偏屈な男のGGO   作:ヘレン&コットン

2 / 3
愛銃

GGOの女性プレイヤー数は少ない。滅多に見ないというわけではないが、珍しいと言えるぐらいに少ない。女性プレイヤーは男プレイヤーに守られながらプレイするのが普通であるが、女性プレイヤーで有名なスナイパーがいる。

 

「ふぅ…」

 

凄腕女スナイパーことシノンは息を吐いた。現在は山の頂上の茂みの中に潜んでおり、他のメンバー達は一つ向こうの山を進んでいる。今回の任務は狙撃である。しかし、奇妙なことにターゲットは出るか出ないかわからないと言われている。

 

(まだ見えないわね…本当にいるのかしら)

 

少し依頼内容に疑問を覚えたところで、他のメンバー達が一斉に物陰に隠れた。敵を発見したようである。シノンはトリガーに指をかけつつ索敵する。

 

「西方向だ!一人伏せて――」

 

一人がターゲットの位置を見つけ伝えている途中で撃たれる。しかし、銃声は聞こえなかった。

 

(サプレッサー…まずいわね、どこにいるか全くわからない)

 

急いで木や茂み、岩陰などを確認するが見つからない。そうこうしている間に、また一人倒れる。なかなか見つけられず、残りの味方は二人になったときにようやく岩陰に潜んでいるターゲットを見つける。しかし、照準を合わせる前に隠れられてしまった。

 

「岩の裏だ!手榴弾投げるぞ!」

 

味方の一人が手榴弾を手にする。しかし、投げる前に手の中で爆発する。

 

(投げ損ねた…?でも爆発するまでの時間はそんなに短くないはず…)

 

残りの味方が一人になったところで、ターゲットが駆け出す。最後の味方の居る方向に向かって、アサルトライフルを構える。

 

「なっ――」

 

的確に頭を撃ち抜かれた。照準を合わせるのが間に合わなかった。しかし、仇討ちはできる。恐らくターゲットは味方のドロップ品を漁るだろう。

 

(あの人数を一人とは…化け物ね)

 

照準を頭に合わせ、トリガーを引く。照準も完璧、敵は止まっている。シノンは命中を確信した。

 

しかし、ターゲットがいきなりリボルバーを放つ。最後の悪あがきだと思ったが、何故かまだ生きている。おかしい。確かに撃ったはずである。そして男は背中に背負っていたライフルらしき銃を取り出した。

 

(とにかく、場所を変えなきゃ…!)

 

そう思い体制を変えた直後、シノンは頭を撃ち抜かれた。その場に残ったのは、ドロップされた愛銃だけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「最悪…」

 

愛銃のヘカートIIを失い、依頼は失敗した。依頼の方は別に気にしなくていい、と言われたが問題はヘカートIIである。とても貴重であり、二度と戻っては来ないだろう。最悪な気分のシノンの元に、メールが届く。

 

()()()()()()?」

 

(少なくとも知り合いではないわね…依頼してきた人たちの中にもいなかったし)

 

不思議に思ったシノンだったが、取り敢えずメールを読むことにした。

 

「"あの遠距離からの狙撃は見事だった。これからの活躍に期待し超出血大サービスだ"…何か付いてきてる」

 

「KSVK?」

 

調べてみたらロシア製の対物スナイパーライフルだそうだ。しかし、対物スナイパーライフルであれば良いというわけではない。細かな違いはあるし、思い出もある。

 

「絶対に見つけ出してやるわ…」

 

シノンはそう誓い、すぐに行動に移した。恐らくメールを送ったのは元ターゲット。まずは聞き込みからである。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告