ヒカルと佐為と知らない幼馴染   作:ウメタロ

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第十一話

あくる日の事、ハクとヒカルは二人で碁を打っていたのだが、突然ハクが恐れ恐れ切り出してきた…。

「あのさ、ヒカル、お前の隣にいる烏帽子の人って誰なの…?」

「は…!? ええええええ!?」

ヒカルと佐為は仰天した。

「お前、佐為が見えるの!?」

「うん、最初からずっと…、でもさお化けだと怖いと思ったからずっと言えなかったけど、ここ数ヶ月で悪そうじゃなさそうだなって思って思い切って聞いてみたんだけど…」

やっぱ怖いお化けなのか!?と後ずさりしたハク。

「……なんだよぉもぉおおお! ハク見えるなら早く言ってくれればよかったのに!!」

は?と呆然とするハク。

『ハクは私の声も聞こえるのでしょうか?』

「うん、ずっと聞こえてたよ…」

「ということは貴方がsai?」

『そうです、名前を藤原佐為と申します』

佐為は自己紹介をして、ハクもそれに答えた。

「あの、黒井ハクっていいます」

『ふふふ、私が見えるということは本当に虎次郎の生まれ変わりなのかもしれませんね』

佐為はふわりと微笑んだ。

「改めて見ると綺麗な人だなぁ」

できる限り見ないようにしていたようで、まじまじと見ているハク。

『ヒカルお前が急に囲碁覚えたいって言ったのはこの佐為さんのおかげなの?」

「そうだよ、うーん、どこから話すべきかなぁ」

ヒカルは悩んでいた。

『ここまできたら全て話してしまってもいいのでは? それにヒカルも全力でハクと打ちたいでしょう?』

その甘い誘いにヒカルは屈するしかなかった。

 

「そういうことだったんだ」

逆行してきたことも含め、ヒカルは全てを話した。

「ごめんな、ハク、俺はお前の知ってる進藤ヒカルじゃ無いんだ」

元の自分の世界ではハクはいなかった故に、警戒心を持ってしまったことを謝った。

『いいんだよヒカル、それよりも僕はヒカルが、僕がいてもいなくても囲碁を好きになってくれたことがとても嬉しいんだ、佐為さんに感謝しなくちゃね」

『なんていい子なんでしょう』

感激のあまり佐為は泣き出した。

「それは置いといて、もっと早く言ってくれれば本気でお前と打てたのに、なんでもっと早く言ってくれなかったんだよぅ!!」

「俺はずっとお前と本気で打ちたかったんだよ!!」

ヒカルの鬱憤が爆発した。

「あはは、だってお化けとかそういうの怖かったし、他の人、あかりとか見えてなかったみたいだから、怖くて…ね」

まぁそれもそうかと、納得したヒカルであったが、自分の苦労を知って欲しかったヒカルは

「佐為とお前を打たせるためにネット碁とかどんなに苦労したことか…はぁ…」

ため息をつくヒカル。

「ヒカルごめんって、これからはネット碁でもここででもいつでも打てるじゃない!」

そう息巻くハクに、ヒカルは機嫌を直した。

「よし! なら一局打ち直すぞ!」

そう言ってヒカルは今やっている対局を崩して、本気の対局を申し込んだ。

「あの本因坊秀策と打てて、それにその弟子と打てるなんて僕はなんて幸せ者なんだろう」

そんな幸せを噛み締めながら、ハクはヒカルとの対局に挑んだ。

 

今回の対局はネット碁とは違い面と向かってなので、待ち時間は設けずゆっくり打つことにした。

相変わらずどっしりと構えているハクに対して攻撃的な碁と絡め手をつかって、ハクを翻弄しようとするが、なかなか引っかかってくれず、最後はハクの勝利で終わった。

「くぅーーーあと四目半足りなかったかぁ」

「ふぅ、危なかったよヒカルさすがは本因坊だね」

「そんなお世辞はいらないやい!」

『二人ともとてもいい碁でしたよ、私とハクの対局に負けず劣らず胸が踊る対局でした』

佐為は最初から最後まで興奮して見ていた。

「ここはもう少し守りを固めるべきだったなぁ」

「そうだね、こっちを守って違う場所で勝負を仕掛けたほうが、得したと思う」

『わたしはこちら側を攻めるべきだったと思います』

そういって、囲碁界トップクラスの三人の検討は夕方過ぎまで続いていった。

唐突にヒカルはもう隠すのはやめだ!

俺もネット碁を打つ!といいだした。

「どうしたの急に」

「だってよぉsaiとkuroshiroはフレンドになってるのに俺だけネット碁で蚊帳の外は嫌なんだよ!」

とヒカルらしい嫉妬を露わにしたところ、佐為とハクは笑って。

「ヒカルがやるならもちろんネット碁でも打とうよ、そうすれば夜も打てるしね」

あはとハクは笑ったが、佐為もそうですね、と肯定したところ急に態度が変わり

『いけません! そうなったら私とハクの打てる時間が減ってしまうじゃありませんかヒカルぅーー』とポカポカ攻撃してきた。

 

「うっさいやい! 俺だってこれからハクと打ちたいの! 佐為だってこの前何局もハクと打ってたろ! ずるい!!」

ヒカルは再度鬱憤を爆発させた。

『それはそうですが…』

気まずそうな佐為はこれ以上反論できなかった。

「ところであかりにはこの事を言うの?」

ふとハクが思い立ったように言い出した。

「あー、それだよなぁ〜、いつか言おうとはおもってるんだけどなぁ」

悩んでるヒカルに対して、

「いつかいうべき時が来たら言えばいいんじゃないかな? あかりならきっと信じてくれるよ」

そうハクは微笑んでくれた。

ありがとなハクとヒカルは安堵の表情を見せた。

「ハクはこれからどうするんだ? ネット碁でお前めちゃくちゃ有名になってるけど、表舞台にはでないの?」

これからの事を聞くヒカル

「そのことだけど僕はネット碁とヒカルたちと打てれば満足だよ、それに例の持病にみたいなのもあるからね」

そう悲しげにつぶやいたハク

 

「それってどうにかならないのか?」

対応策を練ろうとするヒカルに対し、

「昔からあれこれ試したんだけど、どうしてもダメな時はダメなんだ、ごめんなヒカル、佐為さん」

「そっか」残念そうなヒカルだが

『仕方がないですよヒカル、こうして打てる時があるだけ感謝しましょう』と二人をなだめる佐為

「そのかわり打ちたい時はとことん打とうよ! いやっちゅーほどさ!」

ニカッと笑ったハクに対して二人も笑って

「そうだよな! 打てる時に打ちまくろうぜ!」

そう笑って三人はその日の碁を終えたのであった。

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