僕と優子と鬼ごっこ   作:鱸のポワレ

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やっと優子の登場です。


第4話 僕らと鼻血と最初の遭遇

ついに、リアル鬼ごっこが始まってしまった……。

みんなの顔がこわばる中、1人が落ち着いて声をだした。

雄二だ。

 

「よし。行くぞお前ら!」

「「「了解」」」

 

雄二の作戦通り、Eクラスの教室から出て廊下を六人で歩く。

 

「そういえばさ、いつものメンバーになるなんて僕ら運がいいよね」

「は?何言ってんだお前」

「何言ってんだって日本語だよ。雄二、日本語わからなくなっちゃったの?」

「そういう意味じゃねえよ!!」

「じゃあどういう意味?」

「本当にたまたまだと思ってたのかって意味だ」

「え?違うの」

 

ん?でも確かにクジを引こうとしたとき、1つしかクジがなかったような……。

 

「そうか!雄二が仕込んだのか」

「そういうことだ」

「でもなんでこのメンバーにしたの」

 

いつものメンバーでもいいけどこれは命懸けだ。仲良しこよしでやってられ無いだろうし。

 

「ムッツリーニは言うまでもないだろ」

「うん。ムッツリーニは絶対頼りになりよね」

 

ムッツリーニは、情報収集から盗撮までお手の物だ。

あれ?鬼ごっこ関係なくない?

 

「女子勢は他のグループだと何されるかわからないからな」

 

確かにバカどもと一緒は危なそうだ。

 

「ふむ、なるほど。じゃあ僕は?」

「お前はもちろん囮だ」

「何言ってるんだい?それは雄二の役目だろ」

「なんだと」

「やるか?」

 

ガスガス(すねを蹴り合う音)

 

「「痛ってえ!!」」

「はあ〜、バカねあんた達」

 

美波に呆れられてしまう。まるで僕がバカみたいだ。まあバカなんだけど。あれ?これ前も心の中で同じツッコミをした気が……。

 

「まあ、命が懸かってるからな一旦やめにするか……って翔子!?なぜ俺の目を狙ってる!!」

「……浮気の気配を感じだ」

「なんもしてねえよ!」

 

どこから出て来たのか、霧島さんがいつのまにか雄二の正面に立っていた。

こんな可愛い子に好かれているなんて妬ましい。あとで鬼に差し入れとして、あいつを渡しとこう。

 

「あの、翔子ちゃんは1人で来たんですか?」

 

姫路さんが質問をしていた。まあ、当然の質問だろう。

女の子が一人なんてあぶないしね。

 

「……優子と愛子もいたはず」

 

噂をすればというやつだろうか、工藤さんと木下さんが走って来た。

 

「もう代表、勝手に行動しないでよ」

「……ごめん」

 

流石に木下さんも怒っているようだ。

 

「ていうかお前ら3人で行動してるのか?」

「……Aクラスはみんなバラバラ」

「危ねえだろ。一緒に行動してやるよ」

「……優しい」

「べ、別に当然だろ」

「……雄二照れてる」

「バッ!?照れてねえよ」

「いや、照れてるわね」

「照れてますね」

「照れてるのじゃ」

「…………照れてる」

「お前らまで……」

 

逆に照れてないとでも思ってるのかな?

そうこうしているうちに、もう五分が経っていることに気づく

 

「雄二、これからどうするの?」

「とりあえずここら辺で待機だな」

「え?『よし。行くぞお前ら!』とか言ってたくせに?」

「うるせえ」

 

本当に今日の雄二はいじりやすいな……。

 

「ムッツリーニ君〜。ボクがピンチになったら助けてくれるよね?」

 

ん?何やら、いやらしい話をしているぞ。

いや待てよ。工藤さんだからって、いやらしいと決めつけるのは、流石に早とちりか。

 

「…………たぶん」

「お礼の前借りしとく?(チラ)」

「…………(ブシャァァアア)」

「ムッツリーニ!?」

 

早とちりじゃありませんでしたー。

ムッツリーニの鼻血が池のように広がって行く。

気がつくと横にいた木下さんが震えていた。

 

「どうしたの木下さん?」

「あれ、鬼じゃない?」

「なんだって!」

 

木下さんの声にみんなも反応する。本当に鬼がいる。でも、鬼は遠くにいる為逃げられそうだ。

ムッツリーニと工藤さんを除いて。

 

「ムッツリーニ君本当に大丈夫?」

「…………一生に悔いなし(ガク)」

「ちょっと!?早く逃げないと」

 

鬼が走ってこちらに向かってくる。このままじゃムッツリーニと工藤さんがやばい。

 

「ムッツリーニ早く走って」

 

僕の声が届いたのか、フラフラとムッツリーニが走り出す。

でも、鬼の方が全然早く走って来ている。やばい!追いつかれる。

 

「おい明久!あの鬼やっちまうぞ」

「わかった」

 

僕らが行こうとした瞬間、鬼は叫んだ。

 

「なんだこれ!?」

 

(ツルッ)

 

ムッツリーニの鼻血に滑り鬼がこけてしまった。

鬼は、こけた時に怪我をしてしまったようで追いかけて来なくなり、僕らは逃げ切れた。

なんか、緊張感ないな……。

 

「うぃーん」

 

サイレンが最初の1時間の終わりを知らせてくれた。

これはこれで結果オーライなんだろうか。

 




どうでしたか?アドバイスお願いします。

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