神様の気まぐれで転生させられます。(仮)   作:CHIEN

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72話

 

 征兎side

 

 色々ありなんだかんだツラい夏休みが終わり、新学期が始まった。

 千冬さんの一喝もあり、気の緩みを引きずることも許されそうにない空気の中、俺はとあることから抜け出せないでいた。

 

 それは……玄乃さんからもらったビルドの強化アイテムのハザードトリガー。

 これをまったく制御できないのだ。

 夏休みの特訓の期間中から大した進歩もなく、使用してもすぐ暴走してしまう。挙句の果てに和海と万丈を傷つける。これの繰り返し……。

 夏休み中はnascita内だけだったからなんとかしてもらえたが、学園ではそうもいかない。学園のみんなに多大な迷惑をかけることとなってしまう。

 

 そんなことにならないようにするためにも、どうにかならないかとここ数日もああでもない、こうでもないと考えてはみたものの、未だに解決策を見つけられるずにいた。

 さすがは、玄乃さんと束さんの合作といったところ。一筋縄ではいかない。

 

 だからなのかどうなのかは自分でもわからないが、新学期開始直前、和海にあるモノを渡しておいた。

 

『和海……お前にこれを渡しとく』

『あん? ……なんだこれ? ボトル……とは違うな。カバーはついてるがボタンがついてるな』

『もしも、学園で俺が暴走するようなことがあったら、それを押してくれ』

『なに?』

『そうすれば、俺ごとドライバーを爆破することができる……』 

『お前……! そんなもん人に渡して……正気かよ……!』

『じゃあ、頼んだ……』

『征兎!』

 

 呼び止める和海を無視して、その場は立ち去った。

 

 

 

 そんなこんなで、新学期が始まってもどうにもならず、ウダウダしていたある日。

 昼休みももう終わろうかという頃、唐突に和海に声をかけられた。

 

「征兎」

「ん?」

 

 なんだ、急に?

 

「今日の放課後、ちょっと付き合え」

「は?」

「アリーナを貸切ることができた。――そこで、本気で俺と戦え」

「は?」

 

 突然の言葉にまともな返事ができない。

 

「俺は心火を燃やしてお前を倒す」

 

 ――逃げんじゃねえぞ。

 

 最後に、俺の肩に手を置くと同時にそう言い去っていった。

 

「何なんだよ……」

 

 そう言わずにはいられなかった。

 というか、教室で席隣じゃん……と思ったが、気を遣ったのか何なのか午後の授業に和海は現れなかった。

 千冬さんが何も言わなかったことから、アリーナの使用許可を取ったついでにそこの許可も得ていたのかもしれない。

 そんな風に色々考えているうちに、放課後を迎えてしまった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 和海side

 

「ねえ……アレ、何とかなんないの?」

 

 休み時間に入るなり、鈴に呼ばれたかと思えば、唐突にそう言われる。

 

「アレってなんだよ」

「征兎よ、征兎!」

 

 そう次いで言われた言葉には、納得せざるを得ない迫力があった。

 ああ……と声が出る。

 

「新学期も始まったっていうのに、いつまでもあんな風にウジウジされると、こっちが困るのよ!」

「そうは言われてもな……」

「だいたい、なんでアイツあんな風になってるわけ?」

「まあ、ちょっとな」

 

 原因は多分、新アイテムが使いこなせてない……というか、制御できてないことだと思う。

 ハザードトリガーだったか?

 アレを使ったビルドはパワーもスピードもハンパじゃなかったからな。暴走した後なんかは特に。

 あの状態の征兎を止めるために、龍華といっしょに何度やられたかわからねえ。

 それを征兎のバカは過剰に気にしてるんだよな。あのバカが……!

 

「ふーん、なんか教えられない感じ?」

「詳しくは……な。ちょっと企業秘密というかなんというか」

 

 新アイテムが使いこなせてないだけ、と言えば簡単だ。

 ただ、その一言で済ませるにはあのアイテムはヤバすぎる。

 征兎から聞いたが、玄乃さんと束さんの合作だろ? その時点でヤバいわ。

 

「けど、まあ……確かにいつまでもあのままだと鬱陶しいわな」

 

 なんとかやってみるか。

 

 思い立ったが吉日。 

 鈴と別れ、その足で千冬さんのもとへ行き、アリーナの使用許可を求める。

 幸い、空いていたらしく、即座にお願いする。ついでに関係者以外立ち入り禁止もお願いする。

 一般の生徒に見られたら、あらぬ噂を立てられかねない状況になる可能性大だからな。

 千冬さんには怪訝な顔をされたが、さすがに教師には理由を説明し、了承を得た。

 

 後は、アイツに頼んどくか。

 昼休み終了前に捕まえたその人物にある頼み事をし、その後を過ごした。

 午後の授業は、征兎と気まずくならないよう、空いている場所で精神を集中させていた。

 

 そして放課後……先にアリーナのフィールドで待っていた俺の前に、なんでこんなことになっているのかわからない、と顔にバッチリ出ている征兎が来た。

 

 征兎……お前にわからせてやる。

 

 お前が暴走しようと、みんなを傷つけることになったとしても、俺や龍華、みんなが絶対に止めてやるってことをな。

 

 愛と平和――ラブ&ピースだったか? スタークとの戦いの映像、玄乃さんに見せてもらったが、もとは龍華が言い出したこととはいえ、お前がそんなこと言い出すなんてな。

 それを胸に生きる世界をお前が造れるよう、今回は俺が一役買ってやるよ。

 

 

 この身を賭けてもな……!

 

 

 

 

 

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