征兎side
和海の専用機をお披露目し、一夏が一人寂しくグランドに空けた穴を埋めた日の放課後。
俺と万丈は、nascitaで万丈の専用機を受け取り、慣らしを終え、学園に戻っている。
本当はもう少し遅くなってしまう予定だったが、万丈が予想以上に早く専用機を使いこなしたことと、一夏のクラス代表就任パーティー? だったかをやるらしく早めに帰らせてもらえた。
「パーティーって何するんだろうね~」
「まぁ実際はそういう建前の元、みんなで騒ぎたいだけだろうけどな」
「ふーん。そんな感じなんだー」
などと、万丈と何気ない会話をしている・・・が、俺はとても疲れている。
そう・・・すべてはさっきまでのことが原因だ・・・。
万丈の専用機の受け取り、俺がやった摸擬戦の話を終えた後に万丈の専用機の慣らしをすることになった。
・・・が俺に、万丈の相手をしろというのだ。
ここでようやく、わざわざモニター越しではなく、呼び出して報告させられた意味を理解した。
このためだったのか・・・。
あの、脳筋万丈の相手とかキツイにもほどがある。
そんな俺の心情など知らんと言わんばかりに、万丈は準備を進めていく。
nascitaの地下アリーナに放り込まれた俺をよそに、ビルドドライバーを腰に装着する。
・・・刑が執行されたのだ。
万丈が手を伸ばすとどこからともなく、自立稼働のユニット・クローズドラゴンが現れ、手の中に収まる。
それにドラゴンフルボトルを装填し、ガジェット形態へと変形させてからクローズドラゴンのボタンを押す。
『ウェイクアップ!』
と音声が鳴った後、ビルドドライバーへとセット。
『クローズドラゴン!』
そして、レバーを回すとスナップライドビルダーが展開され、前後にハーフボディーを生成する。
ビルドと違い、前後同じ色だが、脇に別のアーマーが生成されている。
『Are you ready?』
その音声が聞こえると--
「変身!」
その言葉とともに万丈を挟み込むようにハーフボディーが結合され、その後に追加ボディーアーマー ドラゴライブレイザー・フレイムエヴォリューガー が上半身と頭部を覆う。
『Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON!』
『Yeah!』
そうして、変身が完了してしまった。
その後あったことは・・・思い出したくない。
しっかし・・・俺と和海は入学前から少しずつ訓練受けてたからともかく、万丈は今日初めて動かしたはずなのにあっさり使いこなしやがった。
ホントにこいつは、全身の神経が運動神経で構築されているんじゃないだろうか?
--と思えてしまう。
「・・・な、なに?」
「・・・ん?」
「そんなにじっと見られると・・・恥ずかしいんだけど・・・」
「あ・・あぁ、悪い」
思わずじっと見ちゃってたか・・・。
あの万丈が珍しく顔を赤くしているから、結構な間見てしまってたみたいだな。
・・・反省、反省。
しかし・・・万丈も恥ずかしがることがあるんだな・・・。
「・・・・・・」
すると、なぜか万丈からジト目を向けられる。
「え? ・・・な、なに?」
「・・・別に・・・また、征兎は見当違いなこと考えてるなーって」
「見当違い? なにが?」
「自分で考えなさいよ、科学オタクめ」
え~~~。
暗くなった外の景色を見ながら、考えてみた。
--が、何がどう見当違いなんだか・・・分からず仕舞いだった
学園に到着したため、車から降りる。
「征兎・・・」
「なんだ?」
こっちはお前に言われたことをがんばって考えていたのに。
「さっきのことは今後の課題だからね」
「・・・へ?」
課題? ・・・どういうこと?
「早く行こっ!」
そう言うが早いか、俺の手を掴み、万丈が歩きだす。
・・・なにがなんだかよくわからないけど・・・万丈もなんか嬉しそうだし、良しとするかな。