SASUKE復興伝(ただし中身は転生者)   作:メロンペン

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更新頻度は不定期です。


第八班結成前

アカデミーの一室に設けられた上忍控え室で、新米上忍のくノ一である夕日紅は自分が担当する事になる第八班の下忍達のプロフィールに目を通しながら溜息を吐いていた。

 

「どうした紅、溜息なんて吐いて悩み事か?」

 

そんな紅の様子が気になったのか三代目火影の息子であり、第十班の担当上忍となる猿飛アスマは煙草を片手に紅の側に座って、その手に持つ資料を覗き見しようとする。

 

「ちょっとアスマ。アカデミーの校舎は禁煙だって言われてたでしょ。それに、これは私の担当する子達の個人情報なんだから勝手に覗き見しないで」

「ん?そうだったか?まあ固い事言わずにちょっとそれ見せて見ろ。どれどれ……」

 

紅の手から資料を抜き取り、咥え煙草でそれを読むアスマだったが一通り目を通した所でニヤリと笑みを浮かべる。

 

「成程、これは新米上忍のお前には少し荷が重いかもな」

 

その態度が気に障ったのか、紅はアスマの手から資料を奪い取ってキッと睨み付けた。

 

「どういう意味よ。事と次第によってはアナタでも許さないわよ」

「ははっ悪い悪い。しかし、まさかあのうちは一族の生き残りをお前が担当する事になるとはな。俺はてっきりカカシの奴に押し付け……預けられるかと思ってたんだがな」

 

謝罪の言葉とは裏腹に、悪びれる様子も無く笑っているアスマに対して憤りを感じた紅であったが、これも彼なりの不器用な気遣いなのだろうと思う事にし、再び手にした資料をもう一度一人ずつ確認し始めた。

 

 

 

 

 

登録番号012601春野サクラ。忍術○ 体術△ 幻術○ 協調性○ 積極性○ 授業態度◎

アカデミー在学時は筆記テスト等の座学は常に満点の優等生ではあるが、それ以外は特筆すべき長所は無く、平均的な卒業生レベルと評価されていた。

 

 

(彼女は特に問題なさそうね。教師からの評価は平凡だけど頭も良さそうだし、もしかしたら私と同じで幻術の才能が有るかもしれないわね。次は……日向の宗家の子ね)

 

 

登録番号012612日向ヒナタ。忍術○ 体術◎ 幻術○ 協調性◎ 積極性△ 授業態度◎

木の葉の名門である日向一族の宗家の長女である彼女は、アカデミー入学当初は気弱で引っ込み思案の性格と、当主であり父親である日向ヒアシから「この子には才能が無い」と評された通りでやや落ちこぼれ気味あった。

だが、数年前から徐々に自信と実力を付けていき、今期の卒業生の中で上位に入る実力であると評価されていた。

 

(日向宗家は色々厄介事が有るって噂だし、彼女は彼女で問題ありね。そしてこの子が……)

 

 

登録番号012606うちはサスケ。忍術◎ 体術◎ 幻術○ 協調性△ 積極性△ 授業態度○

実の兄であるうちはイタチによる一族虐殺事件の唯一の生き残りであり、複数の教師の証言から既に写輪眼を開眼している今期の首席卒業者である。しかし他の生徒と比べて特別抜きん出ているという訳では無く、次席である油女一族の生徒と甲乙つけがたい差であると評価であったが……。

 

 

(実力云々は別として、兄であるイタチに対して復讐心を持っていない訳が無い……か。本当にそうだったとしたら面倒な子を預かる事になるわね)

 

 

「ま、そうやって教え子の事に悩むのも上忍としての務めだな。それよりまだ時間が有る事だしこれから一緒に飯でも……」

「猿飛アスマさん、校内は禁煙だって私説明しましたよね?その手に持ってる物は何ですか?」

 

背中越しに聞こえてきた声に固まり、恐る恐るアスマが振り返るとそこに立っていたのは、清く正しく美しくを教育方針に掲げているくノ一クラスの女教師のスズメであった。

 

「す、スズメ先生。こ、これはですね。その……お、おい紅何とか言ってくれ」

「自業自得でしょ。スズメ先生、ルールの守れない上忍にたっぷり説教してあげて下さい」

 

悪さをしたアカデミーの生徒の様に廊下に立たされて説教を受けているアスマを尻目に、紅は復讐に囚われたサスケを正しく導く事が出来るのだろうかとまた深く溜息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、本音では嬉しい夢の班について頭を悩ませていたサスケは、空き教室に一人で居た所を何者かに襲われて縛られ、現在縄抜け術の真っ最中であった。

 

 

「あ~ようやく抜けられた。ナルトの野郎、こういう所だけ原作通りにしやがって」

 

襲ってきた相手の正体は勿論うずまきナルトであり、言い訳にはなるが別々の班となった事で襲ってくる訳ないだろうという思い込みで油断していた所に、影分身の術を使った人海戦術の奇襲の前ではいくら俺が写輪眼を使えるとしてもナルトを返り討ちにするのは難しかった。

 

ナルトは俺を縛りつけた後、原作通り俺の姿に変化して「ざまあみろ」と捨て台詞を吐いて教室を去って行き、今頃サクラの元に居るか、腹を壊してトイレに籠っているかのどちらかであろう。

 

「でもま、おかげで影分身の術をコピーする事が出来たんだからそこだけは感謝しないとな」

 

もっともナルト程チャクラが多く無い俺は千人の影分身は当然の事ながら不可能で、その百分の一である十人前後作り出すのが精一杯ではあるのだが、それでもこの術が使えると使えないではあらゆる面でその難易度が変わってくる。

それに原作でナルトだけの修行法と言われた影分身を使った修業時間短縮法も、兵糧丸を摂取してチャクラを回復・増幅をすれば恐らく自分にも使用できるかもしれない。

 

 

「兵糧丸代で財布がかなり厳しくなるだろうけど早速今夜から試して……あ、そろそろサクラの所に行った方が良いか?」

 

俺に化けたナルトに騙されて、今頃待ちわびているであろうサクラの元に向かた方が良い思い廊下に出ると、偶然そこには、先程事故でその唇を奪った相手である山中いのがブツブツと独り言を言いながら廊下の窓にもたれかかっていた。

 

「サスケ君……どうしてサクラにあんな風に……。私とのキスは只の事故だったって言うの?」

 

どうやらいのは俺に変化したナルトがサクラに迫る例の場面を目撃したらしく、俺と別々の班になったショックとのダブルパンチで普段の気が強く堂々とした姿は見る影も無く落ち込んでいた。

 

「はぁ~サクラだけには負けたくなかったんだけどなぁ……サスケ君……」

「それ、俺じゃなくてナルトだぞ」

「きゃあ!!さ、サスケ君!?ど、どうしてここに!?それよりさっきのがナルトって一体どういう事なの?」

 

気付かれない様にこっそり近づき後ろからそう告げると、驚きのあまり俺が相手なのも忘れて事情を聞こうと詰め寄ってきた。

 

「そのままの意味だ。俺は今までナルトの所為でこの教室の中にずっと居たんだ。で、それにも関わらずお前が俺の姿を見たって事は……」

 

縛られていた事はぼかしつつ事の詳細をいのに説明すると、先程まで落ち込んでいたのが嘘の様に明るくなり、ナルトに騙されたサクラを小馬鹿にする程に元気を取り戻していた。

 

「な、な~んだ。私も本当はおかしいなって思ってたのよ。それにしてもやっぱりサクラは大した事無いわね。ナルト程度の変化の術も見破れないなんて。もう一回アカデミーを通い直したらいいんじゃないかしら」

 

「という事はさっきまで誤解していた誰かも同じ様に通い直すってなるんじゃないか?」

 

いのの発したブーメラン発言にツッコミを入れると効果は抜群だったらしく、誤魔化そうと必死に取り繕い始めるその姿を見ると、今まで手を出さず放置していた事を段々と後悔し始めてきた。

 

 

(まだ集合まで時間もあるし、今からサクラの所に行くより……)

「そ、そう言えばこんなにサスケ君と話したの私初めてかも。と、ところでさっきの教室での事なんだけど……アレ、私のファーストキスだから」

「さっきの事故の事か?悪かった、ちゃんと受け止めてればあんな事起きずに済んだんだが」

 

あくまでもアレは事故で俺はそれ以上の事は気にしていない風を装うと、いのは目に見えて落ち込んでしまったので、俺は周囲に人が居ない事を確認して一歩ずつ近づいていく。

 

 

「そ、そう……あ、あれ?サスケ君そんなに近づいて……んうっ!?」

 

戸惑ういのを逃げられない様に体を廊下の壁に押し付けながら、俺は本日二度目となるいのの唇に自らの唇を押し付けた。

突然の出来事に混乱気味のいのを大人しくさせる為、俺はこの5年の間にヒナタとの修業で培った舌遣いと柔拳をコピーする為に会得した技術を使い、いのの咥内を蹂躙しつつ服の上から胸の先端部分をチャクラを込めた集約した指で刺激を与える。

 

「んんっ!!ぷあっ!!さ、サスケく、ひゃうっ!!ま、待っ、むぐっ!!」

 

待たない。ここまでしたならもう引き返す事はしたくない。俺は生まれて初めて絶頂して足元がおぼつかなくなったいの抱きかかえ、再び空き教室の中に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナルトぉ!!今度という今度は絶対許さないわよ!!乙女の純情を踏みにじった報い!!その命で償いなさい!!」

「ま、待ってくれってばよサクラちゃん!!はうっ!!さ、先に便所に行かせてくれってばよぉ!!」

 

サスケがいのと教室で何かし始めたのと同時刻、体術が苦手であると評価された筈の春野サクラがその体型からは想像出来ない腕力を行使し、何故か腹を抑えて青い顔をしたうずまきナルトを追いかけ回している姿が目撃されるのであった。




感想でも質問の有った今作品のサスケの強さですが原作のサスケに比べると戦闘のセンスは劣るものの、転生知識で相手の弱点を突いたりしてそれをカバーすると言った感じです。

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