神様の気まぐれで転生させられます。(仮)   作:CHIEN

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50話

 

「【……】」

 

 スチームガンを下ろしながら、ナイトローグこと玄乃は、爆発により煙が舞い上がった場所を見つめる。

 

(任務完了! ……なんてね。なんか……ちょっと上手く行き過ぎて不安になるけど)

 

 気持ちが浮足立ちそうになったが、一抹の不安を感じたために、今一度気を引き締め、龍華が倒れているであろうところへ歩を進める。

 

(しっかし……これだけ騒いでいるのに、未だに学園から何もアクションがないなんて……)

 

 建前上いちおう気にしていたが、ここの警備は大丈夫なのかと思ってしまう。

 これなら、いつでもパンドラボックスを手に入れられるかな? と玄乃は考えながらも、まぁいいや、と目の前のことに思考を切り替える。

 

 ――と、もうすぐ龍華の状態が確認できそうなところまで進んだとき、いきなり何かが飛び出してきた。

 

「せりゃあぁぁぁ!」

「【――っ!?】」 

 

 飛び出してきたのは、龍華ことクローズ。

 そして、その勢いそのままナイトローグに怒涛の攻撃をしていく。

 

 あまりにもとっさのことだったために、玄乃も攻撃をさばき切れず、何回かくらっていた。

 

「【――ぐ……キサマ、なぜ……!?】」

「なんかよくわかんないけど、何かがさっきの攻撃を防いでくれたみたいでね」

「【クソ……調子に乗るな!】」

 

 何かってなに!? と言いたい玄乃だっが、とりあえずこの状況をなんとかしようと、競り合いになったときにこれ幸いにと、力を入れ、思い切り弾き飛ばす。

 だが、その直後――。

 

 

「【――!?】」

 

 ――ガガガガガガ!!

 その音が聞こえたときには、銃弾が玄乃に当たる。

 

(なんなの……もう……)

 

 とっさにガードした玄乃だが、さっきから起こる突発的な出来事に、もっとスムーズに終わる予定だったのに……とうんざりしていた。

 

「不意打ちみたいなことしてごめんなさいね。でも、こっちもこれ以上好き勝手やられるわけにはいかないの」

(――げ!? 最悪じゃん……)

 

 その声を聞いて相手を察した玄乃だが、いちおう姿を確認し、やっぱり……となる。

 

「【――更識楯無、か】」

「あら、私のこと知っていてくれてるのね」

 

 まぁな。と返しつつ、目の前の相手を見据える。

 水色をメインカラーとし、装甲は少ないが、ナノマシンで構成された水のヴェールで機体を覆うことで防御力を保っているロシアの第3世代IS・霧纏の淑女《ミステリアス・レイディ》。

 先程の攻撃もアクア・クリスタルからヴェールを展開し、防いだのだろうと玄乃は考察した。

 

「あ! あんたは、あのとき征兎に裸エプロンで迫ってた変態女!」

「違うわ! 誤解よ! それにあのときはちゃんと下に水着を着てたんだから!」

(いやそれでもアウトでしょ……)

「5回!? 5回もあんな恰好で征兎に迫ってたの!? 信じらんない!」

「違~う! 誤解よ、ご・か・い!」

「やっぱり5回じゃん! だいたいあんなんで征兎をどうにかできると思ったら大間違いだからね!」

「だ~か~ら~!」 

 

 原作を知ってるが故に、他のファーストコンタクトのやり方ないんかい。と言いたい玄乃だが、とばっちりを受けたら面倒になりそうだから黙っていた。

 

「【……もういいか?】」

「全然良くないけど、今はそんな場合じゃないものね」

 

 ――が、不毛な言い争いにウンザリし、声をかけたが、ちょっと失敗かもと思った。

 

「――コホン。わざわざイベントの日に、こんなところに侵入してなにが目的かしら?」

 

 わざとらしく咳払いをした後、自身のISの武装であるランスを構え、楯無がそう問いかける。

 それに対し、特に誤魔化そうともせずに、あっさりと玄乃は答える。

 

「【私の目的は、そこの万丈龍華に前回受けた雪辱を晴らすこと。そして、その扉の向こうにあるパンドラボックスだ】」

「――! それって……あの黒い箱のことかしら?」

「【そうだ】」

 

 まさか機密でもなんでもなく、学園で保管されている黒い箱が目的と知り、驚いた。――だが、やるべきことは変わらないと楯無は気持ちを入れ直した。

 

「【お前たちが持っていたところで、宝の持ち腐れだ。私たちならそれを有効的に使うことができる】」

「あら? 確かあの箱、誰も開けられないって聞いたけど」

「【それはそうだろう。あの箱を開けるには条件があるからな】」

「条件?」

「【お前たちには、どうあがこうと満たすことのできない条件だ。気にするだけ無駄だ】」

 

 その条件が、地球外生命体の遺伝子を持つこと。などとは口が裂けても言えないため、玄乃は話を無理矢理終わらせようとする。

 楯無はかなり気になっているようだが、気にしない。したくない。

 言えたとして、彼女たちに――コイツ何言ってんの? と思われるのが嫌なのもあったが……。楯無はともかく、龍華にだけは尚更。

 

「【おしゃべりはここまでだ。さぁ、ここを通してもらおうか】」

「そう言われて通すと思う?」

 

 だよなぁといった感じで武器を構えるナイトローグを見ながら、楯無も自身の武器を構える。

 

「龍華ちゃん。ここは一時休戦して、いっしょに戦ってもらえるかしら?」

「はぇ?」

 

 龍華は、さっきまでの2人の会話にまったくついていけず、途中からボケ~としていたため、変な返事をしてしまった。

 

「……協力していっしょにアイツを倒しましょう」

「OK! さっきから難しい話ばっかりだったから、思いっきりやらせてもらおうかな!」

 

 龍華の反応に頭を抱えたくなった楯無だが、我慢して改めて声をかけた結果、案の定の答えだった。

 当人たちからすれば、何一つ難しい話はしてなかったつもりだが……。

 

(マジですか~。この2人相手とかキツイんだけど……)

 

 しかし、自分たちの戦闘に関するデータはすべて束のところに送られる。更識楯無の戦闘データと霧纏の淑女のデータ。いい土産にはなるだろうと考えた。

 

(ある程度戦って、やられて変身解除される前に撤退しよう)

 

 とても後ろ向きな玄乃だった……。

 そして、こうも考えていた。

 

 

(……もうそろそろ、ナイトローグの出番は終わりかな)

 

 

 

 

 

 

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