波の国の任務を終えて木の葉に戻った俺達第八班には、再びDランクやCランクの依頼をこなしながら修業をする日々が戻って来た。
尚、ガトーの一件で里の人間のアスマに対する評価は急上昇し、流石三代目の息子だの次期火影の座に一歩近くなっただのという話が里のあちこちで囁かれる様になった。
もっともアスマ本人は紅からの評価を得る事が一番重要なのだろうが、当然の事ながら紅は我関せずという態度で俺達の任務や修業の指導に勤しんでおり、少々不憫に思えてくるが今更紅をアスマに渡すつもりは無いので忍者らしく耐え忍んで貰うだけである。
そして6月の下旬に差し掛かったある日。いつも通り修業を続けていた俺達の頭上の空を一羽の鷹が飛んで行くのが見えた。
「あ~疲れたってばよ。オッちゃん、味噌チャーシュー大盛りだってばよ」
「お前は相変わらずのラーメン馬鹿だな。チャーシュー1枚寄越せよ」
木の葉の里で営業するラーメンの屋台一楽で、ナルト達第七班のメンバーは任務完了の打ち上げも兼ねた食事をしていた。
「へへ~ん、誰がやるかってばよ。そう言えばさ、カカシ先生は何処に行ったんだってばよ?」
ナルトはラーメンを奢らせようとしたのに突然急用が出来たと言って消えてしまったカカシの事を思い出して両隣に座るキバとシノに尋ねた。
「お前本当に人の話聞いてないな。先生は任務の報告書出しに行くって言ってただろ」
「そう、しかし俺はそれだけでは無いと思っている。何故なら先生はその直前に……アレは」
相変わらず回りくどい言い回しをするシノがふと視線を向けた先には見慣れない二人組が歩いていた。
「なんだアイツら?里の人間じゃねえな」
「恐らくアレは砂隠れの忍者だ。何故なら額当てを見ればすぐ分かる」
額当てという分かり易い身元証明をシノが指さすと、二人組が砂隠れの忍者だと聞いたナルトはアカデミー生時代から変わっていない猪突猛進を発揮して砂隠れの二人に突っかかって行く。
「おいお前等!!どうして砂隠れの奴が木の葉に居るんだってよ!!」
「ああん?何なんじゃんお前?」
黒い装束に包帯に巻かれた等身大の物を担いだ男は突然現れたナルトを訝しむと、金髪を四つ束に纏めた特徴的な髪型をした女はナルトの言動と振る舞いを見て見下した様にナルトを鼻で笑った。
「見たところ木の葉の忍者みたいね。しかも間違いなく下忍確定の」
「ヘッ、木の葉の下忍がこんな奴ばっかりなら今度の中忍選抜試験は楽勝じゃん」
「ちゅ、中忍選抜試験?何だってばよそれ?」
ナルトの質問に答える事も無く二人の砂隠れの忍者は、お前には一生関係ない話だと言い残してその場を後にし、残された第七班の面々は二人をぶっ飛ばしてやると暴れるナルトを取り押さえるのに苦労するのであった。
「えっ、先生急用ですか?じゃあ今日の先生の家での反省会は?」
「残念だけど今日は中止ね。まったく、下らない招集理由だったら許さないわよ」
紅が招集の連絡を受けた所為で恒例の反省会は急遽中止となり、ならば3人だけでもと言っていたサクラとヒナタもそれぞれに用事が出来てしまい実家に帰ってしまう。
「久々に一人だけで過ごす事になるか……ん?そう言えば時期的に中忍選抜試験が始まるのか」
中忍選抜試験とはその名の通り下忍の中から中忍に相応しい物を選別する試験であり、木の葉の里だけでは無く同盟国の忍者も合同で行われる為、今頃各里から木の葉の里に試験を受けに多くの下忍が訪れている筈だ。
「一番の問題は大蛇丸だな。もし呪印なんて刻まれたら一族復興どころじゃなくなるぞ」
テマリやテンテンなど中忍試験で関係を深める事が出来る相手を取るか、大蛇丸対策として中忍試験を受けずに試験の期間中は紅達と共に木の葉を離れるべきか。
ある意味今後の俺の人生を決定付けるであろう選択に悩みながら歩いていると、俺の目の前に木の葉の忍者では無い3人組が立ち塞がった。
「うちはサスケ君……ですね?」
一人は顔の大半を包帯で包み、右腕に忍具を装着した男。
「ちょっと俺達に付き合ってくれよ」
もう一人は死の文字が縦に三つ並んで書かれている服を着ている男。
「素直に言う事聞いた方が身の為よ」
最後の一人はかかとまで届く黒い長髪の女であり、それぞれ音符を記した額当てをしていた。
このタイミングで俺に接触して来た音忍三人組に驚きつつも、それを顔に出さない様に平常心を保ちながら三人の背後に向かって指を差す。
「人違いだな。サスケだったらあっちに居るのが本物だぞ」
「つまらない真似は止めた方が良いですよ。僕達はこう見えて残忍な性格ですから」
そう言いながら右腕を俺に向けようとする音忍ドス・キヌタよりも早く印を結び、俺は波の国で再不斬からコピーし白との性質変化の修業で使用可能になった術を発動させる。
「ぶ、分身の術!?いや、この鼓動音は実際にそこにもう一人居る!?」
「水分身の術だ。水の無い所だからこの人数が限界だけどな」
そう言って俺は敢えて影分身の術では無く練度の低い水分身を3人分作り出すと、ドス達が戸惑っている隙を突いて四方に散開し逃走するのだった。
サスケが去った方角を右往左往し、音忍の一人ザク・アブミは苛立ちを隠せず大声を発した。
「クソッ!!おいドス、どれが本物のサスケだ!?あの野郎絶対ぶっ殺してやる!!」
「多分あっちに逃げた奴だけど……まあ深追いする必要はないよ」
激怒するザクとは対照的に3人のリーダー格であるドスは冷静に一連の流れから得た情報を元にサスケへの評価を改めて採点し直した。
「うちは一族は火遁が得意だと聞いてたけど水遁も使えるんだね。しかもあの逃げ足の速さは相当スピードに自信が有りそうだよ」
どうやら3人がサスケに接触した目的は情報収集の意味も有ったらしく、ドスとザクは次にサスケに会う時は自分達に課せられた任務の果たす時だと話ながら笑みを浮かべていた。
(フフフ、思ってたよりも優秀そうで安心したわ。サスケ君……やっぱりアナタの体は魅力的よ)
そしてドスとザク、当然この場に居ないサスケも気付く事無く、異様に長い舌で舌舐めずりをする人物がその場に存在したのであった。
今回アンケートを用意しています。
使うのが初めての機能なので不手際が有った場合は改めて謝罪します