切れる。恐らく電話相手は彼女さんなのだろう。
今の彼女さんと付き合って数年経ってるらしいけど、私は彼女さんに一度も会ったことがない。
家族内で唯一、お母さんだけが彼女さんを見たことがあるらしい。たまたまバッタリとデート中に遭遇してしまったらしい。
お母さんが言うには大人しそうで可愛らしい娘だったそうだ。
一体どんな人なのだろうか? 一度で良いから会ってみたい。
「よっこいしょっと。悪いな青葉。お兄ちゃんちょっと此れから彼女に会ってくるから。いや~、今日は会う予定なかったのに、急に"会いたい"って言ってくるんだもん。彼女からの愛が強すぎて困っちゃうな~」
やれやれ、みたいなポーズを取りつつもお兄ちゃんは嬉しそうな顔で表情は満面の笑みである。
そんな顔を見ていたらちょっと悪戯したくなってきた。
「でもー、急に会いたいってことは、急用ってことだよね? 案外別れ話だったりして。今すぐ別れて欲しいとか?」
「いやいや、あり得ないあり得ない。俺ら別れる原因なんて何処にもないし。……多分」
「多分!? えっ、何か思い当たることがあるの?」
自分から話を振っといて何なのだが、本当に思い当たる節があるとは……。
「いや、でもあれは別にただの数会わせだし。そのまますぐ帰ったし」
お兄ちゃんが何かを確認するようにぶつぶつ独り言を発している。
「よし! 何も無い! 大丈夫だ。それじゃあ行ってきますー!」
一人で何かに納得したようで、お兄ちゃんは元気よくリビングを飛び出していった。
new gameは一応全巻持ってて、キャラの口調とかは分かってるつもりですけど、ここが可笑しいとかのご指摘があれば是非教えて下さい。
あと文を書くのが下手で青葉の心情がうまく描けずに申し訳無いです。
もうちょっと青葉が兄をどう思っているのかをうまく書けたら良いのですが、今の自分には中々難しいです。
小説書くのって難しいですね……。
ストックとか無いんですけど次の投稿は一週間以内にはしたいと思っています。