涼風紅葉 作:唯我独尊
学校とバイトで書く時間が中々取れ無くて、遅くなってしまいました。
ごめんねー(>_<)
「あっ、ひふみ先輩。おはようごさいます!」
「あ、青葉ちゃん。……おはよう」
先日の電話で自分の彼氏と職場の後輩が兄妹だと知ったひふみと、自分の兄と職場の先輩が恋人同士だということを知った青葉の二人。
いざ、対面すると今まで只の先輩後輩の関係がちょっと違うものにみえてくる。
「それにても驚きましたよ~。まさかお兄ちゃんの彼女さんがひふみ先輩だったなんて」
「わ、私も……青葉ちゃんが……くれは君の妹だったなんて……驚いた」
「世の中って以外と狭いですよね~。ところでひふみ先輩とお兄ちゃんはどこで知り合ったんですか?」
青葉の質問にひふみは少々考えるような素振りを見せた後にこう答えた。
「……駅……かな?」
「えき……?」
「うん ……道に迷ってるとき……助けてくれた」
「あぁー! 駅ですね! 電車の駅ですね!」
「うん そうだけど……?」
何のことか分かって無かった青葉が合点がいったように何度も連呼するが、ひふみからしたら何故そこまで確認してくるのか不思議だ。
「な、なるほど。――それで、どっちから告白したんですか?」
ニヤリと口の端を歪めてからかう様に笑い、青葉はひふみに問いただす。
ひふみはそんな彼女の表情を見て、ゴクリと息を呑む。やはりくれは君の妹だ、と……。
「――二人とも何の話してるの?」
そんな二人の元に突然現れ、声をかけてきたのが八神コウである。
「あ、八神さん。おはようございます! 聞いてくださいよ! 実はひ――」
"ふみ先輩が"と続けようとした青葉はシー! シー!と必死にジェスチャーしているひふみが目に入り、苦笑いをしながら口を止めた。
「ひ……?」
途中で口を止めた青葉の様子を見て、八神は不思議そうに首をかしげる。そんな彼女の様子を見て慌てたように別の言葉を続ける。
「ひ、一人二役の練習を二人でやってたんですよ! ねっ、ひふみ先輩!」
「えっ!? ……う、うん」
「いや、訳がわからん。二人いるんだし一人一役でいいだろ……」
呆れたような顔でしばらくの間二人を見ていた八神だが、何かを思い出したかのように再び口を開き始める。
「そういえばさ~。最近私の携帯なんか重いんだよね。結構前のやつだし、もうそろそろ買え時かな~って思ってるんだけど、二人はどんなの使ってるの?」
「わ、私は……これ」
そう言ってひふみが出したのは国内大手メーカーのスマートフォンだ。
八神はひふみに触って良いか許可を取り、承諾を得て触り始めた。
「おぉー! 手に馴染んで操作しやすそうだね。青葉はなに使ってるの?」
「私はこれです! 好きに触ってもらって大丈夫ですよ」
そう言った青葉から携帯を渡された八神。
表面上はただ携帯の触り心地を確認しているだけの様に見える彼女だか、実は内心非常にドキドキしていた。
その理由は昨日の夕方、定時過ぎに"八神""はじめ""ゆん"の三人で考えた作戦を成功させるためである。
『――いいですか、八神さん? まず八神さんが"携帯変えようかと思ってるんだよね~"的なことを言って青葉ちゃんの携帯を触らせてもらうんです』
『で、それから待ち受け画面にして、あの男の人が彼氏かどうか聞くんでしょ。もう分かったってば』
『八神さん! 自然体ですよ! 不自然に聞いたらあきませんよ!』
『もうっ! 分かってるってば!』
昨日半ばやけくそ気味にああは言ったものの、いざそれを目の前にすると緊張と不安が入り混じった感情で中々口を開けずにおり、携帯を手の中でクルクルと回して感触を確かめるふりをしているのだ。
しかし青葉はそんな事はつゆ知らず、ひふみの時と違いうんともすんとも言ってくれない八神に少々不安を感じてしまう。
「わ、私の携帯って何処かおかしいですか?」
「えっ、いや、何処もおかしくないよ! い、いやー、手触りが良さ過ぎてつい夢中になっちゃったかなー!」
アハハハと誤魔化すように笑うと、青葉もホッとしたような顔になり"よかった"と呟くと。
「じゃあ、そろそろ返してもらって良いですか?」
「え……」
「え……?」
暫しの沈黙が二人の間に流れる。
「あっ、携帯ね! オッケー! オッケー!」
それ以外に何があるんだろう? と疑問に思いながら青葉は携帯を受け取ろうとする。
(あー、もうっ! あの時パーを出しとけばこんなことせずにすんだのに!)
内心で"くっそー!"と叫んでいる八神はとうとう覚悟を決めたようで、意を決して青葉へと疑問を問いかける。
「あっ、あっれー、待ち受けに青葉と誰か男の人が写ってるぞー」
八神がそう発した後、"下手か!"と言う二人の突っ込みがブース外から聞こえてくる。
その数秒後に、如何にも今出社しましたよと言わんばかりの表情でブース内に顔を出す二人の姿があった。はじめとゆんだ。
二人は"おはようごさいます"と挨拶をし、皆がそれぞれ挨拶を返す。
「ゆんさん、はじめさん、おはようございます!」
「……おはよう」
「二人ともおはよう――」
「――あっ、二人とも聞いてよ! 青葉に男が要るかもしれないんだ!」
「えっ! ほんまなん!? 青葉ちゃん!?」
ゆんが青葉に迫り興奮気味に聞く。
因みにここまでの流れはすべて三人の計画どりの流れだ。
しかしそのような事を知らない青葉は”男?”と首をかしげ、何の事だと思い自分の携帯の待ち受けを覗き見る。
「あー、これの事ですか? これはですね――お兄ちゃんと撮った写真ですね」
「え、えぇー!? お兄ちゃん!? これほんまに青葉ちゃんのお兄さんなん!? 恋人とかじゃなくて!?」
「はい、だだの兄ですよ」
ゆんの驚きっぷりとは裏腹に青葉は冷静にそう返答する。
「で、でも、普通こない密着してツーショットなんて兄妹で撮る?」
「え、撮りません? うちではよく、乗っかりあったりとかもしてますよ」
"乗っかりあったり……"とその場にいた全員がそう呟き、その光景を思い浮かべる。
「あ、青葉ちゃん家って兄妹仲良いんやね」
年の離れた妹と弟がいるゆんにはその光景が鮮明に想像でき、あははと苦笑いする。
「まあ、要するにこの人は青葉ちゃんの兄妹なんでしょ?」
はじめの質問に青葉は"はい"と答える。
その答えを聞き終えた彼女は勝ち誇ったような顔をして、ゆんへと喋り出す。
「ほら、やっぱりね。だから青葉ちゃんに聞いてみるまで分からないって言ったじゃ~ん。それなのにゆんときたら"絶対恋人や……!"の一点張りなんだもん。本当困っちゃうよね」
「う、うっさいわはじめ!」
「冗談だよ、冗談。ところで青葉ちゃんのお兄さんって大学生なの?」
「はい、美大に通ってる大学生3年生です!」
「へー、じゃあ青葉が絵を描きはじめたのは兄の影響もあったりするの?」
「そうですね……。絵を描きたいと思ったのは兄の描いた絵を見た後からですね。……で、でもキャラクターデザイナーになりたいと思ったのは八神さんに憧れてですよ!」
「お、おう。嬉しいこと言ってくれるじゃん」
青葉の一言に八神は頬を赤くさせてしまう。
「何顔を赤くさせてるんですか八神さん?」
すかさずはじめがニヤニヤした顔でそう聞く。
「う、うっさいはじめ!」
「でも、大学3年生ってことは21歳とちゃう? それだったら、うちとはじめと同い年やん。なんかこう、親近感わくな~」
「へぇ、はじめ良かったじゃん。同い年だし、かっこいいし、青葉に紹介してもらいなよ。上手く行けば彼氏が出来るかもよ」
先程のお返しと言わんばかりにニヤニヤとした顔で八神ははじめをからかう。
「な、何言ってるんですか八神さん! そんな事青葉ちゃんに頼めるわけ無いじゃないですか! ねえ、青葉ちゃん!?」
「あ、あははー。そ、そうですね、それはちょっとー……」
と言いながら青葉は内心ビクビクしていた。
周りの誰もが気付いてないのだか、八神が紅葉の話題を出した辺りから、ひふみの機嫌がどんどんと悪くなっていることに気づいているからだ。
なんとなくその心の内を察し、青葉は何とかしようと頑張るのだった。
「そ、そもそも兄には彼女さんがいますし! 家でも何時も彼女さんの話ばかりしてるんで……ごめんなさいはじめさん!」
「残念やったね、はじめ」
「ドンマイはじめ」
「ちょっ、何で私がフラれたみたいになってるんだよー!」
―――
――くしゅん
「おいおい、どうした風邪でもひいたのか? 夏風邪にはまだはやい季節だぞ」
「いや、誰かが俺の噂をしてるような気がする。」
まだムズムズする鼻を擦りながらながら俺は話し掛けてきた人物にそう答える。
「はーん! リア充ライフ満喫中のクレハくんは自意識過剰のようで大変そうだね!」
「いや、意味がわからん。何でそうなる?」
俺にさっきから話し掛けてくるこいつの名前はヒデタケ。何でも先祖代々、竹産業を営んでいるらしく名前には絶対竹が入るとか入らないとか。
「お前な、こっちはこの間大変だったんだぞ! お前が直ぐ帰っちゃうから、女の子達も"あの子いないなら帰るね"って言って帰っちゃうし……。お前に分かるか? 取り残された俺達の気持ちが……!」
「いや、知らんがな。ん……? じゃあお前らあの後男三人で飲んでたってこと?」
「ああ、三人で仲良く傷の舐め合いをしてたんだよ」
こいつら合コン行っといて男三人で傷の舐め合いとは笑えてくるな。やばい、表情に出てしまいそう。
「ど、どんまい! あの女の人達の見る目が無かったんだよ。次頑張れよ!」
「何がどんまいだ! テメエ顔がニヤついてて、なに考えてるのかバレバレなんだよ!」
その一言で今までバレまいと我慢していた枷が解き放たれ、腹を抱えて盛大に笑ってしまう。
「い、いや、だってあり得ないだろ。し、知ってるヒデタケ君? 合コンって言うのは男女で飲む場であって、男だけで飲むって、それもはやただの飲み会じゃん!」
「う、うるせぇ! そんなの俺達が一番分かってるんだよ! お前に、お前にオレたちの気持ちが分かるか? 彼女と過ごす幸せな大学生活を思い描いてここの大学に入学し、はや三年。一人の彼女も出来ずに、もう折り返しの年。彼女持ちのお前に、オレたちの気持ちが分かるか!?」
ヒデタケは俺にそう熱弁してくると、とうとう片腕で目元を押さえて泣き出してしまった。
この状況にはさすがにちょっぴりと罪悪感が沸いてくる。
「おい、ごめんってヒデタケ。ちょっと言い過ぎた。お前がそこまで深刻に彼女いないこと悩んでるなんて思って無かったからさ。俺に手伝えることあったら何でも言えよ」
そう言いヒデタケの肩をポンポンと叩くと"クレハ"と嬉しそうに呟き。
「じゃあ今度また合コンな!」
と涙など一切流れていない顔でニコニコとそう言いってくる。
どうやらさっきのは嘘泣きのようだ。
「俺の罪悪感を返せ!」
俺はヒデタケに思いっきり回し蹴りを叩き込んだ。
あべしっ!と叫び地面に倒れこんだヒデタケは此方を見上げて機嫌をとるかのように話し掛けてくる。
「い、痛いな~クレハくん。急に何すんだよ~」
「あのな、本当に彼女が欲しいんだったら合コンとかじゃなくて、もっと身近な処から探そうぜ」
「そ、そんな事言ったって、俺女子の知り合いいないし……」
捨て犬のような瞳でそう言ってくるが、この反応は何と無く予想できていた。
「任せろ。俺が紹介してやる!」
俺がそう言いきるとヒデタケの瞳がさっきまでとは打って変わって輝かしい物へとなり"本当か!?"と聞いてくる。
「もちろん本当だ。俺に任せとけ! どんな子がいい?」
「う~ん……あっ、じゃあ、今年になってよくお前と一緒にいたあの可愛い子がいい!」
「あー、あいつは駄目だな」
「えっ、何で? まさかあの子が彼女なのか!?」
「いや、あいつは妹の親友なんだよ。お前みたいなロリコンに紹介したと知れれば、妹に何されるか分かったもんじゃない。それに今留学中だから物理的にも紹介は無理だな」
「そうなのか、なら仕方ないな……って、俺は別にロリコンじゃなーい!」
「えっ? でもこの間、お前ん家に行った時にロリ系の同人誌ばっかり有ったんだけど……」
「ち、違うぞ。あ、あれはあくまで創作物として観てるだけだから……」
「ふーん。そう」
この反応を見る限りどうやらこいつのロリコン疑惑は真実のようだ。こいつとの関係を見直す必要があるかもしれない。
「や、やめて! そんな目で此方を見ないで!」
「やっぱ、紹介の話は無しだ。お前はお前のやり方で頑張れ。合コン以外だったら手を貸してやる。じゃーな」
「ち、ちょっと待ってクレハくーん! その"じゃーな"は金輪際会うことは無いでしょうのじゃーなじゃ無いよね!? もう、年下とかじゃ無くても良いんで、一回り年上のお姉さんとかでも良いんで紹介してください! お願いします!」
「はぁ……、仕方ないな。三年間のよしみだ。誰か紹介してやるよ」
ポケットから携帯を取り出して、誰か紹介出来そうな人がいないかを探してみる。
「この子は?」
「あー、こいつは妹の親友その2だから駄目だな」
「じゃあ、この子は?」
「それ、妹だからもっと無理だな」
「えっ、そうなの? じゃあこの人は?」
「それは彼女だから絶対無理。てゆうか手出したら殺す」
「出さないから、そんな怖い目でこっち見るなよ。それじゃあ……」
俺はヒデタケが何か言葉を発する前に携帯をポケットの中に突っ込む。
「――なあヒデタケ。よくよく考えたらさ、俺が持ってる女子の連絡先って、今ので全部だわ」
「そゆことなんで――バイビー!」
そう告げ俺は全速力で走る。後ろからヒデタケの叫び声が聞こえるが、構わずに逃げる。いま捕まってしまったら、確実にボコられてしまう。
正直なところ後半に至っては、自分でも「今何の二次創作書いてるんだっけ?」ってなっちゃいました。
でもnew gameってイーグルジャンプに入社しない限り、原作キャラとずっと会話って中々難しいんですよね。
やりようによっては出来るんですけどね……。多分。
あとは、小説をもっと上手く書けるようになりたいよー
小説って難しいな。