神様の気まぐれで転生させられます。(仮)   作:CHIEN

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29話

 征兎side

 

 ようやく無人機を倒したのに間髪入れずに現れやがった二人組。

 

 次々と起こる出来事に嘆きたくなるけど、それを表に出さずヤツらを見据える。

 

 俺たちと同じ全身装甲。

 共通しているのは、色違いだがバイザーがつけられていることと額にある煙突のようなユニット。

 だけどその姿を見た第一印象は--

 

「赤いコブラ・・・と黒いコウモリ・・・?」

 

 思わずそう呟いてしまった・・・。

 

「【惜しい! 正解はブラッドスターク。こっちの黒いのはナイトローグだ】」

 

 聞こえたみたいで、余裕綽々とそう答えられてしまった。

 

 だがヤツらの名称を知れたのはありがたい。

 

「・・・で、そのブラッドスタークさんたちがこんなとこにいったい何の用だ?」

 

 答えてくれるかわからないけど、いちおう聞き出しておかないと・・・。

 

「【あぁ、それはだな--】」

 

 え?

 そんなあっさり答えてくれんの?

 

 

 

「おおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 

「【--ん?】」

 

 

 急に雄たけびが聞こえたと思ったら、一夏がヤツにいきなり斬りかかっていった。

 

 --って!?

 

「一夏!?」

 

「なにやってんだ、おい!?」

 

 

 俺たちの静止なぞ聞かずに一夏はヤツに攻撃した。

 

 だがヤツは、おそらく拡張領域から取り出したであろうバルブのようなものがついた短剣で、それをあっさり受け止めた。

 

「【久しぶりだなぁ、織斑一夏くん】」

 

「テメェェェェェ!!」

 

「【やれやれ・・・。せっかくの再会なんだ。もっと楽しくいこうぜ】」

 

「ふざけんな!!」

 

 そのまま戦闘を続ける二人。

 

 だけど、怒りで頭に血が上っているためか一夏の攻撃はかなり単調になっているため、簡単にあしらわれている。

 

 

 それよりもさっきのやり取りの中で気になるワードがあったな。

 久しぶり? 再会?

 一夏はヤツと会ったことがあるのか?

 そのときにアイツに怒りを抱くなにかがあったと・・・。

 

 考えても憶測の域を出ないな。

 一夏に教えてもらえるのを待つしかないか・・・。

 

 

 

「【残念だが、いつまでもお前と遊んでるわけにもいかないんでね。悪く思わないでくれよ】」

 

「ぐ!?」

 

 いきなりヤツがそう言ったが早いか、剣についてるバルブを回した。

 

『エレキスチーム』

 

「がぁ!?」

 

 そんな音声とともに剣を振ると一夏に電撃が放たれた。

 それにより、一夏の体が痺れてしまったようだ。

 

「【ISの機能があるからこんなのは一時しのぎにすぎないが、俺には充分だ】」

 

 剣を収納し、持っていた銃にボトルを振り、セットする。

 

 --って、ボトル!?

 

『スチームブレイク! コブラ!』

 

 トリガーが引かれ、一夏に紫色のエネルギー弾が直撃する。

 

「ぐぁぁぁぁぁ!?」

 

 一夏はその勢いのまま吹き飛ばされていった。

 ISも解除され、意識も失ってしまったようだ。

 

「一夏!!」

「一夏さん!!」

 

 コイツ、マジか・・・。

 

 これってかなりヤバイんじゃ・・・。

 

「あんた覚悟はできてるんでしょうね!!」

 

「許しませんわ!!」

 

 一夏がやられたことで冷静さを失ってしまったのか、鈴とセシリアがスタークに向かっていってしまう。

 

「鈴! セシリア! 待て!!」

 

 和海が声を掛けるも--

 

「【さっきのを見てなかったのか?】」

 

『ライフルモード』

 

 スタークが持っていた銃と剣を組み合わせ、ライフルのような武器になった。

 

「【ザコは引っ込んでろ】」

 

『コブラ!』

 

『スチームショット! コブラ!』

 

 それにさっきと同じボトルを装填し、ヤツがトリガーを引くと、エネルギー弾が不規則な動きでセシリアに向かっていく。

 

「え? な、なんですの、これ!?」

 

 セシリアはその不規則な動きに完全に翻弄されてしまっているみたいだ。

 そして--

 

「きやぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 直撃を受けてしまった。

 

 しかも、その一撃でSEが尽きてしまったようだ。

 ISが解除されている。

 

「マジか・・・」

 

 無人機戦途中参戦で、けっこう残ってたはずのセシリアのSEを一撃でだなんて・・・かなりの威力なのでは?

 

「セシリア!!」

 

「【よそ見してていいのか?】」

 

 セシリアに気を取られた鈴にそう言い、ヤツがライフルに改めてボトルを装填する。

 

 だけど、聞こえた音声は--

 

『フルボトル!』

 

 なっ!? フルボトルだと!?

 

 ヤツはそのまま鈴に狙いを定め、トリガーを引いた。

 

『スチームショット!』

 

 そこから、ロケットのような形をしたミサイル? のようなものが鈴に飛んでいく。

 

「くっ!?」

 

 だけど、鈴は持ち前の? 反射神経でとっさに避けた--が、ミサイル擬きは方向を変え、鈴に向かう。

 

「まさか、誘導弾!? ----あぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 さっきまでの戦いでSEをかなり消費していた鈴はそれをくらった後にISが解除されてしまった。

 

 

 

 これで、残っているのは俺と和海だけになってしまった。

 万丈は・・・・・・どこにいるのかわからないし・・・肝心なときにいないんだからアイツは。

 

 

 しかし、ここまでの戦闘ではあのナイトローグとかいうヤツ・・・まったく動く気配がない。

 俺としてはこのまま静観していてほしいけど、まぁどこかで絶対動いてくるよね~。

 

 

 

 それにしても・・・さっきスタークが鈴に使ったボトルって、もしかしてロケットか?

 

 だとすると・・・コイツら・・・。

 

「【さて・・・あとはお前たちだ】」

 

「クソっ!」

 

「和海、ちょっと待ってもらっていいか?」

 

 戦闘態勢に入ろうとしていた和海にそう声をかけた。

 

「征兎・・・?」

 

 和海は不思議そうにしているが、気にせずヤツらの方に向く。

 

「おい、ちょっと聞きたいことがある」

 

「【ん~、なんだ?】」

 

 俺がさっきから気になっていること・・・

 

「さっき、お前が使ったの・・・フルボトルだよな?」

 

「【・・・それが?】」

 

「しかもロケット。実は俺も同じものを持ってるんだ」

 

 そう言い、ロケットフルボトルを取り出し、見せる。

 

「【・・・ほぅ】」

 

「それにさっき聞いた音声はスチームブレイクにスチームショット・・・それ、トランスチームシステムじゃないのか?」

 

「【・・・なにが言いたいんだ?】」

 

「・・・まさか・・・!?」

 

 和海も気づいたか・・・。

 

「お前らが前にnascitaに侵入してトランスチームシステムのデータとボトル数本を盗んだヤツらじゃないかって思ってな。少なくとも関係者なのは間違いないだろ」

 

「【・・・・・・】」

 

 ・・・・・・??

 

「【ククククク・・・・・・フハハハハハ!!】」

 

 なぜか急に笑い出すスターク・・・。

 おかしくなっちまったのか?

 

「【まぁそりゃわかるよなぁ、あんだけ見せちまったら】」

 

 どこか飄々とした感じで笑いながら言うスターク。

 

 バレたところでなんとも思わない・・・そんな感じだ。

 

「【そうさ、俺たちがやった。まぁ話に聞いてたよりも遥かに楽な仕事だったがな】」

 

「・・・テメェ・・・」

 

 あ・・・和海、そろそろ限界かな・・・?

 さっきも、いいところで止めちゃったし・・・。

 

「だったら、俺たちのやることは決まった」

 

 俺も和海もおそらくかなり気合いが入っているだろう。

 

『ラビット!』 『タンク!』

『ベストマッチ!』

 

「お前たちから奪われたシステムとボトルを取り返す!」

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

『鋼のムーンサルト!』

『ラビットタンク!』

『イエーイ!』

 

 

「【やれるもんならやってみてほしいもんだ】」

 

「余裕でいられるのも今のうちだ! ----!?」

 

「征兎!?」

 

 

 

 スタークに向かって行こうとしたら、突然なにかに吹っ飛ばされてしまった。

 

「【お前の相手は私がしてやろう】」

 

「ナイトローグ・・・」

 

 今の今まで話すどころか動く気配もなかったくせに・・・ここで動くのかよ。

 

「【安心しろ・・・お前には私を倒すことなど出来はしない】」

 

 チクショウ・・・やってやる・・・!!

 

 

 ブレードを持ってこちらに近づいてくるナイトローグに対し、こっちもビートクローザーを取り出した。

 

 

 

 

 

 

「【・・・ったく、あのヤロウ】」

 

「どうやら、俺とテメェの勝負になるみてぇだな」

 

「【まぁいい・・・しかたない、遊んでやるよ】」

 

「そんな余裕がいつまでも持つだろうな!」

 

 

 

 

「「いくぜ!!」」 

 

 

 


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