神様の気まぐれで転生させられます。(仮)   作:CHIEN

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62話

 征兎side

 

 スタークの仲間らしい金髪姉妹を和海と万丈に任せた俺たちは福音に向け、順調に飛行していた。

 アイツらだから大丈夫だろうが……とりあえず、これが終わった無事に再会できることぐらいは祈っておいてやるか。

 

「征兎、目標まであとどれくらい?」

「そうだな……あと――ん?」

「征兎?」

 

 突然、言葉を切った俺を不思議に思ってそう声がかけられる。

 だが俺は、モニターにはその存在が表示されてないが、前方に確かに見えた存在に気付いた。――絶対に無視できないヤツの存在に。

 

「ちょっと征兎! どうしたのよ!」

 

 おっと……ずっとだんまりだったからか、怒鳴り声が飛んできてしまった。

 

「悪い悪い……じゃあここで俺を置いてみんなは福音のところへ! このまま真っ直ぐ行けばたどり着くから」

「はあ!? いきなりなに言ってんのよ!?」

「左斜め前、見ろ」

「なに言って――」

 

 みんなが俺の言葉につられてそっちを見て、ようやくその存在に気付いたようだ。

 

「一人で大丈夫なの? なんなら誰か……」

「俺たちの本来の目的を忘れるな」

 

 俺たちの目的は福音の暴走を止めること。

 そのためには、こんなところで人数を費やすわけにはいかない。

 

「行け! ここは俺に任せろ!」

 

 お? なんか今の主人公っぽかったんじゃない?

 心のメモに記しておこう。

 そんなこんなで納得したかはともかく、みんなは福音のもとへと行った。

 俺はというと、いかにも待ってましたと言わんばかりに空中で佇んでいやがったヤツに向き直る。

 

「待たせたな」

「【もういいのか? もっと時間をかけてもよかったんだぜ?】」

「残念ながらこっちはそうも言ってられないんでね」

 

 そこにいたのはやはりというかなんというか……ブラッドスターク。

 いつもいつも行事ごとを台無しにしやがって。

 

「【これでお前たちとやり合うのも3回目か。どうだ? 少しは成長できたか?】」

「なんだと?」

「【お前たちとじゃれ合うのは俺にとって大きな意味があるんだからな】」

「じゃれ合いって……言ってくれるな」

 

 ちょっとイラッとしたが、前回の反省を生かし冷静に返す。

 

「【けど、やっぱりやらなきゃダメか……】」

「俺は最初からそのつもりだよ」

 

 フォームをラビットタンクにして、改めてスタークと対峙する。

 

「…………」

「【…………】」

「はあ!」

「【ふっ!】」

 

 そして、俺たちの戦いは互いに武器を持たない肉弾戦で幕を開けた。

 

「せあ!」

「【フハハハハ】」

 

 俺が攻撃をすれば、スタークがそれを受け止める、いなす。

 スタークが攻撃をしてくれば、俺はそれを受け止める、なんとかいなす。

 この時点でもう危ういが、やるしかない!

 コイツはここで倒す!

 

「ぐ……ふっ!」

「【はぁ! せい! ふっ!】」

 

 徐々に押されていき、ついにスタークの攻撃が俺を捉え始める。

 その拳が、蹴りが俺を襲う。

 

「【はあああ!】」

「ぐ、ぐわあああ!?」

 

 ついにまともに攻撃をくらった俺は、近くの島のようなところに背中から落ちる。

 

 クソ……やっぱり強ぇ、そして背中痛ぇ~。

 

 そして、いつのまにかすぐそこに来ていたスタークの拳が俺に振り下ろされる。

 

 ちくしょう、仕方ないか。

 

 その拳をとっさに出したドリルクラッシャーで防ぐ。

 そのままブレードモードのドリルクラッシャーに忍者フルボトルを装填。

 

『Ready go!』

『ボルテックブレイク!』

 

 ブレード部分が紫色に分身すると、それをそのままスタークに振るう。

 

「はあああ!」

「【ぐ……】」

 

 さすがに少しは効いたのか、後退させることに成功。

 そのまま追撃しようとするも、スタークも例のバルブが付いたブレードを出して応戦してくる。

 

 俺のドリルクラッシャーがスタークに当たる。

 スタークのブレードが俺に当たる。

 互いの武器がぶつかり合う。

 そうして戦いが進んでいく。

 

 そして、先に隙ができたのは悔しいことにやはり俺だった。

 

『エレキスチーム!』

「【せあああ!】」

「ぐ、があ!?」

 

 一撃、二撃、三撃とブレードでやられる。

 そして、止めと言わんばかりに銃での連続攻撃を受けてしまった。

 

「う……あ……く……」

 

 変身が解除され、その場に倒れ込んでしまう。

 

 やっぱりダメなのか……。

 

 そんな思いが……悔しさが溢れてくる。

 

「【勝負あったな】」

 

 そう言い、スタークは俺に銃を向ける。

 

「【これでわかっただろ? お前じゃあ……お前たちじゃあ俺には勝てない。お前も、あの何かにつけて守る守る言ってる織斑一夏も、結局何もできない。何も守れない。只々滑稽な足掻きをしているだけなんだということさ】」

 

 最後に……ということなのか何かはわからないが、嫌みのようにそう言ってきやがった。

 さらに、俺だけじゃなく一夏のことまでも馬鹿にするように。

 

「【安心しろ。お前たちの信じる正義なんて、この世界のどこにも存在しないんだからな】」

 

 こんなコケにされていいようにやられて……何やってんだ、俺は。

 このままやられていいのか? いや……いいわけがない。

 他人を平気で罵り、命を平然と弄ぶようなヤツなんかには……!

 

「……最っ悪だよ。ホント、ここまでコケにされるなんてな」

 

 けど、頭はクールに。

 怒りはあるが、それに支配されないように努める。

 

「俺たちが信じてきた思いは、幻なんかじゃない。お前にはわかんないだろうけどな……俺も、一夏も、誰かの力になりたくて戦ってきたんだ」

 

 体を起こしながら、俺は言葉を続ける。

 

「そこにいる誰かを守るために、何度も立ち上がってきたんだ」

 

 俺は立つ。

 目の前の敵を許さないために。

 

「お前になんと言われようと、俺には……みんなにだって、守るものがある。だから俺は、自分が信じる正義のために――」

 

 ここまで言ったところで、ふとあの時のことが頭をよぎった。

 万丈が玄乃さんから専用機を受け取ったときに行われた二人のやり取り。

 何で今、こんなことを思い返してんだか……。

 思わず笑っちまうよ。

 

 

『いい、龍華ちゃん。力を持つってことはそれ相応の責任と覚悟が伴うんだからね? 大丈夫?』

『はい! 任せてください!』

『ホントに大丈夫かよ……』

『私はこの力を――愛と平和のために使います!』

 

 

 まさかこの俺が、あのバカの言葉を使う日が来るなんてな……。

 けど……たまにはいいか。

 

「そして――愛と平和のために、お前を倒す!」

 

 そうして俺が取り出すのは、和海と鈴の犠牲のもとに作られた、ラビットタンクフォームのフェイスが描かれている缶のようなボトルの新アイテム。

 

「【ん? それは……】」

 

 困惑しているようなスタークを尻目に、俺はそれを振り、中身を活性化させる。

 そして、上部のシールディングタブを引き起こす。

 カシュッという音が鳴り、起動した後にビルドドライバーに装填。

 

『ラビットタンクスパークリング!』

 

 その音声が流れ、レバーを回すと通常とは違い、ベルトと同じビルドマーク型のスナップライドビルダーが前後に形成される。

 

『Are you ready?』

 

「変身!」

 

 そしてそれが結合され、新たなアイテムを使った変身が完了する。

 

『シュワッと弾ける! ラビットタンクスパークリング!』

『イエイ! イエーイ!』

 

「【なんだと?】」

 

 その名も、ビルド・ラビットタンクスパークリングフォーム!

 この瞬間を誰も見てないことが惜しくてしょうがない。

 

 

 

 さて……では、反撃といきますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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