神様の気まぐれで転生させられます。(仮)   作:CHIEN

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71話

 鈴音side

 

 夏休みももう終わろうかという今日この日。

 私たち代表候補生と一夏、箒の専用機持ちは代表候補生合宿なんていう面倒なことも終わり、みんなで集まって談笑していた。

 まあ、学園に戻ってもやることも特にないし、一夏の家に集まってんだけどね。

 そんな中で発せられたこの一言。

 

「そういえば、鈴と一夏たちって幼馴染なんだよね?」

 

 その一言に、アタシと一夏がそうだけど? みたいに答える。

 

「なにか、征兎たちのおもしろいエピソードみたいなのとかってある?」

 

 そんなことを聞かれた。

 征兎たちのおもしろ……もとい、やらかしエピソードねぇ……。

 箒は幼馴染だけども、小4までだったからか特にはないみたい。

 さすがにその頃は、まだ大人しかったのね。

 

「「う~ん……」」

「い、いや、あの、ないなら無理しなくてもいいからね!?」

 

 アタシたちが考え込んでしまったからか、シャルロットが慌てだしてしまった。

 違うのよ。

 考え込んでたのはそうじゃなくて――。

 

「「ありすぎて、どれを話せばいいのかわからない」」 

 

 ――である。

 みんなが、ええ~……みたいな反応をしているが、実際そうなんだからしょうがないじゃない。

 

「アイツら多分、けっこうこの辺りじゃ問題児よ。だいぶやらかしてるもの」

「ああ、そうだな。俺と鈴が先生に呼び出されて、お前たちが止めなくて誰がアイツらの暴走を止めるんだ! って言われたこともあったし」

 

 あったわね、そんなこと……。

 とはいえ、どれをチョイスしようかしらね……。

 少し考え、夏休みにあったエピソードの一つがパッと浮かび、あっと声を出した。

 当然、みんながこっちを見てくる。

 

「そういえば中1のころの夏休みに、ひったくりを捕まえたことがあったわ」

「え? 俺、それ知らないな」

「あんたと弾は居なかったからね」

 

 そして、創一も……。

 そこはあえて言わなかった。

 

「ふむ、ISや制圧のための武器もなかったのだろう? どうやったんだ?」

 

 なら、教えて差し上げよう。

 少し、落ち込みそうな気分を無理矢理上げ、そのときのことを話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 中1の夏休みのとある日。

 アタシと龍華、和海は突然、征兎に家の前に集められた。

 一夏と弾(あと創一)は用事があるとかで断られたらしい。

 何の用事もないからって集まるとか、龍華はともかく、和海もアタシも人が良いわよね。

 

「というわけで!」

「どういうわけだよ……」

「今日は、最近この先の通りで多発しているひったくりの犯人を捕まえようと思う!」

「「はあ?」」

 

 その心がけは立派なのだろうが、なぜ急にそんなこと思い立ったのか。

 和海の顔も胡散臭いものを見るような顔だ。

 

「さすが征兎だね!」

「だろ! たまには市民の役に立つことをしとかないとな!」

 

 龍華の持ち上げに、調子に乗る征兎。

 アタシは……まあ和海もだろうけど、嫌な予感が出てきた。

 大体、征兎が学校外でやらかす前には、このセリフが飛び出すから。

 

「じゃあ、和海。まずは女装をしてくれ」

「は?」

 

 唐突にそんなことを言われた和海は、当然の反応。

 

「なんで女装?」

「ん? だって被害者は女性ばっかだからな、囮になってもらう」

「それならアタシや龍華でもいいじゃないの?」

「万丈には別の役目があるからちょっと……」

 

 征兎はそう言い、和海にほらほらと女装道具? を押し付ける。

 和海も半分諦めが入ってきてる。

 

「家にあった母さんのオバサンくさいのだけど――おぎゃっ!?」

 

 突然、征兎の頭に鍋の蓋が、きれいな回転をしながら飛んできて、直撃した。

 家の前で余計なことをいうから……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、渋々女装をした和海を引きつれ、被害が多発しているという通りにやってきた。

 ちなみに、和海の女装は地味に似合っていた。

 

 そして、女装した和海にバックを持たせ、適当に歩かせる。

 それをいかにもなところから見るアタシたち。

 

「ねえ、本当に来るの?」

「ああ、俺調べではこの時間から2時間くらいが活動時間だ」

 

 本当に大丈夫?

 そうして待つこと数分。

  

「よし、かかったぞ!」

 

 征兎のその声を聞き、見てみると和海(女装ver.)のほうに確かにスクーターがいかにもな感じで近づいている。

 そして、スピードを上げたスクーターは和海の肩にかかっていたバッグを奪っていった。

 

「いや~~ん」

 

 合図の悲鳴? をいちおう上げた和海だが、思わず吹いてしまったアタシは悪くない。

 そして、アタシたちの前をけっこうなスピードでスクーターが通過。

 ナンバープレートも隠しているようで見えなかった。さすが常習犯。

 

「ちょっと、どうする気!?」

「大丈夫だって。――万丈!」

「うん!」

 

 征兎が龍華に一言そう言っただけで、龍華はスクーターの後を追った。

 いやよくわかったわね。このやりとり、さすが征兎と龍華だわ。

 

「――って速!?」

 

 龍華の後をいちおう追いかけているが、龍華は、もうスクーターに追いつきそうだ。

 かなりのスピードだったし、スタートするのも遅かったはずだけど……。

 いや、そもそもなんでダッシュで追いつけるのよ!? 

 

 そして、間もなく追いついた龍華は、スクーターに乗ってたひったくり犯に飛び蹴りをくらわせた。

 当然、ひったくり犯は地面をすべる。

 自業自得だけど、容赦ないわね……。

 

 直後、ひったくり犯は追いついてきた和海に、仰向けに起き上がろうとしていたところ、お腹(おそらく鳩尾)に足を乗せられた。

 かなりの勢いだったから多分、女装させられた八つ当たりも入ってたでしょうけど。

 

「お前ら何なんだよ!? ひったくったヤツは気持ち悪いし、80キロにダッシュで追いついてくるし!?」

 

 龍華スゲー!?

 よく追いつけるわね!?

 そして、征兎はよくそれができることを当たり前に考えてたわよね!?

 

「それに蹴りの威力ハンパじゃねーし!? 何なんだよ本当によ!」

「ああ? 龍華はちゃんとヘルメットを蹴っただろ? 感謝しろよ」

「お前わかってんのか? 万丈の蹴りをまともにくらえば意識なんて無くなるぞ?」

 

 征兎その言葉にはなんか、すごく実感がこもっていた。

 そして、ひったくり犯が被っていたヘルメットを見ると、確かにどんな威力だったのか、蹴られたところから広範囲に深いヒビが入っていた。

 そりゃ、あんな泣き言を言いたくもなるわ……。

 

 

 

 その後、こんな大騒ぎを起こしたからか、誰かが通報したであろう警察が駆け付け、この件は終了した。

 征兎たちを見て、またお前たちか……とため息をつかれたけど……。

 

 ――しかし、これですんなり終わらないのが征兎。

 

「ん? あ!? お前、また!」

「ヤベ!?」

 

 おそらく、いつも通り発明品のためだとかそんな感じだったのだろう。警察の人が乗ってきたバイク? を分解しようとしてたところ、見事に見つかったていた。

 

 ……アホね。

 ちなみに、龍華も和海も助ける気はないみたい。

 

 後日聞いた話では、派出所に置いてあるバイクに使われている警察特注の部品が欲しかったとかなんとか。

 例えそうだとしても、普通やらないわよ……。

 

 アタシたちの呆れたような視線を受けつつ、征兎はひったくり犯といっしょにパトカーにドナドナされていった。

 

 なお、未遂だったため罪に問われるとかはなかったが、顔なじみになったお巡りさんに反省しなさいと、1日留置場にお泊りしたらしい……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……という感じだったわね」

 

 懐かしの話その1? を語ったが、なんかみんな啞然としてるような?

 

「前から思ってたけど、龍華って人間?」

「まあいちおう?」

 

 気持ちはわかるわ。

 そう思ってるのはあんただけじゃないはずだもの。

 

「征兎さんって、頭がいいのか悪いのかわからなくなりますわ……」

「アイツは、バカと天才は紙一重っていうのを体現してるようなヤツだからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――くしゅん!」

「きたねぇな」

「風邪?」

「征兎が風邪? ありえねぇだろ」

「どうして?」

「バカは風邪ひかねぇだろ」

「そりゃ万丈のことだろ!」

「ちょっと、どういうこと!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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