神様の気まぐれで転生させられます。(仮)   作:CHIEN

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36話

 征兎side

 

 午前中の授業で万丈にぶっ飛ばされ、ようやく意識を取り戻したときには昼休み寸前だった。

 おのれ万丈……覚えてろよ。

 

 だが、それとは別に問題が……。

 今は昼休み。つまり昼食を食べる時間なわけだが、財布が教室に置きっぱなしである。

 取りに行ってから食堂や購買に行くとなると、この保健室? からだとかなり遅くなってしまう。

 ここは……万丈か和海に財布を持ってきて貰い、そのまま合流して昼食という流れでいこう。

 我ながら完璧なプランだ。天才物理学者の頭脳のたわものだな。

 というわけでさっそく……とりあえず和海に連絡を――っと。

 

 ――俺のために俺の財布を持ってきてくれ!

 

 これでよし。

 あ……返信きた。早いな……。

 

 ――今、屋上いるからもう無理だ。諦めろ。

 

 な……なん……だと……。

 しかも屋上!? 今日に限ってなんでそんなとこで!?

 こうなったら万丈に……。

 

 ――万丈! 俺の財布を持ってきてくれ!!

 

 これで……今度こそ。

 ん? 返信がきた。頼むぞ万丈。

 

 ――ごめーん。今、みんなで屋上なんだよね。だから無理。

 

 ……。

 チクショーーー!!

 

 とりあえずその場から駆け出した。

 急げば購買で適当になんか買って食いながら教室に戻るくらいはできるはず。

 駆けろ! 疾風のごとく!

 

「おい……」

「え……」

 

 こ、この声は……なんでここに……。

 

「私の前で廊下を全力疾走とは……いい度胸だな」

「い、いや……これは……」

「まぁいい。昼休みが終わるまでまだ時間がある。ゆっくり話そうじゃないか」

「え……いや……えっと……」

 

 

 

 現実は非常だった。

 俺はその足でそのまま教室に戻ることすらできなかった……。

 

 

 

 

 腹……減ったな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後。

 今日はいつものメンツにデュノアを加え、一夏の訓練を行っていた。

 

「しっかし……ひでぇな……」

 

 和海がそう言ってしまうのもわかる。

 そう、一夏を訓練をするまではいい。だがいかんせん、そのコーチたちの説明の仕方がヒドイ。

 箒は擬音、セシリアは超理論、鈴は感覚。これじゃあ頭の悪い一夏は理解できないだろう。

 

 今はそれを見かねたデュノアが教えてるといったところだ。

 こういうところを見るとアイツが演技しているようには見えないんだよな……。

 

 

「なぁ……和海」

「……なんだ?」

 

 なんかすっごい嫌そうな顔をされている気がするけど、気にせずいこう。

 

「最近、俺……色んなイベント逃してるし……主人公感が薄れている気がするんだよな……」

 

 今日だって合同授業まともに起きてなかったし、昼休みも……まぁ色々あったしな。

 一夏がセシリアの作ったサンドイッチで死にかけたらしいが……どんなサンドイッチだったんだろうか。

 それだって見ることができなかったし。

 

「すげぇどうでもいいな……っていうか、主人公感ってなんだよ」

「大丈夫。征兎はいつでも主人公だよ」

 

 なんか適当に返されたな。

 というより万丈……いたのか。

 

 

 悲しい現実に打ちひしがれてたところ、なんか周りがざわざわしだした。

 顔を上げて、そっちを見てみる。

 

「織斑一夏、私と戦え!」

 

 なんとドイツからきた銀髪さん(名前をまだ聞けてない)が一夏にケンカを吹っかけていた。

 

「イヤだね。戦う理由がない」

「貴様にはなくとも私にはある」

 

 案の定、一夏はそれを断ったが、それでも彼女は食い下がる。

 そして、ついには――

 

「ならば戦わなければならないようにしてやる」

 

 ――と自身のISの肩部に付いているリボルバーカノンを一夏に向けた。

 

 

 この展開は!!

 

「俺の主人公感を復活させるチャンス!」

「は?」

 

 このチャンスをものにするべく、急いでベルトを装着。

 

『ハリネズミ!』 『消防車!』

『ベストマッチ!』

 

『Are you ready?』

 

「変身!」

 

『レスキュー剣山! ファイヤーヘッジホッグ!』

『イエーイ!』

 

 よっしゃー!

 

「レッツ、レスキュー!!」

 

 自分でもよくわからんことを言いながら、一夏たちの方に駆けて行く。

 

「あ、おい!」

「ちょっと、征兎!?」

 

 2人がなんか言っているけど気にしない。

 

 

 だが、俺がたどり着く前にリボルバーは発射され、それをデュノアがシールドで見事に防いでみせた。

 俺は、その場で立ち尽くすしかなかった……。

 

 

 その後、教員からの放送を聞いた銀髪は興がそがれたとか言って帰っていったが、俺はその場に立ったまま。

 

「ん? あんた……何してんの?」

 

 そんな俺に気づいた鈴に聞かれるもなんとも答えようがない……。

 

 

 そんな俺を見るみんなの視線が突き刺さり、とても痛かった。

 

 

 

 

 

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