ついにこの日が来た!
晴れて念願のHika対kuroshiroである。
お互いスケジュールをすり合わせつつ、かつ怪しくないよう、そして多くの人に見てもらえるようにした。
「お膳立ては十分だな」
ヒカルは少し震えつつ呟いた。
『ヒカル、武者震いですか』
「あぁ、こうやって改めて人の目がある中でやるとなると、緊張しちまうな」
プルプル手が震えながらも、kuroshiroに対局申し込みをした。
当然了承の文字が。
自分は未来では本因坊にもなった、佐為の弟子として恥じないくらいの打ち手にもなれたと思う、だが何故だろうこのkuroshiro、ハク相手だとひりつくような緊張が胸を占める。
分かっている、自分の力量を超える打ち手が目の前にいるのだ、この目の前にいるのは自分の師を破り未だ無敗の無敵の棋士。
「上等だぜ、いつもハクの家ではしてやられてるけど、この場では俺がとらせてもらう…」
そう息を吐き一手目を打った。
待っていたと言わんばかりに応手が打たれ、局面は瞬く間に殴り合いの様相を帯びてきた。
『こんなに両者力強く打ち合うとは』
佐為ですら驚くほどの力碁。
一手一手が命の張り合い、一手読み違えれば、即座に負けを示すほどの対局。
しかしヒカルには今回はこれしかないと思っていた、地力では上をいかれている相手なので、多少汚くとも今回は勝ちをとるため、力碁を選択したのだ、師匠の敵討ちも心の中ではあるだろう。
そして何より自分こそが最強の碁打ちだと証明したかった。
もう進藤ヒカルは佐為や様々な大人に守られて育つ棋士ではなく、一人で立ち、一人で打つ棋士として存在していた。
佐為はそれが誇らしかった、自分がいなくなった後のことは聞いたが、碁をやめるという話までいったとき、自分は消えるべきではなかったのでは?とはらはらしてしまったが、うまく立ち直った話を聞き、それによりやはり自分はあの時消える定めで良かったのだと思えた。
もうこの子とは対等の関係だと思えたのはいつだろう…?
あぁ、ハクとヒカルが家で打っていたときだ。
あの時から対局が終わると、昔はすぐ私の方を向いていたヒカルは、気がついたら相手の方か碁盤に集中するようになってた。
ハクに勝てなくて、真剣に検討をする、私の方を向く時はあるけど、1番最初ではない。
この子は私がいない間に成長していたのだ、10年と言っていたか?その歳月があの少年をここまで立派な棋士にしたのだ、そしてまた私の前に現れてくれた…、あの頃の姿のままで。
私はあの時のままだけれど、それでもあの子は良いといってくれた、
「師匠とか弟子とかそんなんどうでもいいの! 俺は佐為が側にいてくれてこうやって碁を打ってくれるだけでいいんだよ!」
そういってくれたのに、この子ったら、らしくない力碁で、私を倒したハクを何としてでも、ネットとはいえ公式の場で倒そうとしてくれている。
(なんと師匠思いの弟子でしょうね)
佐為は心の中でそう思った。
しかしそこは囲碁幽霊、『だからこそkuroshiroを倒すのは私が先ですよ』
そう呟き目を光らせ燃えていた。
「ふぅーーっ 届かなかったかぁ、らしくねぇ碁にしちまったなぁ」
そう言ったヒカルは清々しい顔をしていた。
「投了っと、佐為ごめんな、こんな無様な碁を見せちまって」
ヒカルは謝ったが、
『何を言うのです、何が何でも勝ちたいっ!、そういう気迫、進藤ヒカルとしての棋士の誇りを見させていただきましたよ』
佐為は微笑み、ヒカルは笑った。
「何が何でも勝ちたかったんだけどなぁ、まぁ、まだ次があるか!」
『そうです、また次があります』
佐為自身もその気で常に取り組んでいる、自分だけが最後じゃないよな、そう思ったヒカルは、
「佐為、お前もう消えないよな?」
急にしゅんとした面持ちで聞いてきた弟子
『消えませんよ、少なくともkuroshiroを倒すまではね』
ごごごと後ろで炎が燃えているがごとく、燃えている佐為がそこにはいた。
ニコッとヒカルは笑い、
「ずっとこうだったら良いのにな…」
誰にも聞こえないようにヒカルは呟いた。
『ヒカル!?何か言いました!?』
盤面に釘付けになっている佐為。
「なんでもねぇよ! 検討どうすっか?」
今からでもハクの家に乗り込むか!?っとやる気満々のヒカルに、検討検討〜〜と喜んでいる佐為はハクの家に検討をしにいったのである。