偏屈な男のGGO 作:ヘレン&コットン
GGOの女性プレイヤー数は少ない。滅多に見ないというわけではないが、珍しいと言えるぐらいに少ない。女性プレイヤーは男プレイヤーに守られながらプレイするのが普通であるが、女性プレイヤーで有名なスナイパーがいる。
「ふぅ…」
凄腕女スナイパーことシノンは息を吐いた。現在は山の頂上の茂みの中に潜んでおり、他のメンバー達は一つ向こうの山を進んでいる。今回の任務は狙撃である。しかし、奇妙なことにターゲットは出るか出ないかわからないと言われている。
(まだ見えないわね…本当にいるのかしら)
少し依頼内容に疑問を覚えたところで、他のメンバー達が一斉に物陰に隠れた。敵を発見したようである。シノンはトリガーに指をかけつつ索敵する。
「西方向だ!一人伏せて――」
一人がターゲットの位置を見つけ伝えている途中で撃たれる。しかし、銃声は聞こえなかった。
(サプレッサー…まずいわね、どこにいるか全くわからない)
急いで木や茂み、岩陰などを確認するが見つからない。そうこうしている間に、また一人倒れる。なかなか見つけられず、残りの味方は二人になったときにようやく岩陰に潜んでいるターゲットを見つける。しかし、照準を合わせる前に隠れられてしまった。
「岩の裏だ!手榴弾投げるぞ!」
味方の一人が手榴弾を手にする。しかし、投げる前に手の中で爆発する。
(投げ損ねた…?でも爆発するまでの時間はそんなに短くないはず…)
残りの味方が一人になったところで、ターゲットが駆け出す。最後の味方の居る方向に向かって、アサルトライフルを構える。
「なっ――」
的確に頭を撃ち抜かれた。照準を合わせるのが間に合わなかった。しかし、仇討ちはできる。恐らくターゲットは味方のドロップ品を漁るだろう。
(あの人数を一人とは…化け物ね)
照準を頭に合わせ、トリガーを引く。照準も完璧、敵は止まっている。シノンは命中を確信した。
しかし、ターゲットがいきなりリボルバーを放つ。最後の悪あがきだと思ったが、何故かまだ生きている。おかしい。確かに撃ったはずである。そして男は背中に背負っていたライフルらしき銃を取り出した。
(とにかく、場所を変えなきゃ…!)
そう思い体制を変えた直後、シノンは頭を撃ち抜かれた。その場に残ったのは、ドロップされた愛銃だけ。
「最悪…」
愛銃のヘカートIIを失い、依頼は失敗した。依頼の方は別に気にしなくていい、と言われたが問題はヘカートIIである。とても貴重であり、二度と戻っては来ないだろう。最悪な気分のシノンの元に、メールが届く。
「
(少なくとも知り合いではないわね…依頼してきた人たちの中にもいなかったし)
不思議に思ったシノンだったが、取り敢えずメールを読むことにした。
「"あの遠距離からの狙撃は見事だった。これからの活躍に期待し超出血大サービスだ"…何か付いてきてる」
「KSVK?」
調べてみたらロシア製の対物スナイパーライフルだそうだ。しかし、対物スナイパーライフルであれば良いというわけではない。細かな違いはあるし、思い出もある。
「絶対に見つけ出してやるわ…」
シノンはそう誓い、すぐに行動に移した。恐らくメールを送ったのは元ターゲット。まずは聞き込みからである。