奈瀬明日美はワクワクしていた。
今日が何回めかのハク研究会だからである。
ハク研究会とはいわゆるハクとヒカルと奈瀬、そしてあかりでやる細々とした研究会なのだが、奈瀬自身何よりも価値のある研究会だと思っている。
ピンポーン、インターホンを押すと、
「ほいほい」っとなぜかヒカルがでてきた。
なんだ奈瀬かと呟き、ハクに奈瀬がきたぞぉ〜と伝えるのであった。
奈瀬からしたら、なんだとはなんだという気持ちではあるが、師匠に会えるので気にしないことにした。
ちょうどみんなの分の飲み物を用意しているハクがいた。
「お、おはよう」「おはようございます!」
そう挨拶を交わしあうと、飲み物を置くハク。
「あかりちゃん、おはよう」「奈瀬さん、おはようございます」
生徒同士の間柄を良好に保つのも、研究会を長続きさせる秘訣と思い、奈瀬はあかりとも積極的にコミュニケーションをとるようにしている。
もちろん元々この二人は相性がいいようであるから心配はいらないと思われる。
いつもの通り、ハクは奈瀬と、ヒカルはあかりと指導碁を打つ、たまにハクとヒカルが逆になるが、それも指導の一環である。
「そろそろプロ試験だねぇ」
打ちながら話すハク。
「うーん、そうだなぁ」「そうですね!」「二人とも、プロ試験頑張って!」
と各々の声。
「そういえば、塔矢アキラ君も受けるんだっけ?」
そうヒカルに聞くハク。
「あ〜、塔矢も今年受けるって言ってたなぁ」 「えぇ!?それじゃあ今年の枠は一つしかないってこと!?」
奈瀬ががっくりしていると、
「何? プロ試験、自信がないの?」とハク
「いえ! 受かってみせます!」焚きつけられて自身を奮い立たせる奈瀬。
「その意気だよ」自分の弟子が奮い立ったのに、少しホッとしたハク。
「戦う前から枠がないと思っちゃいけない、むしろ自分がその枠の一つだ!って思わなきゃ」弟子をさらに奮い立たせようとするハク
「そうですね、その通りですよね!」
うまく乗る奈瀬
そんな中みんなから確定枠に思われてるヒカルに調子はどう?と聞くハク
「調子は悪くないよ、それにプロ試験なんて何が起こるかわからないからね、気を引き締めないと」と殊勝な言葉を言いつつ
「まあっ、kuroshiroとsai以外のやつには負ける気はしねぇけどな」自信満々なヒカルであった。
「もぉ〜っヒカルったら自信過剰なんだから」とあかりが突っ込んでくるが、
「事実だからしょうがないだろぉ!」と痴話喧嘩を始めた二人を置いておいて、
「でも確実に強くなってるから、プロ試験、きっと受かるよ」とハクが奈瀬を励ました。
「師匠…ありがとうございます!」少し涙ぐみながらも、キリッとして言葉を受け取る奈瀬。
じゃあ今度は逆でやろうか?のハクの声に、そうだなとヒカルの声。
「いっちょ揉んでやるよ奈瀬!」
「よろしくお願いします!」と気合を入れる奈瀬。
そんなこんなでハク研究会は過ぎていくのであって、そして奈瀬にとって最悪なことに、プロ試験前にハクが碁に興味をなくしたのであった。