機動戦士 ハイスクールAGE〜革新の為に〜   作:silverArk.

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感想、素直に嬉しいです。頑張ります。


そして刻は回り往く

悪魔の粗だらけの警戒網を何時も通りにすり抜け、自宅へと帰還した俺は通学をしていた。

自宅の地下にはドックが設けられており、現在AGE2はそこに格納されハロによるメンテナンスを受けているだろう。

何故、自宅をそうも弄って大丈夫なのか。それは既に俺の両親がこの世に居らず組織の力があったから、という答えを返す。

俺に掛けられた呪い、さしずめ無限転生と呼ぶ――は俺から必ず家族を奪う。よくある転生者のテンプレと言うやつだ。と一度目に死んだ際に高説されたのは、忘れられない記憶だ。

それによって、俺には家族がいない。次いでに恋人も居たことがない。大体、十六~二十の間で死んでしまう事が殆どなのだから仕方ないのだ。多分きっとそう。メイビー。

話を戻そう。死んだ俺と共にガンダムは消える。が、俺が転生し再びガンダムを十全に扱えるように成った時にとある場所へ向かう。そして、とあるシステムを起動することで俺が転生した事を示しているのだ。そうやって俺は組織を存続させてきた。創設者の一人である俺が居る事で組織は道を外すこと無く、目的の為に戦い続ける事が出来ている。それに、創設当時のメンバー。その子孫が居ることも大きい。

そうやって転生をした俺の行動拠点として、自宅を改装して貰ったと云うわけである。何せ、カバーとしての身分は高校生。おいそれと転校などすると、悪魔側に怪しまれかねないからである。

この町で転校する事を考えると、それは自然に町を出る事と直結する。

駒王学園の理事をしているあの悪魔は、周辺の学校を統廃合。自分たちの為に養殖場を作り上げた。その為に、町には高校が一つしかなく他の高校にほとんど行くことは出来ないのだった。

 

「……はァ」

 

気付けば漏れるため息。今日もあの目障り極まりない光景を見るのだと思うと、俺のため息は止まることがなかった。

 

 

 

教室に入った俺は、誰とも挨拶をする事なく席へと座り授業の準備を始める。この学園は元が女子高であった為に、ほとんど女の園状態である。耐性が無い俺には少々キツイ空間だ。

そんな学園で、無闇に話掛けたりきもい笑いをしていれば、翌日からは変態として白い眼で見られ兼ねない。そんな空間なのである。

無論、俺はそんな事が無いように気を使っている。誰かのやった行動で、他人が迷惑を被るほど理不尽な事は……他にもあるけども。

だからこそ、俺は目の端に捉えている奴らが赦せなかった。

 

「おお!それ新作のAVじゃーか!もう手に入ったのか!?」

 

「ああ!おっぱいもお尻もまる出しでかなりどころか最高だ!!」

 

この声を聞くだけでイライラが募る。俺はこめかみに指を当て、頭痛を堪える。

 

「うっさいわね猿共! 少しは慎みを持ちなさいよ!」

 

「黙れ!女子供が俺たちの高尚にして崇高なる趣味に口を出すな!脳内で犯すぞ!」

 

「きゃ~~~! やっぱこいつら猿よ!交尾することしか頭にない下品なケダモノよ!だから男は嫌なのよ!」

 

……動物園かここは。

ギャアギャアと喧しく罵り合う声に頭痛は最高潮に達して行く。こう言う奴らがいるからこそ、この学園での男子の地位が低くなって居るのだ。こいつらはそれを理解していない。

よく欲望の塊をケダモノと表現するが、動物の欲望にはしっかりとした何らかの終着点がある。人間や悪魔みたいに見境ないことはないのだ。

つまり、普通の人間なら抑えられる欲に従っている辺り、人間以下なのだろう。

最もこの駒王学園には全面に、気付かない程度の暗示が常に展開されている。

其れにしても、あいつら以外は耐えられているのに。何かにつけ、覗きは神聖な行為だ。や、ハーレムを!と宣う。欲望によってまったく人間性を放棄してしまっている。まだ獣の方がマシと思える程だ。

結局、奴らは生活指導の先生が連行するまで騒ぎ続けたのだった。

 

 

 

それは突然の事だった。

学校が終わり、真っ直ぐ家への帰路に着こうとしていた俺の耳にそれが飛び込んで来たのは。

 

「聞いてくれ!俺…彼女ができたんだ!」

 

正に驚愕であった。あの変態に彼女である。最早訳がわからない。

思わず足を止め、兵藤の説明を聞いてしまう。 そして俺は強烈な違和感を感じた。

話を聞くに、相手は他校。しかし、この辺に高校は無い。それに明らかに知り合いとも思えない。最後に兵藤を狙ったハニトラ。

状況から答えをぼんやりと見いだした俺は、兵藤の前へと足を運んでいた。

 

「……止めておけ」

 

「な、なんだよ(いおり)!」

 

「お前は騙されている。このまま行けば、お前は……死ぬぞ」

 

嫌っているとはいえ、命。騙されているのならば救う必要があると、俺は忠告をかける。

それに対して兵藤が返した答えは。

 

「ハァ!?何を言ってるんだお前。あ~分かった!お前悔しいんだろ?残念だったな、俺に彼女が出来て!」

 

心底嘲った笑い、だった。

 

「…そうか」

 

俺はそれだけ言うと踵を返して、今度こそ帰路に就く。後ろでは、兵藤が未だ声を張り上げて自慢をしていた。

 

 

 

あれから数日後、どうやら兵藤はデートをしているらしい。

と、言うのも先程から一緒にいる女と共に色々と見て回っている為であった。

だが、その光景は見ていて嘲笑を誘うものでしか無かった。

終始デレデレと顔面崩壊をした表情で一緒に居る女―堕天使と話している。

一方、堕天使はと言うと表面上はニコニコとしている。だが、その内免はというと全くの正反対であった。

堕天使から感じ取った意志からは玩具を弄ぶような邪悪な愉悦が感じられる。

 

「……チッ、面倒な」

 

俺は舌打ちを一つすると、二人をつけ始めた。

悪魔、堕天使は人間に与えている直接的被害の犯人ツートップである。天使は狡猾にも、間接的な被害を与える事に特化しているが。

時間も夕暮れ。時間的にもちょうどいいのだろう、堕天使は公園へと兵藤を誘導していた。

やろうとしている事に見当はつく。が、俺は兵藤を助ける気は無かった。

騙される、嵌められる或いは気紛れにやられる。そんな事は幾らでもある。

理不尽な理由で殺される。そんな人々を守るのが俺に課せられた役目でもあり、目的でもある。

だが、結局は選ぶのは本人だ。俺は忠告をした。しかし、兵藤はそれを無視し、疑うこともなく甘言に乗った。

ならば、救う価値などないだろう。最も、犯罪者である兵藤は社会が裁くべきなのだろうが。

公園に兵藤らが入る前に、俺はガンダムを纏う。MSには量子化による瞬時の蒸着を可能とするシステムを搭載しているためである。その代償として、解除するとその場にMSは残ってしまうが。

そして、とある機能を使用した。

”見えざる傘”という物がある。作中ではヴェイガンが作成したステルスシステムでもあり、その性能は凄まじい。光学迷彩に不可視化、音響までは流石に無理だが、熱源索敵にも引っ掛からない。さらに、組織の性質上他のMSにも標準装備されているのである。

ついでに言うなら気配も遮断出来ないのだが、そもそもAGEシステムがこれを作成する段階で、気配遮断の技能を会得していたため、無問題である。

……それしても気配遮断の技能を教授してくれたあの骸骨面の方はまだご存命なのだろうか。だとしたら首を飛ばされそうで少し恐ろしい。

などと、かつての事を振り返っていると堕天使が人払いの結界を発動させた。

そして、堕天使はその人間態をほどき本来の姿と本性を表した。

なんとも言い難いコスチュームの姿になると嘲笑を浮かべながら兵藤に殺害宣言を下した。

余りの隙だらけの姿に笑いそうになるのを堪えながら隙を伺う。

突然の恋人(笑)の豹変に混乱する兵藤を尻目に、俺はライフルではなくリア・スカートにマウントされたビームサーベルを抜いた。

 

「さようなら、恨むなら聖書の神を恨んでね」

 

格好をつけるためか、上空へと羽ばたいた堕天使は光の槍を編むと、それを兵藤へと放った。

そこが絶好のタイミングだった。

光の槍が兵藤の心臓を貫いて死を与えた瞬間、”見えざる傘”を解除。そのまま、推力を全開にして舞い上がるとビームサーベルを発振、無防備な背後へと迫る。

そして、堕天使が気付く前に脳天から股下まで一気に斬り裂いた。

 

「……くたばれ化け物が」

 

それでお仕舞いだった。哄笑を上げる積もりだったのか、大きく口をかっ開いた間抜けな姿のまま二つになって地へと堕ちる。

完成した二つの死体。兵藤の方は警察が入ったり葬式が上がるだろうが、堕天使の方は面倒臭いことになる。

俺は人払いの効果が消える前に、堕天使に向けてハイパードッズライフルを構えた。そして、周囲に影響を与えない程度に威力を調整すると銃爪を引いた。

DODS効果を得たビームは堕天使の死体に着弾。即座にDODS効果により、死体を分解・消滅さしめた。

堕天使の処理を終わらせた俺は人払いの効果が消滅するより前にその場から離脱すべく、スラスターに火を入れ……

 

「……そこか!」

 

バーニアを噴かし、ビームサーベルのグリップ下部からサーベルを発振。そのまま、兵藤へと殺到する。

コンマ秒の速さで兵藤へと到達。ビームサーベルを振り下ろし、兵藤の制服。そのポケットを貫いた。

ポケットから覗くのは焦げたチラシ。だが、ただのチラシではない。そこに描かれているのは悪魔の紋章である。

恐らくは悪魔の使い魔が配布しているのを貰ったのだろうが、それが起動し掛けていたのである。

その微弱な反応をガンダムのセンサーが捕らえてくれたため、間に合ったのだった。

この町でこの悪魔の紋章。十中八九、あの赤髪の無能貴族がで張ってくる。その召喚をギリギリで防いだのだ。

こうやって配ったチラシによって悪魔は人の人生を蝕んでいる。望まずに召喚したとて、奴らは代償を求める。そうして堕落を誘うのだ。

そうやって人生を破滅させられた人間は少なくない。そういう事にかまけているからこそ、この町には化け物どもが跳梁跋扈するのだ。

だからこそ、あの無能が出てくる事を防いだのだ。あの顔を見た瞬間、俺が何をするかわからない。ここで無能を殺してしまえば、折角の計画が無駄になってしまう。それだけは避けなければならなかった。

今度こそ、状況が終了した事を確認した俺は再び”見えざる傘”を展開。ストライダーフォームへと可変しその場から離脱する。

 

「…じゃあな、兵藤。来世はもっとまともな性格に生まれてこい」

 

驚愕の表情で固まったままの表情で死んでいる兵藤に俺はそう声を掛けた。

 

 




兵藤の死体が残る公園。生き物のの気配一つない場所で、何かがピクリと動いた。
それは兵藤の左腕であった。微弱に赤く、発光する腕。
その光景は腕に何かの生き物が取り憑いているかの様だった。
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