世紀末(風味)ダイバーズ  ユックリ実況   作:エーブリス

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スランプ中の“誰か”の話。
そして…。


デッド・ア・キング、ボーン・ア・ソルジャー

一体、何を楽しむためなんだ…?

ずっと己に問い聞かせながら、何処の奴らとも知らない――俺を雇った奴らの――フォースに混じって戦闘が始まるまでアバター姿で膝程の高さしかない岩に腰を掛ける。

 

 

「…誰だよコイツ、こんなガラクタ使いなんか誰が雇ったんだ」

 

一人の、多分一番若そうなダイバーがリーダー格のダイバーにわざとらしく食って掛かった。

 

「俺だ、俺が雇った。

……文句があるのか?」

 

「ああ、あるさ…!この戦闘が俺達にとって何なのか分かってるよな…!?

そのために俺達が少しでも名のある傭兵を雇えるようにって集めたBCコインを…こんな、こんなよく分からん奴に使っただと!?」

 

 

「――――腕は間違いなかった…それだけだ」

 

リーダーはそれ以上を話すことはなかった。

…それに業を煮やした若造がリーダーに掴みかかる。

 

「ッ……!」「…離せ、ムキになるな」

 

「…俺ら、約束したよな?忘れた訳じゃねえよな?今までアンタの指示には必ず従って来た…それは何もかも説得力があって筋があって、何より優れてたからだ…その眼も、判断も…!

けれども今回ばかりはそうはいかねぇ…!何も説明がねぇじゃねえかよ!アイツが――――ッ!?」

 

若造が吠えてる途中でリーダーは若造の腕を掴み、その厳つい眼で睨みつけた。

 

 

「…約束は違えない、俺にも同じ夢がある…!」

 

「ッ……、っ…」

 

「それにあのダイバーの詳細を明かさないのは――――」

 

リーダーが俺へと視線を移した。

…返事をする代わりに、俺は人差し指をガスマスクにそえてコクリと頷いて意思を示した。

 

「…奴の希望だ、正体を俺以外に明かさないのが雇う条件でここにいる。

もう一度言うが腕は間違いない。この“眼”で見たからな…!」

 

「…チッ!」

 

リーダーの腕を乱暴に振り払った若造は、引き籠るように自機へと乗り込んだ。

 

 

 

ここで初めて、俺は「ふぅ…」と息をついた後に口を開く。

 

「随分と夢中じゃないか、部長?」

 

「…すまない。

あいつも…必死なんだ」

 

「だろうな…何せ“彼女”の最後の思い出のためだからな」

 

「…あぁ」

 

俺とリーダーで、丘の上で黄昏れている“彼女”を見た。

彼女がELダイバーという事以外、俺は何も知らない…それと彼女がもう長くGBNに居られない事以外。

 

 

「もう1か月もない…」

 

「…全く、約束や夢とは呪いだよな」

 

「その通りだ…」

 

「ああ、きっと人は…呪われるためと、呪いを解く為に生きてる。

例え胡散臭い説教者にそう言われても否定できん」

 

 

 

「――――アンタも、そうなのか?」

 

「…大スキャンダルだぞ。

そうだな、俺も…ああいう少女の、望んでいたかも分からん夢の為に呪われた事があった。結局呪いは…解けた。一つはな」

 

「一つ…」

 

「ああ、ずっと昔から…俺は呪われてたそうだ。もっと違う呪いで…」

 

「…」

 

 

「…さて、時間だぞ部長。

タイムアウトで負けては解呪どころじゃねぇ」

 

「ああ。

…頼んだぞ――――サラーフ」

 

「それでいい」

 

 

俺達は戦場へと向かうため、各々の機体に乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――それが大体数十分前の話。

何時も程じゃないがやたらデカイ機体に乗り、馬鹿みたいに長いビームマグナムに手を掛けつつ機会を伺い続けているのが今の話だ…全体の人数に比べてこの雪山のフィールドが冗談じゃない程広い…おかげで俺みたいな猟兵擬きの需要があったわけだが如何せん暇だ。

 

全く、GBNは神運営と言われるが粗も無いわけではない。まあ人の作り物だからそれは仕方がない…創作物には何かしらの粗がある、たとえチャンプのAGEマグナムであってもそうであるハズだ。流石に検討も付きそうにないが…もし彼の実物をじっくりと見つめる機会があれば若しくは。

 

 

 

きっと俺が今構えるこの長銃は…その粗を一発で見抜く力を求めている。

 

「…来た」

 

たった今、ステージ全体の“粗”が見つかった。メンバーのあの若造率いる機動部隊が引き付けてくれたのだ。

次はその「敵」という“粗”からまた「弱点」と呼ばれる“粗”を全て探し出す。

取り合えずリーダーには定型文チャットで報告し、ついでに敵の現在位置と予測進路もまた送り付けて、何時でも指示を送っていい事を示す。

 

 

すっ…と、息を吸い込んではグッと止めて一番厄介な敵の“粗”を狙う。

 

 

 

 

 

 

『…よし、やれ』

 

 

 

――――――――――返事よりも、何よりも早く、引き金を引く電気信号が全身を突っ走った。

極限まで収束されたEパック一つ分のエネルギーがこの地球上の何よりも早く虚空を駆け抜けて敵のガンキャノンのコックピット――――それもたった数センチどころか数ミリしかなさそうな脆弱部分を上手くぶち抜き、早々に一人ご退場させた。

使いきったEパックをストレートプルボルトで排出し次弾装填を行う。

 

…ここで第二射撃を行いたい気持ちは(一応対策はしてあるが)万が一自分のいる方角が割り出されていた可能性を考えて堪え、長銃を畳み背中のラッチにとっつけて低い姿勢で走った。

 

 

最早この姿勢では二足歩行は到底行えないのでビークルモードに変形して一気に雪中を駆け抜けた。

直後、遠くで砲撃音が鳴り響いた。確か俺達のメンバーには迫撃砲を6つも装備した実弾式の破壊天使砲使いが居たハズだ…元の機種は恐らくクィン・マンサであろうソイツの砲撃が俺の対極側から撃ち込まれて相手フォースを阿鼻叫喚の地獄へと叩き込んでいるようだ。

 

 

『上出来だレオハルト。

――――総員!一気に畳みかけろ!!』

 

本隊に突撃の合図が出されたので再び(援護の為に)狙撃を開始した。

味方の背後を取ったヤツ、非常に厄介な攻撃を仕掛けているヤツ、そして単純に堅そうなヤツを重点的に1機、2機、3機………次々に頭部かコックピットを撃ちぬいている間に、いい加減撃ち過ぎたのか横面積が2倍くらいあるデカいグフがカウンタースナイプを試みてきたので煙幕を広範囲にバラまいて再びビークルモードに変形…今度は撤退するのではなく前線に突撃して本格的な加勢を行う。

 

まず最初にあのグフの親玉みたいな野郎だ…大口径砲特有のすっトロい照準を機動力を生かして振り切りつつタレット状態の長銃でグフの右膝を撃ちぬく。

 

 

がっくりと体勢を崩し、膝を突いたグフの顔面へと向かって変形解除の勢いで飛び蹴りをねじ込み、ヒートスコップで両腕を断ち切り、最後に四連装のサブマシンガンを至近距離フルオートで全弾撃ち込んだ。

 

…そのステン短機関銃を縦に四つ重ねた様な不格好なSMGを撃ち終えた後に一度リロードを挟みつつ、まだヨロヨロよ動くグフの親玉の脳天へとスコップを突き立てて動けなくした。

 

 

…その後に背後からゼータ系の機体が迫っていたので振り返り様にヒートスコップを振り上げて胸部を深く切りつけた後に肘鉄で顔面を潰し足を蹴り払いコックピットを踏み潰して息の根を止めた。

 

 

気が付けば敵はほとんど片付いており、俺達の勝利は疑う余地などない……ハズだが、いくら何でもすんなり事が運び過ぎている。

 

「部長、ほとんど片付いたぞ…だが…」

 

『ああ…温すぎる』

 

『んな!まさかこいつらは囮…?』

 

「いや、そんなはずがない…何機かよく見る面子が居る、【ゼータスクリーム】に【グフ・アイアンハイド】…。

こいつ等恐らくは【D/セップ・T/コン】だ…!」

 

『【D/セプ・T/コン】!?最近イケイケの奴らじゃねぇか!

てことはさっき逃がしたのは…まさか【サウンドウェーブ・ザク】!?』

 

『誰と戦う事になるのか分からんのがこのルール……だがこんな強豪チームと当たるとはな…』

 

「全くだ…。

――――おい待て、今誰を逃がしたって言った?」

 

『いや、だからサウンドウェーブ・ザクを…』

 

…冗談じゃない。

 

 

「………なんてこった、よりによって観測手を逃がすなんて…!」

 

『聞こえるかレオハルト!今すぐ場所を―――――――――――ッ!?レオハルト!?』

 

俺達の後方で爆音が響いた…どうやら迫撃砲使いがやられたらしい。

後方支援を潰されたことは痛いが一番の問題はそこではない、発射音がほとんど聞こえなかった事だ。

 

砲撃やロケットなら撃ち出す際に火薬の馬鹿でかい音がする…しかし高速弾を使った狙撃砲やレールガンではあそこまでの爆発は先ず起きないしレールガンは独特の発射音があるハズ。あの爆炎は迫撃砲使いの機体にしちゃ大きすぎる。

 

 

状況証拠だけでモノを言うなら、相手は滅茶苦茶強くて滅茶苦茶速いロケットか砲弾を打ち出せる事になる。

どうも嫌な予感がしてきた…なぜなら、俺はこんな芸当ができるガンプラを作れる(というか作ろうとする)人間を一人しか知らないからだ。

 

 

 

―――――気配もないのに、俺の本能的な何かがいきなり唸り上げてきて…それは“叫び”として出力された。

 

「…散れ!!!」

 

『『ッ!?』』

 

その瞬間、俺と俺の言葉に反応出来たリーダーと若造含めた数人以外は跡形もなく消し飛んでしまった。

 

 

 

「なんで対面に雇われてんだよッ…【シュトゥルムゲヴェーア】!!!」

 

シュトゥルムゲヴェーア…奴はロッテンアイアンの一員の中でも古参に位置するダイバーであり、常に500ミリのバズーカをより強くしより速く出来るかぐらいしか考えて無い、癖の強い世紀末フォースの中でも指折りのド変態だ。

奴にとって移動手段というのは自慢の大砲を運ぶだけのものでしかない。

 

 

更に追撃として、他方から戦車の化け物のようなヤツが来たかと思えば目の前で変形して悪魔の様な人型になり、リーダーに斬りかかってきた。

それだけじゃない…その取り巻き達もまたぞろぞろと出てきやがった。数こそ多くは無いが、先ほどの敵の本隊と比べればの話だ。今の俺達よりも幾分か多い。

 

「クソっ…厄介な!」

 

狙撃用に装備してある高性能スコープで辺りを索敵してみると、想像していた方角にやはりその…最早MSでもMAでも、ましてやMBTですらない“自走砲”が鎮座していた。

 

 

まるで竜の首を思わせるミノフスキーエフェクトの超大型多薬室砲を備えたソイツはマッピングテントを身に纏い、気休め程度ではあるがその身を隠している。悠々と立ち尽くす様からは分かりやすい程に余裕が伝わってきた…。

 

…そういう所だ、シュトゥルムゲヴェーア。これだからお前は昔からヘマをする。

元はと言えば奴の技術の出所は俺達だ…!

 

 

 

奴に最終レッスンをと思ったが今は只の傭兵、ただ一人の兵士。

今はチームの為に貢献しなければならないので咄嗟に長銃で狙いを付ける…が、何処に逃げていたのか、突如として側面からすべての元凶たるサウンドウェーブ・ザクが飛び出してきて、右腕のパルスキャノンを振り下ろして来たので咄嗟に長銃でガードし鍔迫り合いを繰り広げた。

 

幸い、単純なパワーではこちらに分があったので一気に押し返し、銃身を握りフルスイングでストックの鋭角部分をサウンドウェーブの顔面にぶつけた。

顔を構成していたパーツが面白いようにバラバラになって吹っ飛びよろけた所で銃口をコックピットに押し当て、引き金を引く――――その前に左手で銃口を逸らされて逆にパルスキャノンを此方の顔面に押し付けられるが、とっくの前に引き抜いていたヒートスコップでパルスキャノンを破壊。そのまま拉げたモノアイの顔面を左手で握りつぶし、最後はコックピットを右手で引き抜いて握りつぶした。

 

 

 

…今度こそはと、早急にシュトゥルムゲヴェーアの自走砲に狙いを付けて、分かり切っていた奴の“粗”目掛けて引き金を引いた。

 

――――しかし狙いは僅かに逸れて、奴の弾薬庫の表面とカメラを多少焼いただけに留まってしまった。

まさかこんな時に狙いを外すとは…そう考えたがよくよく長銃を見てみると僅かながらも分かりやすく銃身が曲がっていた…サウンドウェーブと競り合った時にやってしまったらしい。

構えやすさと命中精度を重視した結果がこれか…。

 

 

ともかく完全にしくじってしまったのは事実だ、もう奴は再装填を終えているだろうし目隠ししていてもあの爆発力と弾速の物でカウンタースナイプするのは奴の技能ならば可能だ…終わった。

 

 

 

 

 

…だが、戦局は俺を見放していなかった…!

突如として奴の背後からフレームむき出しのサイコ・ザクがヒートホークを振り下ろし自走砲の頭部と砲身を完全に破壊した!!

 

――例のElダイバーだ…!

あまりに卓越したステルスアタックの手際に見惚れそうになるところで気を取り直して長銃に弾を込め直し、今度はやや右を狙い咄嗟に引き金を引いた!

 

 

 

今度こそ自走砲に命中し、シュトゥルムゲヴェーアは誘爆したロケット砲の爆発に巻き込まれて塵と化した。

…直後、俺の目の前に化け物戦車の頭部が転がってきたので一瞬ビックリしたが、ソイツがやってきた方角を見てみると敵の残党もリーダーと若造達が殲滅してくれていたようで直ぐに俺達の勝利を告げるアナウンスが響いてきた。

 

まあ、生き残っていたのは俺とELダイバーの娘と、リーダーと若造だけだったが…勝利には変わりはない。

リーダーのサムズアップを同じくサムズアップで返すと、若造も遅れてサムズアップをした。

 

 

そして若造はELダイバーがいる方向を見た…が、彼女は余程恥ずかしがり屋なのだろうか気付けば姿を消していた。

 

「…部長、いいのか?」

 

『その内戻って来るさ…』

 

『ルカ…』

 

 

一先ず、これで彼らとの契約が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

 ◆  ◆  ◆

 

 ◆  ◆  ◆

 

 ◆  ◆  ◆

――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、少し契約の物語に続きが出来た。

…青いボブカットの、例のELダイバー。確か名前を【ルカ】という少女に偶然出会ったのだ。

 

「あ、貴方は…」

 

「…お前、たしかあの時の」

 

「………そう、貴方だったのね。

彼を…ありがとう。それと、もう一人の子にもよろしくって言っておいて……」

 

「は、は?

お、おい……!どこ行った?」

 

意味深な言葉を残して彼女は人ごみの中へと消えてしまった…。

 

 

 

やれやれと思いながら、あの時リーダーと交わした会話を思い出した。

“呪い”、そう例えるのならば…俺は今、解呪に向かっているのだろうか…そう信じていたいが。

 

このサラーフという姿は何かを楽しむためじゃない…楽しんでいた感覚を取り戻すためなんだ。

 

 

どうしても戻りたかった、そう思う自分に浅ましさを感じても…。

 

 

 

 

 

 

次の雇い先を見つけてもらうための行動を起こそうと、俺もまた人ごみの中へと消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~ ~ ~

 

「…なあ、知ってるか?

あの【とらしろ翔一】がGBN始めたって噂」

 

「え?とらしろ翔一って、あのスーツアクターの!?

マジかよ…あの人確か良く分かんないけど武術の有段者とかだったよな!?」

 

「そうそう…ゴッドガンダムとか使ったらめっちゃ強そうだよな。

本当にやってたらの話だけど…」

 

「いや…意外とガリクソンかもよ」「あー、バイクスタントも凄いからね…」

 

 ~ ~ ~

 

 

 

 

 

人込みを抜けたところにベンチがあったので、一先ずそこで休憩した。

しかしGBN、もうサービス開始から6年ほど経っているとは思えない程の繫盛具合だ…最近まで何かと仕事で引っ張りだこだったので始める機会が無かったが、これなら多少無理してでももっと早く始めればよかった。サービス開始当初からやっている弟の手も借りればよかったな。

 

この密度が心配にならないのもバーチャル空間特有なのだろう…この知らない街を歩く感覚が中々に心地いい。

 

 

「さて、と。(何処かで今の実力でも試したいが…)」

 

バーチャル空間は一通り堪能したので次はガンプラバトル、と行きたいのだが如何せんバトルの仕様が分からない。

一応元々は(短期間とは言え)GPDユーザーであったし、(昔の話ではあるが)曲がりなりにも全国大会に出た弟とそれなりには張り合えたのだから全くのドベではないと思いたいが…。

 

 

 

 

ふと、ベンチに白い花のペンダントが置かれている事に気が付いた。

誰かの忘れもの――――と思いかけた矢先に、これがゲーム内である事を思い出す…もしかすると、ゲーム内で拾う事で入手できるアイテムの類かもしれないと思いペンダントを一先ず手に取った。

 

…すると紫色の縁取りが施されたインターフェースが浮き上がってきたので三十路になってまで酷使し続けた腰を抜かしそうになったが、一先ず【SOUNDONLY】とだけ書かれた画面を見つめ続けた。

 

 

『お………………!

ち、違った。でも…今は…』

 

突然インターフェースから若い娘の声がしたのでまた腰を抜かしそうになった。

もしかしてこのゲーム、ホラーゲームだったのか?

 

 

 

『あの…いいかしら?』

 

「お、俺かい?」

 

『そう…。

――――少し、手伝ってもらえるかしら?』

 

 

 

 

 

 

  【ボーン・ア・ニューダイバー、スタート・ア・ニューレジェンド】

 

 

 

 




えっと………何気に出来が気に入らなくて消してたリライズ編、また始めます!
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