神様の気まぐれで転生させられます。(仮)   作:CHIEN

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53話

 

 征兎side

 

 一夏たちを安全な場所に下がらせ、改めて目の前のヤツらと向き合う。

 最初、一夏は自分もやると言ってやがったが、白式のSEがないことと、気絶したラウラや箒たちがいることを理解すると、シャルの親父さんを頼む。と言って下がっていった。

 

「……頼む……か」

 

 いつもなら頼られるとテンションも超上がるのだが……今回はなぁ。

 

「怖気づいたか?」

「まさか」

 

 確かに、今までとは違ってどうなるかわらなくはあるけどさ。

 

「覚悟はいいか和海」

「俺はいつでもできてる。今からのことでお前が懸念していることもな」

 

 そうかい。

 今回の懸念はまさしくどうなるか分からないところ。アレを倒したからといって親父さんが元に戻るという保証はどこにもない。仮に戻ったとしても、何事もなく無事な保証もない。最悪、命の保証はできないかもしれない。

 それを和海はいっしょに背負ってくれると言ってくれているのだろう。……多分。

 

 ふぅ……と一つ大きく息を吐く。

 いつまでも考えていると、逃げのためみたいでダメだ。

 和海にああ言った手前、俺もいい加減覚悟を決めるか。

 

 ――よし! やるか!

 

 改めて覚悟を決めた俺は、ヤツらに目を向ける。

 ブラッドスタークとヤツがデュノアの親父さんを変化させた異形の存在。

 

「……スマッシュ」

 

 そう呟いた。

 それが聞こえたのか、スタークがその存在を自慢するかのように意気揚々と語る。

 

「【コイツは、人体にネビュラガスという特殊なガスを注入することで変化させた存在だ。本来はキチンとした施設で注入させるところだが、これがあれば話は別だ】」

 

 そう言って取り出したのは、あのバルブが付いたブレード。

 

「【こいつがあれば、どこだろうと人間をスマッシュに変えることができる。どうだ? ガスといい、これといい、すごい発明だろう】」

 

 あのヤバそうなガスも、このロクでもない機能のブレードもアイツが作ったのか。

 というか……。

 

 ――は? これが発明?

 こんなみんなを怒り狂わせ、悲しませるものが?

 ……俺は絶対に認めない。認めてたまるか……!

 

「……けんなよ」

「【ん?】」

「ふざけんな!」

 

 感情の赴くままヤツに叫ぶ。

 

「そういうのは発明って言わないんだよ!」

 

 そう言い放ち、ベルトを装着し、ボトルを2本取り出す。

 

「【フフフフフ】」

「ん?」

「なんだ……?」

「【ハハハハハ!】」

 

 怪訝そうにしている俺たちをよそに、スタークがいきなり笑い声をあげた。

 ……なんだ? 今のどこかに笑うような要素があったか?

 

「【ふぅ……、まさかそんなことを言い出すヤツがいるなんてな。思わず笑っちまったよ】」

 

 なに? どういうことだ?

 

「【どうせお前のことだ、発明は人々の生活のためとか、笑顔のためだとか言うんだろ?】」

 

 だったらどうだっていうんだよ。

 そういった意味を込めてスタークを睨む。

 

「【わかっちゃいないな。発明だろうとなんであろうと、科学の行きつく先は破滅。つまり、人類はこのまま勝手に滅んでいくってことさ】」

「なにを……!?」

「【なぜ人類はミサイルを開発した? なぜ核兵器を開発した? 気に入らないヤツらを滅ぼすためさ。そして、やられたヤツらも同じものでやり返す。そうやっているうちに互いに滅んでいくのさ】」

「勝手なことを……!」

「【ISにしたってそうさ。篠ノ之束が宇宙進出ということで発表したときには見向きもしなかったくせに、白騎士事件のあとは、自分たちの無能さをさらけ出さんと言わんばかりの完全な手のひら返し】」

 

 ……おいこら、無能なのは政府のヤツらであって、人類すべてじゃねーよ。

 

「【人間にとって発明は――いや、科学とは軍事利用の側面しかない……そのためでしかないものなんだよ】」

 

 ざけんな! そんなわけない!

 

「違う! 科学を軍事利用するのは周囲の思惑だ。科学者の責任じゃない!」

 

 確かに、積極的に兵器を開発してる科学者がいないとは言わない。

 だけど、すべての科学者がそういうわけじゃない!

 

「束さんが開発したISも、玄乃さんが作ったこのビルドも兵器じゃない。俺が証明してみせる!」

 

 力強く且つ高らかにそう宣言する。

 さらに、件のスマッシュを指し、言葉を続ける。

 

「そして、そんなことを平気でやるお前を許すわけにはいかない!」

 

 パーフェクト……!

 これで、俺の主人公感がかなり上がったであろうことは明白。我ながら完璧だ……!

 いやもちろん、本心でもあるけどな!

 

「台無しだ……」

 

 ん? ……どうした和海? ずっと待たされてたから疲れたのか?

 

「【……なにも知らないというのは悲しいねぇ】」

 

 悦に浸ってた俺は、そうスタークがつぶやいていたなんて知ることもなく、改めてボトルをベルトに装填した。

 今回は紫と黄色。

 

『忍者!』 『コミック!』

『ベストマッチ!』

 

『Are you ready?』

 

「変身!」

 

『忍びのエンターテイナー! ニンニンコミック!』

『イエーイ!』

 

「よっし! 行くぞ、和海!」

 

 専用武器の4コマ忍法刀を握り、隣の和海にそう言う。

 

「……」

 

 しかし、なぜかすっごい微妙な顔でこっちを……正確には俺の持つ武器を見ている。

 いったいどうしたんだ?

 

「なんだ、その相変わらずのセンスの武器は?」

「ふっふっふ。これは4コマ忍法刀! その名の通り、4つの素晴らしい機能を持つ画期的な武器さ! スゴイでしょ! 最高でしょ! 天才でしょ!」

 

 そうやっているうちに、いつのまにか和海が俺から離れていた。

 おや? っと思ったときと、スタークがスマッシュにやれ、と言ったのはほぼ同時。

 

「へ? ――おわぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 飛んできたビームをまともに受けた俺は、ギャグキャラよろしくゴロゴロ転がった。

 クソぅ主人公たるこの俺が……!

 けど、なんとか変身は解除されずに済んだみたいだ。

 ぶっ飛ばされても無事とか、主人公の友人のギャグキャラじゃねーか!

 なら、主人公は和海!? 俺がギャグ要員!?

 認めない……! 絶対に認めないぞ!!

 

「……おいバカ。アホなことしてないでさっさと行くぞ」

 

 そんな考えに没頭していたところにそんな通信がきた。

 

「わかってるよ!」

「なに興奮してんだ?」

「いいか! 主人公は俺だからな! お前はその友人のサブキャラ! そこら辺理解しとけよ!」

「は?」

 

 わけがわからないと言った和海を放置し、俺もスマッシュに向かって行く。

 見てろよ……俺の主人公たる素晴らしき戦いを!

 

 

 

 

 

 ……後の和海曰く、スタークに言い返したときの俺は幻だったんじゃないか? とのことだ。

 ちょっと理解に苦しむな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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