征兎side
「そうだ。あのさ……これからシャルルは……どうなるんだ?」
ブラッドスタークとの――モニター越しではあったが衝撃の邂逅を終え、一息ついたところで、一夏がそう切り出した。
「ふむ……そうだな……」
そうだよな……。
行為自体を否定も肯定もするつもりはないし、情状酌量の余地はあると思うんだけど……。
「スパイ行為はまだ未遂だから大丈夫だとして」
「問題は性別詐称の方だな。これはなんとかしないとならないだろうな」
だよね~。
こんな機密事項を取り扱っているところに経歴偽って入ってきたら、普通は逮捕ものだわな。
「だがこの世のだ。男子が女装していたならともかく、逆ならなんとでもなる」
悲しいことに女尊男卑。これが今の世界の現実なのよね。
今回はそれが幸いする形になったわけだけど。
「だが、明日から手続きや制服の用意をしたとしても来週まではかかる。それまではそのままでいてもらうことになるが、それでも構わないか?」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます。それと……お手数をおかけします」
「いいさ。生徒の面倒を見るのも教師の仕事だからな」
こういうときの千冬さんはカッコイイんだよな~。
その後、俺たちはそれぞれの部屋に戻っていったが、来たときよりも足どりが軽かったように思う。
ちなみにデュノアが――
「そういえば、2人の他にnascitaに所属している人がいたと思ったんだけど……その人は呼ばなくてもよかったの?」
――と聞いてきたんだが……。
「あぁ……万丈か……アイツは別にいいだろ」
「え……そうなの?」
「アイツはバカだからな。多分、さっきの話の一割も理解できないぞ」
「まさか……さすがにそこまではないよ……ねぇ?」
さすがにそこまではないと思ったのか、デュノアは同意を求めて一夏と和海の方を見たが、2人は速攻で目をそらした。
その反応がすべてを語っていた。
さすがのデュノアも、まさか……そんな……と言わんばかりに困惑していた。
「失礼します」
「【おう、来たな】」
征兎たちとの通信を終えた後のデュノア社社長室。
スタークのもとに1人の女が現れた。
「【久しぶりだな。――レイ】」
「本当にそうですね。束博士のところに来たときは私たちに会わずに帰ってしまわれましたから」
「【悪かったって】」
「私は別にいいですけどね、こうしてお会い出来ましたし。ですが、後であの子たちにも会ってあげたほうがいいですよ」
「【ハイハイ。わかってるよ】」
「フフ」
スタークに“レイ”と呼ばれた女は黒いストレートのような髪をショートカットにしていて、マジメな感じが見受けられる。
「【それはさておき、お前には明日以降のここの社長代理をやってもらう。別に表に顔を出す必要はない】」
「かしこまりました」
「【明日、俺が社員共を洗脳する。そうしたらヤツらに“ガーディアン”を製造させろ】」
「はい」
「【ある程度製造されたら、ガーディアンにガーディアンと“ハードガーディアン”を並行して製造させろ】」
「そうなると、社員共はいかがいたしましょうか?」
「【処分していい。やり方は任せる】」
「わかりました。そのように」
「【頼んだぞ、レイ】」
「お任せください。マイ・マスター」