神様の気まぐれで転生させられます。(仮)   作:CHIEN

78 / 87
67話

 征兎side

 

 夏休みに入り、nascitaでの例の訓練期間が迫る中、今日は9月からの学校に備えて、買い出しに行くことになっている。

 

 なんで、8月入ってすぐに9月の準備しなきゃいけないのよ……。

 こんな夏休みは初めてだよ。

 

「「ごちそうさまでした」」

「はい、お粗末様」

 

 そして現在、なぜか万丈の家で朝食をご馳走になっている。

 まあ、おばさまに強引に誘われたからなんだけど。

 

「久しぶりに食べましたけど、相変わらずおいしいごはんですね」

「あら、ありがとう。和海くんも相変わらずお上手ね」

 

 和海がおばさまになんか言ってる……。

 俺も何か言わねば……!

 

「いやーホントに! この味噌汁の味とかけっこう好きですよ、俺!」

 

 変わらず微笑みながら、ありがとうと言ってくれるおばさま。

 しかし、視界の端で万丈のヤツが何やらムッとしたような顔をしていた。……なぜに?

 

「征兎! 味噌汁好きなんでしょ? お代わり注いできてあげるよ!」

 

 え? いやいらんよ。さっきごちそうさまって言ったじゃん。

 

「いや、いらな――ごふっ!?」

 

 いらないと言おうとしたところ、なぜか横の和海から脇腹へ重い一撃が飛んできた。

 なぜだ……。

 当然、俺は文句を言おうとする。

 

「…………」

 

 なんだ、万丈……その悲しそうな顔は……。

 和海、おばさま……ニヤニヤすんな!

 何なんだ、この圧は!?

 

 そんな……そんな顔でこっちを見るなーーーーー!!

 

「じゃ、じゃあ悪いけど、もう一杯もらおうかな」

「――! わかった!」

「龍華、私がやろうか?」

「いいの! お母さんはそこでジッとしてて!」

 

 2杯目か……。

 

「朝からよく食うな」

「うるせぇ……食いたいから食うんだよ。ほっとけ」

 

 間もなくして、はい、どうぞ、と味噌汁が俺のもとに運ばれてきた。

 

 ちくしょう……どいつもこいつも楽しそうにしやがって。

 

 おばさまと和海が異様にニヤニヤしているのを横目に、お椀を受け取りズズッと口にした。

 

 うん、美味い!

 美味いんだけどさ……重いし、熱い。

 

 万丈はニコニコ、おばさまと和海はニヤニヤ。

 2種類の笑顔? に見られながら、それを極力気にしないように味噌汁をがんばって飲んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで、レッツショッピング!

 ……はぁ~。

 

「辛気臭ぇ顔してんなよ」

 

 キサマどの口が……!

 

「ねえ、あれ!」

「ん?」

「なんだ?」

 

 いきなり万丈がそう言ってくるから、仕方なくそっちを見る。

 

「あれ? かずみんくん?」

「ユーたん!?」

 

 はえ? ユウナさん!?

 

「ユーたんがなんでここに?」

 

 ホントだよ!

 バカもたまにはまともなことを言うんだな。

 

「あ、この前会った……今日は大丈夫ですか?」

「え?」

 

 なんで会って早々、ナゾの心配されてるの、俺?

 

「この前も急に倒れちゃったし……」

 

 あ~、あのときのことね。

 あのときは、和海にやられただけなんですが……。

 

 そう言えれば、楽なんだけどね……。

 とりあえず、大丈夫の意を示しておく。

 

「(ねえ、なんのこと?)」

「(なんでもない、黙ってろ)」

「(なにそれ)」

 

 ハイハイ。

 

「そうだ、ユーたんもいっしょにどう?」

 

 和海くん、なに言ってんの?

 

「ホント! じゃあお願いしちゃおうかな」

 

 そこのネットアイドルもなに言ってんの?

 

 願いむなしく、そのままとんとん拍子でユウナさんの同行が決定した。

 

「……なんで女の子って買い物が好きなんだろうな」

「知~らない」

 

 なんでそんなツンツンしてんのよ。

 

「それより……なに? 俺らこれからあの二人の面倒なやりとりに付き合うの?」

「そうなんじゃない?」

 

 ホントもう、何なのよ……。

 

「…………」

「…………」

「なんで女の子って、買い物が好きなんだろうな?」

 

 なぜか同じことをもう一度言う、俺。

 

「私が男に見える?」

「そういや、そっか!」

 

 瞬間、体中に走る鈍い痛み。

 はいそうです。万丈に殴られました。

 

「最っ低!」

「すいませんっした」

 

 倒れながらもそう言う、俺。

 きっと周りから見れば、かなり情けない絵面だろう。

 

「大丈夫ですか!? また急に倒れて……」

 

 だから違うのよ……。

 なんで今回もこの人、肝心なところ見てないの?

 

「大丈夫、征兎の面倒は私が見るから!」

「え、あ、はい」

「ほら征兎! いつまでも寝てないでさっさと立つ!」

 

 俺は腕を掴まれ、無理矢理起こされる。

 (´Д⊂グスン……。

 

 みんな、もう少し俺にやさしくしてくれてもいいんじゃない?

 

「(ねえ! かずみんくん! この二人、もしかしてもしかする?)」

「(残念、龍華の片想い)」

「(そうなの? それにしては……)」

「(まあ……かなり前からだからね。それも小学生のときから)」

「(へ~、一途なんだ~)」

「(俺が言うのもなんだけど、趣味悪いでしょ、アイツ)」

「(いえいえ、そんなことないと思うよ)」

 

 

「ほら、行くよ!」

「わかったよ」

 

 万丈が、俺の腕を引っ張りながら、歩き出す。

 当然、俺も行くしかない。

 

「っていうか引っ張るなよ」

「引っ張ってないよ。征兎が遅いからそう思うだけ!」

 

 え~……。

 なぜか、さっきまでのツンツンした態度から一転、どこか機嫌良さそうな万丈。

 

「おい、行くぞ!」

「わかってるよ」

「今日はよろしくお願いします」

 

 とりあえず、後ろでコソコソなんか話してた二人を呼び、本来の目的を果たすことにしよう。

 

 

 

 それにしても、なんだったんだ万丈のヤツ?

 機嫌悪いかと思えば、急に良くなったり。

 俺にはサッパリですよ。

 

 わからんわ……。

 

 長い付き合いだが、未だにこういうところはナゾのままだ。

 

 とりあえず、暑いから腕、離してくれないかな?

 

 

 俺の腕を引っ張り、進んでいく万丈を見ながら、そう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。