和海side
学園祭の準備も進み、開催日も迫ってきた今日この頃。
今日を迎えるまでにも色々とあった……。
中でも一番は、会長(征兎は相変わらず痴女会長と呼んでいる)が一夏と同室になったとかいうことだろう。ここで箒たち――一夏が好きな面々とひと悶着。ちなみに、一夏も水着エプロン? というのをやられたらしい。会長が痴女というのも征兎にしちゃ間違っちゃいないのかもしれない。
そしてそれに伴い、ISの操縦も指導するとかで、箒たちと大揉め。めんどくさいこととなった。
あまりに殺伐としているから、もう勝手にしろという感じで放置している。
しかしまぁ、それなりにちゃんと指導されているのか、食堂で眠りこけているのをたまに見かける。相部屋の件含め、ご愁傷様といったところか。
そして今日も授業が終わり、学園祭の準備へと入るわけだが……。
「…………」
征兎のやつが自分の席で腕を組んだまま動こうとしない。
ちなみに、征兎と龍華は早々に料理班から戦力外通告を受けた。龍華は、なぜか料理や菓子にプロテインやサプリメントを入れるし、征兎にいたっては謎の調味料(本人曰く、自分で配合したどんなものにも合う科学調味料)を入れようとする始末。その為、速攻で飾り付けに回されることとなった。
それはさておき、本来ならこのアホに声をかけて準備をしなきゃいけないのだが、如何せん躊躇ってしまう。
付き合いが長いからか、なんとなくだが必要なことを考えているときと、どうでもいいことを考えているときがわかるようになってきてしまった。
そして、今回は絶対にどうでもいいことを考えている。断言できる。
「征兎、どうしたんだ? みんな、もう準備始めてるぞ」
どうしたものかと思っていると、一夏が征兎に声をかけてしまった。
ほっときゃいいのによ……。
「一夏……俺は考えていたんだ」
「何を?」
「このままでいいのかってな」
「え?」
重々しく語りだしたアホは目を見開き、続ける。
「俺の夏休みは課題と訓練で死んだ。しかも、万丈の分の課題とアイツがやらかした追加の課題もプラスしてやる羽目になった」
それはお前が、千冬さんの圧に簡単に屈したからだ。
「しかもそれ以外の日も、夏休み終わりギリギリまでやることになった訓練の準備と新学期への準備に追われ、1日2日買い物へ出かけてもそれの買い出し。しかも、出かけた先では変なのに絡まれる始末」
そんなこともあったかもしれないが、お前はほぼ何もしてないだろ。
「そうして夏休みを犠牲にしたにもかかわらず、新学期早々、和海と万丈にボコボコにされた」
アレをどう見たらそうなるんだ?
それにどっちかというと、俺のほうがボコボコにされてたと思うんだが。……まぁ意識がないお前にだが。
「そして俺は思った……このままでいいのかと!!」
バン! と机に思いっきり手を叩き付けた。
うるせぇ……。周りにいたヤツらビックリしてんぞ。
そして、何気に小声で痛ぇ……って言ってんの聞こえてるからな。
「そこで俺は考えた! 夏休みを取り戻すにはどうすればいいのかを!」
「どう考えても無理だ、諦めろ。さっさと準備手伝え」
ようやく、俺はこのアホに声をかけた。
だが、そんなこと気にもしてなかったのか、まあ聞けって、と制してくる。なんかムカつくな。
「そう! それは彼女をつくることだ!」
ほぼ女子しかいない学園でそんなことを言いだすアホ。
周りの女子は、えぇ……といった感じ。龍華だけはビックリしたっぽい反応をしていたが。
「というわけで、今からモール行ってくる!」
「ちょっと待てコラ」
わけのわからないことを言いだした挙句、脱走をしようとしたアホを制止させる。
「なんで止めるんだよ、和海!」
「今の話からなんでモールに行くことになる? ただ遊びに行きたいだけだろ」
そう言うと、征兎は肩を竦め、わざとらしくため息一つ。
コイツ……殴ってやろうか……!
「バカだなぁ和海くん。いいかい? この時間は放課後だ……つまり」
「つまり?」
「モールに行けば、学校帰りに遊びに来ている女子たちがいるわけだ! そこをナンパして彼女をゲットする!」
もう開いた口が塞がらなくなりそうだった……。
コイツはなにを根拠にそれが成功すると思っているのか……。
だから、自称天才物理学者なんだよ。
そんなことを知ったことではないであろう征兎は、行動を開始しようとする。
「俺の完璧な作戦に言葉が出ないようだな!」
後半関してはその通りだが、前半については否定させてもらう。
「はっはっは! 彼女を見事ゲットして、お前たちに自慢してやる! 楽しみに待っていろ!」
そう言い、もう止める気力もない俺たちに背を向け、駆け出そうとした征兎。
直後、その後頭部に高速で飛来した何かが直撃した。
グヘ!? という声を上げ、床に倒れ伏した。
「ごめーん、手がすべったー」
当然のこと犯人は龍華だった。
直撃した物体はフライパンだった。どうりでいい音がするはずだ。
「おい、生きてるか」
「脳が……揺れ……揺れ……」
とりあえず、生きているから大丈夫だろ。
準備の邪魔になりそうだったアホは教室の隅に蹴りとばして、みんなと準備を再開させた。
帰るときは面倒だったが、運ぶのもダルいため叩き起こした。
「よぅし、完了だ」
学園にある整備室の一つ。
そこにいる創一の前には、室内に所狭しと並べられたガーディアン。
「中々壮観だ」
そう言いつつディスプレイを一つ開くが、それを見る顔は言葉と違い晴れない。
「遺伝子Ⅹを持つ突然変異生命体ねぇ……」
見ているのは、織斑の両親が研究していたであろう万丈龍華のデータの一部。
そこに記されているものを見て、どうしたものかと思ってしまう。
遺伝子Ⅹ……どう見ても自分と同じ遺伝子だからだ。
「コイツの遺伝子、回収するか否か……。正直、しなくても問題ないといえばないが」
後の障害はなるべく排除したい、その思いは当然ある。
「ったく、アイツ(神様)もこういう存在にしたならそうと言ってくれればな……」
どうして万丈龍華が自分と同じ遺伝子を持っているのか、理由が必要となる気がする。そんな直感があった。
しかし、そこはあの自分をサポートすると言った女社長に丸投げすることに決めた。
「差し当たっては、学園祭……!」
周りにいくつかのディスプレイを展開する。
そのどれもにIS――それもそれぞれの専用機のデータが記されている。……一部を除いて。
「【まずは、白式のデータ……しっかりいただこうか!】」
興奮のあまり元の声を発し、瞳を赤く光らせながら。
エンプティボトルをかざした創一はそう告げた。
久々の更新なのに……駄文&蛇足になってしまいました。
申し訳ないです。