月に映る瑠璃紅色   作:エンゼ

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まず一言


遅れて申し訳ありませんでしたぁ!!




 

 

 

 

 

 

「『芸名』ですか?」

「はい」

 

あの卯月ちゃん達のライブからある程度日にちが経って、レッスンやたまにある撮影に明け暮れている日々を送っているときに私は武内さんにそう告げられた。

...え、なんで芸名?

 

「身バレしたくないとか、インパクトのある名前にしたい、等々多数の理由で様々の芸能人の方々は芸名を作ります。勿論、作らない方もいらっしゃいますが...凉月さん、貴女はどうされますか?」

 

んーまぁ確かに俳優さんとかは芸名だよね。文豪とかだってペンネームとかだし。

...コウはどう思う?

 

『どうって...別にそのまんまでいいんじゃないか? 前いた孤児院の院長が付けてくれた大切な名前だろ?』

 

うん、この名前は割と本気で気に入ってる。瑠璃色って私好きだし、私の色って感じもするから。

でも...でもね?

 

「そこにコウは入ってないような気がする...」

「...凉月さん?」

「はいぃ!? な、なんでもないですよ!!」

「...?」

 

...ってあれ? そういえば他の人から芸名にするか聞かれたなんて話は聞かないなぁ...私だけ? なんでだろ...

 

「一応ですが、このプロダクションに所属している全員には同じ質問をしています。今回、凉月さんは既に俳優業をしており、そこで名前が入るため早めに確認しておきたかった次第です」

 

お、おぅ...さりげなく心読むね武内さん。

芸名...かぁ。

 

「...とりあえず、考えさせて頂けないでしょうか...?」

「申し訳ありませんが、期限は今週末までです。有無関わらず出来るだけ早めに言いに来てください」

「分かりました。失礼します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おいおい、保留にしちまったけどいいのか? 後で締め切りに追われるとか面倒だぞ』

 

私が学校で締め切りに間に合わなかった事ってある?

 

『...ねぇな』

 

そういうこと。

それにしても...何か無いかなぁ。

コウは『私』だけど「私」はコウじゃないし、逆もそう。哲学の域に達してる気がするけど...まぁ簡単に言えば「瑠璃」という私は『コウ』ではないってことなんだけど...あれ、更に難しくなった?

...とにかく、何が言いたいのかって言えば《凉月瑠璃》は「私」の名前であって『コウ』の名前じゃあ無いってこと。『コウ』にはコウって名前があるからね。でも「私」と『コウ』揃って《凉月瑠璃》なんだよね......あれ? なんかおかしいぞ?

 

...オホン...仮に、私が実名でアイドルデビューしたとしよう。そしたら「私」は有名になるだろうね。でも『コウ』は?

きっと世間はコウを「瑠璃」として見られると思う。『コウ』じゃなくて。

二重人格だなんて初見で思うわけないもんね。

世間にもコウはコウとして見てほしい私としては芸名は考えたい。だけど...だけど...!!!!

 

 

 

 

「私にセンスを下さい...!!!!」

 

 

 

 

私は壊滅的なセンスだったよ...武内さん...

思い付いたのはどれもなんか良く分かんない感じになってしまってる。なんだよこの『赤青』って。名前にこれはないね。

コウってなんか赤っぽいから赤で、瑠璃色って青っぽいから適当に足したのがこれ...なぁにこれ。

 

『...なぁルリ、そんなの考えなくていいんだぜ? お前が言いたいことは理解は出来るが、オレは大丈夫だ。お前はオレ、オレはお前なんだからな』

 

...でも、

 

『さっきも言ったが、お前には「瑠璃」という立派な名前があるんだ。それで十分じゃないか?』

 

......うん、確かにコウの言う通りかもしれない。でもね...これは私の我が儘だよ。

 

『我が儘?』

 

コウにもね、色々見てほしいんだ。アイドルの世界...をね。だからそこにコウのいた痕跡を残したいんだ。

...ダメ、かな?

 

『...しゃーねぇ! そこまで言うならもう何も言わねぇ。ありがとな、ルリ!』

 

うん、ありがとコウ!...さぁて、行こうか!

 

『は? どこに?』

 

決まってるじゃん! 多分、シンデレラプロジェクトの中で一番センスと語彙力があるであろうあの人のとこだよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...なるほど、それで我のところへ来たと言うわけか(い、一番センスある、かぁ...えへへ)」

「うん、お願い出来ないかな蘭子ちゃん」

「よかろう! 同胞のために我が力、存分に使うがよい!!(任せてください!!)」

『なんだ、蘭子のことだったのか。確かに語彙力っつー点じゃあ多分このプロジェクト一番だな』

 

そういうこと。蘭子ちゃんは普段から日常的には全然使わない語句を使って話すからね。前は私も合わせてたけど結構ついていけてなかったし...

蘭子ちゃんなら私の底辺のセンスよりも確実に上の案を出してくれるはず...!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────その結果がこれだよ...ってね。

蘭子ちゃんが厨二目線入ってること割とマジで忘れてたよ...漢字表記でカタカナ読みはちょっと...ね?

途中で蘭子ちゃんにも指摘したらあ...って顔されてなんか謝られちゃった。ノリノリになってたもんね...うん、仕方ないよ。

はぁ...どうしよっかなぁ...

 

『...ん? 待てルリ、あれに書いてるやつ...なんてどうだ?』

「...え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「事務所メンバー突撃訪問ってね! さぁさぁルリリン、コウルン! 自己紹介宜しくぅ!」

「こら未央、瑠璃とコウ、戸惑ってるでしょ? いきなりは厳しいって」

「そうですよ。普通は戸惑っちゃいますからね」

 

本日はシンデレラプロジェクトの頑張りますーみたいなインタビュー動画の撮影日。どうやらカメラを回すのはこの前ライブに出たあの三人みたいだ。

既に武内さんには芸名に関して報告済み。今日から私達はこのプロダクション内だと名前が変わる。

 

「ううん、大丈夫だよ」

 

そうだよね? コウ。

 

『当たり前だろ? いつでもいいぜ』

 

うん、一緒に、ね!

 

 

 

 

 

「『《凉月(すずつき)紅瑠璃(くるり)です()。まだまだ未熟ですが(だが)、宜しくお願いしますね(頼む)!』」




割と間違い多そうなんであったら優しく指摘してください......
あともう一度、すみませんでした

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