「これは・・・ビルドドライバー・・・か?」
目の前に置かれたものを見て、創一は半ば確信しつつも聞く。
「えぇ、そうよ。ようやく完成したから教えておこうと思ってね」
「なるほど・・・これがおまえのもう一つの特典ってわけか」
「まぁね。・・・これらのものを作れるようになるってとこかしら? 正直、これらを作るために工業系の会社にしたんだから。・・・ここまで大きくなるとは思わなかったけどね」
「今のご時世、IS産業に手を出して、まして貢献すればそうなるだろ。資金が潤っていいんじゃないか?」
これに玄乃は苦笑しながら、手を力なく挙げた。
「ところでこのビルドドライバー、性能は如何程で?」
「基本的にはビルドの原作と変わらないわよ。ただ、この世界に適応させたから飛行機能があるけどね」
今後のことのためか思案顔をしながら、創一は聞いていく。
「そうなるとタカフルボトルなどの性能はどうなるんだ?」
「それらのボトルは飛行時のスピードが大幅に上昇するようにしておいたわ。他のフルボトルの性能は概ね原作通りだと思う」
「・・・ふむ」
創一はここまでのことをまとめながら、これからの行動を考える。
ふと、大事なことを聞いてないことに気づいた。
「そういえば、フルボトルはどうやって生成しているんだ?それこそ原作通りってわけじゃないだろ?」
仮面ライダービルドでは、スマッシュから回収した成分が入ったボトルを 石動美空 が浄化して正規のフルボトルとなっていた。
しかしここではどうやってフルボトルを生成しているのか?
それが創一の疑問だった。
「そういえばボトルについて説明してなかったわね。・・・作る工程に関してはそんなに難しくはなかったわ」
そう言って、創一の前にエンプティボトルを置く。
「そのエンプティボトルに入れる成分のデータを入れるだけ。・・・ただし、けっこう時間がかかるけど・・・」
「どういうことだ?」
「成分のデータを入れるまではすぐなんだけど、ボトルが成分で満たされるのにすごい時間がかかるのよ。これはどうにもできなかったわ」
「まぁ、原作の美空もボトルを浄化させるのにかなりの集中力を必要としてたみたいだしな。それがないだけマシだと思うしかないだろ」
「それもそうね」
そう言ったときの彼女は、ボトルを浄化し終えた美空のようになっていた。
「そういえば、今後についてなんだけど・・・どうするの?」
「そうだな・・・。とりあえず原作開始までは準備を整えるぐらいでいいだろう。ただ、それとは別にやってほしいことがある」
「やってほしいこと?」
「あぁ。まず一つは亡国企業の所在を調べてほしい。特に原作に出てきたあの3人」
「亡国企業? まぁ、できなくはないけど・・・警戒でもしてるの?」
「警戒まではしてないが、俺が本格的に動くときに邪魔になりそうだからな。できるだけ早めに消しておきたい」
「そう・・・わかった。各地を転々としてるみたいだから、その時になったら教えて。現在地がわかるようにこまめに情報仕入れておくから」
「OK~」
その時の創一は亡国企業をどう消そうか考えていたのか、かなり邪悪な笑みを浮かべていた。
「それとパンドラボックスの在処も調べてもらいたい」
「パンドラボックス? この世界にあるの?」
「ある。アイツがそう言ってたからな。あの中には、アイツの条件を達成するために必要なものが入っている・・・何としてでも手に入れたい」
その条件を知っている玄乃はかなり複雑な顔をしていたが--
「・・・わかった。やってみる」
--と言うことしかできなかった。
「サンキュー。それとエンプティボトルを少し分けてくれない?」
「エンプティボトルを? 成分が入っているやつじゃなくていいの?」
「あぁ、時間はそこそこあるからな。自分で成分入れてみるわ。・・・ヤツらとボトルの中身がかぶってたら、盗まれたから新しくつくったとでも言えばいいだろ」
「そうね。・・・ちょっと待ってね」
そう言い、10本のエンプティボトルをケースに入れて渡した。
「はい。大事に使ってね」
「ハイハイ。・・・っと、それと最後に一つ」
「なにかしら?」
「ここの地下の演習場、たまに貸してくれない?」
この質問に玄乃は笑顔のまま固まってしまった。
だが、すぐに回復する。
「よく知ってるわね。・・・一般には知られてないはずだけど」
この会社の地下には製品の動作やテストのためなどをおこなうために、IS学園にあるアリーナ一つ分の大きさ・高さを兼ね備えた演習場がある。
当然、一般には情報は出回ってなく、会社内部の人間しか知らないはずだが・・・。
「この会社の情報をハックしたからな。それで知ったんだ」
--などと平然と言ってのける創一に、
「・・・まったく」
と、あきれた顔をしながらも玄乃はOKをだすのだった。