神様の気まぐれで転生させられます。(仮)   作:CHIEN

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43話

 征兎side

 

 あれから少し日にちが経った日の休み時間。

 デュノアも元気を多少は取り戻し、まだ男子として生活している。

 そんな中、俺と一夏は――

 

「はぁ……この距離、なんとかならないのかな……」

「だな。これじゃ究極まで我慢してたら間に合わなくなっちまう」

「いや……わざわざそこまで我慢しないけど」

 

 ――トイレに行った帰りなだけでした。

 しょうがないじゃん。研究してるとさ~どうしても我慢しちゃうんだって。

 

「なぜです、教官! なぜこんなところで教師など!」

 

 ……ん?

 

「なぁ征兎……今の声って」

「あぁ……」

 

 次の角を曲がると目的の人物たちの姿が――って……。

 

「隠れろ!」

「わぷっ」

 

 一夏の頭を押さえつけ、自分も茂みに隠れる。

 すぐそこにはドイツの銀髪と……教官って言ってたからもしやと思ってたけど、やっぱり千冬さんがいて、向かい合っていた。

 

「何度も言わせるな。私には私の役目がある。それだけだ」

「このようなところで何の役目があるというのですか!」

 

 このようなって……。

 入学時のセシリアといい、ヨーロッパの方では日本ってこのような場所扱いなの?

 

「お願いです、教官。我がドイツ軍で再びご指導を。ここではあなたの能力は半分も生かされません」

 

 いやいや、それを決めるのはキミではないでしょう?

 

「大体、この学園の生徒など教官が教えるに値する人間ではありません」

 

 ……あん?

 

「意識が甘く、危機感が疎く、ISをファッションか何かと勘違いしている。そのような程度の低い者たちに教官が時間を割く必要など――」

 

 アイツ……後でぶっ飛ばすか。

 隣でも一夏が拳に力を入れて耐えてるのがわかる。

 

「そこまでにしておけよ小娘」

 

 ――!?

 怖えぇ~! ヤベーよ、アレ! さっきまでの怒りが一気に冷めたよ……。

 銀髪も心なしかすくんでいるように見えるし……。

 

「少し見ない間にずいぶん偉くなったな。15歳でもう選ばれた人間気どりとは恐れ入る」

「わ、私は――」

「そろそろ授業が始まる。さっさと教室に戻れよ」

 

 多少はいつもの声色に戻った千冬さんにそう言われ、銀髪はその場を離れていった。

 

「おい、どうすんだよ征兎。出て行きにくいぞ」

「わかってる。だからここは千冬さんがどっか行くのを待って――」

 

 ん? なんか千冬さん、こっち見てね?

 

「そこの男子共。盗み聞きとは感心しないな」

 

 バレていました。

 しかも、男子“共”って言ったよ。複数いるのがわかるならまだしも、性別まで見抜くなんて……。

 

「千冬姉」

 

 ――パァァァン!!

 

「織斑先生だ」

「はい……」

 

 観念して出て行ったはいいが、一夏がいつも通り出席簿の一撃を受けた。

 

「それで? 何か用なのか?」

「アイツの……ラウラのことなんだけど」

 

 あ……あの銀髪、ラウラっていうんだ。やっと知れたよ。

 

「アイツが俺を憎んでいるのって……やっぱあの誘拐事件の……」

「終わったことだ。お前が気にすることではない」

 

 あの事件か……。

 一夏を恨むのはお門違いだと思うけどな。

 そもそも、誘拐犯を簡単に会場に入れたドイツ軍の落ち度だろ?

 言ったらまた余計なトラブルになるだろうから言わんけど。

 

「アイツもまた複雑な過去を持ったヤツだ。それをわかってはいるのだが……どうにも上手くいかんな、人に教えるというのは」

 

 なんだか儚げな表情で空を見上げる千冬さん。

 まぁ教育ってそんなもんなんだろうな。俺、まだ学生だけど。

 

「さて、もうすぐ授業だ。今なら少し廊下を走っても見逃してやるから、さっさと教室に戻るんだな」

 

 そう言って、千冬さんは行ってしまった。

 

「一夏、とりあえず戻るぞ」

「わかってるって。これ以上出席簿の餌食にはなりたくないからな」

 

 俺たちは走り出す。残念ながら授業に遅れないためだけど……。

 しかし、また何かロクでもないことが起こりそうだな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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