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遡る事、数十分前
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忘れもしない、忘れられるわけがない…コイツは俺が遥か昔に使っていたガンプラ…【ガンドゥーム】だ。
コイツはガンドゥームという名前を付けられて以来何度か原形を留めない改造を施したが、今目の前にいるのは丁度全国大会に何かの間違いで上り詰めた時の改造形態だ。しかしコイツも大会の後にあの上下分裂パイレーツの反省を忘れぬうちにとさっさと改造をしてしまっている。何ならこの改造形態だった期間は結構短い………そんな訳でこれ以降も改造を続けて今のトラルテクトリに至っているハズなのだ…いつかの配信でも言ったが俺のガンプラは
だがしかし…そのガンドゥームも今こうして実体を伴い現存している。
何故よりによってこれが、しかも大会の時の状態で…と、ここでようやく合点がいったような気がした。俺がここに来る“アレ”よりも前に…最後に“つながった”のは確か大会の…俺の、最後の試合だった。あの時だ…あの時から既に始まっていたんだ。
俺は帰還への希望を見出しすようにしてガンドゥームへと乗り込んだ…瞬間、またソレと俺との接続が開始される――――何かの意思が見せたのは、ステルス戦闘機にも似た巨大で黒い飛行物体だった。
偶然にも、俺はその飛行物体を知っていた。
「…!、エボニー…カイザー…!
それも可変形態…!なぜ」
どういう原理か不明だが、脳裏にはカイザーの飛行形態がここの何処かを飛び去っている風景が流れ込む…恐らくはリアルタイムなのだろう。そして何度かビジョンの視点が切り替わるうちにカイザーの目的を知った……奴の行く先に、デンがいたからだ。
まさか!――――何か嫌な予感がした俺は直ぐにガンドゥームを立ち上がらせ、その装甲とブースター出力に任せて天井をぶち破って外へと飛び出した!
「そこか…!」
この時のガンドゥームにやたら性能の高いレーダーを搭載していたのが幸いし、直ぐにカイザーらしき機影を発見できた。
背中のバインダー(クシャトリヤの奴を改造したもの)を広げて敷き詰めたスラスターを全て吹かし、奴の元へと飛んだ。
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そして現在
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「大丈夫か!?デン!!!」
「え、エクハザールさん!
そのガンプラは…?」
「何でもいい!ここから離れるんだ!」
「はい…!」
デンがこの場から遠ざかるのを確認して直ぐに、さっき吹っ飛ばしたカイザーが起き上がろうとしていたのでその前にとローキックをかましてもう数十mほどデンから引き離した所に飛ばし、更に着地地点に肩部の9連装連射型グレネードランチャーを叩き込んだ。あれだけの爆風だ…仮に生き残っても只じゃ済まされんだろう。
しかしまぁ…9連装連射型グレネードランチャーか。懐かしい武装だ。
「(確か9連装のロケット砲を作ろうとして、何をとち狂ったかロケット詰める工程の代わりにグレネードランチャー判定を喰らう工程を踏んだせいで生まれたんだっけか…)馬鹿か、俺…」
お陰で出来たのは、とんでもない単発火力と爆破半径そして9連装故のバカの考える数字みたいなDPSと引き換えに凄まじい反動で静止射撃をしなければまともに撃てないアホ武器だ。碌に使いこなせずにお蔵入りしたっけか。
…こんな武装、今でも使いこなせる気がしないので全弾撃ち切るだけ撃ち切って、弾倉をすっからかんにしたら昔馴染みの爪付きの左腕部で無理やり剥がした。このころの左手クローは関節が一切なくって、実質的に砲のついたこん棒兼義手だったので精密作業など出来なかったがグレネードランチャーの接合がお粗末だったので簡単に剥がれた…よく射撃で吹っ飛ばなかったな。
さて……これだけ焼き焦がせば流石のカイザーと言えども耐えられまい。
とは言え用心するに越した事は無いので、近づかずにこの場でしゃがみこみカメラズームを使い爆煙が晴れるのを待った…が、多少煙がマシになった所で奴特有のエメラルドグリーンの光が見えたので咄嗟にビームライフルを構える。
「…冗談か?」
――――――――何と、奴は生きていた。
自身の周囲にGNフィールドのようなバリアを張り、グレネードランチャーの弾丸及び爆風を完全に防いでいたのだ…!
「(馬鹿な!歴戦のプロが作ったガチガチ装甲でも全弾命中すれば丸焦げになるグレネードランチャーだぞ…!!)!……ッ!!!!
!!!!野郎ッ!」
カイザーが右腕の装着型ビームガンでカウンタースナイプを行ったので咄嗟に回避し、逆にこちらもカウンターのカウンタースナイプをビームライフルを用いて仕掛けた…が、着弾する!と思った瞬間に奴は“消えた”!
何があったと思って周囲を見回すと…カイザーは右へ、左へ、そして右へ…と、とんでもない高速移動を低頻度で繰り返していた。某ゲームのクイックブーストだ…しかも残像すら確認できない程早い。
なんて性能してやがると思いつつも、とにかくやらなければならないという思いが体中を駆け巡っているせいか、対して驚くことなく対応できた。
超銃身のビームライフルを手放し、近接用の散弾砲を右手に、そして左腕を展開して固定武装をいつでも撃てる状態にしつつ奴へと急接近する。
「喰らえっ、この!」
まず手始めに散弾砲で挨拶した後に、それを躱すのを見越してその方角へ素早く左腕の190㎜ライフリング砲を向けて速射し奴の装甲を削り、その一撃が余程効いたのか大きく怯んだ所に撃てるだけの左腕の単銃身オートキャノンを叩き込む。
奴が咄嗟に背後へQBをして、右腕を構えようとしていたので咄嗟に左のバインダーを前方に回してIフィールドを展開。カイザーの貧弱な射撃武装を全て受けきって逆に実弾ライフル(手持ち)で頭部を撃ちぬいた。
だがカイザーの名は伊達ではないようで、細身のボディの中でもひときわ諸そうな頭部でさえほぼ近距離で放たれた実弾を容易に弾いていた。
「無茶苦茶な…!!
ッ――――喰らうかよ!」
奴が通常のブースト加速(それでもかなり速い)を使って左腕に格納されていたナイフを引き抜き顔面に投げてきたので、こちらも自慢の左腕を使って振り払う…が、その隙に奴は視界から全く消えていた。どうやらあのナイフ投擲は目くらましだったようだ。
…しかしその手の攻撃でやって来る行為なんて背後からの攻撃しかない。それなら…と、俺はもう一つ当時のとち狂った自分が作った武装を解き放った!
…瞬間!背後で爆発音と共に何かが吹っ飛ぶような音が響く!
今使った武装は【背面防衛用ブラストシェル】。名前の如く、背面から来た敵をブッ飛ばすための爆破装甲だ。
「(結局射程も使用頻度もクソだったからこれっきりの武装だったがな…!)役に立つとはな!
そぉら!ダメ押しだ!!」
振り向く勢いで振りかぶった左腕の爪でカイザーを引き裂く…が、その航空機の先端のような尖った胴体が近接攻撃を与えにくい上にそもそもが恐ろしく硬い装甲で覆われているのであまり深く削る事は出来なかった。
だがここで攻撃の手を緩めると逆に反撃を喰らいかねないので、そのまま最初に殴り掛かったように右手を握った上でマニピュレータ保護用のプロテクターを纏い、今度は腹部を思いっきり殴り、それと同時に奴の顔面に頭部バルカンを浴びせつつ足を蹴り崩して体勢を落とさせたところに再び右手で…今度はかなりおおきく振りかぶったアッパーカットで奴を空高く吹っ飛ばした。
それと同時に何かが拉げる感覚がしたので素早くプロテクターを見るが、然程傷ついてはいない…つまり今のは奴の方が深手を負ったという事だ。
…地面に仰向けで落ちたカイザーが顔を上げると、俺の予想通り奴の鋭角的な頭部は半分が破られており、内部機器がスパークしているのが目に見えた。
最早この戦いを長引かせる理由は無い…腰部から引っ張り出したビームサーベルを逆手に持ち、奴のコックピット目掛けて突き立てるために一気に飛びついた!――――だがその瞬間奴はまるで曲芸のような最小限かつ非常に素早い動作で一気に立ち上がり、右腕を変形させた大型ブレードでガンドゥームの腹部を一瞬にして貫いた。
通常の一般的なMSなら、普通コックピットがある場所を正確に貫いたのだ。普通なら俺は敗北していただろう…そう、普通なら。
「(あぶねぇ…この時は進撃の〇人にドが付くほどハマってたおかげでコックピットがうなじにあるんだった…!)馬鹿な自分に感謝だ…なッ!!」
頑強な左腕をそのままこん棒として奴の顔面に殴りつけるのと同時に右手でブレードを引き抜き、そしてブレードごと奴を引き寄せて今度を奴の壊れかけの顔面を掴んだ。
「よう…もっぺん土舐めなぁ!!!!!!」
その顔面を力任せに地面へと投げつけ、追撃で奴の脇腹を蹴り上げた。カイザーは俺の言葉通り地面を二転三転しながら吹っ飛んだのでみるみるうちに土…というか、灰塗れになっていく。
更なる追撃としてヒートホークを奴の顔面目掛けて振り下ろすが、流石に見え見えの太刀筋を諸に喰らうほど甘くは無かったようで、咄嗟に前に出したブレードで防がれてしまった。
暫しの鍔迫り合いの後、互いに互いを弾き合ってはまた引き寄せ合い、そこから激しい剣戟が始まった。
……だが、正直ここで押し切れる自信がない。何せ今まで経験したことが無い程に激しい近接戦闘が繰り広げられているからだ…相手が、カイザーが近接戦闘に置いて俺なんか比じゃないくらい強いんだ。更に言えば、あのチャンプですら一歩か二歩譲るくらいには凄まじい。いくら今現在キバで魔戒騎士のモノマネ(の様な何か)が出来るくらいには剣術を習っていたとは言え…いや、その程度で奴に叶うなんて夢のまた夢だったんだ。奴の剣は、とにかく人を切り殺す事に特化している。死線を何度も潜り抜けて洗練されたような感じだ……詳しい事はよく分からないが、たった今現在進行形でその剣を受けていてそう感じている。
だが、こちらにもう打つ手がない訳じゃない。
寧ろとっておきの切り札を一枚…いや、もしかすると2枚も3枚もあるかもしれないくらいとって置いてある…!!
「今だッ!喰らいやがれ!」
そうだ、斬り結べないなら…敢えて剣戟に付き合ってやることも無い!
胸部に装甲と一体化させて隠してあったシュツルムファウストを短距離で放ち奴の動きを爆風で封じる。その後に奴はQBで距離を取るだろう…恐らく飛ぶ方向は横だ。
そんな半分賭けだった予測の通りに奴は(俺から見て)右方向へとすっ飛んだ。ならば…奴がやって来る攻撃は――――――――!
「(奴の、次の攻撃はッ――――――――“QBの加速を用いた、ブレードによる刺突”ッ!)ッ…!」
俺は左バインダーを前に出した――――すると瞬間的に爆煙の向こうにQB炎が見えた。それも間違いなく真っ直ぐ向かっていく方向だ!
だが、ここで俺のわずかな幸運も尽きた。
奴は確かに真っ直ぐ向かって来た…が、しかしカイザーの放った攻撃は“刺突”ではなく“蹴り”だった…!
まさか俺の作戦が見破られていたとでも言うのか…そのバインダーを上方向に捲り上げるような蹴りによってガードが崩され、ガンドゥームのボディがお留守になる。ついでにブレードの切っ先が俺の喉元を向いていた、いつの間にかコックピットの位置がバレている…!!最早ここまでだ、どのガードも間に合わない…!切り札を…使わないままに…!!
無意識の内に目を瞑ったのか…俺の視界が暗転した。
――――――――――――――――いや違う。これは…これはッ!!
俺はこの暗闇の中で直ぐ、唯一光る“何か”を見つけた!
最早迷う理由がない…俺は“何か”へと手を伸ばし、今までの弩の瞬間よりも…更に深く強く“接続”した…!!
そしてガンドゥームの中に眠る“ソイツ”の場所へと“コード”をつなげ、道を張り巡らした…!!
――――そうだ、この闘志。この闘争本能。コイツが本物だ…本物の殺意だ。
お前は…違う。俺が、
視界に景色が戻ると、間一髪でブレードを
元々の、多機能のこん棒のようなソレを卵の殻のようにぶち破って現れたソイツをみて――――長らく忘れていたモノを思い出した。
そうだよ、俺の必殺技………此奴だ。
俺の必殺技は、“死爪”でも“メシア”なんて名前でもねぇし、だだのデカくて左腕なんかじゃあ決して無ェ!!あんなもの、所詮は単なる応用だ…効率と演出のためのな!!!
正真正銘の、本当の名前がちゃんとあるのさ…!!
「【
――――その名を呼んだ時、全身に纏わりつくガンドゥームがはじけ飛んだ…!!
接続している“何か”が今の俺の姿を“みせて”くれた…。そうだ、俺の必殺技は何も左腕だけじゃない。この約20mほどの赤黒い“魔神”そのものが…必殺技の本質なんだ…!!
「…お前、言ったんだってな…?
“抱え落ちはゴメンだ”ってさ…!まさにその通りだなぁッッッ…!!」
俺は左手の掌に無数の刃を生やし、それらを全て不規則に(掌の中で)高速移動させることでミンチマシーンの様にしてブレードの刀身をゴリゴリと削っていく…!!
あっという間に奴のブレードは中程で削られ、折られて一番の火力を失う事になった。
しかし奴は怯むことなく、咄嗟に蹴りを繰り出しては大きく後ろへと飛び俺から距離を取った。
逃げるカイザーを負うために俺は右の“腕翼”を伸ばして捕まえようとしたが寸での所で届かないところまで逃げられてしまった。
「(野郎ッ…!!)待てッ!!」
奴を追いかける為に足を一歩踏み出した時…奴から毒霧のような暗い紫色の瘴気が噴き出す。
その瘴気がカイザーの手元で収縮し、あっという間に某ドラゴンころしのような長く分厚く巨大な剣になった。
その剣を奴が軽やかに使う様を見て…思わず確信してしまった。奴は、“
しかしそれを用心するのはまだしも、恐れる訳には行かない。
放たれたグレートソードの突きを間一髪見切り、左腕でいなしつつ飛び掛かって一気に間合いを積めた。この刀身では小回りは聞かない、俺は大きく振りかざして右腕を囮として同時に左脚を上げて奴の膝を蹴り破る…つもりでいたが蹴りを放った瞬間に、その行動を読んでいたのかカイザーは身をスピンさせながら跳び上がり、謎の引力で手元に剣を引き寄せて振り上げた。
「ッ…!(さっきよりやたら身軽になってやがる…!)」
そして振り下ろされた大剣の刃を左腕翼で受け止め、右腕翼の拳骨でカウンターを放つ…それが直撃したので一瞬はやったと思ったがカイザーは身をくるりと翻して拳骨の勢いを逃がし、その勢いでぐるぐると回りつつ一度着地…そして回転の勢いで素早く飛び上がり俺の顎へと蹴りを放った。
「あぶッ――――――――クソッ!」
ギリギリの所で蹴りに合わせてバック転をし、当たったように見せかけて奴の蹴り上げを空ぶらせることに成功した。
だが、カイザーは決して怯まない…やはり蹴りの動きを繋ぐようにして大剣を逆手持ちにし腰当たりでぐっと構え、踏み込んだ足へ一気にパワーを送り込み脚力とスラスターの勢いで飛び出した…!!
それに合わせて受けの構えをとった……が、突如として悪寒が全身を駆け巡ったので受けではなく避けの準備を取った。
――――カイザーは俺の眼前まで一気に達すると一度踏み込み、ぐるりと身を回した後…そこからの行動は見えなかった。
ヤバいと思った上空へと跳び上がった瞬間、ブゥウウウウウウンッ!と空を斬るどころか断絶するかのような凄まじい風切り音と…その勢いでか、巻き上がる大地に積もった灰。
…そしてはるか後方の、背の高い廃墟数件が、何故か横方向にぶった切られて真っ二つになった…!
言うまでも無い…!奴の、カイザーの横薙ぎだ…!!
回避してよかった…等と安堵する間も与えられずに刺突が眼前まで迫る!
それを先ほどの奴の様に一度受けてから身を翻して勢いを逃がし、カウンターとして腕翼の裏拳を放ったがカイザーはそれをただ単にしゃがむことで回避し、大剣を手放して霧散させ身に纏い、再び脚力とスラスターの合わせ技で今度はタックルを放った…!!
「んぐッ…!」
腹部から全身に伝う衝撃で思わず中身と血を吐きそうになるのを歯をグッと噛み締めて堪え、カイザーの背中にダブルアームハンマーを落とし体勢をガクンと崩して膝をつかせた。
そのまま膝蹴りを放とうとした時、奴はあり得ない体勢でまた空高く舞い上がり、今度は脚部のクローを展開…スピンの勢いを使いクローの切っ先で俺を切り裂く。
赤黒い瘴気が、血しぶきの様に飛び散るのが見える…。
「この野郎ッ!」
再び生成された大剣が降りぬかれる寸前で剣の腹を踏みつけ、行動を抑えられたカイザーの胸部に膝蹴りが決まった…!
今度は受け流される事無く威力がまんま奴のボディに伝わり大きくよろめかせた。その隙に全身を使って腕翼を鞭の様に振り回し、カイザーの足を掬い上げて空高く滞空させた…!
俺は右腕の拳を固く握り、グッと構える…!
「ブッ…――――飛べッ!!!!!」
ゴォオッ!!という音を立てて、何もかもを投げ出すような勢いで放った振り下ろすような右ストレートが、奴の胸部に直撃!カイザーは斜め下へと統べる様に地面へと叩きつけられ、ブワリと巻き上がった灰が激しく吹き荒れ、辺り一面を強風で包んだ!!
暴風が止み様子を見てみると、この一撃が決定打となったのか、奴は全身から火花を散らして地に伏していた………が、何かが可笑しい。何か手を伸ばそうとしている。一体何を掴もうとしているのか、奴の手の先を見た――――その瞬間、脊髄がぞわっとした。
「デン…!!!」
何故彼女が居る!?まさか俺達は知らぬ間に彼女へと追い付いてしまったのか!?
ともかくデンを護らねばと、再び何もかも投げ出すような勢いを今度は脚力に回して一気にカイザーへと飛びついた!!
「ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」
奴がデンに触れる直前……一歩手前で、俺はカイザーに触れた。
――――――――――――――――しかし直後、視界が目まぐるしく変化したかと思えば俺とカイザーは何故か上空ウン万kmぐらいの高さまで飛ばされていた!
「ッ!?」
直ぐには状況が飲み込めなかったし、しばらくしても“空が青い”事と“二人そろって落ちている”事しか分からなかった。
…ここから更に事態が急変した!いきなり俺の全身に苦痛が走ったのだ。
唐突な痛みに悶えながら、“何か”が見せた光景で自らに何が起きているのか直ぐに分かった……俺の、エムオブインディペンデンスデイを構成するエネルギー体が実体を維持できなくなっているのだ…!
こうなったら最後、急速にエネルギーの固定が解け、その勢いで暴走――――つまりは爆発する!
「(二人仲良く爆発四散なんて……冗談じゃない)…ッ!!」
俺は接続を更に強化し、どうにか実体の維持に努めた。
痛みが勢いを増し俺の全身を蝕むが…それをがむしゃらな思いで耐えて急速な崩壊を食い止めた。
――――――――――――――――が、次の瞬間でその繋がりが霧の様に消えてしまった。
いや、俺が気を取られてつながりを離してしまったのだ…!
また視界がグルリと回った後……今度は閉鎖的な空間に投げ出されていた。
そして咄嗟に目に入ってくる、数々の見覚えのあるロゴに幾多の人影。
「まさか…!(商業施設ッ!?そんな――――――――――――――――)」
ここで爆発させたらマズイ…そう思うよりも早く、まるですべての事象から解放されるかの様に…そして、内側から吹く風に晒されたかのように…!
何もかもが吹き飛んだ。
有象無象全てを持ち去り、そして引き裂いて。
一瞬目に入ったのは…崩れ去る魔神の身体と引き裂かれるエボニーカイザー。それと…
ガンプラ…ガンプラ?
ともかく次回と次々回でデン編最後です(予定)