創一(簪)side
「原作改変……ねぇ」
束のところから戻り、いつものように整備室に籠る。
手元の端末を操作し、データを整理する。
目の前にはこの体の主が途中まで制作していたISがあるが、そもそも俺には完成させる気など微塵もない。
まぁ……武装は使えそうだから後々利用させてもらうが。
ともかく、無人機襲撃のときのように篠ノ之箒が放送室に現れないなど変なところで改変が起こっていたりしているため、こうしたことはたまにやっている。
「しかし、織斑の両親が実在していたとはねぇ……」
これが何よりの驚きだった。
あの神様のヤロウに与えられた知識では、両親は存在せず、あの3人は造られた存在のはずだった。
それが存在していたんだから多少なりとも動揺はした。
つまり、アイツらはキチンとした人間ということになる。それでも織斑千冬はチート級の身体能力なんだから笑ってしまう。そんなことを言ったら束もそうなんだがな……。
「まぁ実在“していた”だがな」
その通り、もうヤツらはこの世にいない。
襲撃した研究所のようなところで消した。今頃、粒子となったヤツらはどこかを漂っているだろう。
そこを目撃されたマドカを洗脳し、連れてきたわけだ。
そして、その研究所のデータを漁っていたときに見つけた興味深い名前――
―― 万丈 龍華
……まさか……な。
俺がこの世界に来たのは凰鈴音がアイツらの学校に転校してきてから。
そんなことはないはずだが……。
あの神様のことだ……いちおう調べておくか。
そういや……マドカや“アイツら”に会わずに帰ってきちまったな。
まぁいいか。
「……ぁ」
「……あ……かんちゃん……」
チッ、面倒な……。
整備室から出て部屋に戻ろうかというときに、偶然かはたまた狙っていたのかこの体の幼馴染に会ってしまった。
布仏本音……だったか?
「……」
「かんちゃん!」
「……なに?」
「……えっと……その……」
無視して行こうとしたら、なんか用があるのか何気に強く呼び止めるられてしまった。
俺には何も用なんてないんだがね……。
「大丈夫だった? ……その……ケガとか」
「別に何もないよ。こうしてここにいるんだから」
「そ、そう……だよね」
それだけ?
ったく、そんなことでいちいち呼び止めんなよ。
「専用機の方はどう? もしよかったら私も……」
「いい。アレは私一人で作る。本音には関係ない」
もういいかな?
イライラして声が変わっちゃいそうなんだけど。
「でも……最近のかんちゃん少し変……だし」
「……変?」
「うん。制服もいつのまにか改造してたし……それに……」
「別にいいでしょ? 私が何してようと勝手じゃない」
制服改造したのってそんなにダメ?
ちなみに、スカートをヒザくらいのハーフパンツタイプにし、ストッキングを黒にした。靴も黒のミドルブーツにしたし、頭と腕についてたよくわからん機械は外した。メガネは小型のディスプレイだったから、使えるからそのままにしてある。
「用はそれだけ? ならもう行くけど」
「あ……」
「それと、もうこれ以上私に干渉してこないで。――じゃあ」
あんまり、長引くとボロが出るかもだし……実際鬱陶しいし。
最後に幼馴染とその後ろ――誰もいないように見えるが……――に目をやり、その場をあとにした。
「かんちゃん……」
「……簪ちゃん……」