「はあぁぁぁぁ!」
「【――!】
龍華のビートクローザーによる直線的な攻撃をスチームブレードで捌きながら、スチームガンで反撃に転じようとする。
「ざんね~ん!」
「【チッ】」
すると、絶妙なタイミングで楯無からのガトリングのよる砲撃、またはランスでのアシストが飛んでくるため、ほとんど玄乃は防戦一方となってしまっていた。
(さすが国家代表ってとこかしらね。ホンッット、いやらしいタイミングですこと!)
ウンザリしながらも、なんやかんやでしっかり攻撃を捌いてるのはさすがといったところか。
しかし、龍華が途端に攻撃を止め、後ろに飛び退いた。
それを不思議に思ったのも束の間、楯無からランスとは別の武器による攻撃が繰り出されていた。
それを見た玄乃は、急造コンビじゃなかったっけ!? と、思わず内心で愚痴る。
剣と思いきや、ワイヤーでつながれた刃の部分が等間隔に分裂し、鞭のように変化して迫っていく。
(蛇腹剣かい!)
だが意外と冷静なのか、スチームガンで分裂した刃の部分を撃ち、攻撃を防ぐ。
「さすがに通用しないみたいね。でも、こっちにばかり気を取られていいのかしら?」
「【なに?】」
蛇腹剣での攻撃をあっさり防がれたことによる強がりかと思ったが、そうではなかった。
その直後、その答えがわかった。
『スペシャルチューン!』
『ヒッパレー! ヒッパレー!』
「【――!?】」
『ミリオンスラッシュ!』
「くぅぅらぁぁえぇぇ!」
気づいたときにはすでに遅し。
龍華が横薙ぎに振るったビートクローザーから蒼い炎の弾丸が飛んできた。
「【がはぁ!?】」
それを見事にくらった玄乃は、少し転がった後に立ち上がろうとする。
だが、思ったよりダメージが大きかったのか、片膝をついてしまう。
(おのれ、龍華ちゃん……1度ならず2度も。もう絶対にこんなことやってやんないんだから!)
「どう? これ以上戦っても無意味だと思うし、おとなしく拘束されてくれない? 悪いようにはしないわよ」
なんだかんだ言って悪役みたいなことを考えている玄乃に、油断せずランスを構えながら楯無がそう告げる。
「【ふっ……】」
「……何がおかしいの?」
「【自分の手の内を明かさずにいられているからこその余裕か? ずいぶんなことだな】」
「何のことかしら?」
「【私が何も知らないと思っているのか? ロシア国家代表よ】」
「…………」
その言葉により少し静寂があったが、それを破ったのもまた玄乃だった。
「【……だが、分が悪いのも事実。ここはおとなしく引いてやる】」
直後、ナイトローグの肩のユニットから煙が噴き出し、その身を包んでいく。
「――! させない!」
(さてと……さっさとアイツと合流して帰らせてもらいましょう。どうせろくでもないことやってるんだろうし)
向かってくる楯無を無視して、玄乃はさっさとその場から消えた。
「……やられた」
「逃げられちゃったね」
ナイトローグが去ったところを悔し気に見ながら言う楯無に、変身を解除しながら龍華がそう言う。
「…………」
「……? なに?」
なぜか、不思議なものを見るような目で自分を見てくる楯無に龍華は思わずそう聞いてしまう。
「なんであなたはヤツを止めようとしなかったの?」
「いやだって、もう疲れちゃったし、いいかなって」
「……は?」
思わずマヌケな声が出てしまった。
まさか、そんな厭世的な理由で侵入者の逃走を許すなんて……、とそんな思いだ。
「それに早く終わらせないと、征兎といっしょに試合できなくなっちゃうし……」
「あら……」
一転、恥ずかしそうにそう告げる龍華。
それをかわいいと思いつつ、なぜかいいもの見つけたといたずらっ子のような顔をする楯無。
「というわけで、帰りたいんだけど……帰り道わかる?」
「ええ、わかるけど……」
「よっし、じゃあ早く行こう! 試合が始まる前に戻りたいし……ってまだ大丈夫だよね!?」
早く早く、と急かしてくる龍華を微笑ましく見ていた楯無だったが、上での出来事を知っているために残酷な現実(龍華にとっては)を申し訳なさそうに伝える。
「残念だけど……上でも色々あって、タッグマッチトーナメントは中止よ」
「……え?」
ポカーンとした顔で楯無をみる龍華。さながら、なに言ってるかわからないといった感じだ。
そして、それを苦笑いで見る楯無。
「「…………」」
――静寂。
「ええぇぇぇぇぇぇぇ!?」
――直後に絶叫。
楯無の見つめる先で龍華が膝から崩れ落ちた。
「そんな……なんで……せっかく征兎とペアになれたのに……いっしょに戦うことで距離を縮めるはずだったのに……」
一難去ってまた一難?
両手両膝をつき、地面に顔を向けブツブツ言い始めた龍華。
それを、どうしたものかと完全に困った顔で見つめる楯無。
――なんとも言えない空気がその場を支配していた。
征兎side
「はぁ! せい! おりゃ!」
4コマ忍法刀でスマッシュに攻撃を仕掛ける俺。
「ふっ! らぁ! うらぁ!」
ツインブレイカーのアタックモードでヤンキーよろしく攻撃する和海。
そうして現在、デュノアの親父さんが変化させられたスマッシュと戦闘中である。
「……う~ん」
さっきから思ってたが、やはり気のせいじゃなさそうだ。
――俺の攻撃あんま効いてない!
絶対そうだ。
和海の攻撃をくらったときと俺の攻撃をくらったとき。明らかに怯み方やよろけ具合に違いがあった。
浅く入っただけかと最初は思ったが、そんなことなかった。
ベストマッチ機能がない分、和海のグリスの方がパワーがあるのは知ってたが、ちょっと悔しい。
「まぁ、それは後でいいか」
これが終わったら、強化アイテムを完成させることを固く決めて目の前の敵に集中、集中。
すると、スマッシュが腕をクロスさせ、体中にエネルギーを纏い、こっちに突っ込んできた。
「甘いぜ!」
もうアイツの攻撃をくらうなんて懲り懲りだ。
4コマ忍法刀のトリガーを4回プッシュ。
『隠れ身の術! ドロン!』
周囲に煙幕が発生し、俺を隠す。
それを上手く利用し、そそくさと……。
もちろんスマッシュの攻撃は空振り。辺りをキョロキョロし、俺を捜してるのかな?
この隙を逃す俺ではないわ!
今度はトリガーを1回。
『分身の術!』
分身が実体化すると、ともにうなずき合い、ヤツに攻撃していく。
「せい!」「せい!」
「はぁ!」「はぁ!」
「どりゃ!」「どりゃ!」
高速で交互に攻撃し、ある程度したところで、分身とともにトリガーを3回。
『『風遁の術!』』
忍法刀に竜巻が纏われたところでヤツを攻撃。
「「『『竜巻斬り!」」』』
俺と分身、そして音声×2。……ちょっとうるさかった。
斬撃を浴びたスマッシュは吹っ飛び、すぐに起き上がる。
「和海!」
「わかってる!」
そう答えた和海がスマッシュを追撃。
怒涛のラッシュを浴びせる。
さすがヤンキー、相手を殴るのはお手の物ですね。
そしてある程度したところで、分身を消した俺がその後ろから行く。
「よし!」
和海の肩を借り、上に跳躍しながら忍法刀のトリガーを2回押す。
『火遁の術!』
そして、着地と同時に攻撃できるよう計算した俺のパーフェクトな斬撃が炸裂!
「『火炎斬り!」』
火炎を纏った斬撃をまともにくらい、もうスマッシュは満身創痍っぽい。
なんかフラフラしてるし。
っていうか、飛行機能いちおうあるんだから肩借りなくてもよかったな……。
『ラビット!』 『タンク!』
『ベストマッチ!』
『Are you ready?』
「ビルドアップ!」
ラビットタンクフォームになったところで、隣に和海がきた。
「決めるぞ!」
「ああ、とっとと終わらせるぞ!」
俺はベルトのレバーを回し、和海はレンチを下げる。
『Ready GO!』
『スクラップフィニッシュ!』
共に跳躍し、これで終わりにするためにキックを放つ。
『ボルテックフィニッシュ!』
「「はあぁぁぁぁ!!」」
俺と和海の渾身の一撃は見事スマッシュに炸裂。
そして背中を向ける俺たちの後ろで、緑色の炎を上げ、爆発した。