あくる日ヒカルが一組にあがりしばらくした頃、奈瀬明日美は悩んでいた。
「あの碁会所でもないかぁ」
ある日を境に奈瀬は碁会所巡りが趣味、いや使命になっていた。
それはとある碁会所で、自分に指導碁をしてくれた人を探すためであった。
落ち込みながら院生室に入っていくと、和谷が「まだ王子様はみつかんねぇのか?」と茶化してきた。
「うるさいわね〜」 そういいながら進藤が指導碁をしている場所に行く。
ヒカルは不思議に思っていた、(奈瀬ってこんな碁会所巡りに必死だったけ?、それに王子様って誰だ?)
気になったヒカルは聞いてみることにした。
「奈瀬!王子様ってなんのこと?」
ヒカルから聞かれるとは思っておらず、びっくりして少々顔が赤くなった奈瀬が答える、
「あのね、私に指導碁をしてくれた人がいて、私その人に先生になって欲しくてずっと探しているの!」
そう興奮しながら話す奈瀬にヒカルは妙に納得した。
(そっか、その人を探すために碁会所巡りしてるから前より強くなってるんだな)
「その人はまだ見つかんないの?」とヒカル、「そうなのよ、でもどうしても私の先生になって欲しくて…、外見は忘れもしない、真っ黒な髪に真っ白い肌の子なの」
ん…見たことあるような、とヒカル
「ちょっとその指導碁並べてくれない」
「わかったわ」そういって並べ出す奈瀬。
「でも進藤くらいの年でそんなに強い奴なんてそんなごろごろいないだろぉ」と和谷が飲み物を飲みながら言っていると、並べてもらった指導碁を見て、ヒカルは
(なぁ佐為、これってハクの指導碁じゃないか?)そう佐為に聞くと『この綿密かつ丁寧な指導碁はハクに違いないでしょうね』との声。
しかし大っぴらには存在を開かせないので後でこっそり奈瀬に「あのさ、あの指導碁を打ってくれた人、知ってるかもしれない」と答えたところ。
「進藤!?本当にお願い!その人に会わせて!生涯の碁の先生になってほしいの!」
と頼み込まれてしまった。
「でもそいつ、今囲碁に興味がねぇんだよ」と答えると、
「どうして!?囲碁辞めちゃったの!?」と、少し泣きそうな奈瀬。
「いや、辞めてはいない、けどとにかく囲碁に今は興味がねぇみたいなんだ」そう答えるしかなかった。
しかし奈瀬は諦めきれないようで、「会える時になったらいつでもいいから、連絡してほしい」とまで頼み込まれてしまった。
こうまでされると会わせてあげたくなるのが人の性、もしハクが帰ってきたら会わせてみようと佐為と相談して決めたのであった。
そしてしばらくして、ヒカルはネット碁をしていると、ピロンと音がした。
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「もしかして! もしかして!!」
『もしかすると!?』
二人は顔を見合わせていた。
翌日学校に行くためにハクを待っていると、
あの囲碁の本を片手に歩いてくる見慣れた姿が…!!
「ハク! 戻ってきてくれたのかぁ!!」
ヒカルはボロボロ嬉し涙を流しながら、ハクに抱きついた。
『よかったですねぇ!』佐為も嬉し涙を流している。
「大げさぁ〜…」若干引いてるあかりがいるが、そんなのは御構い無しだ。
「また碁が打てるんだよな?そうだよな?」
そうヒカルが聞くと、ハクは
「そりゃ打つさ! 碁ほど面白いものなんてこの世にないからね!!」
当然だろ?と言わんばかりに言ってくれて、ヒカルは大いに安心したと同時に、奈瀬のことも思い出していた。
しかしどう切り出そうか迷っているヒカル、しまいには「ハク!お前に紹介したい女の子がいるんだよ!」といい出す始末。
これには ハクもあかりも佐為も 「「『はあ!?』」」である。
ぽかーんとしている三人を前に、「奈瀬っていう院生がいてさ、ハクに指導碁を打ってもらったらしいんだよ!!」やっと本題を話して、あかりのジト目を避けることができたヒカルなのであった。