征兎side
「おいきなさい、ティアーズ!!」
オルコットの声と共に4つのビットが俺の周りを飛び回り、レーザーを打ち出してくる。
「ぐっ・・・」
一夏との試合を見てたからなんとか避けられるけど、全部はどうしても難しい。
アイツがビットで攻撃してくるとき、自身が動けないのはわかってる。
そこを突こうとしているんだけど・・・このレーザーの雨が鬱陶しい!!
とりあえず空中だと死角が多くなってしまうから、なんとか避けながら地上まで降りる。
まぁ地上に降りても死角が減っただけで、ビットを攻略したことにはならないんだけどね・・・。
「地上に降りることで少しでも死角を減らそうということでしょうが、このまま押し切らせていただきますわ!」
そう言い、ビットによる攻撃とライフルからの攻撃が・・・本当にこのまま押し切られてしまう。
・・・仕方ない・・・アレをやるか。
だけど、なかなかそのタイミングがない。
まぁ・・・だったら作り出すまでだけどさ!!
俺は、ドリルクラッシャーをガンモードからブレードモードに変える。
「??なぜ近接武器に・・・?」
「こうするのさ!」
ラビットボトルを取り出し、振る。
そして、ドリルクラッシャーのスロットに装填。
『Ready go!』
『ボルテックブレイク!』
その音声と同時にドリルクラッシャーの刃が高速回転する。
「な、なにを・・・!?」
その回転している刃を地面に触れさせ、そのまま今度は俺自身を回転させその場に砂塵を起こす。
「--っ!?これは!?」
レーザーは光学兵器だからね。
こうすればとりあえずはこっちに攻撃できない。
「ですが、一時しのぎに過ぎませんわ!」
その通り。
だけど・・・その一時を活用させてもらう!
新たに2本のボトルを取り出し、上下に振りキャップを回す。
それをスロットに装填する。
『海賊!』 『電車!』
『ベストマッチ!』
そして、レバーを回す。
小型ファクトリーが、今度は前後に マリンブルーと黄緑のハーフボディー を生成する。
『Are you ready?』
「ビルドアップ!」
前後のハーフボディーが結合し、新たなフォームとなる。
『定刻の反逆者!』
『海賊レッシャー!』
『イエーイ!』
ビルド・海賊レッシャーフォームってね。
そこでちょうど砂塵がおさまってきたみたいだが・・・案の定、オルコットはもちろんのこと観客のみんなも驚いているようだった。
「姿が変わった!?そんなことが・・・」
驚いているのを横目に、カイゾクハッシャーを手元に出す。
「・・・弓・・・ですが微妙に形が・・・」
ふっふっふ。
「気づいた?これも俺が設計、開発した武器で--」
「あ、説明は結構ですわ。長くなりそうですので」
しょぼーん・・・。
「驚きはしましたが、わたくしがやることに変わりはありませんわ!」
気を取り直したオルコットがレーザーを撃ってくる。
俺も気を持ち直し、それを避ける。
ときには、カイゾクハッシャーの攻撃型ユニット ビルドオーシャン号 で薙ぎ払い、ハーフボディーにあった右肩のマント? で防ぐ。・・・やってみたらなんかできたけど結構便利だな。
「っ・・・単発の攻撃はもうほとんど通用しませんか・・・ならっ!」
--くるか!?
「おいきなさい!!」
ビットが俺を包囲するかのような攻撃をしてくる。
--だけど、俺はこれを待ってたんだ!
この面倒なビットはここで墜とす!
ビットからのレーザーを避けながら、電車型攻撃ユニット ビルドアロー号 を引っ張る。
『各駅電車』 『急行電車』
まだだ・・・。
耐えろ、俺・・・。
『快速電車』
もう少し・・・。
そう自分に言い聞かせ、ユニットを引っ張ったままレーザーの雨を耐えしのぐ。
『海賊電車』
きたーーー!
その音声が聞こえると同時にビットの一つに向け、ユニットを離し、攻撃を放つ。
『ボルテックブレイク!』
すると、エネルギー状のビルドアロー号がビットの一つを破壊する。
しかし、それだけでは終わらず、電車が各駅に停まるかのごとく次々とビットを破壊していく。
「そ、そんな!? ビットが一気に・・・」
さらには、オルコットのほうに行き、ミサイルも破壊してくれた。
当然、オルコットは爆発によるダメージを受ける。
「きゃああああああ!?」
まさかミサイルまで破壊してくれるとは・・・嬉しい誤算だな。
--試合終了のブザーは鳴らない。
つまり、オルコットはまだ健在ということ。
・・・・・・よし。
『ラビット!』 『タンク!』
『ベストマッチ!』
『Are you ready?』
「ビルドアップ!」
『鋼のムーンサルト!』
『ラビットタンク!』
『イエーイ!』
俺は再び、ラビットタンクフォームに戻る。
そうしていると、オルコットの姿が目に入ってきた。
姿は満身創痍って感じだが、目は全然死んでいない。
「わたくしは・・・まだ負けてはいませんわ・・・」
そう言いながらライフルを構えようとする。
なら・・・俺もそれに応えなくちゃな。
--ベルトのレバーを勢いよく回す。
どこからか、グラフのⅩ軸が現れる。
「な、なんですの、これは!?」
『Ready go!』
そう音声が鳴ると同時にⅩ軸がオルコットを拘束する。
「--っ!? くぅっ!」
オルコットは必死に体を動かし、抜け出そうと試みている。
俺はⅩ軸の上へジャンプし、その上をすべるように加速する。
途中の点mでさらに加速し、オルコットへエネルギーを乗せたキックを放つ。
『ボルテックフィニッシュ!』
(あぁ・・・わたくしの負け・・・ですわね)
最後のオルコットのすべてを出し切ったような満足そうな表情が印象的だった・・・。
『試合終了 勝者・桐生征兎』
「お見事です・・・完敗ですわ」
試合後のアリーナで俺たちはピットに戻る前に互いの健闘をたたえ合っていた。
「いや・・・今回は事前情報でのアドバンテージがあったからな。同じ条件だったならどうだったか」
俺は今回、オルコットの試合を見ていたのに対し、オルコットは俺の機体のことはなにも知らなかった。
この差はやっぱり大きかったと思う。
「それを含めての勝負ですわ。今回はあなた方が男だと慢心し、情報収集を怠ったわたくしの落ち度。謙遜なさらずとも大丈夫ですよ」
「わかったよ・・・。ありがとさん」
「ですが、次はわたくしが勝たせていただきますわ。覚悟しておいてくださいな」
「残念だけど次も俺が勝つ。この天っ才物理学者のすばらしき発明品はまだまだあるからな」
そう言い合いながらも、互いに笑顔なんだけどな。
俺たちは手を出し、握手する。
・・・・・・女の子の手ってなんか柔らかいっていうかなんていうか・・・。
--っ!!??
なんだ!?
今、ものすっごい殺気が・・・。
「・・・? どうかしまして?」
「い、いや・・・なんでもない」
とりあえず、気を取り直して。
「改めて、桐生征兎だ。これからよろしく、オルコット」
「セシリア・オルコットですわ。それとわたくしのことはセシリアと呼んでください。わたくしも征兎さんと呼ばせていただきますので」
「わかったよ、セシリア」
そう言葉を交わし、互いのピットに戻っていった。
・・・しっかし、あのときの殺気はなんだったんだ・・・?
「・・・・・・バカ征兎。握手ぐらいでデレデレしちゃって・・・。私と触れたときは全然気にしないくせに・・・。相手が美人だったりするとすぐこれだ。しかも胸も大きいし・・・。やっぱ胸なの・・・?確かに私は身長も胸もそこまで大きくないけどさ・・・だからといって・・・」
「ば、バンちゃ~ん? 大丈夫? なんか背中からどす黒いオーラが出てるよ~・・・」
「ね、ねぇ・・・万丈さんってやっぱり桐生くんのこと・・・」
「普段の行動からなんとなくそうかなぁ~とは思っていたけど・・・」
「この反応を見ると、もう間違いないね」
「ふふふ。いいネタ手に入れたわ」
(龍華のやつ・・・握手ぐらいで嫉妬してんなよ・・・。しかもあんなに黒いオーラ出しやがって・・・クラス全員に知られんじゃねぇのか? ったく・・・あれで本人は隠してる気でいんだもんな・・・。しかし、龍華もそうだが、鈴といい、箒といい、なんで俺の幼馴染の女子たちはこんなにも素直じゃないんだろうか・・・。まぁ気づかない一夏や征兎も大概だけどな・・・)
(私も人のことを言えないが・・・龍華め、まさか握手をしただけで嫉妬するとは・・・。難儀なことではあるが・・・そのオーラはしまってやれ・・・みんなドン引きしてるぞ。・・・しかし、一夏といい、征兎といいなぜここまでされても気づかないんだ!?はぁ・・・お互いに苦労するな・・・龍華・・・)