神様の気まぐれで転生させられます。(仮)   作:CHIEN

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69話

 

 玄乃side

 

 現在、遠路はるばるイギリスに来ている。

 イギリスが開発したという機体のお披露目会に招待されてしまったわけだ。

 

 まあ招待されなくても行かなきゃいけなかったんだけど……。

 本当に憂鬱……。

 

 当日、前日に泊まったホテルの前に政府からだという迎えの車に乗り、会場へ。

 会場はドーム状で、天井が開くようになっているようだ。

 

 やろうとしてること丸わかり……完全にアイツの手の上ね。

 

 中に入るとVIP席へと案内された。

 本当、ここまでしてくれなくもいいんだけど……。

 けど、面倒なヤツらと話さなくてもいいからそこは感謝。

 

 周りを見てみると、仕事上見知った顔がチラホラ。

 その人たちと言葉を交わしながらいると、いかにもなスーツを着た男がマイク片手にステージに上がってきた。

 

 ああ……あの男、どっかの企業の社長だったわ。

 

「皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます」

 

 ようやく始まったかと思えば、自身の企業の歴史、業績、機体が開発されるまでを語り出した。

 

 心底、どうでもいい……。

 

 そんなどうでもいい話を聞かされ、帰りたいゲージがMAXに近づいてきた頃、ステージにシートで覆われた物体が運ばれてきた。

 

「皆様、大変長らくお待たせいたしました。それではご覧ください! 我が社が開発した新型機“サイレント・ゼフィルス”です!」

 

 その言葉とともにシートが取り払われる。

 光量を増したスポットライト、所々からあがる歓声、焚かれるフラッシュ。

 そこには予想された通り、蝶をイメージしたようなISがあった。

 

「お次は、このサイレント・ゼフィルスの性能をお見せいたしましょう!」

 

 社長がそう言うと、ドーム状の天井が開く。

 意気揚々としていて、これから起こることの可能性などまったく考慮していないようだ。

 

 そうこうしていると、次第に会場がざわつき始めてきた。

 さっきまで意気揚々としていた社長の顔にも焦りが見られる。

 ……どうやらテストパイロットがいつの間にかいなくなっているとのことで、どうするのか揉めているようだ。

 

 あぁ……絶対、アイツの仕業よね……。

 

 そのことを理解してしまったと同時に、サイレント・ゼフィルスの近くに煙が発生。

 その中から今回の作戦の首謀者が登場した。

 

「【どうもお待たせいたしました】」

 

 そんな陽気な一声とともに突然現れた赤い全身装甲を受け入れるヤツなどいるわけなく、勇気ある(無謀なアホとも言える)企業の社長がヤツに詰め寄る。

 

「な、なんだキサマは! ここは今、我が社の大事な――」

「【うるせぇ!】」

 

 何が気にくわなかったのか、有無も言わせず腕の触手を社長の顔に刺した。

 

「が、あ、あ……」

「【さっきからどうでもいい話を長々と聞かされて、ウンザリしてんだよ】」

 

 そんな理由で……。

 っていうか、聞いてたんだ……さっきまでのどうでもいい話。

 

 そして、あっという間に社長は消えた。

 そして始まる阿鼻叫喚の嵐。

 

「【マドカ】」

「わかっている」

 

 さて私もそろそろ行動を……と思いステージの方を見ると、すでにマドカちゃんがISを身に纏い、ファースト・シフトを済ませているところだった。

 

 早くない? 何がどうなったらそんなスピードでできるの?

 

 そう思ったがすぐに考えるのを止めた。アイツと束ちゃんが関与している時点でもう何でもアリなんだろう……。

 

 

 

 そんな非常識な光景を横目に、逃げ惑うヤツらに紛れ、人気のない場所へと。

 しかし、どうしても思ってしまう。

 

 今回、私要らなくない?

 

 しかし、そうはさせてもらえないだろうから、渋々準備する。

 

『スクラッシュドライバー!』

 

 ドライバーを装着し、フルボトルとは少し違う紫のボトル――クロコダイルクラックフルボトルを手に出し、キャップを回す。

 

『デンジャー!』

 

 音声が流れると、ボトルから待機音がなる。

 そして、その状態のボトルをドライバーのスロットに装填。

 

『クロコダイル!』

 

 レンチ型レバーを下げ、左右のプレスパーツでボトルを押し割る。

 すると、ボトルの成分がドライバーのゼリータンクにチャージされ、ケミカライドビルダーが展開される。

 

『割れる! 食われる! 砕け散る!』

 

 中がボトルの成分が入ったヴァリアブルゼリーで満たされると、左右から巨大な吻が現れそれを噛み砕くと、その衝撃でゼリーが飛び散る。

 それと同時に“クロコダイラタンアーマー”が形成され、頭部をワニの顎型の装甲が噛み砕き、ひび割れが入るようにマスクを形成し、変身が完了する。

 

『クロコダイルインローグ!』

『オーラァ!』

『キャー!』

 

 ……さて、行きますか。

 

 

 

 

 

 ネビュラスチームガンを使い、会場へと戻ってきた私が目にしたのは、戦う気のなさそうなブラッドスタークと自身の専用機であるISを纏ったセシリア・オルコット。

 マドカちゃんはとっくに離脱したようだ。

 当然、彼女の目が私に向く。

 

「新手……ですか」

 

 まあ……いちおうそうですね。

 

「もう一度聞きます。あなたたちの目的は何なのですか!」

「【…………】」

「…………」

 

 え~……。

 いや、わかるでしょ?

 機体を奪いにきたんですよ。

 アイツがゲンナリしてる理由がわかった。そりゃあそのくらいわかれ! って感じよね。

 

「なら、力づくで聞き出します!」

 

 いや聞き出さなくても、考えればわかるでしょ。

 

 そんな思い通じず、ライフルからの一発。

 そんな素直な攻撃に当たってあげるわけもなく、当然避ける。

 

『【じゃあここは任せた】』

 

 直後、プライベートチャンネルからそんなふざけた通信がきた。

 え? 冗談でしょ?

 

『【Ciao】』

 

 冗談でも何でもなく、本当に消えやがった。

 ボイスチェンジャーを搭載しなかったのがこんなところで仇になろうとは……。

 

「このブルー・ティアーズにはBT兵器がありましてよ!」

 

 いや知ってますけど。

 こうなったらさっさと終わらせるのが得策!

 

 宣言通りにBT兵器を展開してきたセシリア・オルコット。

 まあ、偏光制御射撃《フレキシブル》も並列思考《マルチタスク》もできないようなヤツにやられるつもりは毛頭ないけど。

 

 ネビュラスチームガンをセシリア・オルコットに向け、一発。

 くっ!? っと声を漏らしながら避けられる。まあそれが狙いなのだけれど。

 これだけでBT兵器の動きが止まってしまう。

 

『エレキスチーム!』

 

 狙い通りいったことが嬉しいが、もっとしっかりしろと悲しくもなる……。

 ブレードを振るうと、4つの内2つが破壊される。そのままネビュラスチームガンで残りの2つを破壊する。

 

「そんな!?」

 

 驚いているヒマがあるなら、なにか行動しなさいな。

 

 呆れつつ、ネビュラスチームガンにクラックフルボトルをセットする。

 

『クロコダイル!』

 

 銃口を向け、狙いを定める。

 千冬ちゃん、もっとちゃんと指導しなきゃダメよ。

 

『ファンキーブレイク!』

 

 トリガーを引くと、強力であろうエネルギー弾が発射され、彼女へ直撃した。

 

 案の定な叫び声を上げ、彼女のISが解除された。

 しかし、気を失うまではいかなかったようだ。

 まあ、何ができるというわけでもないだろうけど。

 

「ま……待ちなさい」

 

 いざ帰ろうとすると、そんな声が飛んできた。

 チラリと目を向けると、残った力で精一杯睨んでいるようだ。

 

 睨むくらいならせめて、並列思考くらいできるようになってね。

 

 まあ無理だろうけど。

 

 

 一つため息をつき、改めてネビュラスチームガンを使い、その場を後にした。

 

 

 

 

 帰ったら当然、私を置いて帰りやがったアイツに文句を言った。

 ……結局、ハイハイと聞いてるのかどうか怪しい……いや、絶対聞いてなかったであろう反応……というか、あしらわれただけで終わった。

 

 

 しかも最後に次の作戦への参加を言い渡された……。だから私、忙しいっちゅうねん。

 

 

 

 とりあえず、溜まってしまった業務を片付けつつ、征兎くんたちのトレーニング内容を詰めることにする。

 半ば現実逃避が入っているとわかっているが、やらずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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