遂に中忍選抜試験が開始された。
最初の試験は筆記試験だが当然只の学力テストでは無く、試験官の目を誤魔化してカンニングをして解答欄を埋めるという情報収集能力を試験するのが目的だ。
俺は写輪眼を使い正解を記入している奴の動きをコピーするというカンニング方法で試験開始後45分経過してから出題される10問目以外の解答欄を全て埋め終えると、テマリやキン・ツチなど後に行われる二次試験以降に関わるであろう人物を見定めていく。
そしてイビキの出題した10問目のテストも終了し、いよいよ中忍選抜試験の第二次試験が始まろうとしていた。
「ヒナタ、例の草隠れの忍者達は15番ゲートで間違いないんだな?」
「う、うん。だから私達12番ゲートとはそう遠くない位置に居るみたい」
申し訳無さそうにそう答えるヒナタだったが、こればかりはクジ運が悪かったと思うしかない。
第二次試験が始まる前、試験官であるみたらしアンコと草隠れの忍者に偽装している大蛇丸とのやり取りを確認した俺は、5日間の巻物争奪サバイバルよりも5日間どうやって大蛇丸から逃げ通すかに重点を置いていた。
「ねえサスケ君、あの草隠れの連中ってそんなにヤバい連中なの?」
「ああ、特にあの舌の長い奴はハッキリ言って上忍が束になっても勝てない奴だな」
流石に相手が伝説の三忍の大蛇丸だとは明かす事は出来ないが、それでも大蛇丸の脅威はサクラ達に伝えておくべきなので危険な人物が下忍に化けて紛れ込んでいるとだけ二人に説明する。
「取り敢えずヒナタは白眼を使って奴らが近付いて来ないか見張ってくれ。他の受験者は俺とサクラで対処するから、兎に角草隠れの連中だけに注意してくれればそれでいい」
そして俺達の目の前のゲートが開かれ、第二次試験死の森でのサバイバル演習が開始された。
「はぁはぁはぁ……大蛇丸、アナタは私が止めてみせる」
第二次試験が開始されて数時間が経過した頃、試験官のみたらしアンコは息も絶え絶えにし、這う様にして死の森の中を歩いていた。
アンコは二次試験開始後に本物の草隠れの受験者の遺体発見の報告を受けると、それが大蛇丸の仕業であると判断して直ぐに死の森に入って大蛇丸を捜索した。
そしてサスケを探していた大蛇丸を発見して戦いを挑むも、アンコ一人では敵う相手の筈も無く返り討ちに遭い、取り逃がしてしまっていた。
「も、もし大蛇丸がうちはサスケに接触したら木の葉は……あ、アンタ達は」
大蛇丸の目的がうちはサスケだと知る事が出来たものの、首筋に刻まれた呪印の影響で体が思う様に動かせないアンコの前に一組の受験者達が現れた。
「おや?誰かと思えば試験官様じゃねえか。こんな所で何してんだ」
受験者達は大蛇丸の配下の音忍三人組であり、その中の一人ザクは満身創痍のアンコを見下す様にしてほくそ笑む。
「グッ!!アンタ達、大蛇丸に指示されて私を始末しに来たの?」
「は?何言ってるんだお前。大蛇丸様がどうしたってんだよ」
大蛇丸の名を聞いたザクは、どういう意味なのかアンコから詳しい話を聞き出そうとして髪の毛を掴んで頭を引き上げる。
「痛っ、どうやら私の勘違いだったみたいね。アンタ達ここに大蛇丸が居る事も知らなかったみたいだし。無駄な質問して損したわ」
「こ、このアマっ!!もう許さねえぞ!!」
アンコは自由の利かない体で精一杯の煽りをするが、それが却ってザクのプライドを傷つけ、ドスが制止するのも無視してアンコに自身の掌に空けられた穴を向ける。
しかしその時、何処からともなく飛来した苦無がザクの腕に突き刺ささり、その痛みからザクはアンコの髪を手放した。
「おい、大丈夫か?」
「あ、アンタは……うちはサスケ」
大蛇丸からの逃走を目的に加えたサバイバルをしていた俺達第八班の前に、音の忍者に襲われているみたらしアンコの姿が飛び込んで来た。
大蛇丸のリスクを考えれば素通りする事も選択肢としては有りだったかもしれないが、やはりそのまま放置する事も出来ず、俺は初対面では逃走一択だった音忍達の前に再び対面する事になった。
「ち、チクショウ!!うちはサスケぇ!!」
「喚くなよ。それに今は巻物争奪中なんだから攻撃仕掛けても文句言われる筋合い無いぞ」
手の甲を貫いた苦無を無理矢理引き抜いたザクは俺に憎悪を込めた視線を向けて来た。
俺はサクラにアンコの介抱を任せ、ヒナタに引き続き大蛇丸の警戒を続けさせると、現時点ではこれ以上変化する見込みの無い三つ巴状態の写輪眼を発動させる。
「おいドス!!キン!!今こそ大蛇丸様の命令通りうちはサスケを始末するぞ!!」
「君に命令されるのはシャクだけど、ボクもそのつもりだったから付き合ってあげるよ」
「うちはサスケ、大蛇丸様の命により私達がお前を殺す」
自分達が大蛇丸に捨て駒にされてるとも知らない音忍三人組に対し、この後待ち受けている末路に少しだけ同情するが、そんな俺の心情を知る訳も無く音のくノ一キン・ツチは鈴の付いた千本を投げつけて来た。
それらを全て回避していくと予想通り鈴の音を利用した幻術を仕掛けてきたので、俺はすぐさま写輪眼で幻術返しをすると同時にキン・ツチに金縛りの術も掛けて身動きを取れなくした。
「なっ!?ぐっ、動けない!?それにどれが本物のうちはサスケなの!?」
「バカだねキン・ツチは。あれだけ写輪眼の幻術には注意しろって言ったのに」
そう言いながらドスとザクは目を閉じると、第一次試験でカンニングをしていた様に音だけで俺との戦闘を続けようとする。
「さっきの苦無のお返しだ!!喰らえ斬空破!!」
苦無で潰されなかった方の掌からザクは得意忍術を放つが、両腕を使用した斬空極波ならともかく片腕だけなら俺が新たに使用可能になった性質変化の術で十分対応可能だ。
「風遁・烈風掌」
「な、何っ!?コイツ風遁まで使えたのか!?」
斬空破を相殺された事に動揺したザクの隙を突いて一気に間を詰めて当て身を喰らわせ昏倒させると、残されたザクは二人が短時間で倒されてしまった事に動揺する事無く俺と対峙する。
「まさか此処までやるとは思わなかったよ。でも、ボクの術は防ごうと思っても防げないよ」
そう言いながら右腕に仕込まれた相手の聴覚を攻撃する術を使おうとするドスだったが、それよりも先に俺の幻術が発動した事で自らの体が動かせない事に初めて動揺を露わにする。
「こ、これはまさか幻術?目を閉じていたのにどうして」
「お前の仲間のくノ一の鈴を利用させて貰った。俺が視覚だけで幻術に嵌めると思い込んだのがお前の敗因だな」
先ほどキン・ツチが投げつけた千本の鈴を鳴らしながらドスの体を物理的に拘束したのち意識を断つと、俺は音忍3人組が保有する巻物を奪い取り、俺達が持つ天の巻物では無く地の巻物である事を確認する。
「コレで取り敢えず試験突破の条件は満たしたな。後は塔へ向かうだけか」
「な、成程ね。大蛇丸がアンタの体を欲しがる訳だわ」
音忍達を撃退し終えた俺達はこの場にもう用はないとアンコを連れて塔に向かおうとするが、もし可能なら音忍を一人尋問の為に連れて行く事は出来ないかと尋ねられた。
「ちょ、ちょっと。これ以上サスケ君に負担掛けさせるつもりなんですか?」
「情報は重要な武器だって一次試験で学んだ筈でしょ。私だって自分が情けないお願いしてるって分かってるわよ」
俺は元からキン・ツチは情報を聞き出す為と言って連れて行くつもりだったのだが、特別上忍としてのプライドを押し殺して俺に頼みこむアンコの姿に、その事を隠してアンコの要望を聞き入れた風を装うことにした。
「分かったよ。でも、さっき助けたのと今のとで貸し二つだからな」
そう言ってキン・ツチに幻術を掛けた俺達は塔に向かって移動し、途中で合流する事になった暗部に護衛されながらゴールである塔へと辿り着くのであった。
サスケ達が塔へ辿り着いた丁度その頃、ドスとザクはようやく自らの拘束を解き終えて、自分達を完封したサスケに対して復讐を誓っていた。
「チクショウ!!うちはサスケめ!!この借りは絶対に返してやる!!」
「無理よ。アナタ達は所詮サスケ君の噛ませ犬に過ぎないもの」
声を荒立てて興奮するザクに声を掛けたのはいつの間にかその場に現れた大蛇丸であった。
「大蛇丸様!?俺達が噛ませ犬ってどういう意味ですか!!」
「そのままの意味よ。でも安心しなさい、アナタ達にはこれから別の役割を与えてあげるわ」
噛ませ犬発言に憤りを隠せないザクとドスを一瞬で昏倒させると、その場である禁術の為の処置を二人に行い始めた。
「よろしいんですか大蛇丸様。彼らをこんなに早く使い捨てにしても」
「使い捨てなんかじゃ無いわ。この場合はリサイクルって表現が適切よ」
気配を消して背後に現れた部下の薬師カブトに振り向く事無く処置を続ける大蛇丸だったが、ふと何かを思いついたのか、ドスの頭部に札の付いた苦無を刺しながら笑い始めた。
「ふふふ、良い事思い付いちゃったわ。サスケ君には呪印の他にもう一つ、とっておきのプレゼントを上げてみようかしら」
「プレゼントですか?まさか大蛇丸様、あの細胞をサスケ君に移植するつもりでは?」
動揺するカブトに背を向けたまま、大蛇丸は自分がやろうとしている事のリスクの高さと、もしそれが成功した場合の見返りを想像して笑い続けるのであった。
アンケートの結果は以下の通りになりました。
中忍試験で大蛇丸がサスケに与えようとする力
(11) 呪印
(57) 柱間細胞
(16) 万華鏡写輪眼
(99) 1~3全載せ