神様の気まぐれで転生させられます。(仮)   作:CHIEN

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51話

 

 征兎side

 

『非常事態宣言発令! 試合は中止! 状況レベルD! 直ちに避難してください! 繰り返します――』

 

 え~……実況の桐生です。

 今回のイベントでもなんか大変なことが起きております。

 あれから2対1になり、AICの弱点を突いたり、一夏がデュノアの銃を借りたりしていい感じの連携で攻めて行き、デュノアのパイルバンカーがラウラに決まり、ヤツを追い詰めたところで状況が一変。

 ラウラが急に雄たけびのような声をあげ、ヤツの機体から何かが溢れ出てきたと思ったら、あら不思議。どことなく千冬さんに似た黒いのが完成しましたとさ。

 どことなくあの黒いのが持っているのが雪片に見えるのですが、解説の征兎さん、いかがでしょうか。

 そうですね~……おそらくですが、アレはモンドグロッソのときの千冬さんを模しているかと思われます。

 ――と言いますと……アレはもしや……!

 えぇ、千冬さんの専用機である暮桜でしょう。

 そうなりますと、一夏たちが戦うには厳しいかと思われますが……。

 通常ならそうでしょう。しかし、アレは所詮コピー。本物のようにチートではないでしょう。そこに勝機が――。

 

「なにボケっとしてんだ。さっさと行くぞ」

「あでっ」

 

 またもイベント中に起こった非現実的な出来事に現実逃避してたら、和海に叩き戻されてしまった。

 

「大丈夫だろ。アレを見るかぎりそこまで急いで避難しなくても――」

「アホ。そっちじゃない。管制室だ」

「管制室? なんでまた」

「おまえ……自分が専用機持ちってこと忘れてないか……?」

 

 あ~……あっちで警備主任(織斑千冬先生)の指示を仰ぐってことね。

 

「……さて、行くか!」

「ここでおまえがグズグズしてたのがバレる前にな」

 

 怖いこと言うな! 

 もし、千冬さんにバレたかと思うと……うん、やめよう。デッドエンドしかないわ。

 

「よし、ホントにバレる前に……ん?」

「どうした?」

 

 ふとアリーナの様子を見て、行き先を変えることにした。

 ――ったく、あのバカ。

 

「和海、悪いけど行き先変更だ」

「あん?」

 

 黙ってアリーナのほうを指差すと、その様子を見た和海もなるほどな、と納得してくれたみたいだ。

 さて、今度こそホントに行きますか。

 だが、アリーナに向かう途中、和海が――。

 

「反省文、9:1な。もちろんおまえが9だけどな」

 

 ……え? マジで?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、アリーナに飛び出た俺たちが見たのは、まぁヒドイ光景だった。

 

「離せ! 俺はアイツを――!」

「ダメだよ一夏!」

 

 あの黒い千冬さん擬きを見て、怒り狂う一夏とそれを必死に止めるデュノア。

 

「あ……征兎、和海」

 

 そして、それをどうしようもなさげに見ている箒。

 

「え? 征兎、和海!?」

「征兎、手ぇ出すな! 俺はアイツを許せねぇ! あの剣は千冬姉だけのもんなんだ!」

 

 なんで俺だけ名指し?

 しっかし相変わらずシスコンだな。本人に自覚はないだろうけど。

 

「どうする……征兎」

「どうもこうも、まずアイツを落ち着かせないと、どうしようもないわな」

 

 箒の問いかけにそう答える俺。

 ったく、ホントにもう。

 

「だけど、おまえなら真っ先に一夏を止めに行きそうなのにな」

「……一夏の気持ちもわかる。私とて千冬さんに師事していた身だからな、アレをみて思うところはある。だからといってあそこまで向こう見ずというわけではないが」

 

 な~るほどね。

 そういえば、2人は昔、道場でいっしょに稽古してたな。

 

 ちなみに俺は当時から色々と研究みたいなことに没頭してました。そのおかげで束さんと出会い、気に入られてしまったわけだが。

 

 それはそうと、ホントにアイツどうしようか。

 

「……」

 

『ロボットゼリー』

 

 ……ん?

 

 アリーナに着いてからさっきまでずっと静かだった和海に急に動きがあった。

 急にどうした?

 

「変身」

 

 そんな俺の疑問をよそに、和海はベルトのレバーを押し下げた。

 

『潰れる! 流れる! 溢れ出る!』

『ロボットイングリス!』

『ブラァ!』

 

「か、和海……?」

「……」

 

 恐る恐る声をかけても黙ったまま。……怖いんですけど。

 

「和海! アイツは俺がやる! 邪魔するならおまえでも――」

 

『シングル!』

 

 一夏が和海に色々と言ってるが、それにも答えない。

 代わりに一夏に近づき、ツインブレイカーにスクラッシュゼリーを装填した。

 え……? なに? おまえが千冬さん擬きとやり合うの?

 だが、それはちょっと違ったようで――。

 

「っこのバカヤロウが!!」

 

『シングルフィニッシュ!』

 

「がっ!?」

  

 そのまま、アタックモードで一夏に一撃くらわせた。

 ――って、ええええええぇぇぇぇぇ!?

 

「か、和海……? なにを……」

 

 戸惑いがちにデュノアが声を出すが、まぁ俺も同じ気持ちだ。

 

「ぐ……うぅ……」

「ちったぁ目が覚めたか?」

 

 よろよろと起き上がった一夏にそう言う和海。

 ヤンキーかおまえは。

 

「さっきからずっと怒り任せで、何やってんだおまえは。それじゃあアイツと同じだろうが」

 

 なんか知らんが、和海の説教が始まった。

 ……アレ? なんか前も同じようなことがあったような……。

 

「確かにアイツは千冬さんの剣を汚してるかもしれねぇ。お前には耐えがたいことかも知れねぇ」

 

 静かな口調で言葉を続ける和海。

 さすが昔からの俺のお目付け役(なんかそうなってた)。

 

「だけどそれを堪えろ、一夏。そして、自分が今本当にやるべきことをよく考えろ。怒り任せでやったとこで得られるものなんてなんもねぇぞ」

 

 キャーカッコイイー(棒)。

 なんで……なんでいっつも和海にいいとこ持ってかれんだー!

 こうやってまた、俺の主人公感が薄れていくんだ……。

 

「和海……悪い、カッコ悪いとこ見せたな」

「別に構わないが、そういうのは女子にやってくれ」

 

 和海の肩に額をくっつけながら謝罪の言葉を言った一夏に対し、そう言う和海。

 確かにこのシーンを一部の女子たちが見たら、興奮ものだろう。

 

「……で、だ。今ので白式のSEなくなったんだけどさ……どうすればいいかな?」

「……」

 

 そう告げる一夏と気まずそうに目をそらす和海。

 というか、マジで加減なしでやったのか。さすがだな、和海。

 

「そ、それなら僕のISのSEを一夏の白式に渡すよ!」

 

 この気まずい空気をなんとかしようと、デュノアがそう案を出した。

 まぁ他に案も無いし、即採用です。

 

 その後、デュノアが白式の待機形態にケーブルを繋ぎ、エネルギーを送る。

 その間、例の千冬さん擬きを見てたが、相も変わらず鈍重な動きでこっちに近づいてきていた。

 やっぱコピーだな。本物……というか本人なら、さっきまでのやりとりしてる間に俺たちは全滅だろうしな。

 

 エネルギーを送り終え、SEがなくなったのかデュノアのISは待機形態になった。

 けど、デュノアのISも、仕方ないことだが残りSEが少なかったため、白式の右腕しか展開できないみたいだ。

 まぁ、今の一夏なら充分だろ。

 

「行ってくる」

 

 なんてカッコよく言いやがって。

 

「さっさと決めてこい」

「クラス代表のときみたいにならないようにな」

 

 

 

 そして結果は――。

 

 

「零落白夜、発動!」

 

 

 見事にヤツを切り裂き、中にいたラウラを引っ張り出した。

 

 そして、千冬さん擬きもその形を崩し、ただのスライム擬きになった。

 

 

 

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