一夏side
目の前で起こっていることを理解するのに時間がかかった。
千冬姉の優勝を阻止するために俺を誘拐したヤツらが、突然現れた 血色の全身装甲 を纏ったやつに大した時間もかからずにやられていった。
二人いた男は、ソイツの腕から伸びた触手が刺さったと思ったら赤い粒子となって消えた。
ISを纏った女は抵抗したが、あっという間にやられてしまった。
--なんなんだコイツは。
武装しただけの男たちならまだしも、ISを纏った女をあんな簡単に倒すなんて・・・。
そう思考していると、ソイツはこっちを向いて、
「【--さて、はじめましてだな。織斑一夏くん】」
--と、さっきまでのことがなんでもないかのように話しかけてきた。
「なんで・・・俺の名前・・・」
俺は自己紹介もなにもしてない。それなのにコイツは俺の名前をなぜか知っていた。
「【ん?それは企業秘密・・・と言いたいところだが、向こうで消したヤツらがベラベラしゃべってくれてねぇ。それで状況を鑑みてお前さんにあたりをつけたってわけだ】」
そんなことかと納得すると同時に、いっしょに連れてこられた友人のことが気になった。
「お、おい、・・・創一は? ・・・創一はどうした!?」
「【ソウイチ? 誰のことだ?】」
「向こうで俺と同じように捕まっていたヤツのことだ! ソイツのことはどうしたんだ!?」
向こうに行った誘拐犯たちがコイツにやられたなら、創一は生きているはず。
そう思ってヤツに聞いた。
だが--、
「【あぁ、向こうで捕まってたヤツなら消えてもらったぜ】」
・・・・・・は?
「なん・・・だ・・・って・・・」
「【だから、消えてもらったんだよ。あいつらと同じで赤い粒子になったから、今頃その辺を漂ってるんじゃないか】」
・・・そんな。
「--っ!? ・・・ふざけんな!! なんで助けなかったんだ!?」
俺は怒りに任せてそう叫ぶ。
しかし、ヤツが次に言ったことはさらに衝撃的だった。
「【俺にはあいつを生かしておく理由がなかったからな。どうせ殺されそうになってたんだ・・・俺がやったって大して変わらないだろ】」
「--てめえ!!!」
絶対に許さねぇ!!
そんな気持ちを込めながら、ヤツを睨み付ける。
「【ハハハハハハ。・・・いいねぇ。--ん?】」
いきなりヤツが笑うのを止めて別のところを見たから、つられてそっちを見てみた。
「・・・う・・・あ・・・」
すると俺たちのやり取りで気がついたのか、さっき転がっていった女が目を覚まし、立ち上がろうとしていた。
それを見たヤツは--、
「【なぁんだ、生きてたのか】」
そう言って、さっき使った銃を取り出した。
それと同時にボトルのようなものを取り出し、振った後キャップを回す。
そして、それを銃にセットした。
『コブラ!』
『スチームブレイク! コブラ!』
そんな音声が聞こえた後、銃口を女に向ける。
--って、まさか!?
「やめっ--」
言う間もなくヤツが引き金を引くと同時にエネルギー弾が放たれた。
女はなすすべもなく直撃をくらい、小爆発とともにこの世から消えた。
「【まったく、手間かけさせやがって】」
「・・・あ・・・あ・・・」
もう俺は、平気で人を殺せる目の前のコイツに恐怖してしまい、ロクに言葉を発せなくなってしまった。
「【ようやくゆっくり話せるなぁ。・・・と言っても恐怖でロクに話すこともできない・・・か。まぁ、仕方ねぇか】」
そう言ってヤツは俺の周りを歩きながら話し始めた。
「【今回お前を助けたのは、俺の目的のためだ。今、お前に死なれると目的達成に支障がでるんでな。】」
もう俺はなにも考えられなかった。
・・・目的? ・・・支障がでる?
--もうわけがわからない。
「【そこらへんの説明・・・もしてやりたかったが】」
--と突然動くのを止めた。
「【思ったより早かったな。・・・残念ながら今回はこれでお別れだ】」
なんなんだ、急に。
「【もしかしたら、またどこかで会えるかもしれないしなぁ】」
俺はもう二度と会いたくない。
だが、なぜかヤツとはまたどこかで会う・・・そんな気がした。
そしてヤツは再度銃を手に取る。
「【次、会ったときはもっと楽しませてくれよ。】」
引き金を引くと霧が生まれヤツを包む。
「【Ciao】」
そんな声が聞こえた直後にはもう、ヤツはいなかった。
そのすぐあとにISを纏った千冬姉が俺を助けにきてくれた。
・・・アイツはこれを察知してたのか。
千冬姉の顔を見た俺は・・・安堵と疲労、そして創一が殺されてしまったという悲しみに襲われ、意識を手放した。
無理矢理だった・・・かもです。