神様の気まぐれで転生させられます。(仮)   作:CHIEN

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55話

 征兎side

 

 自分の背の向こうで、爆発音が聞こえたと同時に、やり過ぎたかな? という思いがでてきた。

 いくらスマッシュというものに変化させられたとはいえ、デュノアの親父さんなのだ。

 和海もそう思ったのか、顔を合わせようとした俺と速攻で目が合った。

 

 変身を解除し、恐る恐る後ろを見ると、デュノアの親父さんが倒れていた。

 ヤベー!?

 もちろん俺たちは慌てて駆け寄る。

 

「ちょっ、大丈夫ですか!?」

「すいません、やりすぎました!」

 

 なんかちょっと違う気がするが、そんなの気にしている余裕はない。

 別の方を見ると、一夏たちがこっちに近づいて来ているのが見えた。

 こっちに来る前になんとか親父さんがの無事を確認しなくては……!

 

 だが、ふと冷静になり違和感に気付いた。……気付いてしまった。

 俺の目の前に、光の粒子が舞っているのだ。

 え……なにこれ?

 そして、その原因がデュノアの親父さんであることにも……。

 まじで何が起こってんの!?

 直後、うめき声が聞こえ、親父さんの目が少し開かれた。

 俺は、思わず親父さんを抱き起こし、声をかけた。

 

「大丈夫ですか!? しっかりしてください!」

 

 ホントは何があったかとか聞きたいところだが、さすがに今はそれどころじゃない。

 この状況を把握し、なんとかしないと……!

 そうしている間にも親父さんから出ている光が強くなっている。直感的にこれがヤバいことはわかるけど、どうにもできない。

 

「クソ……! どうすりゃいいんだよ!?」

 

 思わずそう漏らしたとき、親父さんが震える手で上着の内ポケットからUSBメモリを取り出し、俺の手に握らせた。

 

「これは……?」

 

 そう聞くが、答えは返ってこず、只々今出せる精一杯の力で俺の腕を握ってくるだけだった。

 まるで、後は頼むというみたいに……。

 

「――!」

 

 言葉を発しようとした直後、親父さんの体が光の粒子となり、俺の腕の中から消えた……。

 

「…………」

「……マジ……かよ」

 

 視界の端で、デュノアが顔を手で覆い崩れ落ちたのが見えた。

 和海も呆然としている。

 俺もまさかの出来事にどうしていいかわからない。

 だけど、これだけはわかる。この元凶となったヤツを絶対に許してはいけないということだけは……!

 

 怒りに思考が染まりそうになるそのとき、ソイツの声が聞こえた。

 

「【……普通はスマッシュになると前後数時間の記憶はないはずなんだがなぁ】」

 

 ブラッドスターク……!

 何のことかよくわかんないが、ぶつくさ言いながらデュノアの親父さんに挿したはずの紫のボトルを拾っていた。

 

「【……やっぱりダメか】」

「スターク!」

 

 ボトルを見ながら何か言っているスタークだったが、俺の声でこっちを見た。

 

「【ハハハ、アイツが消えたことなら気にするだけ無駄だ。スマッシュになったときからアイツは消えるって決まってたんだからな】」

「……んだと?」

 

 和海がヤバい剣幕でいるが、そんなことまったく気にせずスタークは続ける。

 

「【ただでさえハザードレベルが2.0程度しかないヤツにロストボトルを挿し、そのうえネビュラガスを追加で注入したんだ。あっという間に限界値を超えたはずだ。むしろここまで持ちこたえていたのが不思議なくらいだ】」

 

 ハザードレベル? ロストボトル? 

 知らない単語が出てきて、余計に俺を混乱させる。

 

「【そもそも、最初の時点でかなり弱ってたんだ。本当によくがんばってたよ】」

 

 そう言いながら、バカにするように笑うスターク。

 ……許せねぇ。

 

「……要は、お前のせいでデュノアの親父さんは消えたってことだろ」

「【だとしたら?】」

 

 思えばこれは挑発だったのだろうが、怒りで頭に血が上っていた俺はそんなこと気にもしなかった。

 

「決まってるだろ!」

 

『ローズ!』 『ヘリコプター!』

『ベストマッチ!』

『Are you ready?』

「変身!」

『情熱の扇風機! ローズコプター!』

『イエーイ!』

 

 ぶっ殺す!

 新たなベストマッチ、ローズコプターフォームとなり、背中についているバトルローターブレードを持ちスタークに向かって行く。

 

「おおおぉぉぉぉぉぉ!」

「待て、征兎!!」

 

 和海が俺を制止する声が聞こえたが、俺はとまるつもりはない。

 今は目の前のコイツを……!

 

「オラぁ!!」

「【やれやれ……】」

 

 怒りのまま、がむしゃらにスタークにブレードを振るいまくる。

 自分らしくないとわかってるけど、止めるつもりはない!

 

「【そんな感情任せの攻撃でなんとかなると思ってんのか?】」

「うるせぇ!」

 

 ため息をつかれながら、涼し気に攻撃を避けられ、捌かれる。

 それによって、さらに頭に血がのぼってしまったのだろう。

 やってしまった、と思ったときにはもう遅かった。

 

「――っ!?」

 

 スタークの持つ銃が俺の腹部に押し付けられていた。

 

『スチームブレイク! コブラ!』

 

「ぐわあぁぁぁ!?」

 

 当然のごとく、見事にそれをくらった俺。

 吹っ飛ばされ、変身が解除されてしまう。

 

「【残念だ】」

 

 そう言い、俺に銃口を向けるスターク。

 和海が叫びながらこっちに来てくれているが、まぁ間に合わないだろう。

 つーかアイツ変身もしてないのに、まったく……。

 今度こそゲームオーバーか……。

 

 

 

 

 そう思い、目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 ――が、いつまで経っても痛みがこない。

 

 

 

 

 

 

 

 ……はて?

 

「【……なんの真似だ?】」

 

 気になって目を開ける。

 そこには、ため息を吐いたスタークと、その銃を持った手を押さえつけているナイトローグ。

 

 

 ――って……あれ?

 

 

 ナイトローグ!? いつのまに!?

 

「【それは、今はダメだ】」

「【なに……?】」

 

 ……? 何のことだ?

 

「【……】」

「【……】」

 

 そのまま、睨み合うスタークとローグ。

 空気がとても重く感じる。

 正直、俺の近くでとか勘弁してよ……ただでさえ、命の危機なのにさ。

 

「【……わかったよ】」

 

 ローグの手を払いのけ、機嫌が悪そうに言うスターク。

 

「【ローグに免じて今日は帰るわ。Ciao】」

 

 そう言い、煙に包まれスタークは消えた。

 

「【……】」

 

 ローグはそれを見送り、一つ息を吐き、いつのまにか和海に支えられていた俺の方を向いた。

 

「【もっと強くなれ。次は――情け容赦なく消す】」

 

 ……え? なんでローグがそんなことを……。

 呆然としているうちに、いつのまにかローグもいなくなっていた。

 あ……ヤベ、普通に逃がしちった。

 

 

 

 

 結局、いいようにやられただけじゃねーか……。

 デュノアの親父さんも救えずに……。

 

 

 

 

 ちくしょう……ちくしょう……!!

 

 

 

 

 

 この悔しさ……屈辱……二度と忘れねぇ……!!

 

 

 

 

 

 

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