アリーナのフィールド中央。
そこで征兎と和海は向き合っていた。
管制室では担任でもあり、今回のことに使用許可を出した千冬、副担任の真耶、専用機持ちたちがいた。
専用機持ちたちに関しては和海が、お前らならいいか、と言ったことで許可されていた。
「征兎、遠慮はいらねえ……全力でこい」
そう言い、ドライバーを装着する和海。
直後、征兎もドライバーを装着した。しかし、ハザードトリガーを制御できていないということから、それを使用するという気は起きなかった。
(それ以外で勝利の方程式を導き出す……!)
『ラビット!』『タンク!』
『ベストマッチ!』
『Are you ready?』
「変身!」
『鋼のムーンサルト! ラビットタンク!』
『イエーイ!』
『ロボットゼリー!』
「変身!」
『潰れる! 流れる! 溢れ出る!』
『ロボットイングリス!』
『ブラァ!』
変身を完了させ数秒、動き出したのはほぼ同時。
互いに繰り出した拳からの肉弾戦から始まった。
征兎の拳が和海にヒットすれば、和海がお返しとばかりに殴り返す。
蹴りを繰り出せば、それを返す。
それが繰り返され続けると、段々と征兎が焦り出してきた。
基本スペックのパワーの違いによるダメージの差が出てきたからだ。
征兎が、ドリルクラッシャーを出現させ、それを使いつつの攻撃に移る。
しかし和海は、それを意に介していないかのように、ツインブレイカーでその攻撃を捌く。
なんだかんだで、夏休みの特訓? で和海の実力のそれなりに上がっていた。
ソードモードの攻撃にはアタックモードで、ガンモードの攻撃にはビームモードで。
ここまでの征兎の攻撃は、大したダメージを与えられていなかった。
「クソ……」
「違うだろ? 俺は本気でこいって言ったよな?」
その声のトーンに多少なりとも動揺しつつも、征兎は次の手を打つ。
『ラビットタンクスパークリング!』
「ビルドアップ!」
『シュワッと弾ける! ラビットタンクスパークリング!』
『イエイ! イエーイ!』
直後、蹴りを放ち、ガードした和海を後ずらせる。
その流れで、ホークガトリンガーとガンモードのドリルクラッシャーの銃撃で追撃する。
「効かねえな……効かねえよ!」
『シングル! ツイン!』
『ツインフィニッシュ!』
「おらぁ!」
「ぐ……!」
ビームモードのツインブレイカーにヘリコプターボトルとロボットゼリーを装填し、すかさず攻撃。
その攻撃を受け、今度は征兎が後ずさる。
そのままそこに、和海がラッシュを叩き込む。
「まだまだいくぜ!」
『スクラップフィニッシュ!』
そして、ドライバーのレンチを下げる。
前腕部にヴァリアブルゼリーでロボットハンドが形成され、それで強烈なパンチが征兎に叩き込まれた。
それをくらい、征兎が飛ばされ、転がる。
「まだ終わりじゃねえぞ」
和海は肩や背中からヴァリアブルゼリーを噴出させ、そのまま征兎めがけ、キックを繰り出す。
「ちくしょう……!」
それに気づいた征兎もエネルギーを乗せたキックで迎え撃つ。
互いのキックのエネルギーがぶつかり合い、小爆発が起きる。
その中から2人が出てくるが、和海は何事もなく着地し、征兎は足を押さえ地面に倒れていた。
「く……あ……」
「どうした? こんなもんじゃねえだろ、征兎!」
膝立ちになり下を向く征兎に和海はそう叱咤する。
その言葉に思わず反応してしまったのか、その手にハザードトリガーを出した。
しかし、使用する決心がつかないのか、そのまま硬直してしまう。
それを理解している和海は、征兎を見据えたまま動かない。
(俺にコレを使いこなせるのか……? また暴走するのが……アイツらを傷つけるのがオチなんじゃないのか……)
そんな思考が征兎の頭の中を占める。
(ハザードトリガーを起動させたら止められない。誰かに俺を倒してもらうか、トリガーを外してもらうしかない……けど)
征兎は立ち上がり、ハザードトリガーのスイッチの保護カバーを開ける。
「……!」
(いざという時のものは和海に渡してある。もしものときは和海がアレのスイッチを押してくれるはずだ!)
決意を固め、スパークリングをドライバーから外す。
そしてついにそのスイッチを押す。
『ハザードオン!』
その音声が発されると、トリガーをドライバーのBLDライドポートに挿し込む。
その接続された状態でドライバーにフルボトルを装填する。
『ラビット!』『タンク!』
『スーパーベストマッチ!』
そして、レバーを回す。
『ドンテンカン! ドンテンカン! ガタガタゴットン! ズッタンズタン!』
そんな音声とともに、ハザードライドビルダーが前後に形成される。
『Are you ready?』
「ビルドアップ!」
そして、それが結合されたときそれは完了する。
そこに現れたビルドは、複眼部以外が黒く染まり、頭部や肩アーマーに新たに装甲が追加され、黒い気体を放出していた。
『アンコントロールスイッチ! ブラックハザード!』
『ヤベーイ!』
これがハザードトリガーと、ベストマッチとなるボトルを使用するベストマッチフォームの強化形態。
夏休み中、征兎が制御しようとしていたもの。
その間、和海と龍華を傷つけてしまったもの。
――ハザードフォーム。
(【まあ、そうだよな……出すしかないよな】)
こっそりとそれを観戦しているヤツがトリガーを使用したところを見てそう思う。
直後、黒い影が和海に向け、動き出した。