SASUKE復興伝(ただし中身は転生者)   作:メロンペン

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なるべく週一回は投稿したい


紅の誤算

鬱蒼と木々が生い茂る演習場の森の中で、紅は乱れた呼吸を整えつつ周囲の気配を探っていた。

 

「はぁはぁ……驚いたわ。まさかアカデミーを卒業したてのあの子達がここまでやれるとは思ってもみなかったわ」

 

下忍選抜の為のサバイバル演習も気付けばもうタイムリミットの時間まで残り僅かとなっており、紅は鈴を取られてはいないものの、何処に隠れていても直ぐに自分を見つけ出して奇襲を仕掛けてくるサスケ達により徐々に体力を消耗していった。

 

「恐らく日向ヒナタの白眼で私の事を見つけ出してるのね。それから……」

 

その瞬間紅に向かって四方から手裏剣が投げつけられるが、疲労しているとはいえ上忍である紅に躱せない攻撃では無く、逆に手裏剣を投げてきた相手に向かってカウンターとして自身の持つ苦無を投げつけた。

しかし、その苦無は相手に当たる事は無かった様で、茂みから現れた無傷の相手に紅は自らの立場を忘れ険しい顔つきをして睨み付けた。

 

「まさか、貴方が影分身の術を使えるとは予想外だったわ。でも……その術のリスクを知ってるの?そんなに乱用してチャクラが尽きても私は責任とらないわよ」

「その心配なら大丈夫ですよ。ちゃんと準備はしてきましたから」

 

紅を中心にして前後左右から姿を現したのはうちはサスケであり、四方から自分に向けられる写輪眼の赤い視線に、紅の内には僅かではあるが恐怖に似た感情が湧き起こっていた。

だが、それよりも上忍としてのプライドの方が圧倒的に勝っている紅は、臆することなく上忍としての威厳を見せつけようと素早く印を結んで術を発動させる。

 

「さ、そんな事よりもう時間も無いですから……そろそろその鈴渡して貰いますよ」

「そう簡単に渡せる訳ないでしょ。それに……もう終わってるわよ」

 

すると4人のサスケは何かに縛り付けられた様に動きを止めてしまい、紅は苦無を構えて一人のサスケに近寄っていく。

 

「こ、これはまた幻術か!?今度はなんて術だ!?」

「これは魔幻・樹縛殺よ。どうせこの中に本体は居ないんでしょ?なら遠慮する必要ないわね」

 

大樹が絡み付いて縛られる幻像を見せられて動けなくなった影分身のサスケを、一人ずつ確実に消していき、最後の一人を消そうとした紅に背後から再び手裏剣が投げつけられた。

 

「くっ、やっぱりこのタイミングを狙って来たわね。今度は本体は居るんでしょうね!?」

「いいや、今回も影分身だけです。さ、紅先生またお相手をお願いしますよ」

 

演習を始めてもう何度目になるか忘れてしまったやり取りを交わし、紅は再び影分身のサスケ達との戦いを繰り広げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒナタ、紅先生はどう?流石にもうそろそろ限界でしょ?」

「ど、どうかな?あ、またサスケ君の影分身がやられちゃった」

 

紅と影分身が戦っている場所から100m程離れた草むらで、俺はヒナタとサクラと共に気配を察知されない様に注意しながら潜伏していた。

 

「嘘っ?もう2時間近くこの影分身消耗作戦をしてるのに?兵糧丸も残り少ないし、このままじゃ紅先生より先にサスケ君が……」

「くっ……まさか影分身の経験値還元のデメリットがこんなにきつかったとはな」

 

心配そうな視線を向けて来るサクラに心配いらないと言いたい所だが、正直言ってそんな事を言う余裕が無いほど本体である俺には影分身からの戦闘経験値と精神的疲労が蓄積されていた。

しかし、それでも俺は倒れる訳にはいかない。紅の体を蹂躙するまでは倒れてなるものかと気力を振り絞り、影分身の俺達が写輪眼で見切った紅の攻撃パターンや体捌きを頭の中で反芻する。

 

「ヒナタ、サクラ……そろそろ勝負を仕掛けるぞ。作戦は頭に入ってるな?」

 

俺のその言葉に不安そうな顔を浮かべるサクラとヒナタだったが、その不安を和らげる為に二人を抱き寄せて一人ずつ唇を奪っていく。

 

「んぅ……さ、サスケ君。絶対一緒に下忍になろうね」

「あむっ……ね、ねぇサスケ君。もし試験に合格したら今夜も……良いかな?」

「ああ。じゃ……行くか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁはぁはぁ……お、襲ってこないわね。まさかチャクラが尽きてしまった……訳じゃないみたいね。ようやく全員で挑んで来る気になったって事かしら?」

 

肩で息をしている紅の前に俺とサクラとヒナタは並び立つと、ヒナタは柔拳の構えをし、サクラは苦無を手に構え、俺は風魔手裏剣を手に持つと一斉に紅に向かって飛び掛かった。

 

「私を消耗させてから全員で鈴を奪う作戦みたいだけど、そんな簡単に奪われるほど私は甘くないわよ!!」

 

ヒナタの手を躱し、サクラの苦無を弾き飛ばして俺に詰め寄って来る紅に向かって風魔手裏剣を投げつけると紅はそれを屈んで躱そうとする。

だが、その影にはもう一枚の風魔手裏剣が潜んでおり、紅は躱しきれないと判断しせめて急所は守ろうと腕を十字に組んだ。

 

 

「今だ!!やれ!!」

「封印術・一糸灯陣!!」

俺の叫びに反応して風魔手裏剣に変化していた影分身が封印術が発動し、紅は驚愕した表情をしたままその場から動けなくなった。

 

「くっ!!まさか影分身を変化させてたなんて。それよりも……今の連携はもしかして昨日から練習をしてたの?」

「はい。さ、もう時間切れ間際ですからその鈴を渡して……」

 

紅の腰にぶら下がった鈴に手を伸ばそうとした所、体に木の枝が絡みつき身動きが取れなくなってしまう。何とか視線をサクラとヒナタに向けると、状況は俺と同じ様で二人とも太い樹に縛られている姿が目に入った。

 

 

「残念ね。影分身を使えるのは貴方だけじゃないのよ」

 

背後から聞こえてきた声の主に苦無を首元に押し付けられると、目の前で動きを封じられていた紅が煙と共に姿を消してしまった。

 

「く、紅先生……何時から影分身を?それに俺の計算だともうチャクラが……」

「私が兵糧丸を使って回復しないなんて随分と都合の良い計算ね。それに、何時影分身を使ったか教えるなんて、手品を相手にばらす様なものでしょ?」

 

どうやら紅は俺達の消耗作戦を理解した上でそれをに嵌められた風を装っていたらしい。

悔しそうな表情をする俺に気を良くしたのか首に押し付けていた苦無を離すと今だ幻術にかかっている俺達に向かって語りかけようとする。

 

 

「3人とも良く聞きなさい。最後の詰めが甘かったものの、作戦を考えてそれを実行するチームワークは中々のものだったわ。鈴は取れていないけど、この下忍選抜試験の真の目的から言えば十分に合格を……」

 

 

「「封印術・二重一糸灯陣!!」」

 

紅の説明を遮る様に発動された封印術は見事に成功し、何が起きたか紅が理解する間もなく腰元にぶら下がった二つの鈴はサクラとヒナタの手に収まり、それと同時に演習終了を告げる時計のベルが演習場に鳴り響くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ど、どういうことなの!?一体何時から私が影分身とすり替わってたって気付いてたの!?それにさっきまで一緒に戦ってた筈のサクラとヒナタがどうして!?」

「手品のタネをばらす事を忍者はしないんじゃなかったですか?ま、それで納得してくれるとは思ってないのであえて説明しますけどね」

 

俺達の立てた作戦とはまず影分身をヒナタとサクラに変化させて、恰も消耗させた紅を狙って俺達三人で戦っている様に見せかけ、俺が捕まって紅が勝利を確信して油断した所を見計らい本物のヒナタ達が紅の動きを止め鈴を奪うという物であった。

 

とは言え、俺が立てた当初の作戦は影手裏剣の所までであり、紅がチャクラを回復していたり影分身を使う事を想定していなかったのだが、作戦を伝えたサクラがその可能性を指摘してくれたお陰で、こうして見事に紅を捕らえる事に成功したのだと伝えた。

 

 

「……悔しいけど完敗ね。で、次の質問だけど……どうして私をこんな風に拘束してるのかしら?」

 

そう言って鋭い目付きで俺を睨みつける紅であったが、両手を動かせない様に頭上で縛られて膝立ちをしている今の状況では気圧されるどころか、寧ろその艶めかしい大人の色気を強調するだけであった。

 

「その答えは簡単ですよ。紅先生……今度はちゃんと俺の写輪眼と勝負してくれよな」

 

ヒナタとサクラの封印術に加えて写輪眼による幻術を喰らった紅は目を虚ろにさせて項垂れる。

 

「それじゃ、木の葉一の幻術使い対写輪眼対決を始めさせて貰いますよ」

俺は紅が自力で幻術を解くのを待つ間、その豊満な乳房をひたすら揉みしだき続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?もしかして私達このまま封印術続けてないと駄目なの?」

「だ、大丈夫だよサクラちゃん。私達の分の兵糧丸サスケ君用意してくれてるから」

そういう問題じゃないとツッコミたいサクラであったが、目の前で自分の物とは比べるのもおこがましい紅の乳房がサスケに揉みくちゃにされているのを見て、ここを頑張れば今夜は自分もと気合を入れ直して封印術を続けるのであった。

 

「でも……本当に大きいわね。私ももう少し成長したらアレくらいに……」

(サクラちゃん……多分だけど、大人になってもあまり胸大きくならないかも……)




原作ではサスケ奪還編くらいしか使われた記憶の無い兵糧丸ですが
アレが有れば第二部のチャクラ切れのピンチ場面は大概回避出来るのではないだろうか?

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