月に映る瑠璃紅色   作:エンゼ

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はい、色々あって遅れました。
納得のいく文が書けなかったんです...許してください。

あ、今回...とくに前半に多数のオリキャラや設定が出ちゃってますが、覚えなくても多分大丈夫です。私ですら覚えてないので。
そして細かいとこは気にしないでください(切実)




 

 

 

 

 

 

 

 

 ────2XXX年、資格者が誕生せん時、世界は再び現れるこの世の最悪によって支配されるであろう。

 

 

 

 これはとある神話の最後の記述だ。その神話のストーリーはまず世界に『邪神』と呼ばれる一つの生命体が生まれるところから始まる。それは『アクマ』と呼ばれる手下を生み出し世界を破滅に追いやっていた。それに危機感を抱いた人々は『アクマ』や『邪神』に立ち向かっていくのだが...全くもって攻撃等は通用しない。仕舞いには『邪神』側に寝返る人々まで出てくるのだ。

 そこで立ち上がるのは5人の戦士。一人は竜人、一人は太陽の巫女、一人はその当時最強の騎士...というように、全員一般人ではない。何かしら持ってる者なのだ。

 最初こそ全くコンビネーションもひったくれもない集団だったが、最後は力を合わせて『邪神』の封印に成功する。

 ───そう、封印なのだ。倒しきれてないのだ。さらにその後、戦士達は来世に託してそれぞれ自身の持つ力を物質にしてある場所へ封印し、息を引き取ったという。素質のある『資格者』しか扱えない物にして。

 

 

 まぁ、こんな感じのよくあるテンプレの物語のように語られるのだが......ここで不可解な点が1つ。この神話は世界各国に一言一句間違えられずに伝わっている、ということだ。つまり、ギリシャ神話や中国神話のようにその地域から発祥したわけではなく、最初から世界に伝わっていた神話だということだ。故にこれを知っている者はいないと言っても過言ではない。

 当初、この話の最後の記述は一部の熱狂的信者を除き全く信じられていなかったのだが.........ジャスト2XXX年。何故か『アクマ』が日本の一部の地域で出現し、目撃された事例が発見され、この神話の内容が本当だったと世界は認めざるを得なくなってしまった。

 

 

 ───そして時はその年から三年後。『三角博士』という人物が『ヒーローキー』と呼ばれるそれぞれの戦士達の力を物質化されたものを3つ発掘。その後にヒーローキーの力を理論上最大まで発揮できる『キードライバー』を開発するのだが...作ったドライバー5つのうち2つ消失してしまう。

 そして開発した後、博士はその失ったドライバーと共に資格者を探し回り、資格者を三人見つけれた。

 三人の名前は『真田勝人』『長良翔』『源川士郎』。それぞれ『仮面ライダードラゴ』『仮面ライダーアドミル』『仮面ライダーウィンド』となったのだ。

 三人はアクマを倒す理由は違えど、出現したアクマに関しては着実に倒していった───

 

 

 

 

 ────そして現在、三人はとある者と対峙していた。

 見た目は幼い一人の中学生くらいの子供。黒いコートのようなものを着て、頭はフードに覆われ、顔は謎のお面をつけていた。実は度々、勝人に困ったことがあるがあると突然現れてはアドバイスをしてくれていた。

 アドバイスをくれるときに言う「じゃ、君にレクチャーしたげよう」という台詞が、勝人の今はいない姉を彷彿とさせていたので、印象はかなり強かった。

 

 

「...よくもまぁ、私達の部下をこうもあっさりと...」

 

 

 淡々と、全く驚いてないように三人に対して言う。その声はノイズがかかっており、本当の声ではないなということがわかる。

 先程、ここでは多数のアクマと三人が戦っており、三人はライダーに変身している状態であった。なんとかアクマを蹴散らし、一区切りついたかと思えば...という感じで今に至る。

 

「部下?...それってどういうことだ?」

 

 理解が未だに追い付いてない勝人がかろうじて言葉を出す。当然であろう、今まで然り気無くアドバイスをしてくれていた者が実は敵だったのだから。

 

「流石だね君...いや、勝人。うん、期待して正解だったかな」

 

 初めて──初めて勝人に対して名前で呼んだ。勝人はこの人物に対して名前を名乗った覚えはない。名乗ろうとしたときには既に消えていた、そんな人物だったのだから。

 

 

「もう、これはいらないね...久しぶり、かな?」

 

 

 戸惑いを隠せない三人を余所にその者はお面を外す。同時にノイズも剥がれていく...その顔は────かつてまだ遥かに幼い勝人を庇いアクマに連れ去られ、勝人のアクマを倒す目的としている姉の『真田白』そのものであった。

 そして...彼女はコートの留め具を外し前を開け、右手に手に謎の白い物体を持たせた。

 

「...あれは...!!」

 

 仮面ライダーアドミルの翔がそう呟く。その言葉によって彼女を注目した三人は...驚いてものを言えなくなってしまった。

 前を開けて見えたのは、紛失したドライバーの内の1つが腰に巻かれている様子。右手に持っていたのは、自分達が使っているヒーローキーの色違いである。つまり、彼女は『資格者』であったのだ。

 

「いくよ?」

《サンシャインミコ!!》

 

 彼女がキーの起動スイッチを押す。そしてそのままドライバーに差し込んだ。

 

《セットオン!》

「...変身」

《ターンオーバー!! ザ・エレメンタルパワ-! エレメンタルスマート! サンシャインミ-コ-!!!!》

 

 そしてドライバーのスイッチを押して変身した。

 さらに、未だに驚きを隠せてなくて動けない三人に対して彼女は微笑んだ様子で告げる。

 

 

 

「じゃ、君達にレクチャーしたげよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◯ ◯ ◯ ◯

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいカットォォ!!!バッチリィ!!一旦休憩ィ!!」

「...ふぅ、終わったぁ...」

 

 現在、私達はとある撮影スタジオにいる。役者として。

 その役は...『真田白』、そしてその白の中にいるアクマの『クロ』役の2つ。前者は私、後者はコウが勤めるという形になっている。しかも両方悪役......ほんと、なんでアイドルデビューしてない私達がここにいて悪役やってんだろ。

 

『なかなか決まってたぜ?ルリ』

「...余裕だね、コウ」

『そりゃオレの出番無かったわけだしなー』

「...すっごいムカつく!」

『はいはい、疲れてるルリは怖くねぇぞ?』

「ぐぬぅ...」

 

 はぁ、にしても疲れた...演じるのは楽しいっちゃ楽しいんだけど...うん、疲れる。

 

 

「お疲れ様です。凉月さん」

「あ、お疲れ様です。武内さん」

 

 忙しいはずなのに毎回の撮影...てかほぼ毎日なんだけどね、それの送り迎えをしてくれる。凄くいい人だよ武内さん。

 

「...武内さん、どうしてこうなったんでしょうね」

「......やはり、あの時かと」

「ですよねー...」

『てか、それしかないだろ...』

 

 武内さんから頂いたスポーツドリンクを飲みながら、私達はその『あの時』の日について最初から思い起こし始めた。

 

 

 

 

 

 ◯ ◯ ◯ ◯

 

 

 

 

 

 

 その日、私達は346プロダクションのとあるスタジオへと向かっていた。いつもなら普通にレッスンを続ける日々だったのに、今回は何故か武内さんから集合がかかってきてたの。凄く不思議だったなぁ...直前まで忘れてたけど。

 ん、シンデレラプロジェクトのメンバー?一応現段階の全員とは会ったことあるよ。軽く挨拶した程度だけどね。

 とまぁ、そのスタジオへ向かったわけだ。割と時間ギリギリで行ってたけど遅れてないよね...?

 

 ...なんて考えてた時期が私達にもあったよ。

 

 

『...指定された控え室...騒がしいな』

「百パー遅刻だねこれ...あーもう!みくちゃん達に着いていけばよかった!」

『今日の話忘れててレッスン行ってたお前が悪いんだがな...オレも忘れてたが』

「とりあえず入室!!」

 

 今は私の人格だから全力疾走はコウより遅いけど...それでも全力。遅くはないはず!...多分。

 

 

「すみません遅くなりました!!」

「あ、瑠璃ちゃんやっと来たにゃ!」

「我が友がこの導きの刻に遅滞するとは...天変地異の前触れか?(瑠璃ちゃんが遅刻するなんて...珍しいね?)」

「Все в порядке...あー、大丈夫ですよ、ルリ。まだ、ですから」

「...うん、皆いる」

『予想通り、だな』

 

 ...ってあれ?武内さんのそばにいる三人...誰だろ。んー...ダメだ。名前出てこない...会ったことあったっけなぁ...初対面じゃなかったなら謝らないと。

 

「...凉月さん、分かっていらっしゃるかと思いますが、遅刻は厳禁です。今回はギリギリなのでなんとかなりましたが、次回以降は気をつけてください」

「す、すみません!」

『なんも言えねぇなこれは...』

 

 慌てて私達は武内さんに頭を下げる。うぅ、これは失敗だなぁ...初回の仕事から遅刻だなんて...

 

 

 

「んー、ねぇねぇプロデューサー。その人がさっき皆が言ってた『凉月瑠璃』って子?」

「はい...あぁ、凉月さん。この三人がシンデレラプロジェクトの最後のメンバーです」

「あ、初対面なんですね...よかった。えっと、『凉月瑠璃』です。よろしくお願いします!」

 

 多分同年代だろうけど敬語で頭下げて挨拶。これ常識だよね。親しき仲にも礼儀ありって言う言葉もあるわけだしね。

 

「『島村卯月』です!よろしくお願いしますね!」

「『渋谷凛』...よろしく」

「『本田未央』だよ!よろしくねルリりん!」

「る、ルリりん...?」

 

 ...三人とも属性バラバラだこれ。てか未央ちゃん、初対面の人に対して渾名つけれるとか凄い。コミュ力カンストしてるよ...

 

「...以上の15名が揃いました。シンデレラプロジェクト、始動です」

 

 ...うん、とうとう始まるのか。なんか感慨深いねぇ...

 

 

 

「なんだか賑やかだねー。何の集まり?」

 

 

 突然、出入口からとある女性が入ってきた...あれ、なんだがとっても見覚えがあるぞ...?

 

「『カ、カリスマJKモデルの城ヶ崎美嘉!?』」

 

 ...ん?なんでかな。未央ちゃんの声とコウの声が重なったんだけど...?

 

『や、やべぇモノホンだ!すげぇ...こんなところで会えるなんて!』

「コ、コウがこんなに興奮してるの初めてかも...」

『ったりめぇだろ!?オレのダンスの練習で見てた動画には城ヶ崎美嘉のもあったんだからな!憧れるのは仕方ないもんだ!』

「そ、そうなのかなぁ...」

『んでな、その城ヶ崎美嘉のダンスがな────

 

 

 

 とまぁ、コウが城ヶ崎さんのダンスについて熱ぅぅく語っていると、いつの間にか城ヶ崎さんは居なくなっていた。あれまー...これかなり時間過ぎちゃってるわ。

 とりあえず私は武内さんに指示されたようにメイクをして頂いて、順番を待つ。順番は最後から二番目だ。

 

「それでは凉月さん。スタンバイを」

「はい......ほらコウ、もう撮影始まっちゃうから止めにして!」

『あー?これからがいいとこだってのによー...』

 

 今日の仕事は宣材写真を撮ること。宣材写真ってなぁに?って聞かれても私は答えられないだろうし、コウも答えられないと思う。多分読んで字のごとく、だろうね。

 

「凉月さんは瑠璃さん、コウさんの二枚を撮って頂くことになります」

「了解です」

『オレの分まで撮るのか...』

 

 

 

 そして始まった撮影...うぅ、かなり緊張する...

 

「笑顔固いよー瑠璃ちゃん!ほら、もっと自然に!」

 

 ひぇぇぇ...

 

「ど、どうしよコウ!!」

『どうしようったって...あ、そうだ。ルリがスカウトされた時みたいな感じでやればいいんだ』

「え?」

『だからさ、楽しいこと考えればいいんじゃないか?ほら、確か今日あのゲーム、メンテで新たな改装が追加されてたろ?』

「あ、そうだね!」

 

 その娘は私が初期から使ってた娘であんまり一般的には強くないキャラクターだったんだけど...今日めっちゃ強化されるんだ!コウはこのゲームは触れないから私一人でプレーしてるんだけど...よくその情報仕入れたよね。ふふっ、楽しみだなぁ...

 

「お、その笑顔いいねぇ!」

「っ!!」

 

 は、やってしまった...めっちゃだらしない笑顔になってると思うんだけど...!?

 

「はいじゃあ二枚目撮るよー!」

『おっし、変わるぞルリ!』

「え、あ、うん!」

 

 

 

 コウの撮影が一瞬で終わって、コウについて皆が不思議に思って問い詰めてきて、色々して、最後の撮影まで終了した後、全員集合での撮影をし終わった後......撮影スタジオにとある初老の男性がやって来た。

 

「どうも、武内プロデューサー」

「おはようございます、紀寺原さん」

「ほうほうなるほど...すまないが、さっき撮影した写真を見せて頂けないかい?」

「...なるほど、もうそんな時期なのですね。こちらになります」

 

 ...知り合いなのかな。親しいっていうのとはちょっと違うと思うけど...

 

「我が友よ、あの歴然の指揮官のごとき佇まいをしているのを誰か存じてるか?...そして、我に無理して合わせなくてもよい(瑠璃ちゃん、あのなんか凄そうな男の人が誰か分かる?...そして私の口調に無理に合わせなくていいよ?)」

「え、あー...分かんないな。それとごめんね。ありがと」

 

 今日は冴えてるのかな。なんとなく蘭子ちゃんの言ってること分かる。

 合わせなくてもよいってのは口調のことだよね?そういうことにしておこう。

 すると、武内さんがこっちを見て手のひらをその人に向け、私達のほうを向いて話始める。

 

「この方は『紀寺原監督』です。皆様が一度は聞いたことがあろう『仮面ライ◯ー』の監督をしておられます。それらを演じる方達は基本新人ばかりで、紀寺原さんの主観で選ばれるのが有名です。俳優部門以外にもアイドル等も選ばれていることもしばしばあります。去年もこうして、アイドル部門やモデル部門等を回っては役者を探しておられたとか」

 

 なるほどねー、もしかしたら選ばれるかもねー、などと蘭子ちゃんと軽く雑談をしていると...その紀寺原さんの様子が変わった。

 

「み、見つけた...武内プロデューサー。この娘は?」

「...『凉月瑠璃』さんですね。写真が二枚なのは彼女が二重人格系アイドルであるためです」

「二重人格...いい!いいじゃないか!!ちなみにその娘のスケジュールは空いているかね?一応出来ている台本を渡しておこう。あぁ、撮影は一週間後になる。連絡はそれまでに頼むよ。台詞はほとんど無いし、最初の方は声だけになるだろうからあまり緊張はしないはずだから是非お願いしたい。おっと、忘れるところだった。それでね────」

 

 

 

 

 

 

 ◯ ◯ ◯ ◯

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてなんやかんやあって今に至る、と...はぁ、思えばかなり濃い日だったなぁ。

 私達以外のその日の後?うーん...そうだね、卯月ちゃん、凛ちゃん、未央ちゃんの三人が城ヶ崎さんの今度のライブのバックダンサーに選ばれてたことかな?私はこの話でいっぱいいっぱいだったけど、コウは泣いて悔しがってたなぁ...珍しいコウだったよ。うん。

 

「あ、そういえば武内さん。もうデビューのこととかについては考えているんですか?」

「現在、企画検討中です」

「ま、そうですよね」

『始まったばかりだしな。こうやって仕事があるのは幸運なことだろうし』

 

 休憩しながらこうやって話していると...

 

「撮影五分前でーす!」

 

「あ、もう行かないと!すみません武内さん、行きますね」

『次はオレの撮影かー...頑張らないとな』

「はい、頑張ってください」

 

 さて、頑張ってねコウ。

 

 ...うーん、そろそろアイドル関連で何かしたいなー...なんて、我が儘かな?




批判される未来しか見えない...

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