世紀末(風味)ダイバーズ  ユックリ実況   作:エーブリス

58 / 78
デン編最終回です

今回は動画パートですが没とある様にかなり例外的です。
先ず投稿していない設定なのでお決まりのゆっくりボイス(変な地の文)がありません。ほとんど普通の小説形式です。


それとテンションがまた世紀末に戻ります。


パート20(没)・デン及び■■■■■■■■の戦闘記録

 

   [数週間後…]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雲すら見下ろせる程の高高度にたった一機…まるで要塞に翼を生やしたような超大型飛行物体が物凄い速度で空を切っていた。しかしその巨体故に傍からはそれほどの速度で飛んでいるとは思えないだろう。

 

…しかし、搭乗している者達は錯覚と現実の落差を身をもって知る事となっているだろう。

 

 

「速ェ…遠くから見たら、まるで年老いたロバみてぇな速度だったってのに…!」

 

「カル!失礼だよそんな事言っちゃ…!」

 

『ハハッ!お褒めの言葉、恐縮の至りってか?

……しっかしまぁダイバーを長い事…やってる訳でも無いが人生分かんねぇモノだな。天下のロッテンアイアン様なんかに雇われるたぁ明日は台風でも吹くのか?なあ、トビさんよ』

 

「――――そう謙遜謙遜するなよ、強豪の【ブラックオプス】、噂くらいは皆知ってるさ。

特に…【目くらましのベル】とかはね」

 

『よくご存じで…。

まあ今もアンタらの期待通りに“目くらまし”を張っている、じゃなきゃ今頃集中砲火の真っ最中だ』

 

「だろうね。

…このミッションは侵入経路が空路に限られるクセして、敵の対空砲火が尋常じゃない…まるでジャブロー、いやそれ以上だよ。普通ならハイパージャマーをガン積みした航空機で、それでも数分しか持たないから乗り捨て前提での突撃がセオリーだけど…」

 

「まさかここまで機体を隠し通せる偽装技術を持った人がいるなんて…」

 

『ふーん…いやぁ、やってみるもんだなぁ――――ずっと前に使ってたステルス機を持ち出した甲斐があったもんだ』

 

「……食えない奴だ」

 

『手の内はそう簡単に明かすもんじゃあないぜ、モヒカンのお嬢ちゃん。

――――――――――――――――と、そろそろバス停が近い。皆さま、お降りの際はスマートボムにしっかりとお掴まりの上でご降下くださいな』

 

巨大航空機の下部ハッチが開き、まるでミサイルのような投下爆弾3機にそれぞれ機動性重視のMSが張り付くように掴まっていた。

 

 

「…イカれてるよね、空力制御があるとはいえ爆弾に乗って突撃するなんて」

 

「全くだ。

何処の変態野郎が考えたんだかな…どこの女装野郎がなぁ…」

 

「カル!!」「あーあー、分かったよデン…今度から言葉には気を付けるから」「それ絶対気を付けないって言い方でしょ!」「はいはい気を付けますって…それよかもう落とされるみたいだぞ。しっかり掴まってろよ…!」「え…うわっ!?」

 

がこんっ!と安全ロックが外されスマートボムが一段下がる。その衝撃でデンが危うく落ちそうになるが、搭乗している機体の頭一つ跳びぬけて高い運動性能で事なきを得た。

 

――――デン達の下には一面の雲が広がっている…だがその分厚い雲さえ超えてしまえばその先にある眩暈を覚える程多数の対空砲及び敵NPCが配置されている事だろう。このミッションの目的はそれらを突破し、ステージ中央にある施設のコアを破壊…そして自爆に巻き込まれる前に領域外へと脱出することだ。ただしその制限時間は非常にシビアかつ、それ以前の敵の密度にしたって強烈なのだが。

以上の理由で本ミッションは最難関ステージの一つとして数えられている…が、今回彼らが雇った傭兵ベルには秘策があった。

 

 

『一応偽の情報を送って奴らには俺達とは反対方向から大群が襲ってくると思わせてある…が、こっちはいつまでも持つわけじゃない。あまり頼りにするなよ』

 

「問題ない。

戻ってくる前にコアまでタッチダウンしてスタコラサッサすればいいんだ…メンツも申し分ない」

 

『…だろうな。

取り合えず撤退時には俺も支援砲撃を開始するがそれまでは何も手出しは出来ねぇ…流石に射線から位置を割り出されかねない』

 

「了解だ。

カウントダウンは?」

 

『今から30秒後…今タイマーを共有する、心の準備の方を済ませておけよ』

 

ベルの発言の後、デン達の画面にタイマーが共有された。

既にカウントダウンが開始され、コンマ以下の数字が目まぐるしい速度で下っていくのが目立っていた。

 

…その時、デンがある事に気付く。

 

 

「あの…質問ですけど…爆弾に乗って降下するって事は――――少しでも被弾したら…」

 

『誘爆が怖いってか?その心配はねぇぜ生足魅惑のお嬢ちゃん「おい、未成年に猥談はよしてもらおうか?「存在が卑猥な奴が言うか」カル、お前なぁ」…まあ、ソイツはお利巧さんだから飼い主の指示がなけりゃ信管はびくとも動かねぇ』

 

「まさにスマートボム(賢い爆弾)ってか…。

――――後残り10秒だ、そろそろ気合い入れろよ二人とも!」

 

「分かった」「はい…!」

 

各機マニピュレータで取っ手を固く握り、“その時”を待った。

 

 

 

――――――――――――――――カウント0、その瞬間に3機は重力に従い落下を始める!!

 

『皆、神のご加護を。

……それとすぐ目の前のコントローラーでエアブレーキ制御を操作できる、着地地点はソレで操作するんだな!』

 

「ああ…。――――って!取っ手を掴むのに必死だからコントローラー握れないんだけどぉ!」

 

『やっべ………まあ、その、機体を上手いこと揺らして、頑張れ』「おぉい!」

 

「しかもコレXb〇xだぞ……万年プ〇ステ勢のトビには使えないな」「なんでそうなる!PCゲーで使ってるよ×(バツ)箱コントローラー!」

 

トビが想定外の出来事であたふたとしている中、脚部クローでスマートボムに自機を固定したデンがコントローラーを操作し一気に前へと出た。

 

 

「お、おいデン!あんまり出過ぎるな!」

 

「心配しないでカル…僕が一番突破力に優れてるし、一番射撃が下手なのは僕だから。

――――だよね、“MtoE(ミィ)”…!」

 

「そういう事だな…。

雲に突っ込む前に言っとくけど、取り合えず作戦通りだ!一直線に前からデン、そしてカル、最後尾に僕の順番で行くぞ…!突き抜けた瞬間一気に加速だ――――――――――――――――」

 

トビの言葉に3人は厚い雲の中へと突入した。

ごぉぉ、と強烈な音が皆を包み、それ以外の一切の音・声をシャットアウトする。因みにレーダーは元よりベルの“目くらまし”で一切作動していない…有視界戦というわけだが今現在はその視界も非常に悪いモノである。

 

しかしそれもつかの間の出来事……あっという間に曇天の空の下へとたどり着き、ワンテンポ遅れて地上の敵MSに対空兵器たちは3機へと銃口を向けた。その頃にはスマートボムは一切のエアブレーキを切ってイオンジェットを吹かし最大速度で地表目掛けて落下を開始していた。

 

 

……そして一番槍のデン――――及び【エボニーカイザー(EHカスタム)】は途中、スマートボムを蹴って空中に飛び出し背部のフライトユニットを展開…本体自身も極簡易的な変形を行った後に飛行形態への移行を完了した後、フライトユニットにマウントされていた大型のビームショットマシンガン2丁を手に持ち地表の掃討をいち早く開始した。

 

この強力なビーム兵器は高い発射レートで拡散ビームを吐き出し、広範囲に濃密な弾幕を形成できる非常に強力な武装だ。弾速には若干の難点があるものの拡散性は射撃能力に難のあるデンでも十分な撃破数を稼ぐことが出来ている。

 

 

彼女が対空兵器を一通り潰した頃には全てのスマートボムが敵拠点を護る3つの特殊防壁をぶち破り、そしてカルの【ステッペンネロ】がローラーダッシュで地表を素早く突き進みつつ得意の早撃ちと有線サイコミュ兵器で次々に撃破。最後にトビの【ガンダムマーチヘア】が強烈な垂直推進力を生かして激しい上下移動を繰り返しつつ、貫通力に優れたビームスナイパーライフルと無数のリフレクタービットをばらまいて跳弾を利用し敵を一掃していた。

 

因みにカルとトビはどちらも普段は斥候・偵察担当だが今回はベルという強力過ぎる情報戦担当が居る為、火力に特化した武装に変更している(ついでにカルは「最早EWACではない」として名称も変更)。

 

 

 

…いくら最難関の一つといえど表層の敵はそれほど脅威ではない。

そしてデンの想像以上のはたらきもあってか予定よりも早く突破が完了したが…内部への入り口はそれ以上に厄介であった。

 

「チッ…例の足つきアルヴァトーレか」

 

「硬いんだよなぁそれも無駄に。

デン、上からサクッと斬っちゃって」

 

「了解です…!!

――――MtoE!出番だよっ!!」

 

空中を飛び回っていたエボニーカイザーは急遽、甲虫のようなアルヴァトーレへと急速に落下を開始!その際一瞬で簡易変形を解除しつつ、更に長い長い柄を持ってフライトユニットを背部から取り外し、身の程かそれ以上にある長柄の特大剣【断艦剣槍】へと変形させ切っ先をアルヴァトーレへと向ける!

 

ベルの妨害電波で反応の鈍っていたアルヴァトーレが彼女に気が付いた時には既に目と鼻の先!――――断艦剣槍がアルヴァトーレのボディを貫き大破!思わず中身のアルヴァアロンが出てきた所をカイザーはその金色の肩を掴んで引き寄せ、コックピットを鋭い爪で抉り出しトドメに握りつぶした事で強固な門番は有無を言わさず一瞬で撃破された。

 

 

因みにこの脅威の撃破タイムは一応計算内である(残酷過ぎる倒し方はそうではないが)。

 

 

デンが素早く断艦剣槍を拾い終えた後、一行はアイコンタクトで突入のタイミングをはかり、一気に基地内部へとなだれ込む……が、そこには先ほど(外)とは比べ物にならない程の密度で敵が存在していた。

 

 

「ッ!

多い…」

 

「分かる、僕も最初ビビったし。

――――ま!今回はベルが偽情報送ってるから大分削がれるハズ…ほら、もう半数が外出ちゃった」

 

トビの説明通り、ベルの偽装伝達技術によって半分ほどの敵が外からの襲撃を誤認し、さっさと屋外へと出払ってしまった。

…その混乱に乗じて3機が一気に突撃を開始。それぞれが建物の角を利用して敵を翻弄しつつコアのある中央へと向かっていく。

 

 

「フン…最難関だとか言われている癖に随分柔いじゃないか」

 

「そりゃいくら最難関最難関と騒がれてるっても、サービス開始付近に追加されたミッションだし…そもそも最難関って言われるのも追加され始めた時の阿鼻叫喚の名残みたいなもんだって。

一応アプデとか入ったとは言え新参の中級ダイバーあたりの関門って事にはしておきたいんだろうね。多分」

 

「成程…」

 

因みにこの時カイザーは狭い所でどう断艦剣槍という長物を振り回していたかというと、とんでもない切れ味を利用して壁や障害物ごと敵を切り裂いていたのである。とことん凄まじい武器である。

 

 

「――――――――――――?、“BorV(ビヴィ)”?どうしたの?…え、妙に敵が寄ってくる?

特にカメラとかは…ないみたいだけど…」

 

「…あ、言うの忘れてた。

ここアプデで味方と無線通信を通して会話してると傍受されて居場所を特定されるっていう仕様になってたんだった」

 

「ッ!!それを先に言いやがれ!このメス墜ちケ〇〇ン〇[ピーッ]野郎!!!こちとら何度か死にかけ「ちょッ!?カルッ!?なんて事言うの!?///」あ、あぁ…その、わりぃ」

 

恐ろしくコンプラな単語が飛び出した事で赤面してしまうデンと、ちょっと気まずさを覚えたカル。

その光景に複雑な感情を覚えるトビ…というか3人の間の空気自体がかなり変な事になっている。

 

その頃上空ではマイクオフにしたベルが大笑いしていた。

 

「…取り合えず、黙ろうか。(二人がどこでそんな単語覚えたのかは…やめとこ、気にしない気にしない)」

 

「ああ…」

 

「はい…///

――――――――――――――――ちょっとMtoE、笑い過ぎだよ…」

 

 

 

一先ず微妙な空気の中、それでも着々と進撃を続ける3人はあっという間にコア部分へとたどり着いた。

 

 

 

しかしここでコアを壊してハイ終わり、とは行くわけもなく、まるで巨大な脳ミソのようなコアは周囲のターレットを一斉に起動し3人へと集中砲火を開始した。皆それぞれの近くに合った障害物に跳び込むが、更に運の悪い事に彼女らの背後から次々と敵がなだれ込んで来た。

 

 

「あー、さっき誘い出した分の敵か。

流石にコアまで近づかれちゃ、って訳ね」

 

「どうするんだトビ!流石にこのままじゃ――――」

 

「まあまあ慌てなさんな…よく見てみ?ここ爆発物ばっかりよ?」

 

「…アレで一網打尽に、と?」

 

「そ。

とは言え問題はカイザーにそんな小回りの利くができる兵装が無いって事だけど…」

 

「えぇ…流石にマシンガンもメガ粒子砲も大きすぎますし…。

――――――――――――――――え?MtoE?何………出来るの?」

 

「?、デンちゃんおかのした?」

 

「あの……二人とも私の援護をお願い…出来ますか?

私、もしかしたらあの弾幕を突破できるかも…しれません」

 

「…もっと強く言えないか?流石に賭けるにはリスクが高いぞ」

 

「――――――――――――――――うん、分かった。

…出来るよ、カル…!トビさん…!」

 

力強いデンの発言に、2人は納得した表情で頷いた。

 

 

「…よし、ホントは物凄く楽な攻略法とかあるんだけど…まあいっか、新人研修も兼ねてるしコレ。

じゃあ……カル、僕らで此奴らを抑えよう」

 

「分かった。

…デン、存分に暴れてこい」

 

「そのつもりだよ――――ッ!!」

 

先ほどのようにアイコンタクトで突撃の合図を送り、デンが弾幕を掻い潜って突撃を開始。それに合わせてトビが天井ギリギリまで跳躍して散布ミサイルを一斉発射。ミサイルの爆風とそれが周囲の危険物質に誘爆したことで雑魚が一気に消し飛ぶのと同時にカルが残った爆発物を狙って残党狩りを開始した。

 

…カイザーは大剣の重さを物ともしない非常に速いフットワークでターレットの射撃を振り切りつつ、そのターレットを一つずつ破壊してまわり、最後に残ったコア周辺の固定砲台の弾幕を振り切って走り出した…!

 

 

 

 

………彼女(かれ)に敵など居ない、全ては皇帝の前にひれ伏すのみ。

まるでそう言いかけるような圧倒的な力で振り下ろした剣槍は、コアを深々と傷つけてた。

 

 

だがコアの破壊には至らない…それどころかコアが何かエネルギーを吸収し始める…!

彼女が直感的にマズイと感じた時には一歩遅かった。

 

 

 

 

 

『お嬢ちゃん!そっから離れろ!!』

 

「えッ――――――――!?」

 

 

 

 

――――――――――――――――その瞬間、天井を突き破って空から降ってきた何かがコアを押しつぶした…!!!

 

その正体は超高高度を飛んでいたハズの、ベルの航空要塞!

一体何を考えての行動か………圧倒的質量を目の前にした彼女達は一瞬だけ時間を奪われた。

 

『何ボサッとしてる!自爆装置が動いてるんだぞ!』

 

「いや…ベル、お前一体何を…!」

 

『ちょっと面白くなってね、ガラじゃないが特別サービスだ。

外にフルトン装置を設置した。壊される前にとっとと使いに行け…VTOLで回収してやる』

 

「え、いや…………………。

…分かりました。行こう、カル…トビさん」

 

「…だな」「あぁ」

 

少々納得できないような表情だが、何だかんだで結果オーライなので3人は来た道を戻り、さっさと地上へと這い上がった。

 

 

…確かにVTOL機のようなMAが低空を飛び、残党を潰して回っていた。

そして近くには謎のコンテナがある。トビが其れに近づくとコンテナの扉が開き、風船のような物が出てきた。これがフルトン装置のようだ…。

 

 

 

 

しかしここで思わぬ伏兵が出てきた。

数十m級の巨体、それはサイコガンダム――――の上半身だ。

 

下半身はベルの航空要塞に潰されたようだが、所詮足がトんだ程度なので這いずって移動すれば操作は問題ないのだろう。

 

 

『アイツまだ生きてたのかよ!しぶとい奴め…。

――――って!生足のお嬢ちゃんッ!!どこ行くんだ!!』

 

「私が仕留めます…ベルさんは二人の回収準備を!!」『お、おう…ちゃんと帰って来いよ!!』

 

 

デンがカイザーの断艦剣槍をフライトユニットに戻し、腰からビームサーベル2本を引き抜いて腕を大きく振り上げるサイコガンダムへと突撃した。そしてサイコガンダムの腕が直撃する瞬間に彼女はバレルロールで躱しつつ、更に回転斬りで腕を転がりながら細切れにし、一気にコックピットのある頭部へと近づいた!

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!!」

 

サイコガンダムはもう片方の手で彼女を掴もうとするが時すでに遅く、彼女はコックピット部分のみを綺麗に切り取って空中に舞い上げ、そして脚部クローで掴んだと思うと…やはりと言うべきだろうか?クローでそのまま握りつぶした後、まるで汚物の様にパッパと投げ捨てた。

 

 

ちょうどその頃にはベルが残り二人の回収を終了していたので、カイザーは飛行形態のまま彼らに合流…そのまま全速力で領域を離れ、あっという間にミッションコンプリートとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――以上がデンの正式なデビュー戦の行く末である。

この戦闘は多くのダイバーが中継を見ていたために彼女の知名度は飛躍的に向上、更には彼女の一連の戦闘から【狂戦士】【脳筋型威力ガン振りガール】【ルドウィーク】【兵長】【ア”マ”ゾ”ン”!】【巨人殺し】【ジャイアントキリング】等々のやたらゴツい異名で呼ばれることになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

――――――――――――――――

  ◆  ◆  ◆

 

  ◆  ◆  ◆

――――――――――――――――

――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーストラリアサーバー、RIフォースネスト内の展望台にて。

すっかり暗くなったシドニー湾の向こう側を眺めるデンとカルが、ちょっとした打ち上げを行っていた。

 

 

…まあ、酒代わりに持ってきたRI名物【まざぁずみるく】が非常に生臭い事を知らなかった為に打ち上げが若干台無しになっているのだが。

因みにまざぁずみるくの生臭さが出たのは割とつい最近のアプデからである。現在、元愛飲者のイプシロンを中心に品質改良プロジェクトが進行しているが結果は今の所芳しくない。

 

まあ、どうでもいい話である……既に【アクアコーラ(ただの水)】に置き換わっているし。

 

 

 

「しかし……今日もエクハザール、ログインしなかったんだな」

 

「うん。

ちょっと…なんだか忙しいらしい、し」

 

「らしい?

お前、アイツの家に居るんだろ?何か知らねぇのか?」

 

「ううん…最近は私の部屋とは別の所に籠ってばっかりで。

――――エクハザールさんは別の人の所に引っ越す事を提案してくれたんだけど…」

 

「けど?」

 

「…」

 

 

 

 

 

「あんまり深く考えない方がいいよ、リアルの仕事が忙しいだけだろうし」

 

「!!、トビさん!?」

 

「なんだトビ、セクハラか?」「違う」「そっか、される側だもんな(爆)」「あのね…」

 

突然現れたトビは、カルの歯に衣着せぬ物言いにため息を付きながらも、「まあまあ」とデンへの言葉を続けた。

 

「それか……ただ単にモチベが無くなっただけか…」

 

「モチベが?

そんなことあるのか?」

 

「あるでしょ、長い事やってればさ…。

どうせ1、2週間くらいダクソかCoDやってたら直ぐ帰って来るって…安心しなよ」

 

「そう…でしょうか?」

 

「まあ言い切れないんだけどね?

或いは…ホラ、サブ垢で案外別の所で愉しんでたり?リーダーやってるからね普段は…たまには一人で羽伸ばすのもーって」

 

実際そんな高ランカーも居る(疑惑)ので、そういった事もあるのだろう。

 

 

 

 

――――だが、答えは唐突に現れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「トビィ~。

だ・れ・が?別ゲーに浮気してるって?」

 

「へ?――――いだだだだだだだだ!痛い痛い!アイアンクローッ!?顔はやめて!リーダー!」

 

「アイアンクローやめないけど那珂ちゃんのファンやめます」「なんでや那珂ちゃん関係ないやろ!!」

 

ぬっ…とトビの背後に現れたエクハザールが彼の頭部を鷲掴みにした。

 

 

「エクハザールさん!」

 

「久しぶりだな…何かあったのか?」

 

「いやぁ…ちょっと自機を改造してただけ。

というか俺らが消えてる理由って大体改造だから…ですよねぇ?トビさぁ~ん」

 

「いだだだだだだだいだだだだだ!離して!離して!

ファー!プルスコ!オロシテ!オロシテ!」

 

「余計な事言って心配させんじゃねーよバカ」「あだぁ!」

 

二メートル近くから落とされ尻餅をついたトビは「いたたた~」と自分の尻をさすった…なんかわざとらしい。

 

 

「ったく、こっちカイザーも“モルゴス”も組み立ててんだ…そりゃ籠るわ普通。籠るほど凝るわ普通」

 

「あ…。

エクハザールさん、カイザーの事はありがとうございます。MtoEも喜んでました…!」

 

「そっか、そりゃよかった」

 

「やれやれ…エクハザール、お前は…なんだか…見た目の割にお人よしだよな…」

 

「!。

…………………」

 

                       おまえのせいだ

 

 

「ん?どうかしたか?」

 

「…んあ、い、いや…な、なんでもねぇ。

とり、あえず…今日は、顔見せ程度の予定だったし…これで、落ちるわ…」

 

「そうか…また今度な」「ああ…」

 

 

「…」

 

「…悪いな、デン」

 

「いえ…大丈夫です…」

 

 

そう言って、エクハザールはログインした。

………残ったのはなぜか微妙な空気だけ。それを紛らわすためかトビがこっそりデンの脇を突こうとしていた…が、直前でカルに見つかって殴り飛ばされ、シドニー湾のど真ん中で危うくおぼれかけたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これで、デンを渦中として起きた一連の知られざる大事件は幕を閉じるのであった。

数多の疑問と謎を残して………何事も無かったように、全てが平常に帰っていった。

 

この後、また誰も知らない所で大事件が起きるがそれはまた別の話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  <アーカイブ.■■■■■と■■■>

 

結局、こんな所に落ち着いたが…まあ、いい。

…でもアイツが…。

 

大丈夫よ、スミカは…頭のいい子だから。私達よりも…きっとうまくやれるハズ

 

…だよな。何せ一度解決まで近づいたのはアイツだ…俺達が余計な事をしなければきっと…。

 

そう。今は待ちましょ…私達にはもう何も出来ないし。きっといつか、あの子も…。

 

 

――――ああ。

今はコイツの中で待つか…色々教えながら…。

 

そうね。その方がいい…。

 

 

 

 

 

 

 120115

 

 

 

 




はい、これでやっとデン編終わりです。
自己満足通常の百万倍の長編にお付き合いいただきありがとうございました。


どうしても書きたかったんですよね。ホントに
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。